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Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

「能楽座」公演・能「盛久」

2010-07-11 | 能楽
 ウイングウイングでお能が演じられるのは2度目ではないだろうか。 数年前に「東北」を観た。 その時も高岡市の主催だったが、今回もそうで、金沢能楽会と高岡能楽会の協力となっている。 チケット、A席4,000円は少々高いが、近くで観られるのは有難いので、発売初日に求めていた。

 10日(土)午後、自転車で出かける。 4階ホールに、屋根こそないが、鏡板や橋懸かりを設けた能舞台がしつらえて(トップ写真)あり、いつもの舞台とは違う雰囲気を醸し出している。 客席も、男性の姿がかなり多い。 蒼山会の方たちにも何人かお会いした。 MiTUのバスのTaさんにも。 この方も合唱と謡と両方をやっておられる。

 「能楽座」は流派を超えた東西一流の能楽師により結成された会だそうで、この日の演目は:
      * 舞囃子「菊慈童」観世流・・・観世銕之丞
      * 狂言「清水」和泉流・・・野村 萬
      * 能「盛久」・・・近藤乾乃助        
と言うそうそうたる方々である。

 「菊慈童」(宝生流では「枕慈童」)は中国の古いお話。
帝の枕を誤って跨いだ罪で追放された少年が、枕の経文と菊の露の霊泉のおかげで不老不死の体になり、7百年も生きている。
 「楽(がく)」と呼ばれる大陸風のゆっくりとした長い舞が面白かった。 これは「太鼓あり」なので、太鼓と舞の両方を見るのに忙しい。

 「清水」は、太郎冠者が清水を汲みに行くのが嫌さに、鬼が出たと偽って逃げ帰る話。 「捕って咬もう~」と鬼に扮して言う台詞と所作が面白い。 「万蔵」を継がれた、萬さんの次男さんの芸を初めて見た。

 さて、能「盛久」の主人公、盛久(シテ)は平家の侍。 一の谷の合戦で捕らわれ、鎌倉に護送される。 護衛の土屋三郎(ワキ)に頼み、日頃から信仰のあった清水観音に寄り、参詣後、京都から鎌倉へ幾日かの旅を続ける(名文で綴る道行)。 鎌倉で幽閉された盛久は、毎日読経をして過ごすが、流転の身を嘆き死を願う(独言)。 
 いよいよ処刑の日が来て、御経と念珠を持ち由比ヶ浜へ引かれて行く。 心静かに念仏を唱えて最期の刀を待っていると、太刀取が太刀を振り上げた途端に御経から発する光に目がくらみ、太刀を落とし、太刀は二つに折れる。 (絵とポスターでご想像ください) ここまでが、〈前場〉。

               
 
                  

 〈後場〉 このことを聞いた頼朝は、盛久を呼び自分の見た夢と盛久が前夜見た夢が同じであることを確かめ、夢の一致に奇特を思い、盛久を助命し盃を与える。 そして、舞の達人と呼ばれた盛久の舞を所望する。 盛久は、梨子打烏帽子、白鉢巻き、掛直垂を着て、小刀をさし、扇を持って(舞台の上で後見に着せてもらう…物着)、頼朝を寿ぎ、我が身の喜びも添えて舞を舞う(男舞)。 舞い終えると、長居は恐れありと暇を告げ、都へ帰って行く。
 
 これだけ場面展開が多い曲なのに、主にシテ(盛久)とワキ(土屋)の二人の謡や動きと地謡で話が進む。 しかも、現在物なので、直面(ひためん…面を使わず素顔のまま)なのだ。 また、後場の頼朝邸では頼朝は出て来ない。 シテとワキ、地謡が創り上げていく。 ドラマチックな見どころが多い能だが、演者の演技力がものを言う難しい曲だと思った。 私は、1度お稽古をしたので本を持って行ったが、初めて見る場合はわかりにくいかも知れない。 強い信仰心を持った盛久の思いは伝わってきたが。

 ウイングウイングの1Fロビーで、今年も「平和チャリティ色紙展」が開かれており、観能の前に寄った。 ちなみに観能後図書館に寄ったら、大門のKaさんが本を借りに来ておられ、ジャカッセでお茶を飲んでお喋りと言うオマケがつき、楽しかった。

            

              

 県内の一流の画家の方達の作品である。

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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (森のくまさん)
2010-07-11 11:40:56
清姫さま
梅雨どきは何か気が晴れませんがこうして好きなものを見て、おしゃべりタイムを持つと鬱陶しさも飛んでいきます。
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Unknown (清姫)
2010-07-11 17:46:09
くまさん
お能、コンサート、演劇、ミュージカル、何であれ、観客席に座る時のホールの雰囲気がとても好きです。充たされたと言うか、ね。
このお能は観音経、次回見る「鵜飼」は法華経と、神仏を信じ救われるお話が、能にはとても多いのですよ。
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Unknown ()
2010-07-12 01:17:37
清姫さん、読むだけで疲れました。
「能」を堪能していますね。
私は、これだけ深く見ることは出来ません。
あなたもその舞台に立つのですね。
19日楽しみにしています。
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Unknown (清姫)
2010-07-12 06:54:20
姫ちゃん
読んでくれてありがとう。
実際、疲れる能でした。 太鼓もないし…。
でも、なぜか眠らなかったよ。ウイングのせいかもね。
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Unknown (風子)
2010-07-12 18:41:50
清姫さんの解説を読ませていただくと情景が浮かぶような気がします。
私は怖がりなので侍の切った張ったは苦手ですが…。狂言は面白いですね。
色紙は写真で見る限りでは左の山の絵が気に入りました。
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Unknown (清姫)
2010-07-12 20:22:25
風子さん
和泉流の野村家は金沢の出身だそうで、金沢や高岡では、直系の万蔵さんの家系の公演が多いようです。
色紙は写真ははっきり写ってないけど、良い絵や版画が多かったです。
山の絵はたぶん呉谷さんのだったはずです。
いくらくらいなのでしょうね~。入札のようですよ。
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