この、おかしな国、日本!どうやって生きていくのが楽しいか?

あ~あ~こんな国に生まれちゃったよ・・・・

大阪G20で本当は、何が話し合われたか・・・

2019-06-29 18:26:29 | 日記

大阪G20 に 集まった首脳たちは、表に出ない裏側で、一体、深夜まで、何を真剣に話し合っていたたのか。今日29日 昼は、米中の貿易交渉が、激しく行われている、とニューズ報道があった。何らかの妥協が、米中のトップ( トランプと習近平 )で図られるだろう。
私は、G20の シェルパ(事務局、事務方=かた= )から、驚くべき情報を 昨夜遅く、いただいた。
何と、プーチンと、習近平と、トランプが、3人で会って、話し合うという根回しが激しく3大国の事務方で徹夜で、行われていた、というのである。もし、これが、実現したら、まさしく、世界の歴史上の「3帝協商(さんていきょうしょう)」になる。 あるいは、私が、唱えてきた 「第2次ヤルタ会談」だ。
真に驚くべきことだ。 もし、この3帝会談、あるいは、3帝協商(トライアンタント、Triple-Entente )が、実現したら、  これからの世界は、米、中、露 の 3大国による 協議と協調によって、動いてゆくことになる。

 
この 3大国の 指導者の会談の 目的は、私の予想では、 INF(アイ・エヌ・エフ、中距離 弾道ミサイルの 制限 交渉。 500から1000キロ飛ぶ。核兵器を積むことができる )であろう。
今回は、3人の指導者の 会談は出来なかったようだが、きっと、近いうちに、行われるだろう。
 私の 洞察では、6月7日の サンクトぺテルブルクでの、プーチンと習近平の会談の場に、ヘンリー・キッシンジャーから、電話があった。その場で、世界戦略家(ワールド・ストラテジスト )である キッシンジャー博士 が、次のように言っただろう。
「 3人で会談してくれ。そうすれば、世界は、安全で、安定する。 私ももう、長くないから(95歳)、今のうちに、 3人が、仲よく話し合ってくれることが、私の願いだ。 トランプには、私から、よく言っておくから」 というものだったろう。
これが、私たちが生きている今の世界だ。 私たちは、この世界の動きを、間違うことなく大きいところで、しっかりと把握していなければいけない。
3人の 独裁者(ディクテイター)が、会って話し合うことが、何の良いことなのか、という批判もあるだろう


「米中貿易戦争」報道にみんなもう、くたびれてしまった・・・

2019-06-26 19:09:30 | 日記

「米中貿易戦争」の 報道に、みんなもう、くたびれてしまった。それを仕掛けた、トランプ自身もきっと疲れているだろう。 どうしても、何らかの形で、習近平と妥協するだろう。
 私、は、 最近の、この3カ月の、トランプの何を血迷ったのか、おかしな世界政治の動かし方に、すっかり、辟易(へきえき)している。 今のアメリカの政権の、対外政策のほとんどは、失敗ばかりであり、大間違いばかりだ。4月30日に、ベネズエラでの、クーデター失敗のあと、 5月5日には、ホルムズ海峡(オマーン湾)に、空母2隻を出動させて(イスラエルからの 誤報の 軍事情報に騙されて。ボルトンが、支離滅裂 )、それで、タンカー2隻への 謀略攻撃をした。
 中東の 地域(リージョン)を、対イラン戦争で緊張させることよりも、 原油(WTIで1バーレル50ドル丁度まで下落していた)の アメリカ国内 値段を吊り上げたかったのだ。 そうしないと、ジャンク債(ハイリスク債)で、シェール・オイルを開発している、博奕人間たちを 助けるためだ。そうしないと、株式市場よりも、ボンド(債券)市場が、先に、暴落を始めるとこころだった。
 トランプは、NY株式さえ、政治力で つり上げておきさえすれば、退職老人の年金暮らし層の支持を 取り付けることを知っている。それがトランプの力の源泉だ。やっていることが幼稚だ。
 トランプを、柔らかく押えて、説得して、冷静にさせることが出来る、周囲の人間がいない。 トランプは、今や、駄々っ子の、我が儘(まま)放題の、子供のようであり、世界が困っている。トランプは、半ば独裁者のようだ。それでも、アメリカ国内で、国民の強固な支持層 以外に、「トランプの今のやり方で、外国をたくさん痛めつけて、それで、アメリカ国内の景気が良いのなら、それを認める」 という多数派のアメリカ国民がいる。だから、国内は、これでいいのだ。
 私は、トランプが、新天皇に会いに来て(5月27日)、大相撲も観て(26日)あちこちで日本国民に向かって、実にしおらしそうにして、ハンブル(謙虚そう)に徹して、上手に演出したことを、よく分かっている。すべて計算尽くでの動きだ。これまで、ずっと、トランプのことを嫌って、不安視していた多くの日本人を取り込んだ。日本のメディアもトランプへの悪い書き方が、減った。 
「トランプさんて、案外、そんなにヘンな人じゃないんだ。もっと恐ろしい暴れ者か、と思っていた。安心した」と、日本人の多くが思った。
 私は、このことが気に入らない。トランプは、今から、これから、多くの失敗を犯して、慢心(まんしん)して、どんどん窮地に追い詰められることが、分かるから不愉快なのだ。その 策略が、まだ、早すぎるのだ。じっくりと待てない男だ。この せっかち、思慮深くない性格が、大きな敗北に繋(つな)がる。
 トランプの今の、稚拙(ちせつ)な、対外政策の下手くそ、外交のまずさは、あと、1年後に始めるべきことだ。即(すなわ)ち、来年の 2020年11月の大統領選挙で、再選されるための必死の選挙運動の時に、今のような 「世界中を不安にさせる 外交」をやるべきなのだ。来年の6月頃やるべきことだった。 それを、1年前倒(まえだお)しで、1年手前にずらしてやっている。混乱を起こすのが早すぎる。
 私の予測、予言では、来年、2020年の トランプ再選(2期目の4年間の始まり) が、はっきりした時点(2020年の終わり頃)で、大きな金融崩れ、世界の変動に突入してゆくべきなのだ。その時に、「どうせ、オレは、再選された(される)のだから、好きなようにやる。
 どんなに苦しいことがあっても、次の4年を乗り切ってみせる」というシナリオで、動くべきなのだ。 そして、2024年の 任期末のときに、トランプはボロボロになって退場してゆくべきなのだ。 アメリカの世界覇権(ワールド・ヘジェモニー)は、この時の、大恐慌突入で、終わる。それをトランプは、非常に拙(まず)いやり方で、時期尚早の前倒しで、やっている。このことに、今や独裁者になりきったトランプに、どこまで、自覚があるのかが、分からない。本当に、辛抱の出来ない、余裕の無い男だ。
 この3カ月のトランプの 連続の 政策失敗を、不愉快な思いをしながら、私は、ずっと、追い続けていた。


