脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

夫と死別して半年、小ボケになったおばあさん―認知症の初期症状

2014年11月10日 | 正常から認知症への移り変わり

写真の向きが直せましたので8/13分を再掲します。

今日の写真は、いつも季節のかわいいしつらえを楽しませてくれる J子さん宅の夏姿。
名残のアジサイ。

久しぶりに年若い友人姉妹に会いました。(姉は独立して別居、妹は母親と同居)
私「お父さんが亡くなられて、半年ね。お母さんはお元気?」

姉「ありがとうございます。元気にやってくれてます」

私「そう。それはよかった。半年たてばそろそろ元気になってきてもいいわね。悲しみはまだまだ続くでしょうけどね」

姉「妹のお弁当を作って、あとなにやかや家の用事が結構ありますから」

妹「毎日のことで、ちょっと悪いなと思うんですけど、用事があるのもいいと思って」


「これはちょっと怪しいゾ」と私のアンテナがぴんと立ち始めました。
決まりきったことをやっているだけなら、夫という大きな存在がなくなった以上、心を込めてやることは減っていってるに違いありません。

お仏壇をお相手に、泣いたり話しかけたりはあったでしょうけど。
49日までは、毎週なにやかやとお坊さんやお客さんが見えたでしょうけど。

役所関係の用事もあったかもしれません。
でも、そろそろ一段落したはず。

それなのに、新しいこと(楽しみごと)が入り込んでいない生活は 、ほとんどナイナイ尽くしの生活に近いはずです。
たとえ家事をやっていても、それはほとんど上の空でもできるようなことばかり…

私「しつこいようだけど。それでもなんだか気になるようなことはないの?」

妹「ちょっと物忘れというか…」

私「年を取れば物忘れは誰にでもあるけど。
具体的にどういうことが起きたの?」

妹「なんだか同じことを何回も言うんです。例えば、朝出勤前に言ったことを帰ったらまた言うし、夕食のときもまた言います。その時ほんとに初めてっていう顔をしてるんです。そこが気になってました」

私「それから?」といいながら、まさに小ボケのオルゴールシンドローム!と私は小ボケに入ってきてることを確信しました。

妹「あの~。お鍋をよく焦がすんですけど、これもまずいことでしょうか?
姉とも話して、電磁調理器に変えたほうがいいかもと思ってました」

姉「電話で話すときなんかは普通です。前とおんなじ」

私「前と違ってるなあと思うところを聞きたいのよ」

姉「お金に関して、前の母のようじゃないんですけど…。
例えば以前は必要なものは必要というタイプで、気前がよくお金に細かくなかったと思うのですが、なんだか細かくなってきてる、ケチになってきてると感じたことが何度かありました。

そういう時に説明してあげてると、いかにもめんどくさそうにしていますねえ。

かと思うと、突然びっくりするようなことを言って驚かされたりしました」

私「びっくりしたって?」

姉「通帳を見ながら『電気、ガス、水道代なんかをお父さんが払ってくれていたのね。結構たくさん』って言ったんですが、これって変でしょ?当たり前ですもの。

妹のフォーマルウエアを買う話の時も変でした。
『フォーマルウエアは高いよね。買わなきゃダメ?』っていかにも援助させられたら大変!みたいにいうんです。
『どうせならしっかりしたものを買っておくべきよ。手伝ってあげるから』って以前の母なら言ったと思うんですけど。
私が買ってあげるからというと、ケロッと自分に関係ないのならどうでもいいみたいな感じに話が終わってしまったんです」

妹「そういえば、この間お坊さんが来てくださってお経をあげていただいてた時、ちょっと遅れてお母さんがテレビのリモコン持って仏間に入ってきたでしょう。

後で聞いたら急ぎの電話があったって。
リモコンと電話機を間違えることも変だけど、どうしてお経が始まってるお部屋で電話をかけようと思うのか…考えてみたら、あれも変ですよね。

自分でも苦笑いしてたし、もちろんその場で電話をかけたわけじゃないんですけど」

妹「この前、コーヒーを入れてくれたんだけど、ふと見てみたらお塩を入れてたんです。

『お母さん!』って言ったら、ハッとしたみたいになって、笑いながら
『あれ、あれ、ボーとしちゃって』って言いながら入れなおして、いつものコーヒーが出てきました。

あの時もちょっと変だと思ったけど、普通に入れなおしてくれたし、まあまあと思ってましたが、考えたらボーとしてることが多いようにも思います。

夜テレビ見ながらいねむってるのは以前からだし…ただ、昼間は私は会社で見ていないから…でも、居眠りはしてるでしょうね」


今、私は姉妹が語る小ボケの症状を列挙しました。(全部相当します)

本当は、きちんと脳機能検査をしてどの程度、前頭葉機能の老化加速が起きているかを測らなくてはいけないのですが、このブログを読んでくださってる方にこういうところに目を付けてほしいと思って書いています。

夫と死別して半年。
イキイキとした生活を取り戻せていたら、日々に楽しみごとがはっきりあるような生活なら、それでOK!

この姉妹のお母さんのように、はっきりと生きがいというものを持てていないなら、それだけで要注意!

脳が老化の加速を起こすような状況(することがない、体調不良、寂しい状況など)が生まれてきたときには、本人も周りの人も十分に気を付けてあげなくてはいけません。

講演の時
「配偶者との死別が脳の老化を早めることはよく耳にしますが、半年たって元気なのは?」と尋ねると全国どこでも「おばあさん!」と異口同音に答えてくれます。

でも、今回のようなこともあるのです。

私「ご両親は仲良しだったでしょ?」

姉「そうですね。
最近は父が出かけるときにはだいたい母は付いて行ってましたし、食事なども気を配っていたと思います。

そしてそれを自分の楽しみにしていた みたいでした。

父は口うるさいところもありましたが優しかったし、母はそういう父が好きだったと思います」

こういう夫婦関係の時、残された妻は要注意ですよ(笑)

さて脳リハビリは、姉妹が
「もう少し相手をしなくっちゃ。
お父さんと二人のときみたいな時間がいるのよね。週末の買い物やドライブとか考えようね。

9月に隣組の旅行があるから、ぜったい勧めてあげて参加してもらおう。おしゃれもさせてあげてね。

手芸が好きだったけど、参加できるサークルとかないかしら?

そうだ歩くこともいいのよね」と自学自習していました。

その通り!小ボケからカムバックさせるのは、このような生活改善だけということを肝に銘じてがんばりましょう。

   

 

 

 

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。