覆面評論家 改

サッカー、格闘技などスポーツ全般を綴ります。
日本の弥栄を祈念

魔裟斗の殴りあい宣言!しかしヴァージル・カラコダはキックで?

2008-03-01 21:46:39 | K-1
「K-1 WORLD MAX 2008~FINAL16~」に出場の魔裟斗は、「バチバチに打ち合ってのKO勝ち」を宣言した。

魔裟斗がバチバチに打ち負かす相手は、元IBF王者のヴァージル・カラコダである。ボクシングから転向し、佐藤嘉洋、前田宏行、小比類巻貴之に勝利した実績がある。ヴァージル・カラコダは、キックに対するリスクをある程度は解消できたと考えられる。

ヴァージル・カラコダのパンチは、K-1MAXでずば抜けて速い。ボクサーの前田宏行は別にして、佐藤嘉洋、小比類巻貴之もその速さについていくのは難しく、カラコダの勝利となった。しかし速いパンチだけではK-1MAXで勝てない。ヴァージル・カラコダがキックの対処ができるようになったからこそ、キックに自信がある佐藤嘉洋・小比類巻貴之を下すことができた。

魔裟斗が言う「バチバチ」とは「殴りあいをする」との意味だろう。ボクシングの元世界チャンピオンに殴り合いで勝てるのか、少し疑問が残るところではある。もし本当に勝ついことができれば、K-1MAXチャンピオンも難しくない。しかし魔裟斗はボクサー相手の試合前には、パンチで勝負するとしながら、最後にはキックで勝利を決定づけている。

ヴァージル・カラコダ戦もキック主体であれば、魔裟斗の勝利はほぼ確実だ。結局キックでトドメを刺すことになるのだろうが、殴り合いをどこまでできるかみたい。

ボクサーが鳴り物入りでK-1MAXに参戦して、惨敗するケースは多い。予想以上のキックの威力の前に、豪腕パンチも及ばない。そこでキックの練習をするのだが、準備不足で実戦で役にはたたない。それはキック単独の練習であることにも少し原因がある。パンチとキックがバラバラの習得では、上下のコンビネーションがとれていないのだ。それを克服できれば、ヴァージル・カラコダのように速いパンチを持つ意味がでてくるのだ。



魔裟斗二世は俺!HIROYA・藤鬥嘩裟? 雄太もいるぞ! 

2008-02-23 08:59:51 | K-1
昨年大みそかのK―1甲子園での対戦が流れた、HIROYAと藤鬥嘩裟(ふじつかさ)が、世界一決定トーナメント開幕戦(4月9日、広島グリーンアリーナ)で行われることになった。

HIROYAと藤鬥嘩裟はともに強気のコメント。藤鬥嘩裟が「負けません」といえば、HIROYAも「今の僕には勝てないと思います」とやり返す。そしてHIROYAは「自分が勝ってもプラスにならない相手です。なるべく早い段階で決着をつけたい。」とも言い放つ。

しかし早い段階でのKOは難しい。焦って単調な攻撃になると、藤鬥嘩裟を指導する加藤重夫会長がたてる作戦に、はまってしまうだろう。魔裟斗を指導した加藤重夫会長が、藤鬥嘩裟を10年に1人と豪語する逸材だ。HIROYAは藤鬥嘩裟を格下と考えずに戦うことが必要と思われる。

「K-1甲子園U-18日本一決定トーナメント」で、雄太に敗れ優勝を逃したHIROYAには焦りがある。谷川EPに期待をかけられ、優勝候補の本命だったはずがスターの座を雄太に奪われた。そこへ魔裟斗二世の称号を二分するライバルの登場だ。敵は雄太だけで十分なのに、数が増えては厄介なので、早いうちに叩き潰したい本音がみえみえである。

K-1甲子園でHIROYAに優勝して欲しかった谷川貞治には、今回の対決は純粋な興味があると同時に、複雑な思いがあるだろう。K-1が金銭を投入して育てているからには、HIROYAが勝ちK-1の看板選手としての地位を固めてもらうことは順当なところだ。

「K-1はいつも同じ選手ばかりで面白くない。」との意見も多い。この打破には高いレベルの選手を揃えないと効果がない。その意味では藤鬥嘩裟が勝つことは大いに益がある。格闘界とK-1ためだけでなく、HIROYAのためにもなる。順調に育った王者よりも、厳しい環境に打ち勝ってなる王者なればこそ、真に人をひきつけるスターとなることができる。

藤鬥嘩裟は、ここで負ければK-1への出場機会は減ることになる。HIROYAが負けてもスター候補だから先がある。この試合に藤鬥嘩裟が勝てば、雄太も加えて三つ巴の混戦となり大いに盛り上がる。そして3人が切磋琢磨し、大きく育つ環境が整うことになる。この観点から藤鬥嘩裟の勝利を願うのである。



前田日明の世界制覇の野望! 日本人の戦いの遺伝子が今解放される?  