1970年代から最近のアメリカ政治について語る・・・

2019-06-24 01:45:43 | 日記

それ対してこの息子のブッシュは、アホですから。私はこの息子ブッシュのことをはっきり何箇所かに書いたんだけど、このアホ息子ブッシュがアメリカの大企業の3代目、4代目の息子達相手にみんな「俺たちは馬鹿だぞ、アホだぞ」、「アホなんだけど、何とか、この難しい立場を維持しなければならないのだ」と言うんです。
 「これは大変なことだ」というふうに語りかけたそうです。誠実に。だから大企業経営者のアホ息子たち、もういい歳になっているんだけれど、みんなから愛されたのがジョージ・ブッシュです。こいつも麻薬で狂っていたような男だけれど。
ジョージ・W・ブッシュとローラ・ブッシュ
 日本で言えば創価学会の池田大作みたいな人物である、テレバンジェリスト(televangelist)というんだけれど、テレビ伝道師、という言葉になっている、宗教右翼(レリジャス・ライト)の大物の、ビリー・グラハム(Billy Graham、1918-2018年、99歳で死亡)という伝道師がいるんです。そいつに教えを請うていた。それで酒や麻薬をやめました。奥さんのローラ(Laura Bush、1946年―、72歳)がしっかり者ですね。小学校の司書をしていた。
若き日のブッシュとビリー・グラハム
 ジョージ・ブッシュは、ナニー(nanny)というんだけど御養育係兼愛人がいて。それが コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice、1954年―、64歳)です。朝、記者会見の前にチュッてキスしているような連中ですからね。私はそのことを何度も書いています。日本国内でも政治評論、アメリカ政治をやっている奴は、私の政治分析が一番、ずば抜けて鋭いと、知っているはずです。
コンドリーザ・ライスとブッシュ
 ライスは愛人兼御養育係ですから。ブッシュはコンディのことが大好きなのね。そうしたら、ローラという奥さんからしてみたら、カッと怒るわけです。ローラが一時期、ホワイトハウスにいなくて、となりのブレア・ハウスという迎賓館に住んでいた時期があります。ローラが最後まで面倒を見たんですね。
 お母さんのバーバラ・ブッシュ(Barbara Bush、1925―2018年、92歳で死亡)も偉かった。この人も立派な婆さんで。息子がアホだと分かっていました。それよりも弟のジェブ・ブッシュ(Jeb Bush、1953年―、66歳)のほうが、頭もいいし、人格もいいんです。でも「あんまり俺は、悪いことをしたくない」って言ったらしい。だから「ロックフェラーの言うことも聞きたくない」と、言ったんですね、きっと。
親父ブッシュ夫妻と息子ブッシュ夫妻
 それでジェブはフロリダ州知事のまま終わった。さらにその息子ジョージ・P・ブッシュ(George P. Bush、1976年―、43歳)が今はまた出てきます。ジェブの奥さんがヒスパニックですから、ジェブも息子のジョージもスペイン語ができる。こいつがまたブッシュ王朝として出てくる、ということになっています。
ジェブ・ブッシュ(左)と息子ジョージ・P・ブッシュ
 この映画で主演を演じた、クリスチャン・ベール(Christian Bale、1974年―、45歳)が、中々、役者として上手い。アダム・マッケイにも見込まれている。20 kg 太って、5時間かけて毎回毎回、メイクをしたといいます。ハゲ頭まできちんと、デブっとした姿にまで描いて、非常に上手いんです。綺麗なメイク技術で、ほとんど実物に近い感じで。
通常のクリスチャン・ベールとチェイニーを演じるベール
 チェイニーはデブで、お肉ばかり食べているから、5回、心臓発作を起こしています。それでおそらく何回もバイパス手術をしている。監督のマッケイは映画の中で、心臓移植までして、心臓を取り替えたのだという、シーンを撮っています。これは嘘なんですけどね。心臓手術の様子をずっと俯瞰で、血だらけの心臓をわざと画面にドーンと大きく映して。心臓の大きく穴が空いているところにボコッと入れてみたりするシーンまでわざと撮っている。実際は心臓移植なんてしてないですよ。でもまあ心臓が悪くてぶっ倒れる。
 事実としては30代からもう心臓が悪かったんだろうと思います。ラムズフェルドも大統領補佐官になる前に下院議員をやっていますが、チェイニーも下院議員になるんです。そのときに、演説が下手くそなんです。ワイオミングで、田舎の農場主みたいな連中の前で演説するんですが、下手なんです。ちょうどその時に心臓病になっちゃって、発作で倒れるんですね。
 「こうなったらしょうがない」というので、リン・チェイニーが出てきて。リンが泥臭い演説をやったらしい。何がそんなに感動的だったかは知らんけど、田舎のおじさんたちにリンの演説がえらくウけたんです。女っぽい感じでもない。リンのほうが、その頃から格が上がっている。
レーガン大統領に会う下院議員時代のチェイニー
 チェイニーは1979年から1989年まで6期連続で下院議員をやりました。そして、1989年から1992年まで親父ブッシュの国防長官です。1992年に親父ブッシュがビル・クリントンに負けてしまった。クリントン大統領時代は民間に戻ります。アメリカエンタープライズ研究所や外交評議会にいて、1995年から2000年までは大企業、つまりハリバートン社会長になります。2001年からは、アホ・ブッシュの、息子ブッシュの政権で「お前、副大統領をやってくれよな」となった。
国防長官のチェイニーと統合参謀本部議長コリン・パウエル
 この辺りのことがよく描かれていて、よくわかりました。本当の泥臭いシーンというのは何もない。コンドリーザ・ライスもそっくりの女優を使っていた。うまい上手な感じでやっていた。
 朝、コンディが記者会見の前に「またディックにいじめられたの?」って言って、一所懸命いいこいいこするシーンがあるんですよ。私が『権力人物図鑑』で私が勝手に作ったんだけど。映画の中で「ジョージ、いいのよいいのよ」なんて言って。「また怒鳴られたの?」とか言うシーンがあって。もう漫才を通り越すんだけど、真実はそうだったと思う。ディック・チェイニーがアホ・ブッシュを怒鳴り散らかして。「今日はこれとこれをやれ」とか言って。いやいやながら仕事をしていたと思う。
 ディック・チェイニーがイラク戦争を始める、2003年3月19日の声明文を読み上げる時に、周りにずっとチェイニーが睨みつけたりして、いるんだけれど。そこでジョージ・ブッシュが演説をして。今から戦争を始める、と。戦争を始める演説の下で、手足がガタガタガタガタ震えている感じを、ずっと映していた。それが上手だった。
戦争を宣言するブッシュ
 ディック・チェイニーはいつもリン・チェイニーと仲良くベッドで寝ているんだけど。あたりでぼそぼそと話すシーンが何回も出てきて。いい夫婦だなと思うけれど。女が優秀だと旦那をこうやって操るという夫婦の典型です。事実そうだったと思う。彼は根っこが拓大右翼ですから、悪人になりきれないところがある。ただ悪人確企業経営者をやるわけです。
 このプロダクト・ノーツというんだけれど映画のパンフレットの中にちゃんと書いてある。“I can feel your incriminations and your judgment, and I am fine with that. You want to be loved? Go be a movie star. ”というような言葉があります。これはインタビュアーが、インタビューをしているわけです。これも2006年、2007年だと思うけど、いやもう副大統領辞めた後かもしれない。
 この言葉の意味は、「私はあなたが」とインタビュアーのテレビ局のやつに、「私に対して、批判したり、判断したりするのは、分かる(I can feel your incriminations and your judgment)」と。「理解できる」と。「そして」は、ここで but とは言わない。「そして私は、それでも元気いっぱいだ(and I am fine)」と言った。「気分は悪くない」と。「あなたがそう私をいくら批判しても」「もしあなたが人々から愛されたいのだったら、映画俳優になれよ(Go be a movie star.)」と。「俺は悪役を演じて、悪人のまま、周りからどんなに悪口言われても構わない」という日本語になります。居直って、一切、反省をしない、と言い切っています。
 こういう言葉が、チェイニーにとって大事な言葉です。ラムズフェルドのほうがもっと悪(ワル)なんだけれど。彼はすーっと後ろに引いているわけです。
 この映画を作る途中で、まだこの二人とも生きていますから、俳優も会いに行くという申し出をしたんだけれど、受け付けられなかったようです。ただアダム・マッケイだけは、チェイニーに家まで会いに行ったそうです。
 そうしたらチェイニーは一所懸命メモを取りだしたんだそうです。メモをとって、自分をどう防御するか、という観点で。事実は彼は真面目で、着実な男なんです。どうやって自分を守るか、とか相手に反撃するか、ということを考えている男で。チェイニーというのは、きっと根が真面目なんです。ラムズフェルドは、絶対に会わないと言って拒否した。俳優たちも会いたがった、というのですけれども。
 この映画の良さ悪さというものはあるし、あまり日本人には理解できない。この映画は日本では全然ヒットしない。
 チェイニーには娘が二人いるんだけれど、 次女メアリー・チェイニー(Mary Cheney、1969年―、50歳)というこの少女は、大学に入った頃に、「I am gay」と言って、「私は同性愛者のレズビアンだ」と告白します。同じ学校の女子大、大学とはいっても単科大学の、要するに18歳から行くところです。そこの女性の愛人がいた。それがみんなに知れ渡ってしまう。そのことでチェイニー夫妻は右翼の連中から批判された。宗教右翼の連中はゲイや同性愛者が大嫌いですから。そのこともずっと、引きずって言われていました。
メアリー・チェイニーと父ディック・チェイニー
 長女のリズ・チェイニー(Liz Cheney、1966年―、53歳)というのは、親父のディックが辞めてしまった後、ワイオミング州で下院議員選挙か何かに出た。それで確か落っこちた。
リズ・チェイニーと父ディック・チェイニー
 そういう経緯もあって、これはよく描かれた映画なんだけれど、アメリカ人には分かるけど、私は理解できますけども、普通の日本人には、この映画見ただけでは、本当の意味は何も分からないと思う。
