「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

《マシュメガネ対談》 今こそEno(イーノ)から見る『Rockの歴史を語る』(Eno展覧会のお話)

2022-04-30 15:19:43 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
うーん……むーん……ぬぅーん……
{編集長Mash}
なんだよウンウン唸って。はは〜ん、悪いもんでも食ったか。道端のタンポポを生で食ったとか?
《メガネ》
ちゃうわ!今時そんな人いませんよ!
{編集長}
そうお?
《メガネ》  
そうお?じゃないですよ!いませんから! いえね、我々、長かったチャーリー追悼対談を終えて、ようやく「イーノで紐解くロックの歴史」を再開しようとしとるわけなんですが……

……どこまで話したっけ?

{編集長}
オイッ!
《メガネ》
いや!だってもう半年近くトんでるんですよ!?しかも最後、アリスですよ!?イーノから期間的にもネタ的にもだいぶ離れてますよ!
{編集長}
あっ!今アリスを馬鹿にしたか!?
《メガネ》
いやいや!してないしてない!アリスはちゃんといい"バンド"なんだって話したじゃないの!
{編集長}
うむ。分かれば宜しい!
《メガネ》
まあまあ、忘れかけてるってのは冗談半分なんですが……実はですね、6月からある催し物がありまして。
{編集長}
ん、何?
《メガネ》
これです。


ブライアン・イーノ・アンビエント・キョート(https://ambientkyoto.com/)。
京都でイーノのインスタレーション(空間そのものを作品として構成する現代美術の一種。特にイーノは光と音を使った作品が有名)が開催されるんですわ。8月までやるみたいですね。
{編集長}
ほーお!面白いものやる気ですなぁ!
《メガネ》
私は勿論行くつもりなんですが、当ブログ読者の方々にも是非足を運んで頂いて、イーノの魅力を知って頂きたいな、と思い、今回はイーノで紐解く〜は一旦置いて、「なぜブライアン・イーノはこんなにイーノ(良いの)か!」というテーマで読者の方々をこの展示へ誘いたいわけです!
{編集長}
……まあ、キミの愚にもつかない親父ギャグは脇に置くとして……話を続けてくれ!
《メガネ》
それは自覚してますからそんな醒めた眼で見ないでください。
そもそも何をきっかけにイーノを意識しました?私はベタにU2がきっかけでしたけど。
{編集長}
俺は「ディスクリートミュージック」ね!

コレを中学生の時、中古レコード屋で買ったんだよ。寝る時によく盤をセットして寝込んでいたね。
《メガネ》
ああ、その感じ分かりますが、中学生でEnoをどうやったら知るんですか?しかもロキシーとかじゃ無く、アンビエント系を(笑)。
{編集長}
確かに情報も無い時代だったからね。俺の場合は「行きつけの中古レコード屋のおじさん」に色々と教えて頂き、しかも安くしてくれてね。これも「U2のプロデューサーだよ!」って渡されたんだけど、ホントこういうのは有り難かったよ!
《メガネ》
それこそがジェリーズの原点となったんですね!私は昔、「War(闘)」と「ヨシュア・トゥリー」をまとめて聴いたんですよ。
前者はスティーヴ・リリーホワイトがプロデューサーで、後者はイーノでしょ。全然音の印象が違うじゃないですか。それで「あれっ?」って。
{編集長}
U2は俺にとっても大きなバンドだよ!リアルタイムでずっと聴いていたからね!リアルタイムで聴いていると「あれ、段々大人っぽくなってる!」って思っていたよ。「ユシュア・トゥリー」はもう渋みが有り最高だったな!
《メガネ》
U2もトーキング・ヘッズもそうだし、(デヴィッド・)ボウイのベルリン三部作もそうだけど、イーノって音の機能をすごく考えてる人ですよね。
音の鳴り方、どういう響きだと人間は心地よく感じるのか、不安に感じるのか、緊張するのかリラックスするのかをすごく意識して、プロデュースするミュージシャンのカラーに応じてちゃんと使い分けている。そこが極まっている気がします!
{編集長}
それこそが良いプロデューサーとしての基本なんだけれど、彼ほど多種多様なミュージシャンと仕事を出来る人も少ないよね!
《メガネ》
あとこの人は音のグラデーションが豊か。どれもそうなんだけど、特にU2とかコールドプレイ、アンビエントの作品群を聴くと残響がすごく美しいですよね。
{編集長}
音が聞こえるか聞こえないか…そんなところまで考えているよね!
《メガネ》
以前あなたとギターアンプの話になった時「いいリバーブが載ってるアンプは音が美しくなるからいいよ」って話をした記憶があるんですけど、残響音の良し悪しって音の気持ちよさとイコールじゃないですか。クラシックをメインの演目にしてるコンサートホールも会場自体の音の響き方、残響時間まで計算して建てられてますし、音楽において残響音って凄く重要なファクター。で、イーノって残響のセンスがずば抜けてイイんですよね。薄っすらと長〜くかけたり、深いリバーブにディレイとパンニングを併用してウェットなのにさらっと聴かせたり。レコーディングでミックスしたことある人ならわかると思うけど、ここのさじ加減ってほんとに難しいでしょ。
{編集長}
俺は若い頃、アシッドサイケみたいな深いリバーブを多用してさ。今聴くと「不快リバーブ」そのものでねぇ(苦笑)。プロリバーブみたいなエフェクトを後乗せしていると、どうしても68〜69年あたりのマイナー盤みたいな仕上がりになっちゃう…俺はサイケプロデューサーだったよ!
《メガネ》
さすがに全員をサイケに仕上げたワケじゃあ無いんですよね?
{編集長}
もちろんだよ。ゆずみたいなフォークデュオにサイケ色は合わないでしょ!ただ色々な盤を聴いて来た分、引き出しは多くなったよね。ENOはヘヴィリスナーでも有ったから引き出しも無数だったと思うね!
《メガネ》
さもありなん!ところで今回のアンビエント・キョートの会場も90年前に建てられた建物らしいので、凄く響きがいいだろうし、イーノのことだからそれに合わせた音響に仕立てるんじゃないかな。それだけでも面白そうだけど、インスタレーションって来場者が"体感する"芸術だからその辺も興味あるなぁ。
{編集長}
一種のライブと考えてもいいのかもね!
《メガネ》
イーノの関係者でいうとデヴィッド・バーン(トーキング・ヘッズ)がなんかのイベントに出したインスタレーションで、ギターとアンプの間にボスのエフェクトペダルを100個ぐらい並べて、来場者がそれを適当に踏む(ON/OFFする)ことでランダムな音の変化を楽しんでもらう、っていうのを出してたんだけど、ちっちゃい子が楽しそうにそれを踏んでる写真があって「ああ、いいな、こーいうの」って感心したんですよ。
{編集長}
音楽で何かしら体験して成長して欲しい!ってところは俺も常々思っているので、大いに共感出来るよね!
《メガネ》
イーノも「ノン・ミュージシャン」を自称してるだけあって、音楽をやってない人でも何かしら感じられる作品を展示するのは間違いないでしょうから「アンビエント?なんじゃそれ?」って人こそ行ってみてほしいなぁ。
{編集長}
遊びに行く感覚、デートなんかでも良いと思うな!
《メガネ》
というわけで是非「ブライアン・イーノ・アンビエント・キョート」へ。
あっ、別に袖の下を貰ったりはしてないからね?当ブログ編集部は非営利でございます(笑)。
{編集長}
楽しい事は共有して行けばいいのさ!ただ感染対策は忘れずにね。
《メガネ》
というわけで次回こそ本編の続きです!お楽しみに!……(コソコソ)次回ってあのネタでやるって話でいいんでしたっけ?
{編集長}
やっぱりキミ忘れてたんじゃないか!よくないぞ!そーいう誤魔化し方!
《メガネ》
いやいや、ちょうどいいネタが転がり込んできたから渡りに舟ってやつで。
{編集長}
渡りに舟、じゃないよ!説教してやるからそこに直り給え!
《メガネ》
ヒェ〜この時代に「昭和の体罰」はご勘弁!
{編集長}
体罰?何言ってるんだ?兎に角このヘッドホンを付けたまえ!
《メガネ》
ヘッドホン?
{編集長}
ふふふっ…今から「ガンダルフ」の深く物寂しいリバーブやエコーを存分に流すから覚悟しろよ!
《メガネ》
あ、それじゃあオリジナル盤でお願いしますよ!
聴きたいと思っていたんですよ!セットok!
アンダーサイケの名盤!楽しみだなぁ!早く流して下さ〜い!
{編集長}
あれっ?俺の時代はコレって拷問だったのに!時代は変わる…ベイビーブルーだ… しかもあんな盤さえオリジナル盤は貴重で高額…時の流れは恐ろしい…トホホ…。

《続》


《マシュメガネ対談》チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう!(第7回 アンコール編 その2 遂に最終回)

2022-03-26 12:32:01 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

〈ハウリンメガネ〉
いやはや、先月は失礼致しました。

{ 編集長 MASH}
いや。世界中がブルースに浸る様な出来事があり、今も継続しているんだから、
本当に誰もが難しい時期だと思うよ。


〈ハウリンメガネ〉
思うところはお互いあると思うんですが、
あまりにセンシティブな話題になりますので、
この対談ではシンプルに音楽の話に終始したほうがいいかと思います。
{ 編集長 }
本紙を読んでいる皆んなはきっと
ボブの「戦争の親玉」を思い出し
ターンテーブルで回したかもな…。
〈ハウリンメガネ〉
ええ。ただね
「戦争なんか無いほうがいいに決まってる」
ってのはね、間違いなく一致するところですから。それは本当にそうあれかしと思います。
{ 編集長 }
結局は「自分たちの出来るコト」
をヤルしか無いんだよね。
〈ハウリンメガネ〉
というわけで改めまして……
チャーリー・ワッツ追悼で始めたこの話題も
いよいよもって最後!……になるはず! 
「ローリング・ストーンズを語ろう!」
セカンド・アンコールです!
{ 編集長 }
そう!まさにコレが
「自分たちの出来ること」
だよな!
〈ハウリンメガネ〉
前回は
「チャーリーが亡くなるちょっと前のストーンズが面白い」
って話で終わったんですよね。
{ 編集長 }
そうそう。
〈ハウリンメガネ〉
で、その話をするために
私もチャーリーが亡くなる直前、
2018、19年の「ノー・フィルター・ツアー」の
ブート映像をまとめて観たわけですが……


