この、おかしな国、日本!どうやって生きていくのが楽しいか?

あ~あ~こんな国に生まれちゃったよ・・・・

私は、ギックリ腰でつらい。でも金(きん)のことを書きます。・・・

2020-07-30 19:45:37 | 日記

金(きん)の値上がりのことで、何か書いて下さい、と私に要望がたくさん来ている。私は、このことで皆の期待を背負っているから、私が何か書くことが大事なのだろう。

 私は、天候不順の 長雨ですっかり意気消沈している。それと職業病である ギックリ腰の軽いやつをやって、それでなかなか腰痛が治らない。もう、いい年(とし)をしたジジイである自分の現実を見つめている。もうすぐ8月盛夏だというのに、
 断続的に雨が降り続いている。雨のため太陽の日照時間が少ないので、冷夏(れいか)で、米の不作が心配されている。 

鎌倉幕府3代将軍の 源実朝(みなもとのさねとも)の歌に、

  時により 過ぐれば 民(たみ)の嘆(なげ)きなり 
   八大竜王(はちだいりゅうおう) 雨(あめ)止(や)め給(たま)え
            
            ――金槐和歌集(きんかいわかしゅう)

がある。こういうのが、私の教養だ。

 私は、昨日、出版社から、今度出る 「狂人(きょうじん)日記 2020」(祥伝社新書、8月1日刊 )の見本(みほん)本が送られてきた。狂人日記 と書名でやるわけにはゆかない、という編集長と私の判断で、「日本は 戦争に連れて行かれる」と書名をした。狂人日記は、その横に小さく載っている。この本の宣伝を、すぐにするでしょう。

 その前に出た、西森(にしもり)マリーさん著の、「ディープ・ステイトの真実」(秀和システム)は、もの凄くいい本であり、今の日本に無くてはならない、最新の世界政治、アメリカ政治の動きの、最新の、超(ちょう)重要な全体像を示してくれている優れた本だ。

 だが、今の日本の読書人階級では、このアメリカ政治で起きている、大きな対立、抗争を理解して読み進めるだけの能力、知能のある人は、限られているようだ。日本の公務員の世界情報の収集係や、外信部の新聞記者たちや、若手政治学者たちには、垂涎(すいぜん)の的(まと)の貴重な本なのだ。 「副島さんが、もっと、解説してくれないと、とてもあんなに、アメリカの情報官僚のトップたちなのだろうけれど、名前がぞろぞろ出てきたら、私(たち)には、とても読み進められないよー」と いうのが、切実な反応だ。

 知能、学力、知識力には、人によりそれぞれ差があって、どうしても、ただの文科系の勉強秀才(あがり)でも、この「ディープ・ステイトの真実」を、ガツガツと独回することは無理なようだ。私、副島隆彦が、かみ砕いて、日本土人たちに向けて、さらに、別個のこの西森(にしもり)本の解説本を書かなければいけないだろう。

 「この人物は、CIAや、FBI長官もしたが、これこれ、これぐらいのワルで、これぐらいの謀略に加担した。この男は、このグループの人間だ」とか、私が、書いて、図表にして、分かり易く、浪花節(なにわぶし、演歌、えんか)言語で、解説して、解明してあげないと、日本人の脳には、入らないだろう。日本人は、世界基準から言ったら、知識水準が、相当に落ちている。理科系の技術屋と先端研究者たちだけが、何とか世界と肩を並べている。それで何とかなっている。

 私が、最近の金(きん)の動きのことを書かないと、喜ばない人たちがたくさんいる。このあとに新聞記事を2本だけ、あとあとの為(ため)に、貼り付けておく。

 金の国際値段が、急上昇を始めたのは、7月22日(月)からだった。
今は、1オンス(31.1グラム)で、1,940ドルぐらいだ。
2,000ドルまで行った、という説があるが、私が確認した分では、1,981ドル(27日)が、最高価格だ。それでも、2011年の最高値の1932ドル を抜いたので、「天井が開いた」とプロの投資家たちが騒いでいる。

 今は、1,940ドル台で、上がったり下がったりしている。「もう、1,900ドル台割れはないだろう」と、大方の人が言っている。さらには、「2,000ドル台突破はもうすぐだ」と、皆で囃(はや)し立てている。

