Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

能「鷺」~ゴイサギの由来~

2011-09-05 | 能楽

 9/4(日)、「金沢能楽会別会能」を観に行った。番組は、能2番、狂言、仕舞などで、宗家や人間国宝の方が何人も出られると言う豪華版。チケットも定例能よりずっと高い。
 宝生和英さんのお能は、私は4度目になるが、娘は初めて。日本にいる間に見せておきたいと言う気持ちもあった。なはさんを誘ったら、観たいと仰ったので3人で車で行くことに。雨を心配したがどうやら持ちこたえ、早めに行ったので能楽堂内の駐車場に入れた。

 トップ写真の鳥をご存知だろうか。ゴイサギである(ネットより)。鷺は白い鳥と思っていたが、ゴイサギは青みがかった灰色。この鳥の名前の由来と言われる、能「鷺」を紹介します。↓は、ネットより。NHKで放映されたもの(シテは近藤乾乃助さん)だが、シテの鷺は、鷺冠(さぎかんむり)をいただき、鷺の扇を持ち、白づくめの衣装だ。
      

 作者:世阿弥元清(?) 出典:平家物語、源平盛衰記など

 あらすじ: ストーリーは簡単。延喜の御世に醍醐天皇(子方)が平安神宮の神泉苑で遊んでいると、鷺(シテ)が飛んできます。帝はそれを捕まえるように大臣(ワキヅレ)に命じます。大臣はその宣旨を蔵人(くろうど・ワキ)に伝えるが、蔵人は空を自由に飛びまわる鳥を捕まえるのは難しいことだと躊躇します。すると大臣は王土の下では、鳥でさえも王威に服するものだと蔵人を励まします。

 鷺が逃げようとしたので、蔵人は「勅定だ」と呼びかけると、鷺は引き返し羽を垂れ地にひれ伏します。喜んだ帝は蔵人に五位の位を授与するとともに、鷺にも五位を授けます。鷺は嬉しそうに舞い(他の作品にない特別の舞)、空に放されます。

 ここから「五位鷺」の名が生まれたと言われ、日本の位階制度では、従五位以上は貴族なので、ゴイサギは一般人よりエライとか。

 この能では、シテの鷺は少年あるいは還暦を過ぎた老人が直面(面をつけない)で演じるとされているそうだ。今回のシテは、玉川博さん、ワキが人間国宝でワキ方の下掛宝生流宗家、宝生閑さん、帝は小学生の子方、船本嘉希くんだった。

  子方(帝):船本嘉希 シテ(鷺):玉川 博 ワキ(蔵人)宝生 閑
 ワキヅレ(臣下):苗加登久治 御尉誠吾 殿田謙吉 
 ワキヅレ(輿):平木豊男 北島公之  間狂言:増田秋雄
 地謡:渡邊容乃助 渡邊荀之助 他

 大皷:亀井忠雄 小鼓:住駒幸英 太鼓:麥谷暁夫 笛:吉野晴夫

 宝生閑さんは、以前、A紙の「追憶の風景」と言うシリーズに、”景色見つめ 旅僧になる”のサブタイトルで、野宮神社や在原寺などについて書かれ、ワキの役目を語っておられた。今回の役は、僧ではなく蔵人(帝の秘書のような役割)、大臣の命令のまま鷺を捕まえるのだが、鷺をいたわるようなしぐさ、それでいて重々しさが感じられ、やはり存在感が違うと思った。 
 また、子方の船本くんは、どなたか能楽師さんの子供さんかお孫さんだろうか、住んだきれいな声でよどみない言葉、顔を上げ、帝らしく、堂々とした演技だった。

 「鷺」は、「鶴亀」とよく似て、短いけれどおめでたい曲。「鶴亀」は鶴と亀は子方が可愛らしい舞を見せ、帝が「楽」と言う難しい舞を舞います。
 「鷺」では、鷺そのものが、清楚な鷺の装束で美しい舞を見せます。この舞と囃子について、次のお稽古の時先生にお聞きしたいと思っている。

 さて、今日、こしぶ眼科へ行ったら、玄関にサギ草の鉢が飾られていた。
         

        


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15 コメント

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Unknown (なは)
2011-09-05 15:42:52
清姫様
昨日の見事な能が、はやこれまた、見事な記事になっていて驚きました。{ここでE子が帰ってきました、ねえ、昨日の能の鷺がもうブログに載っている、と伝えました、ええ、と驚いています。そのうち、覗きにくるかもしれません、いまはシャワーをあびています。}
本当に見事なお能でした。清姫様のお話のとうり、あの場面の迫力や音曲が甦ってきます。
Unknown (清姫)
2011-09-05 18:09:15
なはさん
娘の付き添いでこしぶさんへ行ったら、サギ草があったので写真を追加しました。これは白鷺ですね。
そう言えば、シテの玉川さんの舞のこと、書かなかったので追加しようと思います。
Unknown (姫)
2011-09-05 23:31:20
これまた見事な解説ですね。
鷺草のおまけまでついて・・
満員でしたか。
駐車場穴場を見つけて、車で行けるようになり、これからチョクチョク簡単に行けるようになりましたね。
Unknown (清姫)
2011-09-06 05:59:33
姫ちゃん
はい、サギ草、偶然見つけオマケしました。
満員でしたよ。常連の方はもちろん、県外から同窓会で観に来たと言う人が隣におられました。
早めに行くと、能楽堂の駐車場に入れてくれます。
でも、やはり道中はコワいですね。
Unknown (なは)
2011-09-06 09:59:34
清姫様
あの小学生さんの帝は、本当にきりっとして、細い体なのに堂々として威厳かあって立派でした。先生も慈味溢れるとか人間味豊かとか、なにか優しさを感じました。
鷺草、綺麗です、あのお能のもつ、清くもの静かなみたいな雰囲気を漂わせています。
Unknown (清姫)
2011-09-06 17:57:29
なはさん
ほんとに立派な子方さんでしたね。
山崎先生のお孫さんも、「鞍馬天狗」や「満仲」の子方を上手に演じられたのですよ。
鷺草、白鷺のようできれいな花ですね。
Unknown (なは)
2011-09-06 20:35:47
清姫様
E子が帰ったら、二人で見ようとコンピューターを3時過ぎに開きましたら、あーら不思議、{お気に入りー}のところに項目が無くなっているではありませんか。どこをどうしていいか判らなくて、ほんとにがっかり、E子が帰って来て、いろいろ探してくれましたが、なくて。さっき息子が帰ったので,ようやく見られるようになりました。何にも判っていません。
Unknown (なは)
2011-09-06 20:58:47
ようやく見られるようになった鷺、E子はお能の鷺も五位鷺も、鷺草も、綺麗と言って見ました。
庄川に五位鷺がいたのを見たそうです。
Unknown (風子)
2011-09-06 21:11:54
清姫さん
人間国宝のお能は素晴らしいでしょうね。
鷺草のアップも素敵です。
私も鷺草の鉢貰ったことありましたが、いつの間にか消えてなくなりました。
Unknown (清姫)
2011-09-07 00:11:58
なはさん
パソコンは、ほんとにいつの間にか画面が変わっていることがあり、困りものです。
どこを触ったのかと心配になり、次に触るのがコワくなるのです。
茶々姫さんもそうなのかも、ね。
やっぱり息子さんが頼りになりますね。
E子ちゃんに、綺麗と言ってもらって嬉しいです。
ゴイサギってこんな鳥とは知りませんでした。
庄川にいましたか。新湊のバードパークにアオサギがいましたよ。

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