{ 編集長 }
おう!どうだった?
〈ハウリンメガネ〉
あなたが感じた「面白さ」と
イコールかはわかりませんけど……
このツアーのストーンズ、上手くなってません?
{ 編集長 }
むむ… 上手いとは?
〈ハウリンメガネ〉
はい、個々人のテクニックがどうこうじゃなくて、
サポートメンバーも含めて
「バンドのやりかた」が
もう一段上がってるというか……
{ 編集長 }
ああ、なるほど!
言わんとしていることは分かるぜ!
「バンドとしての成熟度が極みに達した!」
という感じだよな!
〈ハウリンメガネ〉
特にそれを感じたのが
18年のトゥウィッケナム(ロンドン)で、
キースとロニーが絶好調でしょ?
……絶好調過ぎて
アウト・オブ・コントロールなところも
散見されますが(笑)。
{ 編集長 }
俺は自分のステージでも思うけれど
「アウト・オブ・コントロール」
になる…まあ俺の言い方だと
「ハイになっている」
そんな日こそバンドの充実度は高いと思うんだ。
〈ハウリンメガネ〉
ギターの音量もラウドで、
特に中盤の「悪魔を憐れむ歌」なんか
「トラブってんの?」ってレベルで
凄くデカくなったりするんだけど……
これが異常にカッコいい!
{ 編集長 }
エモーショナルなんだよ!
昔からストーンズって
「エモーション」って単語好きでしょ?
「エモーショナル・レスキュー」
とか
「ミックスド・エモーション」
とか!
訳すと「感情」とか「感情的」だよな。
コレ、キースのギターから生まれている!
って思うんだよ。
〈ハウリンメガネ〉
「ギターがデカい?OK、そのまま突っ走れ!」
といわんばかりにバンドがエンジンかけてる感じがヒシヒシと伝わってくるんですよ。
崩れ方が上手くなってるというか、
崩れたまんまでイけちゃってる。
元々そういう要素のあるバンドだけど……
なんかそれが危うさじゃなくて上手さに変化してるといいますか。
{ 編集長 }
昔だったら
「キースのエモーショナルな部分」を
「上手く取り繕ってマトメテいたバンド」が
今や「そこに合わせて走るミックとロニー」
と言う具合がシビれるんだよな!
〈ハウリンメガネ〉
他にも途中でミックがちょっとバテたりしても、
コーラスチームがいい具合にフォローしてたり、
ステージのメンバー全員が
「何があってもイケまっせ」
状態になってるというか……
前に
「キースに合わせられるのはチャーリーだけ」
って話をしましたけど、
そのコンビネーションがストーンズ全体に波及しているように感じたんですよね。
{ 編集長 }
結局
「ミックとロニーがキースに合わせて走る!」
そこを
「チャーリーがバシッとタイトに締める!」
コレ、実は凄い話なんだよな。
ダリルはチャーリーを聴いてプレイするでしょ?
だからリズムはタイトでしっかりとしている!
全体的にワイルドにバンド全体がエモーショナル!
〈ハウリンメガネ〉
……まあ、チャーリーの死でその流れは変わっちゃったわけですが。
この日、チャーリーも笑顔が多いんですよ。
調子よかったんでしょうね……
{ 編集長 }
この日は凄く良い日だったと思うな!
ところで昔の俺は
ストーンズやスプリングスティーンとE stバンド
のステージングを参考に
自分のバンドにも取り入れていたんだけれど
デッドを知って彼らのライブが
急に面白く無くなったんだよ。
予定調和なステージの上
ミックは失敗を恐れていてさ(笑)
でも「no filterツアー」は名前の通り
フィルター無しの直出しだろ?
デッドに感じるエモーショナルさが存分で
「コレこそがライブであり、
見たかったストーンズだ!」
と言えるよね!
〈ハウリンメガネ〉
前回、チャーリーが逝った後のブートを観て
「キースもロニーもミックも荒ぶってる」
って言いましたけど、
そもそもこのツアーの時点で、
キースもロニーも十分荒ぶってて、
そこにチャーリーが一本芯を通して絶妙にバランスしていた。
それも過去最高といっていいレベルで。
{ 編集長 }
俺は「no filterツアー」映像は全部欲しいね!
それくらい
「素晴らしいストーンズ」
が見れるもん。
〈ハウリンメガネ〉
このブート、どのライブもいいですもんね。
「4人でのストーンズとして円熟期に達してた」
わけだ。
{ 編集長 }
俺はこの時期のストーンズが
今までのストーンズよりもずっと好きだね!
勇気とパワーを貰ったよ!
〈ハウリンメガネ〉
ところが…
チャーリーが亡くなってそのバランスが崩れた。
でもその崩れたバランスは戻せない。
チャーリーにしかその役割は果たせない。
故にその崩れたバランスのまま
「転がる覚悟を決めた」
ことで新たな魅力を放っている…
それが今のストーンズという話だったわけですね。
{ 編集長 }
「no filterツアー」は海外へ出向いてでも
生で観ておくべきだったよなぁ…。
〈ハウリンメガネ〉
はぁ……
やっぱりチャーリーの不在って
とんでもなく大きな穴だったんですねぇ。
今回のブートで改めて実感しました。
{ 編集長 }
本当にそう思うね…。
もちろん俺は昔からストーンズが好きだったよ。
ただ、この時期ほどカッコイイ彼らは未経験さ。
「人生を考えさせ、後退を許さない!」
コレって十分にストーンズらしいし、
俺たちにも鞭を入れられてる思いさ。
〈ハウリンメガネ〉
そうですねぇ。チャーリーは
「ちゃんと音を遺してくれた」わけですから
後進である我々は
「その遺産をまた次へと渡していく」
のが正しい追悼ということなんですかね。
{ 編集長 }
そうだね!
それと彼らの生き様を自分達も取り入れて
「各々が決して退かない…
そんなロックな人生を歩む」
ってコトも重要な遺産のひとつだと思うよ。
〈ハウリンメガネ〉
というわけで……
今度こそ最終回でよろしいでしょうか?
{ 編集長 }
ああ。これ以上語るコトは無い!
コロナ次第だが来日公演も予定されている…
と聞くから、その時にまたやろうぜ!
〈ハウリンメガネ〉
はい!
ということで、長くなりましたが、
「チャーリー追悼対談」
今度こそ最終回でございますが……
音楽ってのは聴いたら聴いた分、
新たな発見ってのがありますから……
急にまたやるかもね!
{ 編集長 }
ポール、ボブ、ストーンズくらいだろ?
何度も話したくなる奴らって。
何かあれば取り上げて当然!
心して待て!
〈ハウリンメガネ〉
それでは、その時まで
御機嫌よう、さよなら!
{ 編集長 }
おっ、EHエリックか?
〈ハウリンメガネ〉
は?
{ 編集長 }
武道館見たくなっちゃうなあ!
〈ハウリンメガネ〉
 ……

《続》


《マシュメガネ対談》 チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう!(第6回 アンコール編その1)

2022-01-29 16:17:35 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
さて、去年後半、ほぼ小半年かけて
チャーリー追悼対談をやってきた我々ですが
{ 編集長「MASH」 }
アンコール!アンコール!
《ハウリンメガネ》
年も明けたことですし、
気を新たにストップしてたあっちの企画
{ 編集長 }
ローリング・ストーンズ!
ローリング・ストーンズ!
《ハウリンメガネ》
そう!ブライアン・イーノで紐解くロックの歴史を
{ 編集長 }
ミック!
キース!
ロニー!
チャーリー!
《ハウリンメガネ》
あー!喧しい!なんですか!さっきから!
{ 編集長 }
なんですか!はこっちのセリフだよ!
あれで終わりだと思っていたのかい!?
《ハウリンメガネ》
思ったのかい?もなにも
前回タイトルで最終回って銘打ってるじゃないですか!
まだやる気かいアンタ!
{ 編集長 }
いや、俺もアレで終わりのつもりだったんだよ?ホントに。
たださぁ……
《ハウリンメガネ》
何よ?
{ 編集長 }
出ちゃったんだよ……
《ハウリンメガネ》
何が?
{ 編集長 }
チャーリー逝去後のストーンズ2021年ツアー(ライブブート)だ!
《ハウリンメガネ》
うっっっ!
{ 編集長 }
気になるだろぉ~?気になるハズさ!
《ハウリンメガネ》
……押忍。
{ 編集長 }
というわけで、まずはコレ(※写真)を観なさい


《ハウリンメガネ》
……押忍。

(……鑑賞中……)

《ハウリンメガネ》
ローリング・ストーンズ!
ローリング・ストーンズ!
{ 編集長 }
おっ、君もストーンズ・コール出たな!
俺が騒いだ理由、わかっただろ?
《ハウリンメガネ》
よく分かりました……
凄え爺さん達だよホントに……
今までと「まるで違った魅力のストーンズ」
になってますね!
{ 編集長 }
別のバンドと言えるくらいだろ?
リズム隊がガラッと変わると
こーも違うわけだよな!
《ハウリンメガネ》
ロック”ンロール"バンドじゃなくなってますね。
ロック or R&Bって感じで。
{ 編集長 }
黒人のリズム隊だから、割とR&B色が増しているよね!
《ハウリンメガネ》
数年前のツアーから「ミス・ユー」で
ダリル・ジョーンズのベースソロがあったけれど、
あそこもファンキージャズ風だし
「ワイルド・ホーセス」のイントロが荒ぶってたり、
「神経衰弱」も頭からガンガン飛ばしてたり、
他の曲もアレンジがかなり変わってて
曲ごとに振り幅がエラいことになってる
といいますか……
やっぱりチャーリーのドラム、
あのスウィングがストーンズを"ロール”させて
一本芯を通してたんだな、って気付きますな。
{ 編集長 }
俺が特に感じた部分は
「Midnight Rumbler」だよ!
あの長い曲って毎回微妙に違った演奏をアドリブパートで出し
素晴らしい緊張感を生んでいたじゃない?
アレは「チャーリーが居てこそ!」ってのが分かるよな!
新ドラマーは演奏に入れてない・・・
蚊帳の外って感じじゃない(笑)
《ハウリンメガネ》
「キースに合わせられるのはチャーリーだけだ」
ってのは私も今回のチャーリーの件であなたに教わったことだけど……
今までのストーンズだとキースがブレても
チャーリーがキースと合ってるからタイトに聴こえてたわけでしょ?
ところが今のストーンズはルーズ感が増してるんですよ。
{ 編集長 }
あれ?ダメ?
《ハウリンメガネ》
とんでもない!これが今のストーンズの魅力でしょう!
キースもロニーも、終いにはミックも
リズムやメロディにフックやフェイントを入れてバチバチにやりあってる。
ミストーンもかなり多いけど、今までのストーンズだと聴けなかった・・・
そんなフレーズがバンバン出てくる。
「これが今の俺たちだ。チャーリーがいない俺たちだ。それでも転がり続けるしかないんだ。」
ってのをねぇ……剥き出しにしてる!
{ 編集長 }
新しいリズム隊は「シッカリ刻む」でしょ?
そこに合わせることなく、キースはガンガン弾く・・・
そーするとミックもロニーもソコに乗って行くしかない!
そんな「破れかぶれ」感が素晴らしいよな。
《ハウリンメガネ》
ライブの最後にミック、キース、ロニーがお辞儀した後、
スクリーンにチャーリーを大写しにして3人が手を上げるでしょう……
泣けたね……
{ 編集長 }
ライブ始まって、2曲目のMCでチャーリーへのコメントも言うでしょ?
アレもグッとくるよな!
《ハウリンメガネ》
あとマストなポイントとして、キースとロニーの音が無茶苦茶イイ!
歴代でもベストに近いんじゃないですか?
歪んでるんだけど歪んでない、
持ち替えたギターのキャラクターもはっきりわかる
フェンダーアンプの一番気持ちいいところがずーっと鳴ってる。
{ 編集長 }
実は2016年頃からキースもロニーも徐々にだけれど
ギター無法地帯的プレイで、ガンガン音大き目だったんだけれど
「やはり俺たちのロックはギターだ!」って割り切った感じだね!
ヴィンテージも惜しみなく使い、しかも
新しいリズム隊とはズレルからワイルドでルーズ!
《ハウリンメガネ》
そうそう、さっきルーズ感がって言ったけど、
キースの間のとり方はもう名人芸の領域でしょう!
外し方とかほぼブルースだよ、あれ。
{ 編集長 }
ビルとチャーリーだと、ソコを捉えて
ビシッ!とタイトに合わせることが出来たワケ!
でも新しいリズム隊は無理なんだよ!
ダリルはチャーリーに合わせて上手く行っていたけれど
ドラマーが変わると「イチからやり直し」だもん。
しかも、ギターコンビは百戦錬磨(笑)。
ミックだってその「ギターグルーヴ」で歌うから
魅力があるわけでしょ?
ミックのソロがイマイチなのはソコだもん(笑)。
《ハウリンメガネ》
正直どうなるかと思ってたけど、
いやぁ、俺、これだったら生でも観たいよ!
チャーリーの不在を感じさせると同時に
別のストーンズとしての魅力に溢れてるもん!
{ 編集長 }
確かに好き嫌いは別れるだろうな。
でも、転がり続ける覚悟
今のミック、キース、ロニーには有るよ!
逆に言えば、この3人は「運命共同体」じゃないとダメでね・・・
ポールやボブと違って、ミック一人じゃ全く面白くない・・・。
本人達もさすがに気付いているよね(笑)。
《ハウリンメガネ》
というわけで……
今度こそチャーリー追悼対談は最後でよろしいでしょうか?
{ 編集長 }
ん~……俺、いまストーンズの映像を日々見直してるじゃん?
《ハウリンメガネ》
はいはい。
{ 編集長 }
ちょっと、ビックリしたことがあったんだよ。
なので次回、その話をして
今度こそチャーリー追悼対談を終わらせよう!
《ハウリンメガネ》
んんん……
ここまでやったからには、最後までやりますか!
{ 編集長 }
よし!じゃあ次回、チャーリー追悼対談最終回をお楽しみに!
《ハウリンメガネ》
……ホントに終わるかな……
{ 編集長 }
ん?なんか言った?
《ハウリンメガネ》
いいえ!なんにも!
じゃあ、次回もヨロシク!