2008-02-17 17:54:48 | K-1
総合格闘技「HERO’S」のスーパーバイザー前田日明が、HERO’Sと旧PRIDEが合体して新団体「DREAM」が誕生したことを受け、スーパーバイザーを退任することになった。そして前田日明は、新総合格闘技団体「THE OUTSIDER」発足させる。

「全国の不良たちを集めて、アマチュア総合格闘技の大会を開き」「いずれ、ここから世界に通用するような選手を出したい」と前田日明は新たな人材の発掘を目指している。

すでに暴走族の総長やチーマーのリーダーなど20名近くの出場応募があるらしい。これだけいればモノになる選手の1人や2人はいるかもしれない。格闘技の精神的・技術的な素質があり、真摯に練習が続けられれば、前田日明の指導の下で道を切り開けるだろう。

この企画は格闘技界の活性につながるだけでなく、国家の安全にも益が大きい。不良が犯罪にエネルギーを消費するのではなく、ルールに則ったスポーツに熱中することにより、「ルールを守る尊さや、対戦相手や関係者への礼儀を身につけることができる」、と大きな期待を抱かせる。

前田日明によれば、日本人格闘家は人材不足で、新しい選手が出てこないとのことである。その事実は、日本人の総合格闘技の素質と関係はない。輩出される環境が整っていなかっただけのことである。前田日明の努力により、改善されることになった。

元来日本人は格闘技の素質は十分にあると思う。胴長短足の日本人は体型的に、手足の長い白人・黒人に比較して不利である。特に打撃系のボクシングやキックボクシングではハンデが大きい。しかし格闘技の素質と戦術の巧みさで、世界チャンピオンを輩出し続けている。さらにパワーで外国人に劣るとされるが、軽中量級で体重が同じであれば遜色はない。肉体的に決定的に劣っていないのだ。

新たな人材はどこからでも出てくる可能性がある。やり場のないパワーが溢れてもてあましている点において不良は一番だ。そして日本人の遺伝的素質を考えれば、どこからでも生まれでてくる可能性がある。

戦いといえば武士である。先祖代々武士の家系は、日々武術を鍛錬しその素質を養ってきた。しかしそれ以上に可能性があるのが、百姓である。先祖代々の百姓は農作業で足腰の粘りや筋持久力を、城の普請で重い石等を運ばされパワーや全身持久力等を、そして劣悪な環境に負けない精神力養ってきた。

そして戦となれば雑兵として戦場に駆り出され、矢玉をよけ槍で突きあい、反射神経をも養ってきた。雑兵は目玉に弓矢が刺されば自分で引き抜く豪胆さがあり、あるいは敵の雑兵と素手で白兵戦もする。戦国時代の鍛え抜かれた身長150センチの雑兵を、ボビーオロゴンとケンカさせたらその強さが証明できるだろう。

こう考えれば偉大なる戦いの遺伝子は、数多く日本の各所に埋もれているのは明白である。




「城戸康裕・山本優弥」日本は厳しい? アンディ・オロゴン

2008-02-03 09:13:46 | K-1
「K-1 WORLD MAX 日本代表決定トーナメント」は城戸康裕が優勝し、アンディ・オロゴンの野望を阻止した。日本代表決定に、ボビーとアンディの兄弟が優勝してはしまらない。国籍はどうあれ、魂が日本人である者にこそ、日本代表が相応しい。

アンディ・オロゴンに勝ったのは城戸康裕である。しかし1戦目の山本優弥戦でアンディ・オロゴンの運命は決した。山本優弥のローキックのダメージで、アンディは戦う力が残っていなかった。

山本優弥は2Rにダウンを奪われたが、試合全体の流れはパンチの打ち合いでも、手数でアンディ・オロゴンを圧倒していた。ダウンがなければ山本優弥の判定勝利だった。3Rには山本優弥のローキックのダメージで、アンディの動きが止まった。パンチで攻めるエネルギーの半分を、ローキックに使えばKOも可能だった。