 下の方に載せる ロイターの記事に、「悪(あく)の権化(ごんげ)」のゴールドマン・サックスが、「2,300ドルまで上がるだろう」と予測を立てた。この囃子(はやし)に、載せられて、多くの日本人までが、「それ、金だ。金を買いだ、買いだ」と、急に、金を買い始めた。欧州でもこの動きが出ている。フランスやドイツのテレビ報道もあった。

 ところが、アメリカでは、もう、おそらく、金の現物(げんぶつ)、地金(じがね)、ingot インゴットは、買えなくなっている。アメリカの小金持ち、小(しょう)資産家たちは、どこで、どのように入手しているか。このことについては、私はすでに何回か書いた。

 このままゆくと、アメリカ政府(財務省)は、「金の取引停止」をするだろう。もう、FRB(その下部の、実務をやる、ニューヨーク連銀)も、金(きん)の準備(リザーブ)を無くしていて、市場に出すものがない。アメリカ帝国の終わりが近づいている。それでも虚勢を張って、アメリカは、このあとも、
何ことも無いかのように、金融市場を、平穏そうに続けて行く。

 金(きん)ETF(先物) 、すなわち、スパイダー・ゴールドシェア市場で、「どうしても、金の現物に交換してくれ。差金(さきん)での強制決済はいやだ」と、わめく、投資家たちを、密かに押え付けて、あるいは、脅迫して、「そういう物騒なことを言うと、お前の会社ごと叩き潰すぞ」と、恐ろしい圧迫を掛けているだろう。そういうことは、世界の表面には出ない。

 NYの金融市場というのは、荒っぽいユダヤ人たちが動かしているが、それをさらに上から押え付けるだけの強力な組織と仕掛け(仕組み)があるのだろう。

 もう、金(きん)は、世界中で、買えなくなっている。それでも、まだ全国の金の小売業者や、代理店では、長い付き合いのある顧客(こきゃく)たちにだけ、販売しているようだ。反対に売りに来る者たちもいるので、それを回している、ということもある。

 田中貴金属、徳力(とくりき)、石福(いしふく)の、3大大手(おおて)小売業者では、もう、お店に並んでも、「一見(いちげん)さんには売りません」とは言わないだろうが、売り渡す客の選別が始まっている。

 今頃になって、これらの大手に詰めかけても遅い。それなら、それ以外の小口の金(きん)業者の所に行ってみる、ということで、人それぞれの努力をしているようだ。

 商品先物業者(しょうひんさきものぎょうしゃ)と呼ばれる、TOCOM(トコム)は、すでに、日本取引所(JPX)大坂 (OSE) に経営を吸収され移管した。今、このTOCOM(東京商品取引所)の価格を見てみたら、 2021年6月限月(げんげつ)、すなわち、一年先の期限の価格で、 6,654円 (1グラム、7月30日)だった。

 これに、消費税と手数料をザッと500円足すから、、小売りは、7,200円/グラムぐらいだ。100グラムの金の板で、1枚で72万円だ。1キロのバー(板)なら、720万円だ。 
 為替(ドル円相場、今は1ドル105円台)の動きで、少し変わるが、27日の値段で、小売り(田中貴金属)で、7,354円というのが有った。

 このように100gの板(金の延べ板)で72万円ぐらいにまで高くなっている。これが、「すぐに1グラム1万円になるだろう(だから、1枚100万円)」と皆で、言い合っている。1キロバーなら、1千万円だ。10年前に、300万円ぐらいで買った人が多い。私、副島隆彦の本を、20年前から、読んでいる人たちは、1キロ120万円で買っている人たちがいる。

 それに対して、私の本も読まず、性懲りも無く、いろんな金融投資で、失敗してきた人間たちほど、こういう相場の急上昇で、急に騒いでいる。

 私は、堅実に自分の資産を守って、増やす人たち相手に、金融本を書き、金融セミナーを開いてきた。だから、今度の、金の急騰(きゅうとう)にも、一喜一憂しない。今頃になって、金を買おう、いや、もう買ったよ、というよう軽薄な手合いは、あまり相手にしたくない。