< 続 >


「マシュメガネ対談」チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう(第五回にして最終回)「チャーリーから見えて来るロックそして、ジャズ!」

2021-12-25 19:48:01 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

{ 編集長「MASH」 }
今回でチャーリー追悼対談も最後だ!
さあ、今回のお題は……
おい、お前、聞いているか?
《ハウリンメガネ》
♪ファ〜 ファ〜……
{ 編集長 }
む?この音はメロトロン?
《ハウリンメガネ》
♪トゥルトゥトゥ〜 トゥルトゥトゥトゥトゥ〜……
{ 編集長 }
そしてこのメロディ……さては!
《ハウリンメガネ》
♪スタ〜レ〜スエ〜ン……バイブゥ〜ブラァ〜……
{ 編集長 }
おい!メガネ!
今回はチャーリーの話だ!
しっかりしろ!目を覚ませ!
(ビシッ!バシッ!)
《ハウリンメガネ》
……ハッ!
{ 編集長 }
目が覚めたか!
《ハウリンメガネ》
申し訳ありません!暗黒の世界に行っておりました!
{ 編集長 }
クリムゾン恐るべし・・・
余韻未だ醒めずか!
《ハウリンメガネ》
いやぁ、申し訳ありません……
やっぱりねぇ、目の前であんな強烈な演奏が
日々繰り広げられると……ね!

(詳しくは彼のライブリポートを ↓ )

https://blog.goo.ne.jp/12mash/e/da7d09050a49e6e18f981ed2b0fbeb7d

{ 編集長 }
好きなのは分かるけどしゃんとしてくれよ!
今日はチャーリーの話、しかもラストだろ!
《ハウリンメガネ》
いや、大丈夫!ちゃんとお題は覚えてる!
今回は……「チャーリーとジャズ」!
{ 編集長 }
おおっ、急にビシッと来るな!
《ハウリンメガネ》
やはりチャーリーを語る上で彼のルーツであり、
ライフワークだったジャズは外せません!
{ 編集長 }
その通り。
やはりヤツにはスーツが良く似合う!
《ハウリンメガネ》
そもそもの話、チャーリーもそうだけど、
昔も今もドラマーってジャズ好きな人、多いですよね。
ビル・ブルフォードもそうだし、
ボンゾもジーン・クルーパがフェイバリットだったり。
{ 編集長 }
デッドのミッキー・ハートも元々クルーパに憬れ
軍隊でドラムをみっちりヤッタ口らしいぜ。
《ハウリンメガネ》
いや、もちろんジャズそのものが面白いのは大前提なんですけど、
それでもドラマーのジャズファン率、高くないですか?
{ 編集長 }
お前もドラム叩くくせに今更何を言ってるんだ?
ドラムのツボって絶対ジャズだろ?
ロックドラムの「楽勝感」と違って
自分のスキルやイマジネーションを極限まで高め
しかもインプロビゼーション(即興)で叩く!
ジャズドラムはそんなカッコイイ境地じゃないか!
《ハウリンメガネ》
そうか、確かに!
しかも、そもそもの「ドラムセット」ってパートの始まりがジャズですもんね。
ドラムスとジャズは切り離せない関係である、と。
{ 編集長 }
当時はバンドと言えば「ジャズ楽団」でしょ?
だからこそ、のお話だよね。
ブルースにバンドを付けてマディがプレイしたのって
ジャズ楽団よりも約25年ほど後になってからのお話で
コレがロックの起源なワケだから。
《ハウリンメガネ》
そんなドラマーとジャズの関係ですが、チャーリーの場合、
ジャズに入れ込みだしたきっかけはチャーリー・パーカー……
ややこしいから愛称の「バード」と呼びますか。ですよね?
{ 編集長 }
そうだね!
バードをモチーフにしたアルバムも出してるくらいだからな!
《ハウリンメガネ》
はいはい、チャーリーがバードをモチーフに絵本を作り、
さらにその絵本をモチーフにしてチャーリーが作った、
ジャケットの絵がすごくキュート!なこちらのアルバムですね。
「マトリョーシカか!」とツッコみたくなりますが(笑)。
{ 編集長 }
正統派ジャズをシッカリと
しかも上品にプレイしている名盤だよ!
《ハウリンメガネ》
これはいいですよね。クリスマスにもgoodだし!
バンドのまとまりはもちろん、
チャーリーのドラムの音が素晴らしい。
まあ、このアルバムに限らず、
チャーリーのアルバムはどれも音が凄く美しんだけど。
{ 編集長 }
バードに対して
「これほど思い入れが強かったのか!」
と当時驚かされたよ!
プレイは本当に当時だと時代錯誤とも言える
「真正面からのジャズ」だしね!
《ハウリンメガネ》
シンバルワークの繊細さもそうなんだけど、
フィルでの太鼓の余韻、アンビエンスが凄くいいんですよ。
ドンッ……って感じの音で、手数じゃなくて響きで聴かせる、
という。
{ 編集長 }
チャーリーって
「ストーンズでは我慢しているんだなぁ・・・」
って俺は当時聴いて思ったよ。
《ハウリンメガネ》
ストーンズだと他の音にマスキングされちゃって分かりにくいですけど、
「ああ、チャーリーはこういうプレイができるからストーンズでああ叩くのか」
ってのが分かりますよね。
{ 編集長 }
前にも言ったけれど
やっぱりキースのギターが有って、
ミックの声と歌唱でしょ?
その中で自分なりに出している部分も
有るには有るんだけれど、
やっぱり本領はジャズになるんだと思うよ。
《ハウリンメガネ》
そんなふうにチャーリーが敬愛してたバードの
直弟子であるマイルス・デイヴィスも
チャーリーがリスペクトしていたジャズマンですよね。
まあ、ジャズファンだったらマイルスは避けられないというか、
ジャズを掘ろうとしたら絶対に通らざるを得ないのがマイルスですから、
チャーリーがリスペクトしていたのは当然ではあるんですが。
{ 編集長 }
「ビートルズはノー、マイルスはイエスだ」だからね!
《ハウリンメガネ》
まあまあ、そんなに不貞腐れんと。
しかし、どうだったんでしょうね?
チャーリーはどの時期のマイルスも好きだったのかしら?
世代的にはビバップ〜モード期ぐらいがドンピシャでしょうし、
音にもその辺は出てると思うけど。
{ 編集長 }
バードに対してもそうだけれど
マイルス個人や彼の音だけを見てはいないよね。
バンドやトータルを重視していると思うよ。
バードのサイドメンもマイルスのサイドメンも
どの時代も充実していて、好みは有れど
ドラムやリズムは何処も面白いいじゃない?
《ハウリンメガネ》
ふむん。
マイルスってジャズを変革し続けた人じゃないですか。
ビパップからモード、エレクトリック、
晩年にはエレクトロニカみたいなこともやりだしてたし。
{ 編集長 }
俺は「即興の境地」を開拓していく中の
自然な変化だと思うんだがね。
《ハウリンメガネ》
チャーリー自身は
「マイルスやコルトレーンのように音楽を進歩させることはロックではできない」
って言ってましたけど、
面白いことにむしろマイルスはジミとセッションしたがってたり、
マイク・スターンに「ジミみたいに弾け!」って言ってたり、
ロックを面白がってましたよね。
その結果がエレクトリック・マイルスに繋がったり・・・
まあ、あれはJBの影響もあるけど。
{ 編集長 }
最初に言っておきたいんだけれど
チャーリーの言うロックってあくまでも
自分たちストーンズを代表とする仲間のロックを指すと思うんだよ。
君の言ったジミはバディ・マイルズとジプシーを組むでしょ?
あれでジャズ的フィールを取り入れて、
クリームのアドリブ部を拡大させた解釈で
「どうだ!」と世に問うも、レコード会社からも理解されないワケ。
結局セールスが見込めない盤は作るな!プレイするな!ってさ。
逆にマイルスはコロンビアレコードで何やっても良かったのよ。
もう固定ファンしか買わないし、大御所だし、さ。
もっと言うと「ロック取り入れる?イイねぇ!」って
会社側も色気出してね。だってロックファンにも売れそうだろ?
《ハウリンメガネ》
だから、チャーリーはそう思ってなかったかもしれないけど、
結果的にロックはマイルスの変革、ジャズ、音楽の変革に
大きく影響してたわけですよね。
{ 編集長 }
そうなんだよね。
実際ジャズ的即興演奏の要素をふんだんに取り入れ
4時間とかのロングステージで人気だったデッドって
ステージが満員でも、盤は全く売れないわけでさ(笑)。
ミックの居るストーンズがあんなステージはやれないでしょ(笑)?
《ハウリンメガネ》
売れない事はしませんからね!ミックは!
しかし面白いですよねぇ。
ジャズはロックのルーツの一つだけど、
そのロックが親であるジャズに影響を与える。
その影響がまたエレクトロニカやヒップホップなんかにも影響して……
ぐーるぐる廻り続ける、と。
{ 編集長 }
マイルスは敏感に他のリズムや音を入れただけで
実際のところ、そこにトランペットを吹くだけ!
でしょ?
例えばエレクトロ音の上で、俺がエレキギターを永遠と弾く・・・
これってオレのバンド「ハイ」の一場面と同じだと思うんだ。
結局は「即興演奏の波をずっと泳いでいた人」なんだと思うんだよね。
《ハウリンメガネ》
なるほど「クリムゾン」然り「デッド」然り・・・
即興演奏を追い求めると音楽はジャズ化するし
ジャズはポピュラー化するわけですね!
そしてチャーリーもストーンズもその円環の中にいるんですよね。
おお!すごくいい着地じゃないですか!
{ 編集長 }
ストーンズの凄いところは
やはり「唯一無二」ってトコロでしょ?
ど素人みたいな連中がシコシコ頑張って
あのサウンドを出し世に問うた・・・
ビートルズみたいに
「そもそものメンバーが奇跡」
というワケではなく、努力の積み重ねだからね。
ありゃぁ「音楽界の七不思議」だよ。
《ハウリンメガネ》
その輪の中に残るであろうと確信できるんだから
やっぱりチャーリーは偉大なるジャズドラマーであり、
ロックドラマーですよ!聴きゃ分かる!
{ 編集長 }
「ストーンズの奇跡」は
メンバーにチャーリーが居たことだと思うよ。
まあ、ブライアンが居なきゃ・・・
とかキースが居なきゃ・・・・
と言う気持ちも分かけれど(笑)
ただ間違いなく「サウンド面でバックビートの安定感」
という点で言えば当時の英国バンドでは
「リンゴとチャーリー」だけだろ?
だからストーンズも残れたワケで、
ジャズ界にも影響を与えるバンドにまで
成長できたんじゃないかな。
《ハウリンメガネ》
そして盤を回せばチャーリーもマイルスもバードも音楽の中で蘇る!
そうやって音楽は残っていくのですね!
{ 編集長 }
そうだね!音楽を残したいよ。
何かと「コストパフォーマンス」とか言って「サブスク」でしょ?
そんなの貧乏性なだけじゃないの?って思っちゃう(笑)。
俺は量より質を取るから、相変らず金を出してイイ盤を買うよ。
《ハウリンメガネ》
編集長のご意見がハードパンチになって来たところで
来年も我々は相変わらずとなりそうですな!
来年度もご愛顧のほど、よろしくお願いします!
{ 編集長 }
そりゃあ、そうだ。
「ハードパンチ編集部」が、同じハ行でも
「ヘボパンチ編集部」じゃあ、話にならないからね!
《ハウリンメガネ》
と、いうわけで
来年度もご愛顧のほど、よろしくお願いします!


