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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【23航海目・切り揚げ】!

2020年12月13日 | モバイル
12月9日 女川入港後、試行錯誤の結果、
油圧作動油の乳化した原因が油圧クーラー内で海水が混入している事を特定できた…!

漁撈長への報告とメーカーを交えての協議で
急いでも工事に2日間は要するとの見解があり
油圧が使えなければ、漁にならない…
油圧クーラーの交換は漁の切り揚げ後、
水揚げ後に乳化した作動油を陸揚げ廃油処理、作動油を新替え、
油圧クーラーを通さずに使用して漁を続ける事になった!


今期の漁も最終盤に差し掛かったこの局面でのトラブル

悲しくなった…。

本来、機関に携わる立場なら工事を優先しなければならないのだろうけど

それでも、「漁撈長の漁の足をひっぱらないように尽くす」
自身の置かれた立場での私個人の最優先事項は初心からここにある。

気持ちの切り替えだ!

漁撈長に貰った時間は12時迄だったが、予定量3.2klが廃油運搬車の容量3.8klで足りず
運搬車を変える時間ロスがあり
終わったのは13時30分…

12時が操業ポイントまでのギリギリの時間だったようだ…

虚しかった…

こういう時のメンタルは表現できない、言葉にもならない…。

遅くなった事で予定変更…
21時に出港の予定が組まれた…。

21時、女川出港経済速力で沖へ…!

今回のトラブルの2日前に切り揚げに備え、機関室内船底を洗剤洗浄し
船底も気分も状態が良かったのだが、出港後再度洗浄し直し…

切り揚げ後の工事でもっと汚れる事が想定できるが…
清掃によって、気持ちを落ち着かせ・気を取り直す…!

冷水造りと各艙を冷却しながら普段通りのリズムを取り戻し
10日朝3時、やっと枕の感触に浸った。

14時45分・S/B。
良い凪にイルカが遊ぶ…






南東よりに調査…
自身は、油圧ヘッドタンクゲージ・油圧クーラー冷却水温度を注視しながら…

日没後、雨が降りだした…
20時過ぎからは南風が吹き始めた…
薄群れを数回操業も僅かな漁獲…

次第に雨・風共に強まって時化海となった…!

23時・操業断念 漂泊。

夜が明けた頃に風が止み、朝7時半過ぎから微速で南下…

北緯36°33´ 東経146°23´付近 まるで夏海のようだ…。

今日がたまたま暖かいのか、位置的にまだ暖かいのかはわからないが、空気が違う…!

14時30分・S/B。
若干うねりが残るが、昨夜の雨・風がまるで嘘のように良い天気に温暖な海上…

沖よりに調査…!

付近には僚船を含め十数隻の漁り火、17時頃から薄群れを数回操業…
魚体組成が持ち直した…!

その後範囲を拡げての調査航走

次第にうねりも下がり、良い凪となった。
しかし、すぐに次の時化が迫っているようだ…

薄群れを操業・調査航走の流れで夜明け近くまで…
纏まった群れはないようだ。

朝5時を過ぎた頃、「御苦労様、切り揚げる」!
スピーカー越しに漁撈長の声…。

北緯36°10´ 東経147°05´付近
今期の操業ポイント最南で今年の漁が終わった…。

甲板の整理・漁灯を仕舞い、荒天準備して気仙沼向け帰途航走となった。

夜が明けると南東の風が白波を立て始め、追い風で…
風は昼前から南よりに周り、風・うねり共に強まり
船は大きなローリングを繰り返す…
最終航海も時化海航走だ…
夕刻からは北風に変わって更に強まり
微速で時に支えながら…

漁は終わったが、切り揚げ作業の後に工事が待っている…

まだまだホッと出来ないが、とりあえず漁は終わった…。

13日朝8時頃の入港予定。