 だいたい、私の最近刊の「もうすぐ 世界恐慌」(徳間書店、5月1日刊)さえ買って読まないような人間が、この学問道場サイトに、卑しい根性で、寄って来て、副島隆彦の情報を、「盗んでやれ、エヘヘ」という本当に、見下げ果てる頭の悪さで、金融投資をやっている。

だいたい、こういう人たちは、一冊の本を、きちんと読み通す、という我慢強さと、その能力が無い。他のバカ評論家たちの本は、どうでもいいから。私、副島隆彦の本を、一冊、きちんと買って読みなさい。私は、決して、訳(わけ)の分からない難(むずか)しいことは書きませんから。 

 この徳間の金融本の 帯(おび)に、はっきりと、「もう金(きん)が買えなくなる。急いで金(きん)を買いなさい」と、大きく書いているでしょう。この5月中に、私、副島隆彦の言うことを、しっかり聞いて、それに従って、行動した人までが、金(きん)投資で儲(もう)かった人たちだ。

 他の人たちのことは、私は、知らん。勝手に生きていなさい。私の知ったことではない。何回、大損をしてもまだ懲りない、下手な(すなわち生来(せいらい)才能のない)投資家は、そろそろ、自分の才能の無さを認めて、もう、これ以上の危ない博奕(ばくち)はやめなさい。

 それでも、あまり資金力の無い人たちに、この私の連(つ)れない書き方では、可哀想なので、助言します。何とか、純金のコインを1枚、まず、買いなさい。金のコイン(金貨)なら、まだ買えるだろう。金貨(1オンス。31グラム)は、今、田中貴金属でも(まだ買えればの話だが)24万3千円ぐらいだ。 
 それに対して、純金は、20万5千円ぐらいだ。ということは、コインは、3万8千円のプレミアムというか、ディスカウントだが、その分だけ、買うときに高い。簡単に言うと、金の地金の2割増し、だ。 それでもいいから、金貨を買いなさい。

 アメリカの小金持ちたちは、皆、金貨を、たくさん買い集めている。カナダや、メキシコに行って買って帰ってくる。カナダのメープルリーフ金貨や、オーストリアのウイーンハーモニー金貨だ。オーストラリアのナゲット金貨、カンガルー金貨もある。アメリカ造幣局の、イーグル金貨は、よっぽどのことがないと市場に出てこない。貴重品だ。

 日本人も金貨で収蔵するべきだ。金貨なら、海外に持ち出すときに、税関で、ぐずぐず言われない。財布の中に5枚ぐらい入れて、他のおカネと混ぜておけばいい。

 金貨1枚(1オンス、ounce )は、この間まで18万円ぐらいだった。それが、もう24万円だ。このままずっと持っていれば、やがて、100万円(1万ドル)になるだろう。

 私は、先の本で、「今、金(きん)は、1,600ドル/オンス だから、これが、6倍の1万ドルになるだろう」と書いた。「それは、いつですか、先生」と、今は、私にしがみつくように聞かないで下さい。じっと保(も)っていなさい。そうなるから。だから、1オンス金貨でいいから、それを、コツコツと、あちこちで買いなさい。それが、一番、堅実な、金投資だ。 

 銀(ぎん)が、金に連れて上がり始めた。この前まで、1グラム70円ちょっとだった。それが、7月28日に、96円までなっていた。そのあと、1回、急落したが、また戻った。銀ももうすぐ1グラム100円になるだろう。1キロで10万円だ。金に較べたら、もう100分の1の値段にまで落ちている。昔は、40分の1ぐらいだったのに。銀は、錆びない(変色はする)いい金属だ。硬貨(貨幣)に使える。ただし世界的に銀は余っている。

 プラチナは、すっかり値下がりして、今は、金の丁度半値の、3300円/グラムぐらいだ。昔は金よりも高かった。トヨタが、20年前に排ガスの新技術でプラチナを触媒(カタリスト)として使わなくてよくしたので、それでプラチナは下落した。暫(しばら)く、このまま金の半値のままだろう。