「マシュメガネ対談」チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう(第四回)「映像で迫るストーンズの魅了!裏ビデオ編」

2021-11-27 17:20:01 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい、年内いっぱい続きます!
「チャーリー追悼対談!」
今回は前回に引き続き
「映像で迫るストーンズの魅力!」の……
裏編です!

(バックナンバーはコチラ↓)

https://blog.goo.ne.jp/12mash/c/f4bb70881178099efe2e09df9fa43374

{ 編集長「MASH」 }
むむっ、裏とは?
《ハウリンメガネ》
裏ですから……勿論ブートの話です!
{ 編集長 }
やはりストーンズもブート映像が多いからな!
《ハウリンメガネ》
まあ、隠し撮り(録り)やら、
スタジオからの流出やらの世界ですから
あまりおおっぴらに誉められた品々ではないんですが……
アンオフィシャル故の面白さも多々あり、
これはやはり捨てがたい!
{ 編集長 }
私も見たい!
《ハウリンメガネ》
で、今回も例によって量が多いんですよ……
{ 編集長 }
そりゃあそうだよ!
奴らはテレビ局にも映像を売るじゃない!
生中継させたり(笑)。
《ハウリンメガネ》
別に押し売ってるわけではないでしょ?
{ 編集長 }
ああ、言い方が悪かったな!
相思相愛なんだよね。
ビジネスライクなミックとテレビ局の、さ。
とにかく全米ツアーだけでも相当数売ってきたから
選ぼうにも大変だよな。
《ハウリンメガネ》
なので今回は来日時のものに的を絞ろうかな、と。
{ 編集長 }
そりゃあイイね!
俺はほぼ全部来日公演は見てるしな!
《ハウリンメガネ》
では、早速90年の初来日の映像からいきましょうか。
これドキュメントとライブ映像が入ってるけど、
CMが入ってるってことはTVで放送してたの?
{ 編集長 }
そうよ!
やっぱり売ったんだよ!
バブル期でそりゃぁもう大金でさ!
ポカリスウェットがスポンサードだったね。
公演前からもの凄く熱気があったよ!
《ハウリンメガネ》
いい時代だなぁ!
チケット販売開始時の「チケットぴあの映像」
が入ってるんだけど、すごいですよね、これでもか!
って電話が並んでて全部鳴りまくってるの(笑)。
この時ですか?あなたが学校の先生に
「休んでいいから俺のチケットも取ってくれ!」
って言われたの。
{ 編集長 }
そうそう、まさにコレ!
土曜日発売でさ。俺は休んでこの電話かけてたわけ!
《ハウリンメガネ》
今じゃ考えられませんが、
昔はぴあとかのチケット売り場に並ぶか電話でしか
チケットって取れませんでしたもんね。
{ 編集長 }
今は簡単過ぎるし
抽選だの何だの・・・って
スリルも興奮も無いよ。
《ハウリンメガネ》
それも時代の流れですなぁ……
空港に着いたところから追いかけてるけど、
初来日ってのもあってか出待ちの多い事(笑)!
{ 編集長 }
いやぁ俺は昨日の様に覚えているけれど
誰もストーンズなんて聴いてなかったのに
急に「ストーンズ!ストーンズ!」ってね。
バブルは実に変な世界だったんだよ。
《ハウリンメガネ》
空港のロビーに出た瞬間に
タバコ吸いだすキースに笑っちゃったけど、
この頃ってロビーで吸ってよかったんだっけ?
{ 編集長 }
まだ大丈夫だったんじゃない?
俺も「くわえタバコ」で街歩いてたくらいだもん。
まだ、時代はロックだったよ。
《ハウリンメガネ》
ビルを含めたメンバーで来日したのはこの時だけですよね。
{ 編集長 }
実は「ビルが来るか来ないか?」
って結構話題になっていたんだよ。
「代わりにクラプトンが来てロニーがベースを演る」
なんてガセネタも出てね(笑)。
《ハウリンメガネ》
いくらなんでも、そりゃぁ無いでしょ(笑)。
{ 編集長 }
しかも、「そっちの方がイイ!」とか
平気で言うヤツがいてさ!
高校生の俺はソー言う大人を
「睨み付けてやった」けれどね。
《ハウリンメガネ》
この後挙げるブートと比較すると分かりやすいんだけど、
やっぱりダリル(・ジョーンズ)以前、以後でかなり違いますね。
ダリルになってからの方がR&B度が上がってる……んだけど、
どっちがストーンズらしいか、ってなると
やっぱりビルのベースなんだよなぁ。
ビルだとチャーリーの音のファットさ、
キースとロニーの音の軽快さが増して聴こえる気が……
{ 編集長 }
そうなんだよ!俺はビルが来ることが重要だと思っていてね。
ストーンズのポイントはチャーリーのドラムだと
何度も話して来たけれど、ソコに付くビルのベースも実に独自で
彼らのサウンドには欠かせない味付けだったんだよ!
《ハウリンメガネ》
やっぱり「ここのバランス」が
「ストーンズマジックのひとつ」
だったんでしょうね。
{ 編集長 }
間違いなくそうだね!
日本公演はミックの「日本語MC」も楽しいし、
「ほぼ歴史を総括したベスト選曲」だったよね。
ただ、言わせて貰うと会場で俺の隣では
「ヘッドフォンしたまま寝てたヤツ」がいたり、
「ツマラナソウな顔のヤツ」がほとんどでねぇ・・・
所詮スタンド席は「話題だけで来たヤツばかり」だったね。
ちなみに俺はチケットが2枚あってさ。
同級生とか音楽仲間とか結構な数を誘ったんだが誰も行かなくてねぇ。
結局「4つ下の弟」と行ったんだけれど、
俺たちだけだよ全曲知ってて踊っていたのは(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
じゃあ、ため息混じりに、次に行きますか。
気を取り直して2003年!リックス・ツアーの時の映像です。
日本武道館と横浜アリーナ、2会場の映像ですね。
{ 編集長 }
いやぁ、コレも両日当然俺は行ってますよ!
《ハウリンメガネ》
そうでしょう、そうでしょう!
このツアーの映像は前回紹介した
「フォー・フリックス」がオフィシャルで出てますが、
それはそれ、これはこれ(笑)。
どっちも明らかに隠し撮りなのが分かる映像で、
特に横浜アリーナは途中々々でしょっちゅう画面が暗くなるんですよね。
セキュリティが見廻ってるタイミングだと思うけど(笑)。
{ 編集長 }
横浜アリーナ公演はホント良かったんだよね!
選曲も含めてさ!
《ハウリンメガネ》
武道館も横浜も1カメで頑張って
「ねちっこく追ってる」んですよね。
その分、オフィシャルじゃ出ない絵が撮れてたり。
横浜アリーナ「ドントストップ」の途中で
弦が切れて慌てるロニーとか(笑)。
オフィシャルだとカメラが多い分切られちゃうような
レアカットに結構いいシーンがあるんですよね。
{ 編集長 }
そこがブートのイイところだよね!
「恥部も見せてくれる!」って感じ(笑)。
武道館では終始ロニーのプレイが冴えてないでしょ?
ただ、バンドとしてのノリで切り抜けちゃう!
絶対表に出ない映像であり、音だよな。
{ 編集長 }
あと、やっぱり「リックス・ツアー」自体が
脂の乗った時期だったってのもあるんでしょう。
1カメの荒い映像とローファイなサウンドが相まって
妙な迫力があるんですよ。
{ 編集長 }
俺はストーンズってこの
「リックスツアーまで・・・」
だと思っていてさ。
残念だけれど、その後のツアーに凄みは無いんだよ。
もちろん「スポット的に良い日」も有るには有る。
ただし、確率はガクンと落ちるよね。
だから、リックスまでの裏映像や裏音はとても重要だし
有れば「手元に置いておきたい」もんだよね。
《ハウリンメガネ》
ブートの魅力ってそこですよね。
オフィシャルでハジかれて隠れちゃった名演とか、
TVで放送されてただけで流れていっちゃった映像が残って聴ける、
観られるという……ブートも一つの文化なんですよね。
{ 編集長 }
ブートもロックの一部だったんだよ!
「ブートの出ていないバンドは2流だ!」
って、よく言われてたでしょ?
俺が「チープトリックのトム・ピーターソン」
と話した時、彼は
「自分たちの演奏をブートビデオで観て再確認する!」
って言ってたし、ミュージシャン側も
チェックしているんだよね。
《ハウリンメガネ》
わあ、スゴイ話ですね!
{ 編集長 }
まあ、彼は「コレも買っちゃった!」
と「ビートルズのブートビデオ」を
嬉しそうに俺に見せてくれたけれど、やっぱりブートは
「世界を明るくしていた」様に思うよ!
《ハウリンメガネ》
そんな感じで次回でチャーリー追悼対談も最後ですが、
次回はチャーリーの音楽の根っこは?ということで……
{ 編集長 }
ジャズだな!
《ハウリンメガネ》
はい!「ビートルズはノー、マイルスはイエスだ」と
のたまったチャーリーを偲び、
チャーリーのルーツであるジャズ、
その帝王マイルス・デイヴィスの作品から
「チャーリーとジャズ」を語って〆ましょう!
{ 編集長 }
しかしチャーリーもさぁ、
「マイルスはいいけど、ビートルズはノー」
ってどういうことよ?
本当はみんなビートルズ好きなんだよ!
さっき上げた「トム・ピーターソン」だって・・・
《ハウリンメガネ》
はいはい。長くなるのでその辺はまた後々……
{ 編集長 }
マイルスだってビートルズを意識しなかった筈ないんだよ!
そもそも60年代ってのはさぁ……
《ハウリンメガネ》
あー!聴こえない聴こえない!また次回!
{ 編集長 }
ううぅ、何か悔しい・・・
そしてもうひとつだけ言えば
「トム・ピーターソン」と話した時
俺「キンクスのTシャツ」着ててさ。
何で、あの時
「ビートルズのTシャツ」
じゃなかったんだろう・・・ソコが心残りなんだよ。
《ハウリンメガネ》
・・・・