小比類巻貴之を破壊し、アンディーサワーからダウンを奪う強打のアンディ・オロゴンも、対策が万全ならば怖くないことが証明された。アンディ・オロゴンの右ストレートが一撃KOの威力を秘めるとはいえ、結局のところ相手の出鼻に放つカウンターでしか使いこなせていない。

アンディ・オロゴンは、自分で試合を組み立てる能力がまだそれほどない。受動的な戦いだ。相手の攻撃に耐え、右ストレートを放つ。このスタイルのままならば成長はないだろう。キックには強くないし、パンチの打ち合いでも、山本優弥に押される場面が目立った。年季の入った猛者相手に、優勝を狙うのは早すぎた。



アンディ・オロゴンが日本を蹂躙か?山本優弥・TATSUJI日本の意地は?

2008-01-26 08:46:18 | K-1
「K-1 WORLD MAX 日本代表決定トーナメント」(東京・日本武道館)が2月2日開催される。谷川貞治イベントプロデューサーに優勝の「本命」とされたアンディ・オロゴンが、新必殺技として「跳びひざ蹴り」準備し、1回戦の相手・山本優弥とTATSUJI等の撃破を目論んでいる。

当たればアバラが折れる、と自画自賛するほど強力な蹴りらしい。確かにアンディ・オロゴンは跳躍力に優れている。カウンターで食らったら、特に危ない。

アンディ・オロゴンには、長い腕を活かしたストレートがある。小比類巻貴之もこのパンチに破壊された。これに跳びひざ蹴りが加わると厄介だ。しかし攻略方法はある。大技にはスキが多いからだ。

「跳びひざ蹴り」は当たればダメージは大でるが、空振りになった時にスキができる。着地するまでに時間があるので、反撃する余裕ができる。そのスキを如何にして捕えるかがポイントになる。

むしろ「跳びひざ蹴り」を怖がるのではなく、呼び込むことができれば、チャンスを創ることができる。山本優弥やTATSUJIが注意しなければならないのは、跳びひざ蹴りに気をとられてストレートの警戒を怠ることだ。中途半端な位置にいるとストレートの餌食になる。従って距離をとって単発のローキックから活路を見出すか、TATSUJIがアンディ・オロゴンに判定勝ちした時のように、懐に飛び込むかである。

アンディ・オロゴンにとって最も戦いにくいタイプは、TATSUJIである。TATSUJIの接近戦での連打は脅威である。一撃で倒す威力がないにしろ、そのスピードを以前の試合でアンディ・オロゴンは嫌がっていた。手足の長いアンディ・オロゴンにしてみれば、近すぎる相手は組みにくいのである。身体が接触しもつれ合うような戦いは、ストレートも跳びひざ蹴りも放ちにくい。

山本優弥の場合はストレートを避けながら、キックで攻めることになる。とにかく地道に、キックでダメージを与えなければならない。色気をだしてパンチで殴りあいは禁物だ。アンディ・オロゴンの距離で戦うことになるからだ。



ハニ・ヤヒーラも山本“KID”徳郁のスピードに目が眩んだ!

2008-01-01 17:13:38 | K-1
山本“KID”徳郁がハニ・ヤヒーラ(ブラジル/アブダビコンバット2007優勝)にKOで勝利した。

KID得意の1発KOではなかったが、パンチの連打でしとめることができた。ハニ・ヤヒーラの得意な寝技に持ち込ませなかったことが、山本KIDの戦いが、ほぼ狙い通りだったことを物語っている。

山本KIDの攻勢の前に、ハニ・ヤヒーラはパンチをヤケクソ気味に振り回し、拳が山本KIDの顔面を何発か命中し危ない場面があった。これさえなければ完勝だった。

山本KIDはパンチだけでなく、ローキックと前蹴りも鋭かった。低い身長にもかかわらず、ローキックと前蹴りは的確に命中し、出鼻を挫いた。K-1MAXに登場する中堅選手のローキックと前蹴りよりも速い。特に秀逸なのは、攻撃した後の戻りが速いことだ。

攻撃した後の戻りが遅いと捕まってしまう。山本KIDを捕えたいはずのハニ・ヤヒーラが、何もできなかったことが、山本KIDのスピードを証明した。それが原因でハニ・ヤヒーラはヤケクソになってパンチを振り回したのだ。

