「下町ロケット」 池井戸潤 作・小学館。7月に直木賞を受賞した作品だ。この作家の「空飛ぶタイヤ」と「鉄の骨」は、それぞれ、WOWWOWとNHKでドラマ化されたが、「下町ロケット」も三上博史主演で、WOWWOWで放映が始まったらしい。WOWWOW契約の人は、すでに見ておられることだろう。
作者は元大手都市銀行員。銀行員でよかった、と思ったことはほとんどなかったそうだ。中小企業への融資担当などを経て退職した。「銀行の組織は大嫌い。でもたくさんの社長と仲良くなれたのが財産だ」そうだ。
「空飛ぶタイヤ」は、自動車会社のリコール隠しをモチーフに、運送会社の社長が、自分の会社の整備を信じ、大手自動車会社と対抗する話。最後まで息をつかせぬ展開だった。
「鉄の骨」は、本は読んでいないが、テレビドラマは半分ほど見た。ゼネコンの談合がテーマだった。いずれも企業小説。下町の中小企業の社長と社員の感動的な奮闘記というところだ。
「下町ロケット」は早くから図書館に申し込んでいた。「佃製作所」の社長、佃航平は元宇宙ロケット開発の研究者だった。だが打ち上げに失敗、責任をとり宇宙開発機構を辞め、実家の町工場を継いだ。そして、ロケット開発に必要な特許を巡り大企業と闘うことになる。
利益のみを追うか、夢を追うか、社員の中でも意見が分かれる。常に新しいものを求める研究、手作業も伴う精密な技術、もの作りのプライド、技術者魂、そして法廷闘争…が大企業の組織に最後は勝つ。
社長だけでなく、登場人物一人ひとりの人生や内面が描かれ、読み応えがある。銀行を辞めて本を書き始めた池井戸さんは、ビジネス書は売れるが小説は売れないのはなぜだろう、と考えた。そして、プロットでなく「人」をどう描くか、登場人物は本物の人、それぞれの人を敬意をもって描こうと気づいたそうだ。
最近クローズアップされている作家なので、新聞などに掲載された記事からの抜粋になってしまいました。ともかく一気に読めます。企業小説と言うものの、ホームドラマのように読み終わるとほのぼのとした気持ちになりますよ。
人の内面、と言っても漱石や鴎外の世界とはかけ離れているかも。
海堂尊の医療ミステリーも好きで、これも駆け引きやはったりの業界の話です。でも、その中に「優しさ」が滲み出ているかな?
「運命の人」もまだ途中なのに、図書館の本が先になりごめんなさい。
8月に山田太一の「空也がいた」というのを読みました。
小杉の図書館でも探してみます。
おもしろそうですね。
面白いですよ。読みやすい。
でも図書館ではまだまだ後につながっているらしい。
そう言えば、伏木図書館の本でしたよ。
空也って、六波羅蜜寺の空也上人ですか?
今日、茶々姫さんが、なはさんに借りた本を2冊一気に読んだと言っておられました。
この本のことでしょうか。
小杉の図書館にもあるでしょうね。
テレビドラマになるほどだから、けっこう読まれていると思います。
読んでみたい本。
日本には優れた技術を持った町工場があると聞き、スゴイと思っていました。
その技術、若い人にも受け継いでほしいですね。
昨日はわざわざ訪ねてくださりありがとうございました。
午後、さっそく姫ちゃんにわたしましたよ。
この本の中では、その技術へのこだわりは若い人にもしっかりと伝わっています。
そして、伝えようとする人の情熱も素晴らしいです。
読んでいて嬉しくなる本ですよ。