テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

八日目の蝉

2012-06-30 | ドラマ
(2011/成島 出:監督/井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、渡邉このみ、劇団ひとり、市川実和子、余貴美子、平田満、風吹ジュン、田中泯/147分)


(↓Twitter on 十瑠 から

「八日目の蝉」をレンタルで観る。TV放送の30分ものカット版ではかなり印象が違うはずなので。★一つor二つ程度だったお薦め度は★★★になりました。一番の違いは、カット分が足されたことによって、強くあった「野々宮希和子」の印象が薄れ、秋山恵理菜の再生ドラマである事が明確になった事。
 [6月 27日 (以下同じ)]

カットされた所はさまざまですが、はっきり申しまして、映画を台無しにしておりますな。良い映画には緩急のリズムがあって、「緩」も必要なのです。そして、おうおうにして「緩」がドラマに厚みを与えるのです。

26日に「八日目の蝉」についてアレコレ呟いたけど、結局、不完全版の映画を観て、誤った印象をもって語っただけで、殆ど正しい判断が出来ていないことに気付く。
 [6月 28日 (以下同じ)]

一番は、犯罪のきっかけが本妻の執拗なまでの愛人への復讐というか罵倒というか、蔑みの態度というか。TV不完全版では、野々宮希和子のマンションまで押しかけて罵倒しているシーンがカットされておりました。ほんの数秒のロングショットでしたが、これは外して欲しくなかったなぁ。





本妻のあくどさを描くことによって、野々宮希和子が犯した犯罪の裏にある哀しみが浮かび上がり、擬似親子という印象も不完全版よりも強くなった。

過去話と現在話が平行して語られ、現在の話がロード・ムーヴィーになっていくのは「日の名残り」を思い出すなぁ。小池栄子が狂言回し的な立場なのもよ~く分かった。
 [6月 29日 (以下同じ)]

英語の挿入歌は、不完全版ほど違和感は無かった。でもやっぱり和製挿入歌でいって欲しかったな。適当なのが無ければメロディーだけでもいいんだし。恵理菜の思い出にもなっているはずの小豆島の風景は美しかった。希和子が先生で恵理菜が生徒ごっこをしているシーンは24の瞳の撮影記念館なんだな。

こうやって秋山恵理菜の再生ドラマとしてハッキリしてくると、改めて真央ちゃんの存在感が恵理菜として弱いことが分かる。もう少しトゲというか心に瘡蓋付いている少女の感じが不足していたな。確かに異常な半生だから難しいのは分かるがネ。





レンタルの完全版はまだ1回しか観ていない。明日からまた忙しくなりそうなので、2回目は観れないかも。2回観ると★四つになるかもと、チラと思ったりするんだが、4歳までの体験があそこまでの影響を残すかというのが、個人的には想像ができないから三つ留まりかもしれない。

冒頭の裁判のシーンで、野々宮希和子は原告の夫婦に対して、子育てを経験させてもらって感謝していると言い、裁判長からは謝罪の言葉は無いのですかと問われる。僕は、恵理菜ちゃんへの謝罪の言葉があってもいいんじゃないかと思ったけれど、それが無いのはもっと深い思いがあるのかなぁ。

ところで、希和子が恵理菜ちゃんを誘拐した時の心境はどうだったんでしょうかねぇ。おろした自分の水子の生まれ変わりと思ったとか、そんな事?「この子は私に育てて欲しいと思ってる」なんて独白が無かったっけ?ここは、原作を読んだ方が分かりやすいかな。

「4歳までの体験があそこまでの影響を残すかというのが、個人的には想像ができない」と9時間前に書いたけど、ストーリーは、実家に帰って以降封印せざるを得なかった希和子との4年間を開放したことよるカタルシスを狙ってるんだよね。ここも演技は難しいよね。

原作、TVドラマ版のラストでは、小豆島のフェリー乗り場で希和子と恵理菜のニアミスを描いているらしいけど、これって将来の再会を示唆しているんだろうか?多分、ぼやかしているんだろう。





・お薦め度【★★★~★★★★=一見の価値はあるので、友達にも薦めて】 テアトル十瑠

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