 金(きん)は、私が、ずっと書いて来て、講演会とかでも強調してきたとおり、これから、まだまだ上がる。1オンス3,000ドル台に、来年にはなるだろう。それぐらい急激な上昇をする。それは、米ドルが来年になったらもっと下落するからだ。ドルの信用は、世界的に、どんどん落ちて行く。トランプが、11月4日の大統領選挙で再選されて。

 そのあと、年が明けた、1月か2月に、NYの株価の、大暴落が起きる。今度の大暴落は、これまでのものよりもキツいだろう。このように副島隆彦は、ずっと予言している。それでも、トランプが、何とか、事態を収拾する。トランプは、ボロボロになる名で、努力してアメリカ経済とアメリカの国力(こくりょく)を維持する。

 ディープ・ステイト(ムーニー、世界反共同盟、ヒラリー派)の愚劣な連中を叩きのめしながら、最後のアメリカ帝国を維持してゆく。
だから、2024年までは、このままだ。そして、世界恐慌(ワールド・デプレッション)が起きる。 副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

◯ 「 米ゴールドマン、金価格の12カ月見通しを2300ドルに引き上げ 」

2020年7月28日 ロイター
https://jp.reuters.com/article/commodities-research-goldmansachs-idJPKCN24T23T

 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N)は28日、金価格の12カ月見通しを1トロイオンス=2300ドルに引き上げた。安全資産である金にとって好環境が続くほか、米実質金利が一段と低下する見方が追い風になるという。

ゴールドマンによると、金価格の急騰は米連邦準備理事会(FRB)が政治的緊張を考慮してインフレバイアスにシフトする可能性があるとの見方や新型コロナウイルス感染が拡大するという予想で引き起こされているという。

金現物XAU=は年初来で27%上昇。安全資産への買いが増加しているためで、28日には1980.57ドルと最高値を更新した。

 ゴールドマンは「各国政府がそれぞれの不換通貨を切り下げ、実質金利を過去最低水準に押し下げている現在のような環境下では特に、金は最後の投資先になるとの見方を長らく主張してきた」と指摘。基軸通貨としてのドルを巡る懸念が表面化し始めているとした。

 また「経済回復に向けインフレ懸念が引き続き高まっており、ドルが構造的に弱体化する中で金の上場投資信託(ETF)にヘッジ資金が引き続き流入していることから、金はファンドマネジャーによってドルヘッジとして利用されていると見ている」とした。

 銀価格も3・6・12カ月見通しを1トロイオンス=30ドルに引き上げた。「金価格の上昇と太陽エネルギーを中心とする産業需要の改善見込み」が背景という。

◯ 「 金の国際価格、最高値突破 2011年以来9年ぶり 」

2020/7/27  日経新聞  

 金の国際価格が過去最高値を更新した。国際指標のニューヨーク金先物は27日の時間外取引で一時1トロイオンス1938ドルまで上昇。2011年9月6日に付けた史上最高値の1トロイオンス1923ドルを約9年ぶりに上回った。

 新型コロナウイルスの感染再拡大による経済悪化懸念に加え、米中対立深刻化など地政学リスクも加わり、投資家の金買いに弾みが付いた。

 NY先物と並ぶ金の国際指標であるロンドンの現物の金の取引価格も27日、一時1トロイオンス1943ドルと、11年に付けた最高値を更新した。金は年初来の上昇率が3割程度に達し、直近で上昇が加速している。

 背景には、新型コロナ感染拡大に伴う各国の金融緩和拡大で、世界中で金利がほぼ消失したことがある。米国では物価と比較した金利水準である実質金利が過去最低となり、これを背景にドル安も進行。ドルの代わりに保有される「代替通貨」の性質を持つ金に資金を移す動きが強まった。

緩和によるカネ余りで、短期的な値上がり益を狙う投機マネーも金に流入しやすくなっている。

• 金の国際価格、1900ドル突破 最高値に迫る (2020/7/24 )
• 金の現物 内外で騰勢 国際価格は約9年ぶり (2020/7/21 )
• ロンドンの金現物価格、1800ドル台に上昇 約9年ぶり高値 (2020/7/9 )
• NY金約9年ぶり高値 感染拡大を懸念 (2020/7/8 )
• NY金1800ドル超 8年8カ月ぶり高値 感染再拡大を懸念 (2020/7/1 1)

