テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

クレイジー・ハート

2016-01-27 | ドラマ
(2009/スコット・クーパー監督・脚本/ジェフ・ブリッジス、マギー・ギレンホール、ロバート・デュヴァル、コリン・ファレル/111分)


 かつては人気バンド“バッドボーイズ”で一世を風靡したカントリー・シンガー、バッド・ブレイク。57歳になっても独り愛車を駆って地方巡業を続けているのは、4度の離婚のせいかも知れない。マネージャーからは新曲を書けと言われているが、自分では過去のヒット曲で営業は十分だろうと思っている。酒は飲んでもショーを休んだことはないのが自慢だったが、最近はステージの途中で気分が悪くなることもあるので自分でも情けなくなったりする。
 そんなある日、メキシコ州のサンタフェの仕事で地方紙の音楽担当の女性記者ジーンと知り合い、互いに惹かれ合う。ジーンもバツイチのシングルマザー。彼女の幼い息子バディとのふれ合いにも癒されるバッドであったのだが・・・。

 老ミュージシャンが若いシングルマザーとのつかの間の愛と別れ、アルコール依存症との闘い、かつての仲間との再会等により人生を再生していく姿を描いた映画であります。

 主人公バッドを演じたのは「ラスト・ショー (1971)」が懐かしいジェフ・ブリッジス。イーストウッドと共演した「サンダーボルト (1974)」を見逃しているのが未だに悔しいが、一番印象に残っているのはテリー・ギリアムの「フィッシャー・キング (1991)」だ。
 1949年生まれだから、この映画の撮影時には60歳。イケイケどんどんの若者が渋いオヤジに変貌して見事主演オスカーを射止めたそうです。

 ジーンにはマギー・ギレンホール。その名の通りジェイク君のお姉さんだそうです。目の所が似てますな。
 僕の勝手な印象でキルスティン・ダンストに似てるなと思ったんですが、どうも僕好みではないのと、ジーンって女にもあんまり魅力を感じないのでバッドがどこに惚れたのかもいまいち分からない感じです。

 巡業先からジーンの居るサンタフェに向かう途中で居眠り運転で自損事故。数日間、彼女の家で過ごして母子との絆も深まるが、今度はバッドが自宅のあるヒューストンに親子を呼んだ時に事件が起こって、ジーンとバッドは別れることになる。
 ジーンがバッドに怒って去っていく事になるんだけど、あまりに感情的な感じがして、ドラマのターニングポイントとして弱いかなぁと。
 このドラマ、原作があるらしいのですが、どこかで見たような設定だし、その割には語り口も真っ正直に時系列で、誰かモデルがいて変な脚色をしなくて作ったんじゃないかと勘ぐっちゃいますね。
 C&Wは好きなので楽曲が流れるシーンは気分も宜しいのですが、この程度のストーリーで2時間は少し長すぎるかな。





 ロバート・デュヴァルはヒューストンのバーのオーナーでバッドの親友ウェイン。
 アルコール依存症の治療先を教えてくれたのも彼だったし、バッドには二十年以上前に4歳で別れたまんまの息子がいるのですが、息子に電話をする勇気を与えたのもウェインでした。

 眉毛の濃いブラピのようなコリン・ファレルは、バッドのかつてのバンド仲間でいわば教え子のトミー・スィート。
 今は飛ぶ鳥を落とす勢いのスターで、バッドは彼の実力は認めていても絶対に共演したくないミュージシャン。しかしトミーからの誘いで彼のコンサートに出る事になり、引きずっていたわだかまりも無くなっていく。そして、新曲の創作にチャレンジし始めたのもトミーの影響なのでした。
 終盤では、バッドの作ったバラードをトミーがカッコ良く唄っています。

 2009年のアカデミー賞では、主演男優賞以外に歌曲賞(「♪The Weary Kind」)を受賞、マギー・ギレンホールが助演女優賞にノミネートされたそうです。





・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】 テアトル十瑠

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2 コメント

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偶然でしょうか (vivajiji)
2016-01-30 09:39:34
先日はじめて「サンダーボルト」観ました。
ジェフ・ブリッジス、若いのにとても光ってた。
イーストウッドはいつもの彼を演じていたけれど
ジェフは役得もあるけれど、大変よかった。
監督はたしかチミノさんだったっけ?
賛否あるけど、良作だと思う。ぜひ。

本作、さほど持ち上げる作品とも思えないけれど
やさぐれ酔いどれ男を演じる彼ありきですね。
彼を観るための映画。

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サンダーボルト (十瑠)
2016-01-30 11:04:15
SCREENの撮影中の紹介記事で原題が「韋駄天と稲妻」なんていってたのがとても印象に残ってます。

観られましたか。
「午前十時の・・・」にでもあるのかな?
今度探してみますね。
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