脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

6月の右脳訓練ー修善寺虹の郷

2017年07月05日 | 前頭葉の働き

もう7月。今年も半分が過ぎてしまいました。6月も遊びましたよ。
修善寺虹の郷に夫と二人で行ってきました。虹の郷が山の上にあるせいかバラがまだ見事に咲いてくれていました。
アカオローズガーデンで、今年のバラを満喫したと歓声を上げたのは5月だったのですから「やったぁ!」期待していなかっただけに何だか得をした気分です。

ロイヤルローズガーデンと名付けられたエリアがありました。

日本庭園もあるのですが、花盛りかと期待した花菖蒲は寒さとイノシシにやられたせいで、ほんとに少ししか咲いていませんでした。

「残念だなあ」と思いながら、そう思える自分に満足していました。「私の前頭葉、元気、元気!」
小ボケの人を、というのは前頭葉機能が元気でなくなっている人のことですが、どこかに連れて行ったとします。もちろん脳の活性化を目指してです。
何を見せても、淡々と「そのものが見えていること」だけを伝えてきます。
「あ~花…」「そうだねえ、たくさんだねえ…」「池…」「滝がある…」のように。
そこに感動がないのです。もちろん期待に添わない結果であっても残念がったりもしません。
虹の郷には、15インチゲージのかわいいSL列車が走っています。

イギリス村のロムニー駅

カナダ村のネルソン駅をつないでいます。

途中にはレイルウエイミュージアムがあって、機関車の整備風景も見られるようになっています。

小さいのですが、ちゃんと石炭を焚いて走るのです。トンネルに入ると煙くさ~い。

煙の臭いで、わっといろいろな思い出が胸に溢れました。
子どものころ、汽車に乗った時トンネルが近づくと周りの大人たちは慌て始めます。煙くさいだけでなく「煤煙が入ってくるから、目に入ったら大変」ということなのです。一斉に窓が閉められて、トンネルを過ぎるとまた一斉に窓が開く。列車に乗るのは夏休みが多かったのか、トンネルを出た後の窓の外は、一面の緑のグラデーション。
小学校に入ったころだったでしょうか。京都に連れて行ってもらいました。京都のことは何も覚えてないのに、列車に乗ったら冷凍ミカンを窓辺において、霜なのか氷なのか白くなってくるミカンを眺めながら「早く食べられるようにならないか」と待っている私、周りにいる両親や兄。鮮やかな一シーンとして蘇りました。
モミジの花

小ボケの人を、昔ながらの大きさの蒸気機関車に乗せてみたらどういうことになるでしょうか。(夏場に。冷房車でないとして)
トンネルが近づいても窓を閉めようとはしません。「窓を閉めて」と声をかけられると、スムーズに窓を閉めてくれます。そして多分「窓を開けて」といわれてから、おもむろに窓を開けるでしょう。
そのくせ「蒸気機関車は郷愁を呼び起こすねえ」というかもしれません。そういいながら「トンネルだ!鉄橋だ!たのしいな」という風情は感じられません。
「トンネルのたびに面倒くさい」とか「煤が入ってる」と嫌そうに言うかもしれません。折角連れてきてあげたのに…
前頭葉が元気がなくなるということは、こんなことが繰り広げられることです。
半夏生

前頭葉機能にもう少し目を向けてほしいものだと思います。
「前頭葉こそわが命」あなたがあなたらしく生きていく、私は私らしく生きていく。
「十人十色」という言葉がありますが、その「色」を付けるのがその人の前頭葉。同じ状況でもめげてしまう人もいれば、積極的に立ち向かう人もいます。人に助けを求める人も、あくまで自力でやろうとする人もいます。その差が前頭葉の差なのです。
前頭葉は「脳の司令塔」とも言い換えられます。いわゆる認知機能といわれる左脳(デジタル情報処理担当)や右脳(アナログ情報処理担当)を、状況に応じて「どのように使うか」を決め、指令を出すのが前頭葉の役割です。ということは、「どのように使うか」を決めるために、「状況の判断や決断」もそれに先行して行っているということですね。
虎の尾

どのように生きるかの鍵は前頭葉が持っています。
前頭葉は、体験の中でその色を決めていきます。教えられて身につくものではなく、自分が実体験した中で納得しながら自分のものにしていきます。
夏目漱石記念館

前頭葉は評価する脳でもあります。
ボケないように生活していくときには「これが生きがい!」というものが必須です。その生きがいを決めるのが、その人の前頭葉。周りの人みんなから例え「すばらしい生きがい」と評価されても、自分が納得できなければ、その人にとってそのことは「生きがい」にはなり得ません。
いわゆる社会的に立派な職業に就いた人たちは、第二の人生で「生きがい」となるべきものの可能性が小さいことをよくよく知らなければいけません。何になら生きがいを感じられるのか、脳が元気なうちにちょっと考えてみていただきたいといつも思っています。
漱石の直筆原稿。欄外に房山石漱」と書いてある私家箋

小ボケに対する脳リハビリの一つに外出があります。近所への買い物や、ドライブ、ミニ旅行など臨機応変に計画すればいいのです。
ヒントです。春秋には公園・植物園・動物園・遊園地など。夏や冬の穴場として水族館や展覧会があります。
楽しめるような前頭葉でありたいものだと、しみじみ思います。
おやつ








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