 町山智浩が何かまた偉そうなことを書いていますけど、どうせ大して分かってないんだよ。彼らはアメリカ政治分析や政治評論というものは、今でも私が一番分かっている。チェイニーとラムズフェルドという、この二人の果たした役割も、よく見えます。
 おそらくチェイニーとラムズフェルドたちは、同じ強硬派でダビデ大王の家来なのに、それに比べればキッシンジャーとブレジンスキーは「あんまりひどいことするな派」なんだと思う。キッシンジャーやブレジンスキーのほうが大人なんです。世界政治を動かした、という意味においては、ね。ラムズフェルドとチェイニーと言う、この二人のほうが、やっぱり小物なんです。それがアメリカ政治の、この30年間です。私にしてみれば、非常に感慨深いので、勉強になりました。
 2008年9月15日に、リーマン・ショックという金融大事件が起きました。この時まで、チェイニーとラムズフェルドはいるんです。それぞれ副大統領と国防長官を、まだしている。しかしもう、影も形も見えないような感じなんです。
 私も金融の大騒動が数年前から起きたものだから、もうアメリカの外交軍事・防衛問題に関心がなかったんです。何が起きていたかが、ようやく私の脳の中で繋がった。
 息子ブッシュの政権の二期目が2005年から始まる。評判が悪いわけです。戦争経済で無理やり景気を良くしてある。2006年に確か、小泉純一郎が会いに行っている。イラクのバグダッド爆撃のその途端に、ドーっと、株価を日本もアメリカも釣り上げて。景気が良くなったと騒ぎました。
ホワイトハウス訪問中の小泉純一郎
 小泉純一郎もテキサス州のヒューストンの郊外の、牧場ランチというんだけど、ブッシュ家の大別荘に呼ばれて行きました。その後にエルビス・プレスリーの真似をして。電気ギターをかき鳴らす真似をした。高校時代にそういうことをやっていた不良ですから。彼はあまりにもバカなことをやるから、周りのブッシュ・ファミリーも呆れ返っていた。
笑われている小泉純一郎
 でも実際それで一緒に景気を良くしよう、ということで戦争経済にのめり込んだわけですから。ブッシュは小泉を一所懸命応援した。あとは、イギリスの、労働党政権の首相のくせに、悪い奴がいました。トニー・ブレアという首相。あれも日本に来たときに箱根のプリンス・ホテルの立派な龍宮館で、イギリスから来た記者たちにわいわい言われて。「大量破壊兵器が見つかりませんでしたね」って言われて。
 「なんでアメリカの肩を持って、くっついて、イラク戦争に参加したんだ」って。わいわい言われて、ゲロ吐いて。小泉がゲロを受け止めたんだ。おやじのプッシュのときにも、やっぱり東京でゲロ吐いて、宮沢喜一首相が受け止めた。
トニー・ブレアと小泉純一郎
 そういうバカみたいな話だけれど、責任者というのはそんなに厳しいもんかね、とも思う。嘘つきですからね。大きな嘘つきだから。ワイワイ言われて、答えてしまう。
2005年には、既にもうラムズフェルドとチェイニーたちは、非常に評判が悪くなっていました。ブーイングの嵐なんです。それはなぜかと言うと、先ほど言った通り、米兵がどんどん死ぬからです。イラクの道路の脇にランド・マインというのですが、地雷が仕掛けてあって。たくさん死ぬ。
自爆攻撃の後の様子
 ラビット、うさぎちゃんと呼ばれて、新兵が無理やり地雷原を這って行かされる。兵役検査みたいなのを受けたらそのままいなくなって。恋人とも電話もメールもできない状況で、どうもイラクに連れて行かれたらしいという感じがアメリカ国内にあって。実質、徴兵令だったんです。高卒で勉強ができない子供達は、大体引っ張って行かれた。これも言ってはいけないことになっているけれども。そうなっていたんです。
 2004年の大統領選挙で民主党の候補者だったジョン・ケリー(John Kerry、1943年―、75歳)が「勉強しないとイラク戦争に連れてかれるぞ」みたいなことを言っちゃったんですよ。大統領選挙の時に。これで話がつながって、もうブーイングの嵐です。それでもチェイニーとラムズフェルドは悪役を続けて、アメリカの国家予算を軍事費に投入して、軍需産業を支えて。それが他の産業にも影響して、それで景気が良くなったじゃないか、と居直っているわけです。
 後はハンヴィーという装甲車が、吹っ飛ぶだけじゃなくて、チェック・ポイント、検問所で、街のはずれとか、出入りの道路道路の脇。そこにイラク人の子供とか、女の人が、近寄ってきて、それでバーン!と爆発する。それで何人か米兵が死んじゃうんです。
 そういうことがいっぱい、ものすごい数で起きていたんです実は。あれだけでも、何十人も死んでいる。そこにはバグダッドのはずれの、米軍駐留軍の最高司令官たちがいるような、徹底的に防御されて4、5メーターの高いコンクリートの塀で守られている連中の、メスというんだけどこれは「汚い」という意味なんだけど。
 これは軍人たちの食堂なんです。ご飯食べるところ。しかもそれの将校たちだけが入れる、ご飯食べる、夜にはお酒飲んだりする場所に、イラク人で働いている人が入り込んできて、米兵達がご飯を食べてる最中に、将校たちがドカーン!と爆発する。体に巻きつけた爆弾で。スーサイダル・ボミングというんだけど、自爆攻撃です。これがたくさん起きた。これで米軍も本当に、ほとほとやる気をなくした。
 ネオコンという思想集団がいて、こいつらがイラク戦争の最初から、アメリカ国内で、戦争の雰囲気をどんどん作っていきました。ネオ・コンサバティブズは、自分たちユダヤ系の極左過激上がりのような、新左翼上がりの、高学歴の学者たちです。だから、軍人たちよりも上なんです。軍人たちは、よくて、ウェスト・ポイントとか、アナポリス海軍兵学校を出たような軍人たちですから、学歴で敵わない。ブッシュ政権には、政府高官に第二次ネオコンが入り込んでいる。リチャード・パール(Richard Perle、1941年―、78歳)、暗黒の王子(Prince of Darkness)と呼ばれているやつとか。いっぱいいるんだけど。
リチャード・パール
その中にポール・ウォルフォヴィッツ(Paul Wolfowitz、1943年―、76歳)という男がいて。これが国防副長官になっているんです。あの頃のネオコンの一番の親分がこのポール・ウォルフォヴィッツです。立派なかっこいい体格の男だったんだけど。こいつが確か、2004年にイラク、バグダッドに行く。行って、テレビ局のインタビューを建物の外で受けている最中に、ドーンとすぐ側で、爆弾が破裂した。でも別に破片が飛んでくるぐらいの距離じゃないんだけど。まあ50メーターかそこらのところで。そうしたらビクビクッと震え上がったんです。こいつは。それで弱虫と言われて。それで国防副長官を辞めさせられたんです。そういうこともあった。
ポール・ウォルフォヴィッツ
  このポール・ウォルフォヴィッツその後、「雨傘革命」とか呼ばれている、香港とか台湾なんかの反中国学生運動を裏で糸を引いていたんです。それで彼くらいになると実はムーニー(統一協会)に近いんです。反共産主義思想プラス統一協会の思想に近い奴らです。
雨傘革命
  大事なことは、このラムズフェルドとチェイニーは、ムーニー(統一教会)じゃないんです。彼らは、デイヴィッド・ロックフェラー皇帝に直属で忠実ですから。
どうもラムズフェルドが最初に、2007年ぐらいに、ダビデ大王に向かって「あなたが死んだ後を狙って、ヒラリーとビル・クリントンが動いてる。蠢いている。どうも怪しい」と報告したんです。お庭番ですから、忠告したのは、ラムズフェルドだと思う。そういう関係だから、ネオコンと本当に仲が悪いんです。かつネオコンがべったりくっついていた統一協会とも、仲が悪い。
アメリカの指導者内部も派閥があって、政治思想の系統が違うんです。この流れが大きく私には分かってきました。ネオコンの話は今日はもうしません。
ちょうど2006年、2007年、2008年。もう2007年でサブライム・ローン崩れが起きました。8月17日だった。そのとき、日本に日銀の大迎賓館があるんです。氷川寮という。そこに財務長官クラスが集まっている時に、は渡辺喜美(わたなべよしみ)という金融担当大臣をしていた男が、「アメリカも危ないですよね。10兆円資金援助しましょうか」とか言ったら、「コラ」と。「何を言うか。このガキは」と言われたんです。ところが次の年のリーマン・ショックで、ドカンと崩れたわけです。
そうこうしているときには、もうラムズフェルドとチェイニーは、影が薄くなっていて、スーッと消えるように辞めて行ったわけです。この感じが、よくわかった。
ラムズフェルドは1977年から、製薬会社の「サール(Searle)」という大きなスイスの製薬会社の会長、CEOをしていた。私もウィーンに行ってわかったけど、ウィーンのドナウ川の南側に、古い有名な世界で初めての公演というものもあるんだけれど、そこにIAEA、国際原子力委員会があるんです。このIAEAとサールの本社は近いんです。ということは毎月のように、サールの本社の会議に行くふりをして、実はこのIAEAで、国際原子力委員会まで操っていて、イランの核兵器の開発を分析したり、くい止めたりする仕事も、このラムズフェルドがやっていた。
と同時にこのサールという製薬会社の子会社が、「ギリアード・サイエンシズ(Gilead Sciences)」という会社で。それが日本語では「新型ウィルス」といったけど、スワイン・ヴァイラスです。豚ウィルスなんです。それは要するにエイズの後の、人工的に作ったばい菌は世界中に撒き散らすんです。鳥インフルエンザというものもあった。O157というのもあるけれど。こういう新型ウィルスを開発している会社です。
それがギリアード・サイエンシズです。日本では中外製薬が、今はもう合併されてしまっている。その親会社なんです。その下にもう一つ、「グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)」という会社は、あまり関係ないかな。もう一つあったな。ギリアード・サイエンシズ以外に。何かと、中外製薬とで、今は合併しています。
チェイニーはそういう悪い男なんです。それでこの流れが、ずっと見えて、アメリカの政治の30年間、というかもう、40年間です。どうかするともう、1963年11月22日にジョン・F・ケネディが殺されて、それ以来のアメリカの60年来の歴史というか。それに私も付き合っているわけです。全体の流れがあちこち切り貼りのかたちで補強されて、パッチワークで、どんどん全体が見えた。非常に私にとっては意味がある映画でした。