《つづく》


「マシュメガネ対談」 チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう!(第三回)「映像で迫るストーンズの魅力!オフィシャルアイテム編」

2021-10-31 15:12:18 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい!チャーリー追悼対談はまだまだ継続!
今回は

「映像で迫るストーンズの魅力!オフィシャルアイテム編」

ということで行きましょう。
{ 編集長「MASH」 }
おう!そりゃ語りガイがあるな!
《ハウリンメガネ》
まあ、沢山ありますよね。それこそ
「ロックンロール・サーカス」
「ワン・プラス・ワン」
「ハイドパーク」
「コックサッカー・ブルース」
辺りは有名な映像ですが……
{ 編集長 }
おいおい、お蔵入りも含んでいるじゃないか(笑)!
俺の幼少期に唯一見れたブツが
81年のツアーを収めたライブ映画
「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」
だったよ!
《ハウリンメガネ》
ああ、キースがギターで客を殴るアレですね(笑)!
{ 編集長 }
あのシーンは傑作だったなぁ!
ファンの間では語り草だし、
アレからフロントにハムの付いた
「カスタム・テレャスター」が売れたんだよ!
既に生産終了していたのに、みんな中古で探してね。
《ハウリンメガネ》
出ていた時は余り売れていなかったんですか?
{ 編集長 }
実際は大ヒットしたギターではなかったんだよ。
79年にはアメリカではもう「生産を終了」していてね・・・
でもあの映画以降に脚光を浴び
ちょうど「フェンダーJapan」が創設された時期
と重なって「日本製黒カスタム・テレ」が
世界中で売れたんだよ!
《ハウリンメガネ》
なるほど。
{ 編集長 }
また、ミックの息切れも話題となり
「ミックよりキース!」
という風潮が「あの作品」から生まれたんだ。
《ハウリンメガネ》
他にも「ブリッジ・トゥ・バビロン」ツアーとか、
マーティン・スコセッシが撮った「シャイン・ア・ライト」
ドキュメンタリーの「クロスファイア・ハリケーン」などなど……
数が多くて見るのも大変!
{ 編集長 }
他にも「25×5」や「ストリップド」もあるぞ!
時期はバラバラだが、ソコはやっぱりストーンズ!
「一筋のロックンロール道」が有って気分イイんだよ!
《ハウリンメガネ》
しかも作品それぞれの面白さがありますからね。
ただ、これらを一枚々々話してるとキリがありませんし、
今回はそれら全部の良さが味わえる作品にフォーカスしたい!
{ 編集長 }
おっ?その作品とは?
《ハウリンメガネ》
「フォー・フリックス」です!

{ 編集長 }
ああ!ありゃ全てにおいて傑作だ!娯楽性もな!
《ハウリンメガネ》
40周年ベスト盤の「フォーティ・リックス」リリースに伴う
2002〜3年の「リックスツアー」を収録したブツですが、
アリーナ(ニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデン)
スタジアム(ロンドン・トゥイッケナム・スタジアム)
シアター(パリ・オリンピア・シアター)
と、サイズの違う3種類の会場での映像を網羅して、
このツアーのプリプロやメンバーのやり取りを収めた
仰るとおり「傑作ドキュメンタリー」も収録した4枚組!


{ 編集長 }
ホント文句なしだ!
《ハウリンメガネ》
その上、バックステージの映像も豊富だし、
スタジオセッション、本人たちはもちろん
ゲストミュージシャンのシェリル・クロウ、
対バンのAC/DCのインタビューまで入って……
これはもはやストーンズ幕の内弁当!
{ 編集長 }
それを言うなら
「ロックンロールのスペシャル定食」だろ!
《ハウリンメガネ》
定食でもいいですが、それじゃ持ち帰れないので・・・
どこか「ストーンズ弁当」とか出さないかしら?
そういや昔、あなた、
店で「ストーンズの発泡酒」出してませんでした?
{ 編集長 }
おー、出してた!出してた!
サントリーが出した「ローリングホップ」ってヤツ!
あのベロマークの商標にバカみたいな金額を出して
商品化したみたいだけど、見事にコケチマッタヤツね(笑)。
《ハウリンメガネ》
ま、それは置いといて(笑)
この人たち……特にミックがそうだけど、
箱のサイズに応じてステージングを変えてくるから
それぞれの良さがあるじゃないですか。
それを並べて比較できるのは面白いですよね。
{ 編集長 }
このツアーは本当に良かった!
日本では「ドーム」以外にも
「横浜アリーナ」と「武道館」公演も実現してね!
アレが「最後のストーンズ」と言ってもイイくらいさ。
最高のツアーだったよ。
《ハウリンメガネ》
アリーナとスタジアムはデカいから
とにかく動くんですよね、みんな。
その中でもミックは距離を取って動きもスピーディーで派手に動く。
で、シアターはやっぱり奥行きが短いから
ミック以外は動きは控えめ……なんだけど、
ミックも動き方を変えてるんですよね。
{ 編集長 }
ショーの内容、質、共に変わるんだよね!
《ハウリンメガネ》
派手に見えるように大きなアクションはとるんだけど、
ちゃんと他のメンバーにぶつからないように位置を固定してるんですよ。
アクションは大きいけど、ムーブは控えめ。
この辺はやっぱり熟練の技ですよね。
{ 編集長 }
そうだね!百戦錬磨ってとこだろうね。
《ハウリンメガネ》
あと選曲ですよ!
スタジアムとアリーナはやっぱりヒットパレード的にやってる。
まあ、それでもオッ!となる曲、「スルー・アンド・スルー」とか、
ボビーのサックスソロが冴えてる「キャント・ユー・ヒア・ミー・ノッキング」
とか入ってくるんだけど……
そうそう、「キャント〜」のチャーリーは完璧にジャズドラムですよね。
キースも結構ジャジーなトーンで弾いてて
「やっぱ上手えなこの人」とか思いながら見てたんですけどね。
{ 編集長 }
ストーンズってロックなイメージのセイで
「細かく聴かれない」じゃない?
コレってもの凄く残念でならないんだけれど、
結構「個々のプレイは日替わりで面白い」のよ!
《ハウリンメガネ》
確かに!で、話を戻してシアターの選曲!
「うわっ!それやるんだ!?」の連続でしょ(笑)?
{ 編集長 }
俺は「横浜アリーナ」での「ラヴィン・カップ」だな!
アレは一生忘れないね。
《ハウリンメガネ》
「ハートブレイカー」とか
「ノー・エクスペクテーションズ」とか
「ストレイ・キャット・ブルース」とかねぇ。
あ、「ゴーイング・トゥ・ア・ゴーゴー」もいいな。
{ 編集長 }
「ハートブレイカー」はヴードゥーツアーでもやってたぞ!
《ハウリンメガネ》
あ、そうですね。
ただ、キャパが小さい分、
コアなファン向けに選曲してたんですかね。
このTPOに応じた選曲が出来るってのは
長年の経験が生み出した深みですよね。
{ 編集長 }
このツアーは会場ごとにファン層と値段を分けていたんだ。
「ビジネスマン・ミック」の凄味だろ!
スタジアムよりもアリーナそしてホールと
どんどん高値になる仕組み!
高い会場ほどレア曲をヤル!みたいな感じでさ。
《ハウリンメガネ》
それだから観客もいい感じで、
シアターはメンバー紹介の時、
「チャーリー!」コールが起きて、
チャーリーがちょっと喋るんですよね。
{ 編集長 }
あれ以降「チャーリーコール」が普通になるからね!
もうあのコールも出来ないと思うとなぁ・・・。
《ハウリンメガネ》
おっと、しんみりは早いですよ!
ま、そんな感じでどの会場でもプレイも曲もいいんですけど、
個人的に言及したいのはカメラワーク。
細かくカットを割ってて、ギターの手元のアップが多いのが素晴らしい!
凄く勉強になりますね。
{ 編集長 }
実際キースとロニーのコンビが良かったのは
「あの時期まで」と俺は思っていて
その分、勉強にもなるんだろうな!
《ハウリンメガネ》
あの……いつも不満なんですけどね……
{ 編集長 }
何が?
「アイ・キャント・ゲット・ノゥ!」
《ハウリンメガネ》
サティスファクション!
いや違う違う!違わないけど(笑)!
あのねぇ……ライブ映像ってギタリストの左手はそれなりに映るんだけど、
右手が写んないんだよね。
だからこの映像みたいにピックアップセレクター切り替える瞬間!
が映ったりすると「オオッ!」ってなる。私。
{ 編集長 }
彼らは「細かくいじっている」んだよね!
《ハウリンメガネ》
特にロニーに寄る絵面が多くて、
ロニーのスライドの滑らせ方とか、
その時の右手もよく見えるからすごく勉強になる。
{ 編集長 }
まあ、その辺はプレイヤーしか分からんし
一般的には入れ難いカットでしょ。
《ハウリンメガネ》
しかし、まあロニーはやっぱりスライド上手いですよね。
ラップスティールとかワイゼンボーンも弾いてるし。
{ 編集長 }
彼らしいスライドって感じでね。
フェイセズ時代から基本は同じだから
俺は時々フェイセズを思いだす時あるけれどなぁ(笑)。
《ハウリンメガネ》
そういや、キースとロニーのギターコレクションが
沢山見られるのも嬉しいところですよね。
{ 編集長 }
いやいや、全部欲しくなるから危険さ。
《ハウリンメガネ》
もちろんキースはミカウバー、355、レスポールjrのTVが、
ロニーはハードテイル・ストラトとゼマティスが金看板なんだけど、
二人ともちょいちょい新しいギター使ってんですよね。
{ 編集長 }
キースはちゃんと曲のフィーリングに合わせて持ち替えるでしょ?
使い方も申し分ない!キースがギター屋やったら売れるぞぉ!
《ハウリンメガネ》
やらないって!
しかしロニーが新しいギターを使うのは見慣れてるから
ジェリー・ジョーンズのエレキシタール持とうが、
デューセンバーグ持とうが「おっ」で終わるんですけど、
キースがトムアンダーソンのテレシェイプを持ったのを見たときは
「えっ!」てなっちゃいますよ(笑)。
いや、別になに持ったっていいはずなんですけどね(苦笑)。
{ 編集長 }
だからギター屋やったら「あんなギター」でさえ売れるんだよ!
《ハウリンメガネ》
やらないって!
でもキースも元々アンペグのクリスタルとか
ミュージックマンのシルエットとか、
結構その時の目新しいギター使ってるんですよね。
{ 編集長 }
シルエットはロニーと合わせて使ったよね。
《ハウリンメガネ》
ワタシ的には、やっぱりキースはミカウバーかギブソンの箱、
そしてロニーはストラト!
{ 編集長 }
テレとストラトのコンビが最高さ!
ロニーのストラトは初年度54年のノントレなんだよ!
実に珍しい逸品さ!
ところで結局、どの会場のやつが好きだった?
《ハウリンメガネ》
うーん……やっぱりオリンピアシアターかなぁ……
いや、アリーナ最後のミニステージでのプレイだな。
{ 編集長 }
今や恒例となった中央のステージだな!
《ハウリンメガネ》
あれ、シアターよりステージ狭いでしょ。
あれぐらい近い距離でやってるのが一番カッコいい!
そんな気がするんだよなぁ。あなたは?
{ 編集長 }
実は俺あのスタジアム
「ロンドン・トゥイッケナム・スタジアム公演」
を観にロンドンに行っていたんだよ!
で、チケットも持っててさ。
でも俺が見る日がキャンセルとなってねぇ・・・
振替のこの日は「ラブ」と「Ratdog」が出る
「カンタベリーフェス」と重なって、泣く泣く手放したんだ。
だから、この映像は生で見るはずの公演で、すごく悔しいんだ。
《ハウリンメガネ》
うっ、まさか「あなたの苦い思い出公演」だったとは・・・。
ま、どこから切ってもベテランも入門者も満足できるのは間違いなし!
の内容ですよね。
{ 編集長 }
その通り!
バンドや楽器をやっている人はモチロンだが
音楽好き以外にも、演劇とか俳優志望とか・・・
そんな人にも必見だと思うね!
《ハウリンメガネ》
しかし、こうして見てみると
みんなやっぱり若いですよね……
ついつい忘れがちですが、
この時点(2002〜3)からほぼ20年も経ってるわけですもんね……
{ 編集長 }
俺もこのツアーを追っ掛けていた時は
まだまだ若かったってことさ。
《ハウリンメガネ》
しかし未だにステージに立ってるんだから
やっぱり敬意を払って然るべきですよね。
とんでもない爺さま達だよ!ホント!
{ 編集長 }
先日チャーリーが逝き、
徐々に悲しい知らせが届くわけで、その覚悟も必要だが
やっぱりミックとキースは逝かないんじゃないか・・・
って思ってしまうのは俺だけかなぁ。
《ハウリンメガネ》
悲しい話はおよしなさい!
さて、次回ですが……
{ 編集長 }
ん?分かってんだろ?
《ハウリンメガネ》
今回がオフィシャルアイテムでしたからねぇ……
当然次は裏モノと……
{ 編集長 }
そう!ブートにこそ名演があるからな!

