Ruby の会

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能 2番「俊寛」と「井筒」

2016-06-20 | 能楽

 5/15(日)、高岡能楽会創立40周年を記念して、高岡定例能楽大会が開かれた。第1部では会員の素謡、第2部では、金井先生の仕舞「笠ノ段」、金森先生の仕舞「網ノ段」、能「俊寛」が演じられた。

 「俊寛」は、能の中でも特別な作品である。まず、能の最も大きな特徴である舞の部分がない。その代わりといっては何だが、演劇的な要素が強い。典型的な能のように、舞を通じて場面が展開していくのではなく、物語の持つ必然性を通じてドラマが展開していく。私は前進座のお芝居で見たことがあるが、歌舞伎の演目にもあるはず。

 歴史的にも有名な話なので、ご存知の方も多いだろうが、簡単にあらすじを書くと…:
 平家打倒のクーデター計画が露見し、鬼界島に流罪となった俊寛(シテ)・成経(ツレ)・康頼(ツレ)の三人は、この最果ての地で、遠い故郷を思い出しては今の境遇を嘆いていた。そこへ、赦免を知らせる使者(ワキ)が到着する。が、赦免状には成経・康頼の罪をゆるすとあるばかりで、俊寛の名がない。じつは、俊寛ひとりだけは島に遺して来いというのが、赦免使が受けた命令であったのだ。絶望する俊寛を尻目に二人は迎えの船に乗り込む。自らも船に乗ろうとすがりつく俊寛であったが、力に任せて追い払われる。船は出発し、俊寛は絶海の孤島にただひとり遺されて、去りゆく船を見送るのであった。

 ↓ 成経と康頼。 

  ↓ 俊寛が、成経、康頼とともに使者を迎える。

  ↓ 赦免状を何度も読む俊寛。

  ↓ 俊寛が一人残される。(写真は、高岡能楽会のHPより…ようやくアップされました)

 能「俊寛」は、「平家物語」を出典としているそうで、俊寛を首謀者(悪者)として描いているが、史実は異なるそうだ。
 ↓は、同じ5月30日、東京水道橋、宝生能楽堂で、「俊寛」の演能があり、シテは同じく大坪喜美雄先生だ。↓は、そのポスター。

 5/14(土)、夕方に娘夫婦が高岡へ到着。「次の日に、俊寛のお能があるけどどうする?」と聞くと、「行く、行く」と大乗り気で、時間きっかりに高岡能楽堂へやって来た。終わった後、「20回ほど眠ったが…」と前置きしながら、マークが、「とても感動した」と語った。

 music…sound, color, space(空間)のtimingが素晴らしい。言葉の意味はわからないが、そのタイミングに感動すると言う。 最初のことばを静かに待つ空間、笛が基礎を作り、ワキがストーリーを語るのを待つ雰囲気。
 装束の色、デザイン、動きで別のストーリーの始りを感じ取る。詳しい物語を知らなくても精神の世界が感じとられる、と言う。面白いと思ったのは、fabric=織物 のようだと言う言葉。音楽(囃子)、歌(地謡)、言葉(謡のセリフ)、舞、装束などが一つの織物を作るようだ、と言う意味か? なはさんいわく「綾をなす」に通じるのでは?
 マークの言葉で、新たな目でお能を見る気持になった。

 ↓は、第1部の「蒼山会」の素謡「花筐」。

  さて、5日後の5/20(金)は、高岡瑞龍寺の燭光能(利長忌)の日。この日は、マークの個展(ナカムラ印房にて)の初日。にもかかわらず、娘夫婦は見たいと言う。演目は「井筒」。私は、何度も見ているので娘たち2人に行くように言った。展覧会場のギャラリーを留守にするわけにもいかず、私はお留守番。

 これは、娘が感動したと言って帰って来た。シテは金森秀祥先生。在原業平の妻が、幼い頃井戸の回りで業平と背比べをして遊んだ思い出を語り、業平のいでたちで現れて夫を偲ぶ物語。「序の舞」がとても美しく、涙が流れたそうだ…。
 ↓は、翌日のKI新聞のHPより。

 


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2 コメント

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Unknown (なは)
2016-06-21 18:15:13
清姫様
素晴らしかったお能を貴女の紹介で思い出します。
マークさんも感受性が豊かでいらっしゃいます。「鬼界が島」の物語の織りなす感情をとてもうまく捉えるえられていられますね!俊寛の悲しさや情けなさなどお能は演劇とは違う静かな訴え方をしますね。笛の音や鼓の音、地謡など層状効果があるのでしょうか。
小姫様も豊かな感性で「井筒」を見られたのですね!金森先生ならさぞや美しくしっとりと舞われたでしょうね。想像して楽しませていただきました。
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Unknown (清姫)
2016-06-21 19:54:35
なはさん
途中まで書いてずっと放ってありました。
能楽会のHPを何度開いても更新されておらず、昨日ようやく見つけました。能楽会主催の舞台は必ずアップされます。とても上手に撮ってありますね。
能は、演劇とは違う静かな訴え方、と言うのは本当ですね。だからマークにも伝わるのでしょうね。
先日の「龍尚会」の居囃子で、合わない楽しさを味わいました。今度からリラックスして打てそうです。
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