ようやく、やっとのことで、米中貿易戦争の全体像が見えてきた。2カ月掛かった。・・・

2019-06-09 16:43:09 | 日記

アメリカと中国は、このまま、激しい対立を続けたら、貿易戦争(ぼうえきせんそう)では済まない、そのうち、本当の戦争(warfare ウォーフェア-)にまで至るのか。この2ヶ月間、私は、ずっと考え込んでいた。
なぜなら、アメリカ国内に、米中の激突、大戦争(large  war  ラージ・ウォー 相互の1,2発の核兵器の撃ち合いまでを含む)にまで突き進むことを、強く求めて画策している勢力が存在するからだ。
 それは、アメリカ国内で、トランプを支持する国民勢力と、激しく対立する、凶暴な 激しい宗教的な反共(はんきょう)主義の政治勢力である。分かり易(やす)く、一番、簡単に言えば、それは軍産複合体(ぐんさんふくごうたい)という勢力である。トランプは、彼らを、自分の大統領としての権限(権力)で、押さえ込もうとして必死である。
 これから、私は、長々と、「米中貿易戦争」のことを書く。何回かに渡って、書き続ける。今日は、その第一回目だ。 私は、ここに、米中の IT、ハイテク対立のことを書かないで、2カ月が経(た)ってしまった。私は、ずっと考え込んでいた。
 ホアウエイ・テクノロジー(華為技術、かいぎじじゅつ )を巡る激しい争いは、どうやら、峠を越したようだ。このまま、スマホ市場と 5G での対立を続けていると、アメリカと中国の共倒れになる。
はっきり書くと、各国の 5Gネットワークづくりの、最先端の 半導体を巡る 闘いでは、アメリカが負けた。中国の勝ちだ。 先端技術の開発競争のことを、詳しく、自分の職業を通して実地で知っている日本人は、たくさんいる。彼らが、そのように教えてくれる。
 誰が何と言おうと、今回は、トランプの負けなのだ。5月5日に、怒って、手を振り上げた、トランプの負けだった。 このことを、これから、私は、長々と、詳しく説明する。駆け引き、取引で、カッとなって、交渉のテーブルをひっくり返した方が、負けだ。
 トランプ自身が、このことを深く、噛みしめている。「どうも、アメリカの負けなのではないのか。あれだけ、ワイワイ、中国の負けだ、と アメリカのメディアが、書いて騒いでいるところを見ると、どうも アメリカの方が、技術競争で、すでに、相当に負けているようだ」と、真に技術や、先端企業の競争を知っている人たちは、冷静に見ている。そのことをが、2カ月掛かって、ようやく、私、に分かってきた。
ようやく、ここに来て、トランプに、救いの手を、習近平が投げかけた。険悪な関係を、さらに嫌(いや)が上でも積み上げる、「ユーラシア(大陸)同盟」の、ロシアのプーチンを訪ねて、習近平が、サンクトペテルブルクまで出掛けて、今さら、2人でなにを話し込むのだろう、と、じっと見ていたら、習近平が、トランプに、「仲良くしようよ。世界を安定させよう」と、エールを投げた。 つい昨日のことだ。
(転載貼り付け始め)
〇 中国習主席「トランプ氏は友人」米中貿易摩擦の中 2019年6/8(土) 11:51  テレ朝 ANN 
 中国の習近平国家主席は、貿易問題を巡って対立するアメリカのトランプ大統領を「友人」と呼び、関係の断絶を望まない姿勢を示した。   習近平国家主席 「私はアメリカとの関係断絶を望んでいない。友人であるトランプ大統領もそれを望んでいない」
 ロシアを訪問している習主席は6月7日、プーチン大統領らが同席した討論会でこのように述べ、アメリカと中国の間で貿易摩擦が続くなか、関係改善を図るかのような姿勢を見せた。トランプ大統領は「今月末のG20大阪サミットの後で中国に対する約35兆円分の新たな制裁関税を発動するかどうかを判断する」と表明していた。これを牽制(けんせい)する狙いもあるとみられる。
(転載貼り付け終わり)
これで、来たる6月28、29日の 大阪G20(ジー・トウエンティ)のサミット会談で、何からの打開策が図られる。最近は、もう、トランプと習近平は、首脳会談をやらないのではないか、ふたりはもう口も聞かないだろう、とまで言われていた。関係は、決裂状態で、貿易戦争は、さらに悪化して、事態はますます険悪化する、と、関係者たちから見られていた。
 私は、ずっと、米中(アメリカと中国)の貿易戦争(トレイド・ウオー)の成り行き、経過(けいか)を追いかけて、緊張しながら、それらの記事や情報を集めながら、この2か月を過ごした。
 この「米中貿易戦争」が、さらにエスカレイト(激化)して、鉄鋼や自動車や農産物への追加関税、懲罰関税(ピューニティヴ・タリフ)の報復合戦(リタリエイション)から、さらに、現在の 華為技術(かいぎじゅつ、ホアウエイ)を巡っての、激しい、応酬があったこと、ついに全面的な IT(アイティ)、ハイテク 戦争になってしまった。
 それが、現在、呼ばれているような、経済戦争(エコノミック・ウオー)あるいは、新(しん)冷戦状態(ニュー・コールド・ウォー) から、やがて、数年後には、米中の軍事衝突、すなわち、本当の戦争、ホット・ウオーに まで繋(つな)がってゆくのではないか、と 、私は、ずっと、ひとりで深刻に考え込んでいた。その可能性はある。 
 なぜなら、今から5年後の、「2024年、あるいは、2025年は、WW2(第2次世界大戦)が終結して、80年目である。だから、その時に、次の大恐慌(グレイト・デプレッション)か、それを避けようとして、次の大戦争(ラージ・ウォー)が、人類を襲うのだ」と、冷徹な予測、予言(プレディクト)をしているのは、この私だからだ。このように書くのは、近(きん)未来予言者を名乗る、自分の責務である。
 このまま、ずるずると3年間ぐらい、この貿易戦争(トレイド・ウォー)から始まる緊張関係の中に、世界は、叩き込まれると、世界の自由貿易体制(フリー・トレイド・オーダー)が壊される。そうすると、世界中が、不況になる。そうすると、各国政府の悪あがきが始まる。自分の国の国民を食べさせることに必死になって、自国通貨の値下げ(切り下げ)競争に走る。 
 確か、5月23日に、ウイルバー・ロス米商務長官(コマース・セクレタリー)が、「通貨切り下げをする国には、制裁を科す法律をアメリカは作る」と言った。
 それ以来、ドル円の為替相場は、1ドル=110円の壁を破って、108円の円高(えんだか)方向(トレンド)に落ち始めた。ドル安を、アメリカ政府は、はっきりと望んでいるのだ。
 だが、私の杞憂(きゆう)だったようだ。そこまで事態は悪化しない。世界を揺るがす、アメリカと中国の貿易問題(これは、実体、実需の経済での対立だから、見えやすくて、健全だ。金融、資本市場での、国際収支、資本収支では、アメリカのドル体制のままだ。ここには、中国は、まだ手を触れていない)での、
緊張関係は一旦(いったん)は、収まる。その兆しがようやく、見えた。 トランプは、自分が、“ディール(取引、駆け引き)の人“だという厳しい、自己拘束、自分への運命的な縛り に戻らなければいけない。トランプは、自分は、商人、商売人、ビジネス・マンだ。だから、戦争をする人間ではない。大きな戦争の指揮を出来る人間ではない、という、自分への戒めを守るべきだ。
 世界中の人々が、この半年、注目していた、次世代スマホ開発戦争 と5Gでは、アメリカが負けた。中国の勝ちだ。トランプは、大きくは、米中の貿易戦争で負けたのだ。このことを、トランプはじっと噛みしめている。
 大統領になる前から、ずっと連戦、連勝で、30勝ぐらいしてきた。女性問題以外では(笑い)ずっと勝ってきた。 この4月24日に、「ロシア疑惑」(ラッシアン・コルージョン、Russian Collusion )では、民主党の嫌がらせ、濡れ衣(witch hunt 魔女狩り)だ、と、
 ボブ(ロバート)・ミューラー特別検察官の、大統領弾劾を議会に勧告出来る攻撃を、撃退した。ボブ・ミューラー(ムラー)は、惨めに敗退した。この男(トランプに首を切られた、コミーの前のFBI長官だった。ワルのヒラリー派の、旧勢力の官僚組織のボスの主要な1人だ)の負けだった。彼は、このあと、金儲け一点張りの、ただの高給取りの高級弁護士になるだけだ。
「民主党の中には、もう、38人(凶悪なヒラリー派だ)しか、トランプへの弾劾攻撃を続ける議員は、いなくなった」 そのように、ナンシー・ペロシ下院議長が言った。
 この女性(もう80歳近い、老婆の民主党の実力者。ドラ声の、すごみのある、声で演説する。労働組合大幹部マフィア の大親分の娘だ)は、トランプと深く、繋(つな)がっていると、私は、「国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒(しちてんばっとう)」本(秀和システム、この4月刊)で書いた。
 トランプ攻撃を、彼女自身が、激しくやっている振りをしながら、矛を収めている。 同じく、メキシコ国境との壁作り、違法移民(イリーガル・アライヴァルズ)の流入問題でも、トランプは勝った。
 ということは、今度の中国との貿易戦争が、トランプの、この3年間(選挙期間を含む)で、初めての黒星、敗北だろう。 私は、そのように、“日本を代表するトランプ・ウォッチャー”として、厳しく判定する。
 IT戦争としての、ホアウエイ(Huawei 華為技術)を、巡る、この半年の激しい米中の先端技術戦争では、5G(ファイブ・ジー)ネットワーク を巡る 大容量の通信網づくりの 技術戦争では、中国の勝ちだ。 4Gに較べて、通信の情報量は、10倍どころか、100倍になるのだそうだ。アメリカは、窮地に陥っている。 
 トランプも、「しまった。どうも、自分の足元から負けが始まっている。私の負けだ 」と 気づいたようだ。 だから、トランプ大統領は、ただちに、この場面から撤退を始める。 中国と、deal (ディール、取引)の大きな枠組みづくりの、再出発を考えている。 
 アメリカは、中国を叩(たた)きのめすのなら、10年前にやっておくべきだった。もう、遅いのだ。中国が、この10年で、もの凄い勢いで、力をつけた。もう、アメリカは、勝てない。アメリカは、「核兵器を5000発持っているぞ」と、言ってみたって(ロシアも5000発だ)。 
 中国は、たった合計で全土で800発しか核兵器をもっていない。この点でも中国の勝ちだ。 核弾頭は800発あれば、それで十分だ。どうせ、どの国も、撃て(発射でき)ないのだから。それよりは、他の分野に、どんどん、着実におカネを掛けよう、と戦略的に対応した、中国の勝ちだ。
 去年の12月1日に、アルゼンチンのブエノスアイレスでのG20で、トランプは、習近平と大きく、折り合った。首脳会談で中国が折れた。中国は、ギリギリまで、妥協して、譲歩に譲歩を重ねて、「ここは、アメリカの言うとおりにしよう。自分たちが、世界のルールに従わないのが、いけなかった」と、もの凄い撤退戦(てったいせん)、退却を、中国はした。
 このあとも、今年の4月までは、中国は、アメリカ(USTRと商務省)に対して、平身低頭で、言うことを聞いた。 それを、5月5日に、トランプが、ひっくり返した。