《ハウリンメガネ》

というわけで、次回は
「映像で迫るストーンズの魅力、ブート編!」
です。乞うご期待!

《続》


「マシュメガネ対談」 チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう!(第二回)「ストーンズ名盤紹介!」編

2021-09-26 18:59:32 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
今回はお互いに「ストーンズならやっぱりこれだろ!」
という点で意見が一致している2枚と、その2枚を念頭に
ストーンズの歴史を語るなら「どれをチョイスする?」
ということでお互い1枚ずつチョイスした2枚の計4枚のアルバムから
ストーンズってバンドの歴史を俯瞰してみようということで。
{ 編集長「MASH」}
そうだね。彼らの功績は大き過ぎるし、
その物真似系・・・失礼「ストーンズ系バンド」(笑)
とでも呼べるフォロワーも多いワケだから、
その影響を後世まで語り継いで当然だと思う!
《ハウリンメガネ》
んじゃ、「1st」からいきましょう。

これはお互いに意見が一致した内の1枚です。
あなたに「ストーンズが好き」って言った奴は漏れなく
「1stのUKモノが一番だよな!」と返されて
「え!?UKモノじゃなきゃダメなんですか!?」と驚く、
という一種の洗礼でジェリーズ関係者にはお馴染みですが(笑)
まあ、私もあなたに聴き比べさせてもらって
「あ、確かにUKモノじゃなきゃダメだわ」と思ったクチです(笑)。
{ 編集長 }
絶対に「UKモノ盤じゃあなきゃダメ!」だよね(笑)。
《ハウリンメガネ》
今回、ビートルズの「1st」と並べて聴いてみたんですよ。
{ 編集長 }
ほほう、で?
《ハウリンメガネ》
……ストーンズって地味(笑)!
{ 編集長 }
地味って君(笑)!
《ハウリンメガネ》
いや、すんません(笑)。
語弊があるのでちゃんと言います。
あのね、ビートルズは「1st」からロックの音がしているんです。
ま、これはリンゴとチャーリーの違い、
チャーリーはスイングするけど、
リンゴはスイングもあるけど、
それと同時にロールするんですよね。
ここの差が大きかったんじゃないかと思うんだけど。
{ 編集長 }
勿論演奏における「サウンド面」も大きいけれど
やっぱり「バラエティの大小の違い」が際立つな!
ビートルズはストーンズよりも1年ほどデビューも早いし
彼らの自作曲は勿論、取り上げたカバー曲もメロディ重視でしょ?
逆にストーンズは「ブルース・フォロワー」バンドに徹しているワケ。
《ハウリンメガネ》
そうでね、ストーンズは「1st」の時点で、
真っ当なR&Bサウンドなんですよ。ロックの音じゃない。
でもこの時点でもう音はストーンズになってる。これ、面白いですよね。
ロックバンドの頂点にいるとされているこの人達、
実際は今に至るまでロックバンドじゃなくて、R&Bバンドなんですよ。
{ 編集長 }
「1st」だけ聴き比べると、
ビートルズはもう「セヴンティーン」のカウントからKOされるじゃない?
歌も演奏も勢いが素晴らしく、アルバムとしてのワクワク感が増す!
一方のストーンズってジャズでも幾度と無く歌われた・・・
そんなスタンダードナンバー「ルート66」だよ(笑)?
《ハウリンメガネ》
「この人たちはブルースバンド、R&Bバンドなんだ」
というところからストーンズを聴くと
その後の流れが見えやすいですよね。
ブルース、R&Bバンドがビートルズを筆頭とした
ロックミュージック創成期の流れに巻き込まれて
「独自のロックバンド」と成長していく……
{ 編集長 }
結局のところビートルズがメロディを重視出来るバンドだった点は
「4人が4人とも歌えるから」っていう部分でね。
多種多様な曲をメンバーが歌、そしてコーラスで
色づけて料理できたわけだよ。
素材は同じでもミックの技量では一辺倒も仕方ない・・・
《ハウリンメガネ》
だからやっぱりこの盤の魅力は
「ストーンズの本質はR&Bバンドなんだ」
ってのが明確に見えるとこですよね。
そのポイントを理解する為にもやっぱり
この「1st」は外せないですね。
{ 編集長 }
良くも悪くもビートルズが先に世に出て
イギリス中をフィーバーさせている時に
「俺たちもバンドをやっているし一丁、勝負しよう!」って時に
「ビートルズをオーディションで落とし
 責任者が首となったデッカ・レコード」が
「とりあえずの対抗馬」として出したのがストーンズなわけ。
ビートル・ブームに乗り遅れない為に
「ステージで慣れている曲ばかり」を録音して出したんだが
その黒さを引きずった全体の感じがフレッシュでイイんだよ!
《ハウリンメガネ》
この後、65年に「サティスファクション」のシングルヒットを経て、
自作曲の割合が増えていき、サイケデリックの時代にリンクした
「アフターマス」や「サタニック〜」があって……
これ!「ベガーズ・バンケット」!

{ 編集長 }
文句なしの最高傑作だな!
ストーンズだけでなくロック史においても
「最重要盤」に違いない!
《ハウリンメガネ》
これもお互いに意見の一致した盤ですが、
私、やっぱり、ストーンズ作品の中ではこれが一番好きですねぇ。
もの凄くアーシー。
{ 編集長 }
高額だが、これも是非
「UKオリジナル・モノ盤」
で聴いて頂きたいね!
ギター、特に生ギターの音がリアルでダイレクト!
君の言うとおりアーシーさが際立つ盤だけに
「UKモノラル」で聴かないと「良さが半減」だよ。
《ハウリンメガネ》
「放蕩息子」とか「ファクトリー・ガール」なんかは
モロにデルタブルースだし、最後の「地の塩」後半なんか
もう賛美歌みたいだもの。
{ 編集長 }
ああ、「地の塩」は素晴らしい!泣きそうになるゾ!
《ハウリンメガネ》
泣くまではいかないと?
{ 編集長 }
いやぁ唯一ストーンズで泣きそうな曲なんだよね!
《ハウリンメガネ》
でも、泣かないと(笑)
とにかくアコギの比率が凄く多いし、
ドラムもパーカッションの割合が多いですよね。
チャーリーもハットだけ叩いてたり。
でも音は無茶苦茶ロックしてる。
{ 編集長 }
「ルーツ音」にストーンズの楽曲が見事にマッチした・・・
彼らにとってそんな最初の盤だろうね。
この手法をストーンズは今日まで盤の中に1,2曲入れ込むけれど
その比重をストーンズのイメージ重視で作った名盤が
後の「スティッキーフィンガーズ」なのさ。
よりワイルドにサウンドメイクしているけれど
「基本は黒いアーシーさ」なんだよ。

《ハウリンメガネ》
実は「なんだ、俺の出したいアコギの音ってこれじゃん」と感じましたよ。
「ストリート・ファイティング・マン」!
コレはロックでアコギを使う時のお手本ですよ。
{ 編集長 }
この時期ストーンズのアコギってギブソンとエピでしょ?
で、あの年代のギブソンが一番適していてジャキジャキするの!
俺も「67年製ハミングバード」を持っているけれど
アレだよ、アレ!
《ハウリンメガネ》
ストレートなサウンドに回帰してるってのは、
マルチプレイヤーだったブライアンが殆ど参加してない・・・
ってのもあるんでしょうけど、サイケの時代を経た・・・
ってのも一個あるんじゃないかと思うんですよ。
「イーノで紐解くロックの歴史」でも言ってますけど、
サイケデリックミュージックって 
基本的にはルーツミュージックの読み替えじゃないですか。
だからサイケの時代を経たストーンズがルーツミュージックに回帰する
ってのは文脈としてはよく分かりますよね。
{ 編集長 }
実際ストーンズは半年遅れでビートルズ・サウンドを出す・・・
そんなビートルズ・コンプレックスが有った訳でさ。
「サージェント」を追い「サタニック」を出し
「All you need is love」を追い「We love you」と来るでしょ?
その結果彼らが気付いたこと
「サイケは合わなかった・・・」ってことなんだよね(笑)
《ハウリンメガネ》
(笑)で、この後、ブライアンの死を挟み、
ミック・テイラー期に入る訳ですが……
今回、我々この時期からはチョイスしてないんですよね。
ま、前回対談で出した「ナスティ・ミュージック」
がその時期に当たるのでそれを参照頂くのがいいかな、と。
あれは抜群にいいですからね。↓

https://blog.goo.ne.jp/12mash/c/f4bb70881178099efe2e09df9fa43374

{ 編集長 }
さっき「スティッキー」を少し話したけれど
Mテイラー期の完成度はテイラーによるものが大きいよね。
ただし、「スティッキー」だけはキースを存分に感じる
だから特別な盤なんだろうな。
《ハウリンメガネ》
なるほど。そんなテイラーも抜けて、
ロニーが加入してしばらくしたらゴタゴタが起きて……
そういやゴタゴタ期の「ダーティー・ワークス」ですごい好きな逸話があって。
{ 編集長 }
何?
《ハウリンメガネ》
レコーディング中、チャーリーが急にキックを踏むのをやめちゃった。
「どうしたんだチャーリー?キックを踏んでくれよ」
チャーリー、一言、「若いもんに踏ませとけ」(笑)。
それで呼ばれた若いもんが今、ストーンズで叩いてる
スティーヴ・ジョーダン、っていう、嘘みたいなホントの話(笑)。
{ 編集長 }
俺は「ダーティーワーク」好きだよ。
キース色が強いし、ワイルドだからね。
しかしチャーリーのドラム音まで
「80年代サウンド」
にしちまったのは如何なもんかねぇ?
《ハウリンメガネ》
まあ、前回も触れたとおり、
この時期のチャーリーは荒れてたみたいですからね。
ホントにしんどかったんでしょうね。でも凄いですよね。
キック抜いてるのにチャーリーのリズムになるんだ、っていう。
{ 編集長 }
まあ、この時期はミックとキース間の問題でしょ?
ソロを優先してワールドツアーまでヤル・・・
そんな予定の中でミックが片手間で録音に参加したから・・・
誰だってイヤになるさ。
《ハウリンメガネ》
チャーリーで言えば
やっぱりジャズの人ですよ。
スネアとシンバルでグルーヴさせるっていうね。
{ 編集長 }
ストーンズの全ての盤において
チャーリーのバックビートが重要なのさ。
《ハウリンメガネ》
で、そんなゴタゴタの後に出た
「スティール・ホイールズ」