(転載貼り付け終わり)


鬱陶(うっとう)しい梅雨前線と中国のダムのこと・・・・

2020-07-14 17:59:20 | 日記

日本全国、もう3週間も、梅雨前線による断続的な風雨(ばいう)が続いている。例年の梅雨よりも風が強い。土砂崩れが九州の川の氾濫(はんらん)で起きた。もうすぐ雨期は終わるだろう。そうすると、次はまた台風だ。 

 私が、小さい頃からの、従来型の台風は、フィリピンの東の海で発生して、それが、台湾の脇を通って、沖縄(琉球諸島)の脇を通った。出来たての台風の近くで生きている人たちは、そのもの凄さをよく知っている。 台風は、このあと九州に接近し、それから、本州の海岸線に沿って、沿岸部を蹂躙(じゅうりん)するように進み、そのあと東京を避けて、房総半島から東の太平洋に抜けて、やがて消滅した。熱帯性の低気圧に変わって暴風雨を無くす。なぜなら、東京の広大なヒート・アイランドにまともにぶつかると台風の方が負けてしまうので、台風はそれを避けるように動く(これは、私の主観、勝手な考えである)。

 台風は、昔から日本の関東地方に接近する頃は、もう疲れ果てて弱体化していた。時には、東北地方を北上して、北海道にまで行き着く台風もあるが、それらは、本当にヒョロヒョロになって消滅寸前だ。台風とは、私の小さい頃から、そういうものだった。

 ところが、2年前から、台風の出来方がどうも変わった。これまでの従来型の沖縄まわりの台風(一部は、中国大陸に向かった)ではなくて。どうやら、小笠原諸島(父島、母島っがある)の 東ぐらいで、発生するようになった。そして、気づいてみたら、たった3日ぐらいで、真北を目指して、北上して、東京に直撃するようになった。これが、近年の台風だ。

 今度の奇妙な激しい風雨の台風も、どうもそれと似ている。このように、東京に向かって、たった3日で、真北に一直線に突撃してくる台風は、私にとって脅威だ。その途中に、伊豆半島があって私はそこで暮らしているからだ。真南(まみなみ)から暴風雨と、さらには突風が、吹いてくるようになった。

 地球の温暖化(グローバル・ウオーミング global warming )で、海水面が22度になると、従来よりも2度上がって、そこで大気の渦巻き現象が起こる、
それが台風に成長する、というのである。 さあ、今年は、7月後半から、どのような、台風が生まれるか。私は、じっと観察している。

 以下に乗せるのは、「中国の三峡(さんきょう)ダムは、決壊しない」という記事である。 書いている人は、近藤大介(こんどうだいすけ)氏である。近藤氏とは、私は、面識があって、もしかしたら、近い将来に、対談本を出せるかも、という間柄だ。

 近藤氏は、優れた、いや、ずば抜けた、今の日本を代表する中国研究者(チャイナ・ウオッチャー)である。彼の考えには、中国に対する偏(かたより、バイアス、偏向 )がない。

 彼は、講談社の幹部社員で、中国留学から始まり、中国滞在での研究も長く、今は、週間現代の特別編集員という肩書きだ。彼は、私の判断では、中国政府の日本研究、分析の最高人材と付き合いが深く、かつ、同時に、日本外務省からの信頼が厚く、外務省が、「これから20年後の中国の指導部となる若い外交官たち」を日本に招待して共同研究(研修)するときのガイド、指導員も務める。

 時には、日本政府(私の嫌いな安倍政権)にも、呼ばれて、中国の最先端の知識、情報を教えているようだ。だから、近藤大介氏は、日本の中国分析の最先端の優れた人材だ。本もたくさん書いている。私は、彼の文を、私の本の中にも、たくさん引用して載せた。

 この近藤大介 が、「三峡ダムは決壊しない」という記事を書いているのが、私の目に留まった。だから、以下に載せる。この文の中の、「中国は、治水の名人だ」「・・・水害の歴史を、中国4千年の中で、味わい、克服してきた」と書いている。