山本KIDが凄さをもう一つ。ハニ・ヤヒーラが胴タックルに突進したところ、山本KIDはいとも簡単に後方に投げ飛ばした。身体をかわしたとか、ハニ・ヤヒーラの突進力を利用したのではなく、強引にパワーで弾き飛ばした。

山本KIDは、身長は低いが瞬発力では、パワー溢れる外国人にも負けていない。というよりも同じ体重であれば、パワーで勝っている。身長が低く手足が短い日本人でも、スピードとパワーがあれば勝負になることを証明してくれた。

山本KIDは「柔術家は戦いにくい。」と発言したが、この試合の戦いをするかぎり柔術家は怖くない。しかしライバル達の研究も進むので、一つ一つの技を更に磨き上げ、努力を怠ってはならない。



ミノワマン(美濃輪育久)が奥義を究める?ズールかサッカーか?

2007-12-22 08:49:23 | K-1
大晦日のFields K-1 PREMIUM Dynamite!!でズール(ブラジル/ルタ・リブレ)と対戦するミノワマン(美濃輪育久)が、特訓の一つとしてサッカーの練習をしているらしい。

報道陣には全く意味不明のようだ。真実はミノワマンだけが知るのか?ミノワマンは様々な特訓で知られている。以前ある雑誌のインタビューで、「どんなスポーツでもすぐに習得できる能力を養いたい。」とのニュアンスの内容を語っていた。

サッカー特訓はズール戦のためだけではなく、全能アップの意味合いも含まれていると考えられる。子供の頃に色々なスポーツに親しむことにより、運動能力がアップすることはよく言われている。ミノワマンはそれを現在実行しているのだ。

一つのスポーツに偏ると、筋肉も神経も脳細胞も使う箇所が限られる。普段使わない箇所を鍛えることにより、バランスのとれたボディーとなる。肉体的な故障のリスクも減ることになる。

習得能力を高めるには、脳細胞と神経系の発達も重要である。使ってない脳細胞を活性化することにより、酷使している部分への影響も大きい。脳細胞は脳内での位置により役割分担がほぼ決まっているが、緊急時には補完する能力もある。脳の活動範囲が広がれば、脳の並列処理能力が向上し、スポーツのプレーの好影響をもたらすことになる。ミノワマンはこれを狙っているのだ。

多種のスポーツトレーニングは能力向上に有益である。そして「どんなスポーツでもすぐに習得できる全能の能力」を養うためにもっと重要なことは、一芸を極めることである。ミノワマンは総合格闘家なので、格闘の一つの技術を神業にまで到達させたい。

古来の沖縄空手の伝説の達人の多くは、一つの技を極めることに集中した。弟子たちへの指導も、一つの技をものにしない限りは、次の技を教えなかった。極めた人ほど、この傾向が強かったようである。ある達人は「一つの技の奥義を極めると、他の技の奥義も体得できる。」としている。ミノワマンの求めるべきものは、この辺りにあるのではないか?



エメリヤーエンコ・ヒョードルのスタミナを奪う? 崔洪万(チェ・ホンマン) 

2007-12-16 09:04:52 | K-1
PRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードルと、K-1の崔洪万(チェ・ホンマン)の大晦日対戦が決定した。

ヒョードルにノゲイラやミルコをぶつけても勝てなかった。強いとか上手とかではヒョードルを攻略するのは容易ではない。とはいえヒョードルが老いて衰えるのを待つのも芸がない。

崔洪万(チェ・ホンマン)に強靭で大きな肉体があっても、総合格闘技2戦目では苦しいことは間違いない。しかしチェ・ホンマンが長所(強靭で大きな肉体)を活用し、作戦を徹底させれば戦える可能性がある。

チェ・ホンマンは「シルム相撲で鍛えた腰の強さを利用して、倒されないようにする」とする。更に進めて触られないようにしたい。倒されないために一番必要なのは、不用意なキックと膝けりを出さないことだ。

蹴り脚を捕まえられたら終わりだ。膝けりも必要最低限に抑えたい。では何で勝負するのかといえば、パンチだ。ジャブでいいから、ヒョードルにコツコツと当てたい。ヒョードルはパワーが抜群にあるが、スタミナが切れるのが早いので、そこを突きたい。

リーチの長いチェ・ホンマンのパンチが有効なのは間違いない。パンチの圧力を嫌がって強引に飛び込まれたら、強靭な身体にものをいわせて倒されないよう粘るべきだ。

とにかくチェ・ホンマンが勝つためには、捕まらないこととヒョードルのスタミナを奪うことが重要となる。その二つを可能にするのがパンチなのだ。



最凶セーム・シュルトが フェイトーザ・バンナ・アーツのレジェンドを破壊?