をあなたチョイスされたワケですが、これはなにゆえ?
{ 編集長 }
うん。コレって俺が高校生のときに出てさ。
「刺青の男」からダイレクトに聴いてきて
さっき話に出た「ダーティーワーク」後は
ミックとキースのソロ合戦で
「ストーンズも解散か?」なんて言われてたんだよ。
そんな中、急にコレが出るってなって、初来日もする!
ってトントン拍子でさ(笑)!
俺も高校をオフィシャルに休んで
この「来日チケット」を取った口だから。
《ハウリンメガネ》
何ですか?その「オフィシャルに休んで」って?
{ 編集長 }
ああ、先生が全校放送をかけて、俺を職員室に呼んだんだよ。
「マッシュ君、職員室まで来なさい!」ってね。
周りでは「あいつまた悪いことしたんだぜ!」
みたいなヒソヒソ話が聞こえてさ。で、行ったら
「ストーンズのチケットを学校休んでいいから取ってくれ!」
って(笑)。
《ハウリンメガネ》
ええッ?
{ 編集長 }
当為の俺はよくチケットを並んで整理券を貰い
その後に遅刻して登校していたんだよ。
で、理由も正直にそれを言っていてね。
ところがストーンズは「電話予約のみ」で、
もちろん電話予約も得意にしていたから
土曜日の発売時は休むつもりではいたけれど、
先生の分も取ることになり、出席扱いで休んだわけさ。
《ハウリンメガネ》
で、取れたんですか?
{ 編集長 }
モチロンさ。
先生は10000円のチケットを14000円で買ってくれたよ(笑)!
お駄賃だね。
《ハウリンメガネ》
うっ、ダフ屋行為!手強い!
{ 編集長 }
お駄賃だって!それはさて置き、元気なストーンズが集合した盤だから!
そしてビルがこのツアーでストーンズを去るでしょ?
彼のプレイもこの盤が最後だったのも理由さ。
《ハウリンメガネ》
あぁ、なるほど。
「ビル・ワイマンが抜けた後のストーンズも違うバンドだ」
って意見はありますしねぇ。まあ、同意もできますし。
で「スティール・ホイールズ」ですが、これはいいアルバムですよね。
曲も充実してるし、何より音が面白い。
(トーキング・)ヘッズみたいな音じゃないですか?
{ 編集長 }
うん。いろいろ有るがやっぱり「Sad Sad Sad」や「Mixed Emotion」
そして「R&R hard place」みたいな「生きの良い作品」が並んだ!
ソコに尽きるな!

《ハウリンメガネ》
サウンドプロダクトがニューウェーブっぽいんですよ。
ニューウェーブってブラックミュージックの要素がすごく強い!
だからこの音がストーンズのR&Bバンドとしての魅力を
新たに引き出していると思うんですよね。
{ 編集長 }
まあニューウェーブ云々ってのは
もう「女たち」でモロだったでしょ?
「エモーショナル・レスキュー」も「アンダーカバー」も!
それと比べたら「ストーンズらしさが戻って来た!」って
当時は感じたよ!
《ハウリンメガネ》
なるほど。リアルタイムだと感じ方に違いが有るモンですね。
ただ、やっぱりね、最後の「スリッピング・アウェイ」。
14年の来日で聴いた時のコレ、すごく良かった。
正直ね、原曲はそうでもないんですよ(苦笑)。
ところがね、年取ったキースが歌ってると……イイんですよ(笑)。
{ 編集長 }
名曲だよな!キースはこの雰囲気の曲が得意で
「スリープ・トゥナイト」なんかも良いね。
《ハウリンメガネ》
ふと思い出したんですけど、
多分、私、初めて聴いたストーンズのアルバムって
「フラッシュポイント」(スティール・ホイールズツアーのライブアルバム)
なんですよ。
{ 編集長 }
新曲でJBリスペクトの「セックス・ドライブ」が入っているしね!
《ハウリンメガネ》
そうそう!あれもいいライブアルバムじゃないですか。
だからこの時期のストーンズは充実してたと思うんですよね。
{ 編集長 }
ミックとキースが大人になって
「結局ストーンズが求められている」
って気づいた点が大きいよね。
ツアーもモチロン大成功だったしさ!
《ハウリンメガネ》
で、この後だと
「ヴードゥー・ラウンジ」
「ブリッジ・トゥ・バビロン」
「ア・ビガー・バン」と来て……
チャーリーの遺作となってしまった
「ブルー&ロンサム」。
私がチョイスしたのはこの「ブルー&ロンサム」なんですよ。

{ 編集長 }
うむ。
《ハウリンメガネ》
これ、ブルースのカバーオンリーでしょ?
「1st」と並べて語るべきだなぁと思って。
だから「1st」と繋ぎでかけてみたんです。
{ 編集長 }
で、どうだった?
《ハウリンメガネ》
あのねぇ……「1st」と気配が同じ。見事に。
音は当然違うんですよ?
ギターはかたっぽロニーだし、ベースはダリル・ジョーンズ。
レコーディング環境も違うでしょう。
だけどねぇ……不思議なことに雰囲気が繋がってるんですよ。

{ 編集長 }
なるほどねぇ。
俺はもっとアコースティックで聴きたかったな。
《ハウリンメガネ》
このアルバムって
「レコーディングセッション中にその場の雰囲気で
ブルースセッションに変わっていった」
って話ですけど、
それって言い換えればストーンズはいつでもブルースがやれた
って事じゃないですか。ロックバンドでそれはできない。
ああ、やっぱりこの人たちR&Bバンドなんだ、と。
R&Bバンドがロックをやってただけなんだ、と。
{ 編集長 }
俺はベッタリブルースをやって欲しかったけれど
ミックが歌うとストーンズなんだよね。
ソコが限界でも有り、凄味でもある(笑)!
ストーンズ・サウンドに他ならないわけよ!
《ハウリンメガネ》
それって凄いですよね?
最後までR&Bバンドだったんですよ。
ブライアンが死に、スチュも逝き、ワイマンも抜けて、
それでも本質は何も変わってなかった。
だけど、チャーリーの不在は……
{ 編集長 }
チャーリーが居ないとダメさ。
《ハウリンメガネ》
「チャーリーがストーンズの良心」
ってつまりそういうことだと思うんです。
ストーンズの本質を守り続けた人だって。
{ 編集長 }
例えば、ザ・フーなんて
リズム隊が逝っちゃうと
なんか違うバンドみたいに聴こえるじゃない!
アレに近い感じになりそうで怖いよ。
《ハウリンメガネ》
もうここから先は神のみぞ知る、って話ですからね。
しかし、こうやって話してると
「なんだ、俺、結局ストーンズ結構好きなんじゃん」
って事に気づきますね(苦笑)。
{ 編集長 }
それ、俺も感じるんだよ。
ストーンズを好きな人って逢ったこと無くてさぁ・・・
俺、ご存知の通りビートルズの人なのに
ストーンズ・ファンから、
「君はストーンズが大好きなんだね!」
とか言われると、ちょいと気まずいんだけれど(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
わかりますよ。
普段そんなに自分はファンだと思ってなくても、
ストーンズ馬鹿にする奴がいたらやっぱりカチーンと来るしね。
{ 編集長 }
80年代ハードロックバンド
「シンデレラ」のトム・キーファーが
「キースみたいにペンペンとギターが弾ければ幸せだよ!」
って言ってたけれど、
分かる人にしかストーンズの良さは分からんのかねぇ。
《ハウリンメガネ》
やっぱり本気の奴には
「ロックの根っこにずっと居る」んですよ、ストーンズが。
私たちも含めて!
{ 編集長 }
さもありなん!
《ハウリンメガネ》
じゃあ、今回はこんなところで。次回は?
{ 編集長 }
ストーンズのライブ映像から彼らを語っていこうと思うんだ!
《ハウリンメガネ》
わかりました!じゃあ次回は
「映像で振り返るストーンズ」
ということで!お楽しみに!
{ 編集長 }
十分期待して欲しいぜ!

<つづく>


「マシュメガネ対談」 チャーリー・ワッツとローリング・ストーンズを語ろう!(第一回)名盤「NASTY MUSIC」編

2021-08-29 14:54:06 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
言葉を失うとはこういうことを言うんですね……
{ 編集長「MASH」}
記事にも書いたが、君からの知らせで呆然としたんだ。
《ハウリンメガネ》
朝、ニュースを確認した時、目を疑いましたよ。
まだ目が覚めてないのかとすら思いました。
次回のツアーに参加しないって情報は知っていたので
調子悪いのかな?とは思ってたんですが……
{ 編集長 }
俺は積極的に情報を取る人間じゃぁ無いから
ツアーをやることすら知らなかったよ。
《ハウリンメガネ》
私、14年の来日公演を観た時の記憶が蘇りましたよ……
ストーンズは「あの一回」しか観てないから……
確か二日目だったかな?
二階席で遠かったけど、カッコよかったなぁ……
{ 編集長 }
俺は海外も国内も腐るほど見たけれど
ストーンズはいつもストーンズだったよ!
《ハウリンメガネ》
ご家族に看取られたそうですから、
それだけは幸いだったというか、ホッとしましたが……
{ 編集長 }
色々考えさせられるよ。
他のメンバーはもうツアーの準備で忙しかったんだろうね。
《ハウリンメガネ》
追悼というのもおこがましいですが、
今回から年末までは「チャーリーとストーンズ」に焦点を当てる
そんな対談にするということで、
今回はストーンズの隠れた最高傑作との評もある
「ナスティ・ミュージック」のお話ですね。

