テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

17歳のカルテ

2003-06-16 | 青春もの
(1999/ジェームズ・マンゴールド監督/ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、ウーピー・ゴールドバーグ、バネッサ・レッドグレイブ)


 アンジェリーナ・ジョリーがアカデミー助演女優賞をとった作品ということでレンタルしてみました。タイトルからいわゆる青春映画のひとつかと思ったら、精神病院が舞台の実話が元ネタで、意外としっかりした2時間作品でした。映画館ではどうか分かりませんが、ビデオでは特にたるんだ所はなく、脚本も良くできていたと思います。
 スザンナ・ケイセンという女性の自己体験に基づく本の映画化。主演のウィノナ・ライダーがプロデューサーを兼ねています。

 1960年代の終わり頃の話で、オープニングにはS&Gの「♪旧友」が流れるし、ペトゥラ・クラークの「♪恋のダウンタウン」は主題歌のように使われているし、途中でザ・バンドも流れてくる。懐かしく、又、確かにあの頃は、こういう精神不安定な時代だったなあ、なんて思いました。キング牧師の暗殺事件がTVのニュースで流れたり、ベトナム戦争の徴兵があったりして。

 スザンナは高校を卒業したばかりだが、ある日アスピリンを一瓶、ウォッカと一緒に飲み込み病院にかつぎ込まれる。本人は自殺ではないというが、両親は彼女が日頃から情緒不安定なため、近くの有名な精神病院に入院させる。この病院には同じ様な年頃の少女達が入院していて、大体二人一組で個室が与えられている。ここで自殺する子もいるし、脱走を企てるものもいる。ひどい分裂症のような人は見当たらなかった。スザンナが、ここでの生活で色々な他人と関わり合い、また新たな自分の発見などして、精神的にたくましくなって退院するまでを描く。

 質の悪い「カッコーの巣の上で」の少女版だなんていう評価があります。「カッコーの巣の上で」は見よう見ようともう数十年思い続けて、未だに見ていないのでなんとも言えません。質はともかく、話としては一人の少女の成長記として、実話ながらよく出来たストーリーでした。前半で、フラッシュバック等を多用して入院するまでの経緯の説明があり、小気味よい編集でありました。

 上記の4人以外にも患者役で色々出てきて、やはりジョリーの演技を誉める批評が多いですが、ウィノナ・ライダーも上手かったと思います。しかし、ジョリーの表情は本当に父親(ジョン・ボイト)にそっくりでした。
 主人公の、高校を卒業しても進路がはっきりしないところや、同級生の父親であり、両親と親交のある夫婦の亭主と肉体関係をもつなんて話は、「卒業」に似ているし、「アメリカン・ビューティー」みたいでもある。自由ゆえの病んでるアメリカってところか・・・。

 ウーピー・ゴールドバーグよりバネッサ・レッドグレイブの方がもうけ役だったような気がします。冒頭にでてくる精神科の医者に「ロボコップ」の悪役が出ていました。あの人はこういう堅い役も多いですよね。

・お薦め度【★★★=アンジーの演技、一度は見ましょう】 テアトル十瑠

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2 コメント

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ウィノナについて。 (turtoone)
2005-08-02 14:04:26
TB有難うございました。



この作品は、私的には、ウィノナが出演していなかったら、多分、見ることもなかったでしょうし、それは大方のプロモーターも同じだったでしょう。そういう意味でアンジーはスターダムの第一歩になったし、逆に、ウィノナは転落への序章に。これもハリウッド的運命だと思います。個人的には、例のウィノナの万引き現場映像というのも、鮮明さといいアングルといい、半分以上は実は「ヤラセ」だとも思っているのですが・・・。



今後共、宜しくお願いします。
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ウィノナについては (十瑠)
2005-08-02 18:11:54
万引きのニュースは聞いたことありますが、彼女にそれほど関心も無かったのでそれっきりでした。

だいぶん前ですが、アリッサ・ミラノとウィノナの区別がつかない時期もあったくらいです。

「若草物語」は観たいんですけどね。
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