 特に、私が感動したのは、「・・中国最古の王朝は夏(か。紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)だが、司馬遷の『史記・夏本紀(しき・かほんぎ)』によれば、初代の王である大禹(Dayu だいう)は、治水の名人だということで王に推挙された」の記述だ。

 そして、「・・・かくして1994年の年末、湖北省宜昌市で、全長3335m、高さ185m、発電量1000億kWhという世界一の巨大ダムの建設が始まったのである。完成までに12年を要し(2006年に完成)、その間に江沢民政権から胡錦濤政権にバトンタッチした」と、基礎事実を教えてくれている。 優れた簡潔な文だ。読んでください。 副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

◯ 「 洪水被害が広がる中国、三峡ダムは果たして持つのか 」
2020年7/9(木)  JPress  近藤大介


7月1日に撮影された重慶市の様子(写真:新華社/アフロ)

(副島隆彦注記。私の判断で、冒頭部分が冗長なので、後半に回した )

 私は、台湾メディアも中国メディアもウォッチしているが、「三峡ダム決壊」はないと思う。
 もし万一、そんな悲劇が起これば、それは長江中下流の数億人に影響を及ぼすばかりでなく、習近平政権自体が崩壊の危機に見舞われるだろう。

 実はこれまでにも、中国国内で「三峡ダム決壊論」は議論されてきた。だがそれは主に、軍事的側面からの考察だった。「米中戦争になったら、アメリカは真っ先に三峡ダムを狙い撃ちする」というのだ。
 今回のような「豪雨による決壊論」が取り沙汰されるのは、初めてのことだ。それだけ、2006年に完成以来、三峡ダムがこの14年で最大の危機に見舞われているということは言える。


三峡ダム


「水害大国」中国
 そもそも中国は、歴史的に見ても、世界最大の水害大国である。中華民族が農耕と牧畜を始めて定住して以降、水害問題は北方異民族の侵入とともに、常に国家の最重要事だった。確認されている中国最古の王朝は夏(紀元前2070年頃~紀元前1600年頃)だが、司馬遷の『史記・夏本紀』によれば、初代の王である大禹(Dayu)は、治水の名人だということで王に推挙された。

 その伝統は、いまの中国共産党政権にも引き継がれている。中国には「水利部」という治水専門の中央官庁が存在する。先代の胡錦濤(Hu Jintao)前主席は、清華大学水利工程学部河川発電学科を卒業したエンジニアで、「中国で最も偉い水利の専門家になるのが夢だった」と述べている。胡錦濤時代には、毎年最初に出される重要指令「中央一号文件」に、水利問題を扱ったりしていた。

 そんな胡錦濤政権の時代に、三峡ダムが完成したわけだが、三峡ダムの建設は、胡錦濤前主席の本意ではなかった。先代の江沢民(Jiang Zemin)政権に押し付けられて引き継いだのである。

 江沢民元主席は、自分の拠点である上海の電力不足を憂慮したのと、「中国建国以来の大事業」に心惹かれた。当時の李鵬(Li Peng)元首相は、「水利利権の頭目」と言われ、巨大ダム建設が莫大な利権を生む旨みを知っていた。かくして1994年の年末、湖北省宜昌市で、全長3335m、高さ185m、発電量1000億kWhという世界一の巨大ダムの建設が始まったのである。完成までに12年を要し、その間に江沢民政権から胡錦濤政権にバトンタッチした。

 そんないわくつきの三峡ダムは、完成当時から国際環境団体などに、「人類最大の環境破壊」と揶揄されてきた。それが今回の「半世紀に一度の水害」で、大きな試練に立たされることになった。6月2日から、長江(副島隆彦注記。中国人は、揚子江とは言わない。長江「ちょうこう」 という)流域を含む中国南部に豪雨が襲い、1カ月以上経った現在も続いている。

 長江水利委員会は7月2日、「長江2020年第1号洪水」を発表した。4日の12時には、「長江水害旱魃災害防御クラス」を、「4級」から「3級」に引き上げた。三峡ダムは、この地域最大の観光スポットとなっていたが、5日からダム付近では、封鎖措置が取られている。