 ところが、この昨12月1日の、ブエノスアイレスG20の合意の、当日に、なんと、カナダで、ホアウエイの孟晩秋(もうばんしゅう)副社長を、カナダの政治警察( 国境警備隊。カナダ騎馬警察。ロイアル・カナディアン・マウンテッド・ポリス RCMP )が、逮捕、拘束した。
 孟晩秋は、創業者の任正非の長女で、次期CEOと呼ばれていた。この女虐(いじ)めの逮捕事件 を、トランプは、知らなかったようだ。トランプは、この日この時、ブエノスアイレスで、習近平と、「貿易戦争を収拾する」と合意していたのだから。 
 アメリカの反トランプ派のヒラリー派の反共強硬派の官僚組織が、やったことだ。ここから、米中関係は、激化、険悪化した。やめとけばいいのに、実力も無いくせに、カナダ政府は、アメリカの忠実な属国(ぞっこく)であるものだから。 
 あの、ジャスティン・“ヴィーバー” トルドーのガキの首相が、みっともないことをして、アメリカの片棒を担いだ。それで、中国を怒らせて、今も、カナダ人のビジネスマンを装っている、カナダの高級な国家情報官(見るからに、007 ジェイズム・ボンドのような、かっこいいハンサムのカナダ人)を2人、報復で捕まえた。
 こういう闘い、争いになると、中国は強い。 欧米白人になんか、何の劣等感もなく、容赦なく、国家スパイ捕獲(ほかく)合戦をする。
 先月の5月3日までは、米中の双方が、ギリギリまでの譲歩をしあって、貿易紛争の、内容の90パーセントのところまで、合意が出来ていた。それを、5月5日に、トランプが、突如、癇癪玉(かんしゃくだま)を爆発させて、
 「中国に、追加関税の 3000億ドル(35兆。 25%のハイ・タリフ high tariff )を掛ける」と突発的に決断して、トランプ・ツウイッターに書いた。この「5月5日」が、今に至るも、ものすごく、画期(かくき)的に重要だ。これから先も、この「5月5日」から貿易摩擦(コンフリクト、経済戦争)が、激化した、と長く語られるだろう。
 話し合い(交渉)では、その最中に、手を振り上げた方が、負けだ。トランプの負けだ。“ ディール(取引、駆け引き)の人 (このプリンシプルで動く人) ”であるトランプが、自分で、交渉のテーブルを、カッとなって、ひっくり返してしまった。この5月5日に、一体、何があったかを、私たちは、今後、何度でも考えなければいけない。このことを、あとの方で解説する。
 世界中に波及した、米中の貿易戦争の打撃で、各国の首脳たちが脅(おび)えている。自分の国に、どのような悪影響が出るかを、細かく測定している。 我らが日本の安倍晋三首相の、あの、浮かぬ顔の、心配だらけの顔を見ていると、「この脳天気の、生来、心配事(しんぱいごと)が身につかない、すべて他人事(たにんごと)にすることで、生き延びてきた男でも、これほどの重い圧力が、掛かるものなのだな」と、私は、じっとテレビのニューズの画面を、ずっと見ていた。
 新天皇の即位の儀式、お祝い(5月1日)の時にも、それから、その後、トランプ大統領が日本にやってきて、大相撲を観て(5月26日)、翌日、新天皇に挨拶をしたときにも。この新天皇(外側に向かっては、国家元首、ソブリン、ドミナトゥスだ) の最初の外国の国賓としての会見、というは、日本の国家体制上、どうしてもしなければいけないもののようだ。 
 この最中(さなか)にも行われていた 日米交渉で、「日本の農産物と、自動車への、懲罰関税が掛けられる」とか、「農産物への関税を自動車への関税だけで、トランプに、我慢して貰うらしい。その分、F35などの兵器を買い増す。そういう密約が出来た 」とかの、噂(うわさ)が、飛び交った。
 この1か月前の、4月17日に、台湾のホンハイのテリー・ゴウ(郭台銘、かくたいめい)が、「台湾の総統(そうとう)選挙に出馬する」と表明した。この時、中国と台湾、そしてアメリカとの間で、一体、何が起きているのか、と私は、ハッと気づいて、裏側で進行しているであろう大きな変動を感じ取った。 
 これから、台湾が焦点(フォーカス・ポイント)になる。来年、1月の 台湾総統選挙で、テリー・ゴウが、総統に当選するか、しないか。この問題が、東アジア地域(リージョン、region)どころか、世界政治の大きな焦点になってきた。
 台湾が、中国と、アメリカとの、取り合いの焦点になる。テリー・ゴウ(郭台銘、かくたいめい)が、当選したら、この後の東アジア(極東。ファー・イースト)は、どうなるか。このことが 重要な政治課題(ポリティカル・アジェンダ)になった。
 テリー・ゴウが、38年掛けて作って、育てた 鴻海精密工業(ホンハイ、フォックスコン)が、アメリカのアップルのスマホの90%を作っている。 iPhone(アイフォーン)X(テン)も、すべて、ホンハイが、中国の深圳(広東省)で組み立てている。その周囲の、四川省一帯にまで広がる、サプライチェーン(部品供給網)で、作っている。
 この問題に、インテル、クアルコム、英国ARM(ソフトバンクが、2年前に、200億ドル、2兆円で突如、買った。今の事態を準備していたのだ)、AMD 、 韓国サムスン、エリクソン(スウエーデン)、ノキア(ノルウエー)、などの、半導体の、開発メーカーと、EMS(イー・エム・エス、受注組み立て工場)も、すべて、深く関係してくる。
 自社の 電子部品の供給先としての、ホアウエィ(華為)か。それとも、5Gの基地局の世界最先端の製造業者としてのホアウエイ(華為)なのか、の 問題が、立ち現れた。この他にTSMC(ティー・エス・エム・シー 台湾積体電路=自滅した、えきたいでんろ=製造)という台湾で一番、重要な大企業が、ホンハイと競争しながら存在している。
 TSMCは、ホアウエイにも、その頭脳の中心である最高級の半導体(セミコンダクター)を納品している。TSMCの設計図そのもの は、米クアルコムらしい。そして、それらの基本特許は、英国ARM だ。 
 こういう、ITの先端技術のことなど、私、が、そんなに知っているはずがないのだ。 分からないのに、この2カ月、本当に勉強した。 あれこれ、知っている人たちに聞いた。日本には、政治(の)思想やら、金融、経済 のことは、ほとんど知らないくせに、ITの専門知識だったら、世界基準で、相当な、かなり高度なことを知っている人が、たくさんいる。 
旧(きゅう)郵政官僚の 電波、通信官僚たちは、孫正義が「第2電電に、市場を開放せよ」で、攻めてきたとき、散々、煮え湯を飲まされた。アメリカに対する、恨み骨髄である。 旧NTTの副社長や、郵政官僚(今は、総務省の中)の電波官僚たちは、何人も、過労死や、不審死で、死んでいる。 彼らは、電波、通信のことは、世界基準で、何でも知っている。 
ヨーロッパの動きをじっと見ている。決して、アメリカの言いなりには、動いていない。 
 日本には、ITや、先端の通信技術のこを知っている人たちは、それこそ山ほどいる。私は、彼らからそれとなく、聞き出した。 そのために、私は、この2カ月で、300本ぐらいの記事を読んだ。英文の記事も読んで、これらの ITの専門用語を、必死で理解しようと、自分の脳で努力した。それらを、これから、何回かに分けて書く。
 この2カ月の成り行き(経緯)として、分かったことは、「今度の、米中ハイテク戦争では、アップル Apple は、もう、終わりだ」と、いうことだ。スマホの世界一の売り上げは、アップルだ。高級品(ハイ・エンド)だ。その次が、いつの間にか、ホアウエイになっていた。それから、3位が、韓国のサムスンだ。
 アップルは、もう、中国に死命を制せられた。死刑宣告を受けたに等しい。アップルのスマホは、90% は、ホンハイが、中国で作っている。だから、ここが、米中貿易戦争の次の戦場、焦点になったら、アップルは確実に潰れる。 ホンハイも潰れる。 ホアウエィどころの騒ぎではない。 そんなことを、トランプと、習近平は出来ない。
 今や、世界中で、それこそ、アフリカでも、中東でも、南米でも、どんなに貧乏な人たちでも、1万円(100ドル)のボロで安価(ローエンド)のスマホを使っている。インドでは、シャオミー(小米)や、OPPO(オッポ)や、VIVI とかの 安いスマホを使っている。世界中の民衆が、今や、スマホを持っている。
 それを、トランプと アメリカの通商官僚たちが、ぶち壊して、「グーグルのアンドロイドもホアウエイに使わせないようにしてやる。そうすれば、中国は根を上げるだろう」などど、甘い考えで、動いていたとしたら、アメリカ人というのは、アホだ。 図体(ずうたい)ばかりが、でかい、デカのウスノロだ。身長が、1メートル90センチもある、男と女どもだ。
 アメリカの被(ひ)支配階級(一般庶民)は、驚くべきデブで見苦しいが、支配階級は、すらりと痩(や)せている。これでアメリカの階級社会(クラス・ソサエティ)分かる。  
 今、米中貿易戦争で、闘っている構図は、 アホのイギリス国王の ジョージ3世が、手を振り上げて、「なにー、アメリカの植民者どもが、独立するだと・絶対に許さん」 と、 英国の大艦隊を派遣して、 アメリカ独立戦争(1775年から1783年。1776年7月4日が、独立宣言。アメリカの建国記念日 )
 を叩き潰しに行ったのと、似ている。そして、英国の国王軍は、7年間の激しい戦争で、大敗北した、と同じだ。 貧乏で、力も無く、カネもない、ジョージ・ワシントンの独立軍の方が、英国軍に、負け続けながらも、しぶとく、ゲリラ戦で、勝ったのだ。 アメリカ民衆の勝利だった。ベトナム戦争と同じだ。
 そして、なぜ、イギリス国王は、アメリカに負けたのか。それは、アメリカの植民者たちの反乱である、独立軍に負けたのでは無い。フランスと、スペインと、オランダの艦隊が、その隙(すき)を突いて、首都のロンドンを攻略する(1781年)、という恐るべき状態に入ったからだ。
 イギリスの全艦隊は、すべてアメリカへの補給で出払っていた。ロンドンは、丸裸だったのだ。イギリス国王は震え上がった。だから、アメリカ独立を認めざるを得なかったのだ。イギリス王国(このあと大英インド帝国を従えることで帝国にもなる)の負けだ。この 歴史の大きな信実を知っている人は、今でも、あまりいない。
 アメリカ人の歴史家も、ヨーロッパ人の 歴史家(ヒストリアン)たちも、この重大な事実を、軽く見ている。
 イギリス(大英帝国)の唯一の、世界史規模での敗北は、アメリカに独立されてしまったことだ。それをフランスが仕掛けた。だから、フランス国王ルイ16世(ラファイエットを使った)は、そのあと、10年後に、イギリスの激しい憎しみを買って、10年後に、ギロチン(断頭台)に掛けられた(1793年)。世界史の歴史は、このように、大きく、大きく見なければいけない。
 アヘン戦争(1839年から42年)で、大清帝国(だいしんていこく。清朝。当時、世界一のGDPを持っていた)を震え上がらせたのは、イギリスの艦隊が、広東省から、北上して、北京まで迫ってきたからだ(1841年)。この時、清朝皇帝の道光帝(どうこうてい)が、震え上がって、それでイギリスに屈服したのだ(1842年、南京条約)。