2007-12-09 11:26:50 | K-1
格闘技K-1ワールドグランプリ2007決勝戦が行われ、05、06、07年と史上初の3連覇をセーム・シュルト(オランダ)が、グラウベ・フェイトーザ、ジェロム・レ・バンナ、ピーター・アーツの3名を破り達成した。セーム・シュルトは「歴史に残る選手になれた」と胸を張るが、セーム・シュルトへの声援がほとんどなく「最凶王者」の称号が相応しいことを証明してしまった。

セーム・シュルト圧勝の結果に、谷川貞治イベントプロデューサーは「1日4試合戦わせるなどのハンディが必要。」とコメントする。独走はどうか?と言わんばかりだが、谷川貞治には有難い状況だ。人気のない「最凶王者」が、白目をむいて倒れる日まで反対派が熱くなるからだ。

ジェロム・レ・バンナは「強いのは分かるが、何で負けたのか分からない」と発言するが、敗因は明白である。リーチもあり身長も高いセーム・シュルトに勝つために、ジェロム・レ・バンナは懐へ飛び込んだ。そして豪腕パンチをお見舞いできれば勝負になった。が、パンチは宙をきり当たらない。

セーム・シュルトの懐の深さは、想像以上だったのだ。セーム・シュルトが首を伸ばせば的が遠くなる。総合格闘技でも活躍していたので、飛び込まれても相手のバランスを崩す技術があり、パンチの威力を半減させ、そしてパンチをもらわない。

ジェロム・レ・バンナが、セーム・シュルトのディフェンスに易々とはまってしまったのは、ローキックでも膝けりでもなく、空手の正拳突きのようなパンチが原因である。威力のあるパンチを小刻みにもらい続けた。これを防ぎ、跳び込んだ時のパンチがまともに1発でも当たれば、セーム・シュルトといえども最凶ではなかった。



澤屋敷純一と藤本祐介を追跡! 元気のない武蔵

2007-10-14 09:48:17 | K-1
K―1の武蔵(正道会館)が12月8日のワールドGP決勝戦(横浜アリーナ)で復帰する。谷川貞治イベントプロデューサーと武蔵の話合いで、「一から出直したい」との武蔵の希望で決定した。

武蔵は藤本祐介との直接対決に敗れ、日本人エースの地位を失った。2人は以前スパーリングパートナーであり仲が良い。この試合2人とも本気で戦わず、角田信朗から警告が出された後、藤本祐介のKO勝利で終わった。

格闘家が手を抜き負けると、そのままどん底をさ迷い続けることが往々にしてある。ピーターアーツもそうだった。20世紀最後の暴君と言われていた絶頂期、ジェロムネバンナと対戦した。1Rでアーツはバンナからいきなり2回のダウンを奪い、バンナを後1回沈めればTKOになるはずだった。

しかしその状況でピーターアーツに緩みがでた。顔から殺気が消え、余裕の表情さえみせた。それが命取りになった。立ち上がったジェロムネバンナは、気が狂ったように突っ込み豪腕を振り回す。そして1発がついにアーツの顔面を捉えた。アーツは崩れ落ちKO負け。

その後はトーナメントの優勝から遠ざかり、アーネストホーストの1人天下になってしまった。格闘技に限らずスポーツの世界は厳しい。一旦転げ落ちると自分の実力だけで立て直しがきかなくなる。運とか目には見えないものに左右されてしまうことがある。歴史に学びたい。

新しくエースになった藤本祐介は、澤屋敷純一にあっけなく天下を譲り渡した。しかし藤本祐介には外国人に劣らないパワーがある。スピードとテクニックが備わればまだ戦える。

武蔵はどうだろうか?肉体的にピークは過ぎた。テクニックはあるがここ一番の爆発力がないため、KO勝利が少ない。単発のキックの威力はある。ガードの上から蹴っても、レイセフォーの顔が苦痛で歪むほどだ。

しかしパンチにパワーがない。下半身に比較して上半身は細い。武蔵がパワー不足とされる原因だ。武蔵にはパンチ力強化のための、トレーニングが必要だったかもしれない。今トレーニングをしたところで遅いかもしれない。澤屋敷純一と藤本祐介を追いかけるために、過去の武蔵からバージョンアップさせる必要があることは間違いない。