今年は尾形光琳300年忌ということでいくつかの美術展が計画されています。
熱海のMOA美術館で、光琳の紅白梅図屏風と燕子花図屏風、国宝屏風が2双同時に見られるのですから、これは行かなくては!と思っていました。
MOA美術館は収蔵品も見事なら、建物お庭ロケーションも素晴らしい美術館です。始めて行ったのは30年くらい前ですが、考えてみればその目的も紅白梅図屏風を見るためでした。その後も2月の展覧時期に合わせて何度も足を運んでいます。
今日は冬晴れで伊豆大島、利島、大室山、そして房総半島までの眺望を楽しむことができました。
さて展覧会は見事なものでした。
琳派という言葉からイメージされる斬新なデザインや豪華絢爛な迫力はもちろんのこと、その一方で洒脱さを感じる水墨画ややさしい筆力など、天才としかいいようのない光琳を感じることができました。
琳派は浮世絵とともに、印象派の画家たちを始めヨーロッパ美術界に大きな影響を与えた話はよく聞きます。確かにクリムトのあの装飾性には琳派を感じますね。
けれども、岡倉天心が五浦で日本の美術界の将来を展望して「光琳を現代に生かす」と、岡田茂吉に話したことを初めて知りました。
この展覧会の魅力は、その光琳を次代のアーチストたちがどのように取り入れ、また昇華していこうとしたか、その軌跡を知ることができるところにもあると思います。
そのテーマに沿った後半の展示にも見るべきものがたくさんありました。
アーチストたちの前頭葉が「光琳は素晴らしい。でも同じは嫌」と苦悩しながら独自性を求めて模索をつづけ、自らの表現に到達した時の喜びを垣間見ることができました。
杉本博司「月下紅白梅図」加山又造「群鶴図」村上龍「ルイ・ヴィトンのお花畑」etc…
右脳も満腹しましたが、実はおなかも。
美術館に行く前に恒例女子会。熱海糸川の熱海桜が満開ということでしたからまず観桜。
橋のたもとの魚屋さんにノコギリザメが!(食べられると言っていましたが??)
熱海の山上の隠れ場レストランでランチ。ここからは真鶴半島と小田原の町が見えるのです。
お料理のおいしさには、材料も、丁寧な包丁さばきも、器もそしてお店のしつらえも全部凝縮されているという当たり前のことを改めて感じました。
特に重視されている季節感。琳派の色彩感覚やデザイン性にも通ずるようなものですね。
この季節感は日本独自のものとよく言われますが、四季がある国でも表現しないのでしょうか?体験していないままに断言することはちょっとできませんが・・・
琳派と言い日本料理と言い、こんなに小さな日本が世界に文化を発信できることは素直にうれしいことですね。
テーブルに用意されていた先付。一品ずつ写真を撮ることははばかられる雰囲気です。
「さあ、作り立てを召し上がってください」というような料理人の意気込みが感じられましたから。
一口おでん(食べ終わって撮りました)
デザート
マンサクが満開でした。
美術館へはよく一人で行きますが、今日のようにお友達と一緒の一時はまた別の楽しみがあることがよくわかりました。
そしてもちろん、絵を見ることも楽しいことですが、それに負けないほどおいしいものを仲良しさんと食べることも楽しいことだと思いました。(笑)