中国国民の、あの時からの、地獄の苦しみの、180年間のことを、忘れない。 それに較べれば、頓馬(とんま)で、いいように、英米に騙されて、操(あやつ)られてやった、日本(軍)の中国侵略など、可愛いものだ。
毛沢東は、1931年(満州事変、9.18事変)からの日本侵略軍に、助けてもらった、自分たちが、国民党に皆殺しにされないで済んだのは、日本のお陰(かげ)だ、と日本に感謝していた。日本からの訪中団にそのように、ポツリと話したのだ。この話は、遠藤誉(えんどうほまれ)女史の書いた、「毛沢東は、日本と繋がっていた」(?)本に、きっと関連する。私は、まだ、読んでいない。
昨日、私が、読んだのは、「金日成は 4人いた」(李英命 著、りえいめい、韓国の立派な学者。成甲書房から2000年に復刊 )という、1978年に書かれた、執念の本だ。
 トランプも、今のまま、いいように北朝鮮の核兵器を扱っていると、この“北の核”を、真に操っているのは、本当は、アメリカ国内の宗教政治勢力なのだと、もっとしっかり知って、対処しないと、自分のワシントンDCが危なくなるだろう。 この泥臭い限りの、マフィアの大幹部あがりの大統領でも、まだ甘いんだよ。
 私、副島隆彦は、今、自分の人生の最後に向かって、大きな「北アメリカ史」の歴史本を書こうと、着々と準備をしている。私が、アメリカ研究(アメリカン・スタディーズ)の日本における最高理解者として、北アメリカの歴史の全体像を書いて、日本国民に与える。そうしないと、どうにもならないのだ。低能と、低知識で。今の日本のアメリカ研究学者(私よりも、5歳から10歳ぐらい上の人たち。東大教授が多い)では。 
 彼らを、今度こそ、徹底的に、教育してやる。私の大著 「世界覇権国アメリカ を動かす 政治家と知識人たち」(元は、1995年、筑摩書房刊)の衝撃だけでは、まだ、足りなかったようだ。
 どうして、アメリカ人は、この歴史の法則 が、分からないのだろうか。 下から、激しく追い上げてくる 勢力の方が、勝つのだ。 威張り腐って、「自分たちは、世界覇権国(せかいはけんこく。the hegemonic state  ザ・ヘジエモニック・ステイト )だぞ。アメリカ帝国に、逆らう気か」と、居丈高になっている。せり上がってくる 次の世界帝国である、中国に、アメリカは、負けるのだ。
 この大きな真実(トルース truth) と、大きな歴史(人類史)の法則が、分からないようでは、優れた頭脳をした人間とは言えない。 日本で、このことを、もう、25年も言い続けて、書き続けたのが、私だ。 この私の、言論人としての強さを、分かる人は、分かる。分からない馬鹿は、狂った政治宗教を脳の中に抱えたまま、自滅してゆけ。
 アメリカは、このアップルへの追加関税の問題が出てきたら負けだ。その前に、矛を収めて、停戦、休戦(シース・ファイア cease  fire  )しなければいけない。 いや、本当は、シース・ファイア(停戦)ではなくて、 stale mate 「 ステイル・メイト」 だ。そのように、アメリカの有識者の、一番、頭のいい者たちの間で、目下、言われている。そのような英文記事がどんどん出ている  
 ステイル・メイトといのは、膠着(こうちゃく)状態のことだ。攻め手も、守り手も無くなって、もうどうしたらいいのか、分からない、という状態だ。将棋で言うところの「千日手(せんにちて)」というやつである。今、アメリカ(トランプ)は、この手詰(てづ)まり状態に入った。 ここで、トランプはぐちゃぐちゃと、まわりの目を逸(そ)らしながら、煙に巻ながら、それでも何とか、習近平が差し伸べる手に乗らないといけない。
 アップルの創業者の、故スティーブ・ジョブズは、いくつもの先端技術の大泥棒(被害者は、ソニーなど) でありながら、世界の動きを読んで先に先に動いた天才だった。が、今のティム・クックでは能力が足りない、役不足だ。ティム・クックは、今、あおざめて、苦悩の中にいる。アップルは、中国から生産を余所(よそ)に移すことは出来ない。
 ティム・クックは、今、のたうち回っている。 そのことを、トランプは知っている。だから、今度の、米中貿易戦争は、アメリカ即ち、トランプの負け、なのだ。 
 私は、はっきり書く。はっきりと分かったからだ。  「5G(第五世代、大容量通信網)とは、すなわち、ホアウエイのことだ」 ホアウエイが、中心部の核心の、特許の50%を押えている。50%どころか80 %ぐらいを押えている。 いくら、米クアルコムや、エリクソン(スウエーデン)が、5G基地局を作れるから、困らない、と言っても、ホアウエィに較べて、30%も値段が高い。
 しかも、日本のソフトバンクのスマホは、エリクソン(スウエーデン)の基地局の不具合、故障で、半年前に、半日、通信不能になった事故を起こした。 みんな知っている。
 5G ネットワークでは、アメリカは、中国と台湾の の先端企業に 大きく負けている、という事実に、アメリカ政府が気づいたのは、一体、いつのことか。詳しく調べないといけない。あの、ピーター・ナヴァロ(通商担当の大統領補佐官。カリフォルニカ大学経済学教授。「米中もし戦わば」という、戦略本の著者 )が、ようやく、気づいて、声を荒げて警告を発し始めたのが、何と、やっと一昨年前の2017年らしい。
 ホアウエィの任正非(にんせいひ)会長が、5月20日前後に、続けざまに出てきて、世界のメディア向けに言い放った。 「ホアウエィは、アメリカの制裁に負けない。11年前から、今の事態を想定していた。プランB(予備のタイヤ、 back up tire ×スペア・タイヤは、間違い英語 )
 をずっと準備してきた。基本の半導体だって作れる。ホアウエイへの電子部品の供給先の会社たちが(アメリカ政府には内密で)、協力してくれると、言っている」 と、 もの凄く強気の発言を繰り返した。これに世界中が、衝撃を受けた。
 ホアウエイは、中国政府が背後から動かしてきた、秘密の軍事会社ではない。ホアウエイの株式は、従業員持ち株会 が98%を持っている。この従業員たちが、今、一団結して、もの凄く気合いが入っている。 「よーし、アメリカよ、そんなに言うなら、さらに最先端の世界最先端の技術を、どんどん作ってやろうではないか」 と、 全社一丸となって、ものすごい勢いになっている。
 ホアウエイの全従業員16万人のうちの半数の8万人は、技術開発者である。 創業者の任正非(にんせいひ)会長は、株式をたった1.5%しか持っていない。 純然たる民間企業である。中国の国営企業ではない。 ホアウエイは、中国政府からも、差別され、嫌がらせをされながら、生き延びてきた会社だからだ。
 ホアウエィは、任正非が、正直に語ったごとく、「今から12年前の、2002 年に、今の事態を予測していた。このまま、行ったら、私が社は、アメリカ政府と激突する。アメリカ政府に潰(つぶ)される」と分かっていた、
 として、「だから、モトローラ(米の大手の半導体メーカー)に、会社ごと売ってしまおう。それが、ホアウエイが生き延びる道だ 」と計画した。 ところが、モトローラ社が、最後の判断の所で、2002年に、ホアウエイの買収を役員会議で却下、断念した。だから、今の事態を招いたのは、アメリカのせいだ。 
 4,5年前から、アメリアの国防総省(ペンタゴン)の、サイバー戦争部隊(電脳空間での戦争のための軍隊)を、管理し遂行している専門家や、CIAたちが、「このままでは、ホアウエイに、先端技術の全てを握られる」と、危機感を露わにして、焦って、「ホアウエイは、アメリカの国家安全保障(ナショナル・セキュリティ)上の脅威だ。米軍の最高度の機密情報まで、盗まれてしまう」と、騒ぎ出していた。
 問題は、ホアウエィの スマホに、本当に「バックドア」という情報盗み出し装置(マルウエア。悪質ソフト)が、仕組まれていて、それで、アメリカ政府の軍事 を含めた機密情報が、盗まれているか、否か、だ。この証明を、証拠付きで、アメリア政府は、提出しなければいけない。だが、おそらく出来ない。
 それを、ITU (国際通信連合、インターナショナル・テレコミュニケイション・ユニオン)という電波、通信の国際機関に、提訴して(中国が、必ずするだろう)、そこでの争いにしないわけにはゆかない。「アメリカは、帝国だぞ。国連のような、腐った、貧乏国家の集まりの国際機関の言うことなんか、聞くものか」というのが、保守であるアメリカ共和党の党是(とうぜ)である。
 だから、ITU( 国際通信連合、本部、ジュネーブ)は、国連UNが出来る前からあった国際機関だ、という理屈で、アメリカは、ここで争うことに従うだろう。この他にも、WTO(世界貿易機構)がある。WIPOもある。 これらの国際機関の仲裁(ちゅうさい)や、裁判、裁定に、アメリカといえども聞かなければいけなくなりつつある。 ITUの仲裁機関(スタディ・グループ)が、すでに動き出している、と英文の記事にある。
 半導体開発の、中心部の、SEP(エス・イー・ピー standard essential patent  スタンダード・エッセンシャル・パテント)と呼ばれる、心臓部というか、頭脳そのものの特許を巡る、泥棒した、剽窃(ひょうせつ)した、真似したの 激しい主張と、弁明と、逆襲をアメリカ政府とホアウエイ社は、これからITUでやることになる。
 トランプ政権の商務省が、すかざず、手を振り上げた親分(トランプ)を助けるために、 5月22日に、「ホアウエイ社への取引規制 の件では、90日間の猶予期間(grace period グレイス・ピリオド、ということは、8月22日まで)を与える」と 発表した。
 これは、ホアウエイに温情を与える、ということではなくて、ホアウエイに部品(コンポーネンツ)を、供給、納品、販売している アメリカのIT企業の大手たちが、「売り上げが大きく減る・経営が苦しくなる」と 血相を変えて、アメリカ政府に、一丸となって、激しい抗議と要請を行ったからだ。火の手は、アメリカ国内で上がっているのだ。
 このあと、習近平は、5月2日に、江西省(こうせいしょう。南の方)のレアアース企業を、突然、訪問した。次は、レアアース戦争の始まりである。中国を甘く見ると、次々に、アメリカにボディ・ブロウで効いてくる、手を中国は打つだろう。 レアアースの戦略物資としての重要性は、今日は、説明しない。知っている技術たちは、詳しく知っている。
 重要な転換点は、今から1か月と少し前の、5月3日に起きたのだ。トランプが、「中国の野郎、いい度胸だ。俺に、ケンカを売る気か」とカッとなって手を振り上げた、2日前だ。
 以下の新聞記事が、もの凄く重要だ。この記事を書いた、日経新聞の 中沢克二(なかざわかつじ)氏の、“チャイナウ・オッチャー“の 凄腕(すごうで)が冴えている。私は、以下に載せる、日経新聞の 5月15日付の記事が、現在に至るも、米中貿易戦争を、語る上で、一番、重要な情報文であり、分析文だ、と判断している。
