脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

惜しい!NHKあさイチ「被災地に広がる”生活不活発病”」の報道内容

2015年01月22日 | 二段階方式って?

NHK、朝の情報番組「あさイチ」をみました。
「東日本大震災の被災地に広がる”生活不活発病”」というテーマでしたから、しっかりみました。
(写真は1月10日 伊豆四季の花公園)

番組は、被災地での取材を基にしていましたから、どうして「歩けなくななったのか、どういう生活を取り戻すことで「歩けるようになったのか」。続けて、避難住宅での閉じこもった生活から、しだいに意欲がなくなっていったこと、それがそばの人たちの働きかけや高齢者の集まりに参加する中で、本人が取り掛かれる「テーマ」を見つけてそれを実践することで「意欲的な生活」を取り戻したことなど、具体的な方々に登場していただいて構成されていましたので、わかりやすかったと思います。

 
ただ、惜しいことに、歩けなくなったのも、歩けるようになったのも、根本の原因は体の問題ではなくて、「前頭葉」を含む脳の機能の機能レベルの変化が直接の原因なのだという視点が欠けていたことなのです。ひざが悪くなったから歩けなくなったのではなくて、歩こうともしなくなったことが大切な視点なのです。身体の問題が原因なのではなくて、脳の問題が原因なのだということなのです。

更に言うと、「前頭葉」の個別機能の機能の発揮度に関わる意欲、注意の集中力と注意の分配力という三本柱の機能自体が、使われることが極端に少ない生活の継続の下で廃用性の機能低下を起こしてきて、使われる機会が増えた生活の継続下で機能が回復してきたことに気づいていないことが惜しいのです。

 
意識的な世界を支配しコントロールしているのは、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きなのです。「前頭葉」は、自分が置かれている状況を判断し、その状況判断に基づいて「テーマ」を見つけて、テーマの内容を計画し、実行していく判断と決断をし、脳の各部に実行の指令を出すのですから。

使われる機会が極端に少ない生活の継続の下で三本柱の機能が異常なレベルに衰えてくることにより「前頭葉」の個別機能の発揮度が異常なレベルに低下してくると、何かをしようとする「テーマ」自体を考えようともしなくなってくるのです。その上、三本柱の機能には、加齢により機能自体が衰えていくという性質(私たちが発見し、「正常老化の性質」と命名しているもの)があるので、使われる機会が極端に少ない生活の下では、高齢者になるほど廃用性の機能低下も顕著なものとなってくるのです。


「不活発病」と命名されている状態については、私のもう一つのブログで、「前頭葉」を含む脳の機能面という視点から詳しく説明してありますので、読んでみてください。
「認知症の早期診断、介護並びに回復と予防のシステム」

いずれにしても「『何もしないと働きが衰える』という警告がようやく表に出てきたなあ」とちょっと感慨がありました。
もちろん、気を付ければさまざまなメディアに散見されていましたが、NHKの「あさいち」ならば多くの方々の耳目にとまります。この事実は東日本の皆さんだけでなく日本の常識になっていかなければいけないのです。

なぜならば、「認知症予防」もこの考え方をベースにすることで可能だからです。ひとつ加味して!



上でお話ししたように、私たちエイジングライフ研究所は、「脳機能から認知症を考える」という斬新な切り口を持っています。そのまた鍵は前頭葉機能に着目することです。

私は東日本大震災の時、岩手県藤沢町で認知症予防の講演をしていました。帰宅後に書いたブログです。
東日本大震災ー高齢者を認知症から守る」
(1~3ありますが、逆順の表示になっています)

 


 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。