 三峡ダムがある湖北省には、680カ所(大型2カ所、中型12カ所、小型666カ所)のダムがあるが、そのすべてで警戒態勢を取っている。周知のように、武漢を省都とする湖北省は、今年の年初から深刻な新型コロナウイルスの被害に見舞われたというのに、ようやくそれが去ったと思いきや、今度は豪雨と洪水である。

被災者は2000万人に及ぶ勢い
 豪雨の被害は、湖北省だけではない。現在、日本では球磨川や筑後川などで洪水が起こっているが、中国応急管理部によれば、7月3日時点で、全国304もの河川で「警戒水域突破」が伝えられているのだ。被害は全国26省・市に及び、1938万人が被災し、416億元(約6400億円)の損失を出しているという。

 例えば、「浙江省の三峡ダム」とも言われる新安江ダムでは7月7日、9つある放水門を初めてすべて開け放った。下流で洪水が発生するのは必至で、すでに2万人以上が緊急避難を余儀なくされた。

 安徽(あんき)省でも水陽江など長江の分流が次々に警戒水域を超え、「高考」(ガオカオ=7月7日、8日の全国統一大学入試試験)が延期された。「高考」に関しては、洪水の濁音によって英語の聞き取り試験ができないという状況も、全国各地で起こっている。

 江西省でも琵琶湖の4.7倍も面積がある鄱陽湖が、平均水位を6mも上回る事態となり、周囲に甚大な被害を及ぼす恐れが出てきた。同省の「陶器の都」景徳鎮では、すでに2万人以上が避難している。

 ちなみに中国応急管理部の発表によれば、今年上半期に自然災害の被害に遭った中国人は4960.9万人で、緊急避難を余儀なくされた人も91.3万人に上った。死者は271人である。6170.2キロヘクタールの農作物が被害を受け、812億元(約1兆2500億円)の被害を出した。

 中国では俗に、「庚子大禍(こうごたいか)」と言う。世界が新しく始まる「庚子」(かのえね)は、その前に古い物が一掃されるため大禍になるということだ。1840年にはアヘン戦争が起こり、欧米列強の半植民地時代が始まった。1900年には義和団の乱が起こり、清朝滅亡の契機となった。1960年は三年飢饉で、5000万人とも言われる餓死者を出した。

 そして、2020年――。冬には新型コロナウイルスで中国全土が震撼し、8万5366人の感染者と4648人の死者を出した(7月8日現在)。そしていままた夏の大水害である。ちなみに14億の民を率いる習近平主席は、7月7日まで、もう一週間以上も姿を見せていない。  近藤 大介

(副島隆彦注記。ここからが冒頭の部分 )

 熊本県で54人が死亡したのを始め、日本全国に豪雨被害が広がっている。被災者の方々にはお悔やみ申し上げたいが、私が日々ウォッチしている中国の豪雨被害は、日本の比ではない規模で進んでいる。その中心にあるのが、中国の「母なる大河」長江(揚子江)の氾濫だ。

三峡ダム、完成後最大の危機
 「三峡ダムが決壊する!」 主に台湾メディアが、このところ「三峡ダム決壊説」を報じていて、それが一部の日本メディアにも伝播している。
 台湾メディアでは、「三面挟攻」(サンミエンジアコン)という表現を使っている。空から降ってくる豪雨、長江の上流から流れてくる激流、それに三峡ダムの放水による「人工洪水」という「三面からの挟撃」に遭って、武漢や上海など、長江の中下流地域が甚大な被害に見舞われるというのだ。そして「三面挟攻」の結果、「そもそも50年しかもたない三峡ダムが決壊するリスクができた」と報じている。

 逆に中国メディアは、水利の専門家たちを登場させて、「三峡ダム決壊説」を強く否定している。例えば、「三峡ダムの『豆腐渣工程』(トウフジャーコンチャン=おから工事)によって水が漏れだしやすい」という指摘に対しては、「三峡ダムは通常のダム工事以上に、セメントが太陽光で高温度にならないよう冷却しながら工事したため強固だ」と反論。

「ダムからの放水によって中下流で洪水を起こす」という懸念には、「放水時には水が上向するよう仕向けており、下向して放水が河川と合流する地点を深く掘っていて、そこでいったん水流が止まるので、緩流になる」と説明している。

(転載貼り付け終わり)