 5月5日に何か起きたのか。 どうして、この直後から、中国が、「これは、人民戦争だ」「内政干渉だ」「中国製品と企業にまで、アメリカ政府の検証作業班が、入って、検査(インスペクション)をする、などと、厚かましいにも、程(ほど)がある」「相手の国に対する尊敬や敬意(リスペクト)を、アメリカは欠いている。礼儀知らずである」「中国に対する主権(ソブリーンティ)の侵害だ」 「ここから先は、もう、中国は、我慢しない。これからは、長い持久戦(じきゅうせん)となる」と、言い出した。この中国の剣幕(けんまく)の前に、実は、トランプたちは、たじろいで、立ち往生している。
 交渉官の、ライトハイザーUSTR代表(閣僚)と、ムニューシン財務長官は、親分の、今や、独裁者(ディクテイター)に近いトランプの方を、見上げて、「ほら。だから、いわんこっちゃないよ。中国をついに怒らせちゃったよ。これまでの、12回の交渉で、上手い具合に、私たちが、周到に、中国の譲歩を引き出して、追い詰めていたのに。親分が、テーブルをひっくり返したよ。あーあ」という感じで、ボーとなっている。「オラ知らねー」だ。
 かつて、日本を、半導体交渉(1985年)や、農産物交渉や、日米構造(こうぞう)協議 や、自動車交渉(1995年、円高で痛めつけた)。 日米構造協議 は、「ストラテジック・インペディメント・イニシアチブ」 SII(エス・アイ・アイ)という言葉を使って、日本を痛めつけ、脅し上げ、屈服させた。
 「 日米 年次改革(ねんじかいかく)要望書」というのを作って、「お前の国は、これこれ、このように、構造的に欠陥のある国だから、以下に列挙する(200項目)事項に従って、自分の国の、劣った、愚かな商業慣習や、社会体制を、訂正、改良せよ」と、 アメリカは、命令した。 あのSII(エス・アイ・アイ)に、日本は、腹の底から、「参りました」と土下座して、惨めな姿を晒(さら)した。それは、ビル・クリントン政権による、日本の金融制度(金融ビッグバン)の改革要求になり、日本の金融業界は、あの時から、ボロボロにされた。アメリカの巨大な博奕(ばくち)金融に、いいように騙されて、国民の資金を騙し取られる仕組みになった。
 あのSIIで、「中国よ。お前の国の、劣等な部分を、アメリカが、改良、改選してあげよう」と、 中国にやって見せたら、なんと、中国から、「そんな手に乗るかよ。中国は、そんなに甘くないぞ」という、冷酷な、返事が、トランプの元に中国政府から届いたのだ。それが、5月3日だった。 
 以下の日経の中沢克二の記事に、そのことが如実に書かれている。しっかり、じっくりと読んでください。
 それから、私は、遠藤誉(えんどうほまれ)女史の優れた、中国分析、そして、目下の米中  貿易、ハイテク戦争について、大いに学んだ。これらは、次回、載せる。 
 それから、講談社の幹部社員なのに、すっかり評論家になってしまっている近藤大介(こんどうだいすけ)週間現代副編集長(今も、この肩書きなのかな。彼とは、数回会っていて、私の熱海の家にも来たことがある)の中国研究と。
 それから福島香織(ふくしまかおり)女史の 中国分析からも、学んだ。福島香織は、あの、ますます凶悪な反共主義者の集団に純化しつつある 産経新聞 を首になるほどの、優秀な女性記者だった。  
 この4人は、中国語が出来て、中国の政府高官にまで、繋がって、密着取材、連絡の取り合いが出来る、日本を代表するチャイナ分析家たちだ。私は、この2カ月も、彼らの文章から、大いに学んだ。 今日は、ここまでにする。以下の新聞記事は、本当に、重要だ。 副島隆彦 記
(転載貼り付け始め)
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〇 「 衝撃の対米合意案3割破棄 「習・劉」が送った105ページ 」   2019/5/15  日経新聞   編集委員 中沢克二
 中国政府が5月初め、約5カ月間の米中貿易協議で積み上げた7分野150ページにわたる合意文書案を105ページに修正・圧縮したうえで、一方的に米側に送付していたことが分かった。中国指導部内で「不平等条約」に等しいと判断された法的拘束力を持つ部分などが軒並み削除・修正されていた。14日までに米中関係筋が明らかにした。
 ページ数で見ても実に3割もの破棄である。米側が重視してきたのは、中国による構造改革の実行を担保する法的措置。その重要合意のかなりの部分が白紙に戻ったことになる。世界を揺るがせた今回の米中貿易協議の事実上の破綻は、5月5日の米大統領、トランプによる唐突なツイートが発端ではなかった。中国側が105ページ合意案への修正を米側に通告した時点で既に決まっていたのだ。
画像。米中の対立は激しくなる一方だが…(2017年11月の訪中時、北京で言葉を交わすトランプ米大統領(右)と中国の習近平国家主席)=AP
 話は4月下旬に遡る。米中合意への期待が高まっていたこの頃、国家主席の習近平(シー・ジンピン)は対米交渉方針の一大転換を迫られていた。側近の副首相、劉鶴(りゅうかく)を表に立てた対米交渉は、穏便な手打ちを重視するあまり、中国指導部内で一任を受けている範囲内を既に踏み越えつつあった。
 とはいえ、習近平・劉鶴ラインが、共産党の統治体制に関わる最も重要な部分で米国に譲歩していたはずはない。それが米通商代表部(USTR)代表のライトハイザー、米財務長官のムニューシンらが指摘していた「残り10%」とされた対立部分である。
■「私が一切の結果に責任持つ」  今回の破綻はそれ以外の90%の部分。既に合意案ができていたという90%の部分で起きた。それはライトハイザーと劉鶴の努力の賜物(たまもの)だった。双方は北京とワシントンを行き来しながら繰り返し交渉し、7分野150ページという長大な量の合意文書案をまとめていた。
 劉鶴にも思い入れがあったはずだ。一字一句、中国語と英語を対比しながら精査。ライトハイザーが国際弁護士の目で見た細か過ぎるチェックも経て、まとめ上げた内容だったのだから。習近平と劉鶴の近さから見て「トップは大筋で了承していたはずだ」と考えるのが常識的だろう。
 だが、送られてきたのは根幹部分を30%も削った文書。米側にいわせれば、法的措置など合意内容を担保する部分がほぼ消えた105ページの単なる文字の羅列にすぎない。それは習近平指導部が早期決着を自ら諦めた証拠だった。わざとトランプを怒らせるための行動にさえ見える。
 なぜ、こんな事態に至ったのか。中国系メディアは、習近平が今後、起きることについて「私が一切の結果に責任持つ」と発言したと伝えている。その場は、105ページに削り込んだ通告文を米側に送る前に開いた共産党中央の意思決定機関、政治局常務委員会や政治局会議とみられる。
 画像。習近平氏を頂点とする中国共産党の権力構造に微妙な変化があるのか…(「五・四運動」を記念して4月30日に北京で開かれた式典)=AP
 だが、中国関係筋は「これは『下心』がある意図的な報道だ」と指摘する。どういうことか。「劉鶴の訪米前に修正案を米側に示す決定は、最高レベルの『集団決定』である」。つまり、習近平が自らリーダーシップをとる形で主動的に「一切の責任を持つ」と発言したとは限らないのだ。
 「事実を覆い隠すため『トップ主導』を強調する装われた記事」。もしくは「真実を行間から読み取れ、と示唆した記事」であるというのだ。「トップの責任でトランプに一度、ノーを突き付けるしかない」。中央指導部内の討議を経て決議した結果、そう迫られたとも推測できる。
 共産党の別格の指導者を指す「核心」である習近平といえども、もう一度、合意を取らないとこの決定は覆せない。いわば交渉を引っ張ってきた「習・劉」ラインが、周りから足かせをはめられた、ともいえる。
■「不平等条約は受け入れず」の大合唱  ここに至った中国側にもやむにやまれぬ事情があった。 「内政干渉を法律で明文化するような不平等条約は受け入れられない――」 共産党内では、こうした声が日に日に高まっていた。70年前の新中国建国に当たって共産党は過去の封建王朝が結んだ「不平等条約」を厳しく批判。決してその轍(てつ)を踏まないと民衆に誓った。
 中国は建国70年を迎える現在に至っても「不平等条約」というレッテルに敏感に反応する(北京の天安門広場で、3月)アヘン戦争の終結時、清とイギリスが結んだ南京条約(1842年)、日清戦争の下関条約(1895年)などが代表的な不平等条約とされる。結んだ清王朝は滅んだ。今回の米中合意案が本当に不平等条約に等しいのか、には疑問がある。とはいえ共産党政権にとって一大事なのは確かだった。
 過去の中国の行動を知る米国は、曖昧な合意では構造改革が実際に履行されるか信用できない、として法的措置による担保を求めた。官民の様々な場での強制的な技術移転の禁止、国際的な技術・知的財産権の窃取の禁止、国有企業補助システム及び全企業への輸出補助金の廃止。範囲は幅広い。
 思い返せば4月下旬、習近平はすこぶる不機嫌に見えた。25~27日に北京で開いた広域経済圏構想「一帯一路」の第2回国際会議。30カ国以上の首脳級が集まった晴れの舞台だというのに、表情は晴れやかとはいえない。
 中国国営メディアは2年前の第1回会議の際は、メディアセンターの大きな液晶画面に主会場を他国首脳とともに闊歩(かっぽ)する習近平の様子を逐一、映し出していた。自信に満ちあふれた笑顔、大国のトップにふさわしい風格が印象的だった。
 だが、今回は会議開始の時間さえ発表せず、習が歩く姿も一切、映し出さない。習演説が始まる時、予告なしにいきなり画面が切り替わった。この頃、世界中が米中交渉の妥結に期待していた。だが、習は国内情勢から早期妥結が困難なことを自覚していた。
■次の勝負は「大阪G20」  習はトップ就任以来、苛烈な「反腐敗運動」を展開し、絶大な権力を手にした。しかし、その勢いにはやや陰りが見える。「習近平時代」になって6年以上もたつのに、国民が実感できる経済的な成果を得られていないからだ。高度成長で中国を世界第2位の経済大国に押し上げた功績は、全て前政権までのものである。
 9日にワシントンに現れた劉鶴は「習近平の特使」という身分を失っていた。全権を持たない遣いの使命は「交渉は決裂ではなく、今後も続く」という宣伝だけにあった。劉鶴がワシントン滞在中だった10日、トランプ政権は追加関税を発動した。13日、中国側も報復措置を6月1日からとると発表した。
 画像。ワシントンに現れた中国の劉鶴副首相(左)は「習近平特使」の肩書を持っていなかった(ライトハイザー米通商代表(右)との握手、10日)=ロイター
 同じ13日、トランプ政権は中国からの輸入品ほぼ全てに制裁関税を課す「第4弾」の詳細を公表した。その発動時期は6月末以降。トランプは6月末、大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で「習近平と会談することになるだろう」としている。
 だが、実現したとしても片手に「全品目制裁リスト」という脅しの材料を掲げたのっぴきならない対決の場になる。「『不平等条約』は断固拒否。対米合意案3割を破棄し105ページに」。中国のかたくなな姿勢によって交渉の基礎自体が揺らいでおり、先行きは楽観できない。(敬称略)
(転載貼り付け終わり)


1970年代から最近までのアメリカ政治について語る・・・

2019-06-06 18:34:40 | 日記

 失脚したニクソンの次に大統領になったジェラルド・フォードというのはどうでもいい男です。実はもうここではっきり言うと、デイヴィッド・ロックフェラー(David Rockefeller、1915-2017年、101歳で死亡)、実質、世界皇帝、ダビデ大王、の、直属の連中なんです。フォードは気の弱い、副大統領あがりなんです。
デイヴィッド・ロックフェラー
 ところがフォード大統領の横に副大統領をしていた重要な男がいるんです。それがネルソン・ロックフェラー(Nelson Aldrich Rockefeller、1908-1979年、71歳で死亡)です。ニューヨーク州知事もしていました。
ネルソン・ロックフェラー
 ネルソンがロックフェラー家の三代目の弟です。三代目当主はジョン・ロックフェラー三世(John Davison Rockefeller Ⅲ、1906-1978年、72歳で死亡)です。気の弱い男でした。上品で立派な男で、ネルソンはそのすぐ下の弟です。
(左から)デイヴィッド(五男)、ウィンスロップ(四男)、 ジョン・D三世(長男)、ネルソン(次男)、ローレンス(三男)
 ネルソンはもう、暴れん坊で、凶暴でした。自分は大統領になる、と決めていた男です。だから副大統領になった。実はこのネルソンが、カリフォルニア・オイル、カリフォルニアのエクソン・モービルが巨大石油会社で、もう一つある。エッソ・スタンダード、エッソと、カルテックス、テキサコもそう。テキサス・オイルも。これは、ネルソンのものだったんです。
 長男坊がエクソン・モービルを持っていました。これはもうロックフェラー一世、二世以来の、ニューヨークとニュージャージーを中心にして、東部を中心にした世界最大の石油資本です。当時はセブン・シスターズとか言われているけど、1番目と2番目。2番目は、エッソ。エッソ、カルテックス、テキサコなんです。それが今は、シェブロンになっています。これはネルソン・ロックフェラーの持ち物だったんです。
 このネルソン・ロックフェラーが、ヘンリー・キッシンジャー(Henry Alfred Kissinger、1923年?)をハーバード大学の30歳ぐらいの学者の頃からずっと育てている。能力を見込んで援助したんです。
副大統領ネルソン・ロックフェラーと国務長官ヘンリー・キッシンジャー(左)
 ところがここから先は、副島隆彦は、たくさん『世界権力者人物図鑑』でも書いたし、ずっとアメリカ研究でも何回か書いたんだけど、このネルソンが凶暴だったので、五男坊のダビデが、ネルソンを殺すんです。実はね。愛人の女の家で腹上死した、というのが真実なんだけど。要するに心臓病か何かで死んだんでしょうが。本当に殺したのは、実は、ラムズフェルドなんです。ラムズフェルドの本当の親分は、ダビデ大王なんです。これは、言ってはいけないことになっている。アメリカ国内でも、相当の政治の裏側を知っている人達しか、言ってはいけないことになっているんですよ。
 だから私は「お庭番」と呼んでいます。ラムズフェルドというのは恐ろしい男なんですね。だからあの本物のアメリカの優れた映画監督であるオリバー・ストーンが、ぼーっと周りが、光がぼーっと、仄暗い光が光るような男として描いていた。
映画「W.」でラムズフェルドを演じるスコット・グレン
 それに比べると、ディック・チェイニーの方が、人格がいいんです。私はこれは、「拓大右翼」と呼んでまして。「国士舘右翼」とか。いかにもなんだか右翼の親分で、裏があんまりないんです。悪いことはいっぱいするんですが。
 もっと簡単にいうと、このチェイニーは、副大統領のときに、安倍晋三が1年間だけ、まず1回目の首相をしたことがあったときに、「何?アベはムーニー(Moonie、文鮮明主義者)か。統一教会か。じゃあ俺はアベには会わない。」と言ったんです。
 そういう立派な男なんです。ある意味で。チェイニーという男は。リンという奥さんが横にくっついていますから。「会わないほうが良い」という、そういう判断力は、あるんです。だから比較して、ラムズフェルドはあまりにも悪すぎる、ということで、チェイニーを表に出したんです。
 映画「バイス」で見てびっくりしたのは、チェイニーは大学中退なんですね。アメリカでは大学は入学まではできるんだけど、卒業ができない。チェイニーは中退で飲んだくれて、電気工事士をやっているんです。高い電信柱に登って、同僚が落ちて、下に落ちているところでぼーっと立っているとか、そういうシーンが描かれていまして。そういう工事とか、土木作業員みたいなこともやっていたようです。そこから這い上がった男ですから、不思議といえば不思議なのね。
 だから何でチェイニーが、1941年生まれだから、33歳で大統領補佐官になれるか。この間の秘密は、描かれていません。誰にも分かりません。大学中退で、ワシントンに出てきていたのは何故なのか、が分からない。
 奥さんのリンはしっかりしていて、ウィスコンシン大学の大学院まで出て。文学少女なんです。小説のようなものも、何作か書いている。全米人文科学基金(National Endowment for the Humanities、NEH)という基金がある。リンはこの基金の会長(1986―1993年)を務めました。これは大学や博文館などの文化機関や学者たちに補助金を出す基金です。このヒューマニティーズ(Humanities)という言葉が、日本人にはよくわからない。
 サイエンス、要するに近代学問の下の、下等学問・初級学問のことを、ヒューマニティーズというんです。この学科に入ります。一言でいうと、文学部のことなんです。歴史学もここに入ります。古文書とか、古い文字の文章を調べるのも、このヒューマニティーズです。下等学問なんです実は。それを日本人がまだ理解できない。日本の学者たちまで含めて。
学問の分類
 小説を書いたりして、そのまま大学教授になったりする人も、ヒューマニティーズなんです。人文学、と訳さなければならない。その代わり人文科学という馬鹿な言葉を使ってサイエンスと混ぜちゃって。それで私が文科省に電話して「いい加減しろ」って叱ったのは、私なんです。その頃から人文と、いわゆるサイエンス・科学とを、分けるようになった。
 でもまあ、この映画なんかでは、人文科学という言葉を平気で使っている程度の、世界基準での学問枠が分かってない奴らが、日本の知識人には山ほどいます。Humanities というのは、小説とか、文学研究みたいな人たちの学会の会長なんです。
 でも実際のリンは、旦那が這い上がって行ったら、同時に軍需産業ロッキード・マーチンの役員になるんですね。ロッキードとマーティン・マリエッタが合併して出来た企業。ジェネラル・ダイナミックスみたいな、恐ろしい軍需産業の役員です。ミサイルや戦車や核兵器まで作っているような会社達の経営者たちの集まりの会の会長もしてた、と私は記憶している。リンは恐ろしい女なんです。
 それでこの映画で見て、驚いたのは、このチェイニーはフォードの首席補佐官なんだけど、この後、あんまりだ、ということで、フォードの次にジミー・カーター(Jimmy Carter, Jr.、 1924年―、95歳)という大統領が出てくる。ピーナッツ畑の経営者と言われていました。
ジミー・カーター
 田舎者でしたが、アメリカ政治がその前に、あまりにも汚れた、というニクソン政治の後の、フォード政治も汚れたということで、1977年から81年まで。1980年の選挙で負けちゃったんです。これは1979年のイランのアメリカタイ新歓人質事件で人質になっていた大使館員を助け出すために、特殊部隊の最精鋭部隊をバグダッドのそばの砂漠に何機か着陸させました。それで何十人かで救出作戦(イーグルクロー作戦)をやろうとしたら飛行機同士がぶつかっちゃって、特殊作戦部隊も死んじゃったりして失敗しました。選挙の最中に1980年4月にそれが起きて、それでカーターは次の選挙で落ちた。
 大きな意味では仕組まれていたんですね。この時ブレジンスキーがカーターの横にいた。ズグビニュー・ブレジンスキー(Zbigniew Brzezinski、1928―2017年、)が世界戦略家です。彼は大統領首席補佐官をやっていた。この頃のアメリカ政治で非常に大切な言葉は、一言で言うと、「ある程度の独裁政治で、人権弾圧等があっても、認める」という発言とかをして。国務長官にはなれなかったウォルター・ラキュール(Walter Laqueur、1921-2018年、97歳で死亡)という人物もいました。カーターの時代は、「人権外交」という言葉を作って、ブレジンスキーがそれを実行したんです。独裁政治に反対する、みたいな。
ズグビニュー・ブレジンスキー(左)とカーター
  カーター大統領は弱い政治だった。強硬派の保守の連中からワーワーと批判されました。結局、1981年から、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan、)の政権ができた。その後に親父ブッシュの政権が89年から、1992年の大統領選挙でクリントンに負けて、93年までです。親父ブッシュはガルフ・ウォー、湾岸戦争をやりました。
レーガン(左)と父ブッシュ
  ブレジンスキーとヘンリー・キッシンジャーは世界戦略家で仲がいい。本当の凶暴な連中に比べたら、穏やかなんです。いくらアメリカ政治の中枢にいるといっても。交代ばんこになるんです。
ブレジンスキー(左)とキッシンジャー
  だからさっきの話の続きをすると、ネルソン・ロックフェラーを殺した。それはデイヴィッド・ロックフェラーの自伝の中に、お兄さんのネルソンに向かって、五男坊のデイヴィッドが、「長男坊のお兄さんをいじめるな」って叫ぶ場面が本当に書いてあるんです。ネルソンはその後、死んでいる。ネルソンの子分だったキッシンジャーは、五男坊のデイヴィッドのほうの家来になった。
キッシンジャーは、ニクソン大統領の横にくっついて、まず国家安全保障大統領補佐官をやる。それからフォード政権のときに国務長官になるんだけど、追い出されている。追い出された後に、ラムズフェルドとチェイニーが入っている。同じダビデ大王の家来たちといっても、色合いと肌合いが違って、派閥闘争になるんです。その次はまたひっくり返して、カーター政権の時には今度はブレジンスキーが出てくる。
カーターという大統領は、本当に周りからも言われたけど、「大統領でなければよかった大統領」と呼ばれています。「人権外交」でその後北朝鮮に行ったりしました。穏やかな政治をした。嘘をつかない人、ということで、バプティストです。ニクソンはクエーカー教徒だった。これも嘘をつかないというキリスト教の思想で、カーターもそうなんです。嘘をつかない人、と周りも思っていて。事実、そうなんです。後々、変な文書が出てきたり、変な発言がバレるとかいうこともない。融通が利かない。
それで、カーター政治が終わった後の、1980年の選挙でレーガンが勝ちました。そして、1988年に親父ブッシュが選挙に借りました。この親父ブッシュのときに、非常に景気が悪かったんです、アメリカは。ニューヨークの株価は、7600ドルだったかな。どうしていいかわからないうちに、1992年の選挙でビル・クリントンに負ける。ビル・クリントンがやったのは、日本を叩き潰して、イギリスも実は叩き潰されたんだけど、金融ビッグバンとかいって金融自由化をして資金をアメリカに集めました。
ビル・クリントン
  それは、あまり話は広げないけれども、マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher、1925-2013年、87歳で死亡)という首相なんかは、イギリスの保守派の女首相で「鉄の女」っていわれたけど、本当はアメリカの言うことを聞いたイギリスの保守なんです。本物のロスチャイルド系のイギリス保守は、サッチャーのことが大嫌いだった。
しかし、ソビエト帝国を打ち倒した。「ランブイエの七人の騎士」とかいって先進国首脳会談(サミット、G7)の国々が勝利したということになった。日本の中曽根康弘(1918年―、100歳)もいたんですけど。それで1991年12月までに、ソビエト帝国を崩壊させた。ロシアっていう国になったんです。ソビエトが弱体化した、崩壊した、その年に湾岸戦争をやっているんです。そのとき、ソビエトは全く応援できない。
1985年ボン・サミットの各国首脳集合写真
  本当はサダムフセイン政権だって育てたのはアメリカで。アメリカの重戦車やファントム戦闘機をいっぱい、イラクにあげたんです。そしてイラクとイランを戦争させたんです。それが、「イラ・イラ戦争」という言葉で残ってる。イラク・イラン戦争。これはもう、8年間くらいやっていたんです。大変だったんですこれも。
ところがイランのほうも、武器弾薬に困ってしまって、裏側から、つまりアメリカから供給してもらったんです。安く買ったんです。これが不思議なんです。戦争商人、死の商人たちがいますから。両方に武器弾薬を売った。軍需産業というのは恐ろしいんです。それが「イラン・コントラ事件」というやつなんです。親父ブッシュのときの事件です。
  1980年の選挙で勝って、8年間はレーガン政権時代だった。レーガン大統領というのは、カリフォルニアの映画俳優で、映画俳優組合です。「ムービー・アクターズ・ギルド」という労働組合なんだけど、威張っている組合。ギルドといいますが。職人組合です。これの会長あがりで、反共産主義。共産主義イデオロギーに近かったリベラル左翼の映画監督や、俳優たちをいじめる側の人だった。その後、カリフォルニア州の州知事をして。それから大統領に選ばれている。
レーガンは、人間として立派だった、と今も言われている。でももうレーガンは、自分が大統領になった途端に「いや、俺には閣僚任命する権限は何もないんだ」と。「全部、上のほう。すなわちデイヴィッド・ロックフェラーが決めるんだよ」と、悲しそうに言ったという話がある。
  事実、1980年代はもう、こういう奴らなんですよ。ダビデ大王の直属の。だからチェイニーとかラムズフェルドがもういるんですよ、ここにね。まだ若いけど。
だけど今のトランプ大統領は、実はレーガン大統領の再来といわれていて。自分たちも、そのように思っている。トランプを支えている女評論家の、激しい保守の連中も、「自分たちはレーガン政権の、レーガン革命の申し子だ」という言い方をします。トランプはレーガンの再来なんだ、と。
それは、真実だと思う。本当の保守なのだ、と。自分達は本当は、ロックフェラー家の言うことを聞きたくないんだ、と。しかし、その問題は、私たちも触れないようにしている、という感じです。
だけどもうダビデ大王も死んじゃって。ロックフェラー家もあまりお金がなくなって、石油の時代でもないから、いよいよもうドナルド・トランプの独裁。世界独裁体制になります。ただトランプを裏側で動かしているものが何者か、今も私も分からない。もういないと思う。ダビデ大王が死んじゃったら。キッシンジャーも来年ぐらいに死ぬと思うけど。もうちょっと生きるのかな。今は97歳だったかな。トランプが73歳ですから。まだ若いといえば若いんだな。
レーガン(左)と若き日のトランプ
キッシンジャー(左)とトランプ
  この映画で印象深かったのは、だから、この映画では描かれていないんです。大学中退でうろうろしていた頃のチェイニーが、どうやってダビデ大王に認められて、直属の人間になっていったのか。そこが一番、悪い話なんです。それで親分がラムズフェルドであると。この映画はそこを絶対に描かない。私はそこが、この映画を監督したアダム・マッケイ(Adam McKay、1968年―、51歳)という男に対して、ちょっと批判的なところです。
アダム・マッケイ
  アダム・マッケイは、描きかたとしては、リバータリアンであるクリント・イーストウッド(Clint Eastwood、1930年―、88歳)や、いわゆる本当の左翼映画人の筆頭のオリバー・ストーンと似たような描きかたをしているから、うまいんです。映画としては。泥臭い。泥臭いということは、現実の泥臭い、汚れた経営者や政治家をきちんと描ける。あまりいないんです。そういうのは。マイケル・ムーア(Michael Moore、1954年―、65歳)なんて、ダメなんです。あんなのは。薄っぺらで軽いんです。貧乏人、労働者を一所懸命描くというところだけがリアリティで、あとは大したことないんです。
それに比べれば、このアダム・マッケイはオリバー・ストーンの跡継ぎだろう、と思います。きっともう、ハリウッドでそう言われていると思う。ところがさっき言ったように、深い人間の味を出せる映画を作れる人間なんだけど、どうもやっぱり怪しくて。右翼・保守的なんです。映画を見ていると。
アダム・マッケイが2015年に、英語の原題、タイトルは「Big Short(ビッグ・ショート)」というんだけど、日本語では「マネー・ショート」という変な英語だった。金融もの描いた大作です。だから「ウォール・ストリート」と「ウォール・ストリート2」を描いたのは、これもオリバー・ストーンだから、これの跡継ぎなんです。
マネー・ショート華麗なる大逆転 (字幕版)
もう一つは、重要な映画は、「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」を作った、イタリア系の映画監督のマーティン・スコセッシ(Martin Scorsese、1942年―、76歳)です。あの金融映画の大作に連なっているのが、この「ビッグ・ショート」です。
  「ビッグ・ショート」というのは、「ショート・マネー」と言ったほうが分かりやすいんだけど、核爆弾級の力を持っている、超短期間で動かす、恐ろしい、巨大に膨らませたお金なんです。200倍ぐらいのレバレッジ(投資倍率)をかけて、一気に、ある国の為替とか国債や、大企業の株に襲いかかるんです。ガラガラと売り崩したり、暴騰させたりするのが ビッグ・ショート・マネーなんです。これが2008年のサブプライム・ローンとリーマン・ショックのときに荒れ狂った、ということを描いたのが「ビッグ・ショート」という映画です。
アダム・マッケイはこれを作ったから、もう地位を確立しているんです。だけど今度の「バイス」は、泥臭い政治家像をちゃんと描いているから、いい映画なんだけど、あんまりヒットしないと思う。なぜかというと、チェイニーを扱ったということだけでも、非常に映画自体が、地味になってしまうんです。私もあんまり見に行く気がなかったんだけど、一応見とこうと思ったら、勉強になりました。ということです。
  例えば何が面白いかというと、息子ブッシュの、このモンチッチの息子ブッシュの描きかたが非常に上手なんです。いかにも軽薄です。アホなんですね。アホ兄ちゃんなんです。それが非常によく描かれていて、この役を演じている役者もうまくて。こいつらもみんな、アダム・マッケイのグループの映画俳優たちなんです。アホな感じが良く出ている。「お前、俺の副大統領をやってくれよ」みたいなシーンもうまくできているんだけど。
息子ブッシュを演じるサム・ロックウェル
真実はそんなものじゃなくて、皆、ダビデ大王の家来たちですから。ジョージ・ブッシュの、お父さんのほうは秀才です。イェール大学を出た秀才で、CIA長官と中国大使までしていた男です。ヘンリー・キッシンジャーが横についていたわけですから、中国派です。