{ 編集長 }
「ナスティ」は絶対に外せないよね!
72年と73年、まさにピーク時のライブを
3箇所から選りすぐり2枚組として出された
「ロック史に残る大名盤」だよ!
《ハウリンメガネ》
ミック・テイラー在籍期、スチュもボビー(・キーズ)も
元気な頃の72〜73年のライブツアーのブートですもんね。
盤レーベルの記載が一切内容と一致しない!
そんなブートらしすぎるブート(笑)。
{ 編集長 }
昔はレーベルに曲目を記さず出したんだが
何でだか分かる?
《ハウリンメガネ》
えっ、ただ雑なだけじゃぁ・・・
まさか、何か理由があるんですか?
{ 編集長 }
フフフッ・・・
実は「摘発逃れ」を目的としていてね。
レーベルは適当な曲目を入れ
盤は盤で「ナゾのレコード」として輸入され
スリックと紙ジャケは盤とは別に送られるのさ。
現地の業者がそれらを合わせてから
店頭や通販で売ったんだよ。
《ハウリンメガネ》
ええっ、そんな裏が有ったんですか!
{ 編集長 }
昔は海賊盤業界も市場規模が大きく
摘発されるのを恐れていたんだよね。
今はもう市場規模縮小で残念だよ。
《ハウリンメガネ》
音なんですが、
オーディエンス録音じゃないですよね、これ?
やたらと音がいい。
{ 編集長 }
うん。サウンドボードだよね。
バランスは悪いけれど、まあ逆にイイ感じよね。
《ハウリンメガネ》
そしてとにかくプレイが凄い!
裏名盤扱いなのも納得の出来!
ミック、キース、テイラー、ワイマン、チャーリーの
正式メンバーのプレイは勿論、
前述のボビーのサックスもバリバリで。
{ 編集長 }
そうだね。この頃ならではのアレンジ。
特にMテイラーの貢献度と言うか、
彼に依存したと言うか(笑)
そんな彼が「ギターを弾きまくるアレンジ」が
今とは全く違うストーンズであり
独自のバンド感を醸し出している点が興味深いよね。
《ハウリンメガネ》
時期的にも最も脂が乗ってたと評される時期ですよね。
まあ、この人たちの場合どの時期がベストか?
ってのは論が別れがちですが(笑)。
{ 編集長 }
ロニー加入時はフェイセズみたいな感じでしょ?
94年以降になると、ビル脱退後から最近までってコトだけど
ホーンやコーラスの厚みで押し切る。
これまた、別バンドだしね。
《ハウリンメガネ》
ギターについて話が出ましたが
全編通してキースとテイラーのギターがムチャクチャいい音出してる。
ロックバンドでのツインギターの完成形と言ってもいいぐらい。
{ 編集長 }
まあ、好みは有ると思うけれど、
キースのコンディションがクスリやアルコールで
常に不安定だったから、テイラー依存が強いんだよね。
ただココに収録されている音源は
キースの状態も良く、とても良いバランスで聴けるよね!
《ハウリンメガネ》
ま、ギターの話は置いといて(苦笑)
改めてチャーリーのドラムに話を持っていくと……
変わんないですね!この人は(笑)!
どの時期でもやっぱりストーンズの錨!
他のメンツがエネルギッシュに突っ走ってる時にも
ちゃんとキープして「お前らちゃんと帰ってこいよ?」
と言ってるような(笑)。
どこかにクールさをちゃんと残してる。
{ 編集長 }
良く聴いてごらん
キープと思わせて、合わせているんだよ。
俺を始め、
「ストーンズってチャーリーなんだよ!」
って言う人は、
「彼がキースに合わせて叩ける唯一の人物」
だからなんだよ!
《ハウリンメガネ》
なるほど、ストーンズの裏番長ですよね。
キースの不眠セッションに最後まで付き合ったり、
増長したミックを殴り倒して説教したり。
{ 編集長 }
チャーリーはデビュー時より
他のメンバーよりも精神的に大人だったんだよ。
ただ、ミックに「俺のドラマーは居るかい?」と呼び出され
パンチを喰らわした80年代半ばって、結構精神も病んでたらしいんだ。
クスリにも初めて手を出したらしいからな・・・。
《ハウリンメガネ》
ええっ、そうだったんですか?
ただ一貫して英国紳士らしい立ち振る舞いでしたよね?
だけど怒らせると一番おっかない感じですが(笑)。
{ 編集長 }
イギリスへの愛着もあったようだしね。
《ハウリンメガネ》
一般的に云われがちなチャーリーの評価って
「ヘタウマ」だと思うんですよ。
でもこの盤を通して聴くと
「ヘタ?どこが?」としか言えない。
{ 編集長 }
あのさぁ、俺はいつも思うんだけれど
そういう奴が言うには
「サイモン・フィリップス」や「コージー・パウエル」
は上手いわけよ(笑)
で、チャーリーやリンゴは「ヘタウマ」って具合で語られてさあ。
もうヤッテられないよ(苦笑)!
《ハウリンメガネ》
例えばこの盤では長尺でプレイされてる
「ミッドナイト・ランブラー」。
途中で緩急がガンガン切り替わりますよね。
チャーリーのドラムに一分のズレもないんですよ。
これがどんなに難しいことか!
{ 編集長 }
あの曲自体を叩ける奴なんて、そうはいないぜ!
しかも、キース相手にだよ(笑)。
《ハウリンメガネ》
全編そうですけど、多少タイムがズレても
すぐ全員でリズムを揃えるからズレがズレじゃなくて
味に聴こえるんですよね。
{ 編集長 }
いや、だからズレてるのは上モノなんだよ(笑)。
キースのギターが走ったり、
テイラーのリードギターが走ったりって(笑)。
逆にビルとチャーリーはソコに追い着こうとする・・・
そこで一瞬ズレるのさ。
《ハウリンメガネ》
なるほど。
バンドの息はぴったりタイトに合ってるのに
サウンドはルーズに聴こえるっていう、ストーンズのマジック。
やっぱりこれってリズム隊、特にチャーリーの力だと思うんですよ。
{ 編集長 }
俺が「ストーンズを唯一無二」だと思うのはソコさ。
《ハウリンメガネ》
本人の
「私はジャズドラマーだ。ジャズドラマーが世界一のロックバンドにいるだけだ」
って発言は有名ですけど、その「ジャズドラマー」の内実も
バディ・リッチのようにソロもバンバン叩くタイプじゃなくて、
カウント・ベイシー・オーケストラのジョー・ジョーンズみたいに
バンドをスウィングさせることに注力する
そんなジャズドラマーってことだと思ってて。
{ 編集長 }
そうだよね。
歌物もインストも彼は上モノをシッカリと引き立てるドラマーだよ。
《ハウリンメガネ》
チャーリーのハイハット抜き奏法は有名ですけど、
あれ、ハイハットを使う8ビートを
スイングさせる為にやってたんじゃないかな。
マネすると分かるんですけど、あれ、やるとモタるんですよね。
あれをモタりじゃなくてスウィングさせる為の間だって解釈すると
やっぱりチャーリーのスウィング感こそがストーンズサウンドの核。
ロックの8ビートを絶妙にスウィングさせることで
ストーンズ独特のビートが生まれてたんじゃないかなぁ。
「ラブ・イン・ヴェイン」でのドラムもブルースベースの人だと
もっとベタッとすると思うんですよ。絶妙に軽いんですよね。
スウィングしてるんですよ。
{ 編集長 }
そうだね。ただ、俺はチャーリの音!
一音一音をシッカリとグルーヴさせる感じが
とにかく別格だと思うよ。
君の言うハット・プレイもそうだが、
シンバル音はすぐにチャーリーと分かる!
そんなコダワリの音だし、フィルも絶妙で
独自のドラミングでも有るよね。
《ハウリンメガネ》
ボンゾやキース・ムーンみたいな
「ロックドラマー的な派手さ」があるわけではないし、
ジェフ・ポーカロやスティーヴ・ガッドみたいに
グルーヴマスター的な評価がされてるわけでもない。
だけど、チャーリーのドラムはやっぱり一級品なんですよ。
ストーンズってバンドをストーンズならしめてたのは
いつもピシッと背筋を立てて叩いてたあのドラム。
ミックやキースがフロントで、チャーリーだけはいつも崩れず
後ろでビシッとした佇まい!
コレもストーンズのパブリックイメージじゃないですか。
あれがカッコいいんですよね。
荒くれ者の中に一人英国紳士っていうバランス(笑)。
{ 編集長 }
俺もドラムを叩くが
ドカドカ叩いたり、早く叩くのは簡単なんだよね。
逆に「フィーリング」や「音を醸し出せるドラマー」ってなると
コレはもうロックドラマーじゃぁ物足りないよ。ジャズの領域さ。
《ハウリンメガネ》
しかし……これでストーンズという「バンド」はなくなった……
チャーリーって人は「ストーンズの核の部分」を担ってた人ですから。
{ 編集長 }
その通りだね。
《ハウリンメガネ》
きっとミックもキースもロニーも分かってるんですよね。
でもそれでもストーンズは止まれない。
大事なものが欠落してもやり続けるしかない…
コレ…無茶苦茶ブルースな話ですよ……
{ 編集長 }
うん。「キースは死ぬまでステージに立つ」と言ってたけれど
さすがのキースも、今回だけは喰らっていると思うよ。
《ハウリンメガネ》
最後までストーンズであり続けたチャーリー……
今はとにかく安らかに眠って下さいとしか言えませんね……
{ 編集長 }
ただ、音が残っているからね。
本盤は勿論、色々な盤を聴きゃ、すぐに俺たちは逢えるわけさ。
あの生き生きしたチャーリーにさ。
これってホント有り難いことなんだよ。次回はそんな音について語ろう。

来月の第2回へ続く・・・・


《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(番外編)アリス(谷村新司・堀内孝雄)を語る!

2021-07-31 21:27:31 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

某月某日、編集会議にて。

《ハウリンメガネ》
次どうしましょうか?
{ 編集長「MASH」}
うーん、まだまだ60年代の話が終われそうにないからなぁ。
《ハウリンメガネ》
ロックの歴史を語る以上、
60年代って一大転換点はどうしても分量が多いですからね……
{ 編集長 }
そうだなぁ……
前回が(ラヴィン・)スプーンフルだろ?
フォークロック……
そういえば、キミ、この間のオレの「しりとり記事」↓ 読んだかい?

https://blog.goo.ne.jp/12mash/e/2733b3dbd4d025e3c5119bd897076650

《ハウリンメガネ》
え?そりゃ読みましたよ?
アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」でしょ?
{ 編集長 }
キミ、「アリス」ちゃんと聴いたことあるの?
《ハウリンメガネ》
いやぁ……ないなぁ。
「チャンピオン」とか谷村(新司)さんの「サライ」
それぐらいしか知りませんね。
{ 編集長 }
よし!
《ハウリンメガネ》
ん?よし?
{ 編集長 }
次回は「アリス」について喋ろう!
《ハウリンメガネ》
え、えらいテーマがトビますね?
{ 編集長 }
いや大丈夫!
聴けばなんでオレが「アリス」の話をしたいのか
ちゃんとわかるから!
《ハウリンメガネ》
ええ~ アリス……

(回想終了!)

《ハウリンメガネ》
というわけで今回はイーノで紐解くロックの歴史……
からは少々ズレますが、アリスの話です!
{ 編集長 }
来たぞ!アリス!
《ハウリンメガネ》
ま、なんでこの流れでアリスなのかは追々話すとして、
今回の主題はこちら
「ALICE IN KOBE 2001.1.17 アリス・復活ライ ブ」DVD!……

あなた、これ、私が明石(神戸の隣)に住んでるから送ってきたでしょ。
{ 編集長 }
そりゃぁ、そうだが
内容も素晴らしいので、コレが一番分かり易い!
《ハウリンメガネ》
まあいいけど(笑)。
イントロダクションで神戸の街が少し映るんですが、
見覚えのある風景が見えると嬉しいもんですね(笑)。
2001年の映像ですから多少街並みは違いますが。
(メガネは2009年に関西へ移住)。
{ 編集長 }
俺はまだ行った事がないので
コロナ後には是非お邪魔したいぞ!
《ハウリンメガネ》
ぜひお待ちしておりますよ!
で、これ、時期的に阪神淡路の震災復興応援だったのかな。
{ 編集長 }
そうだね。彼らの再結成にも
あの震災は大きな影響を与えている様だね
《ハウリンメガネ》
肝心の本編ですが、
いやぁ、ちょっと私、アリスを誤解してましたね。
{ 編集長 }
そうだろ?コレは大問題さ!
《ハウリンメガネ》
大問題かは別として・・・まずこの人達って
「フォークグループ」じゃなくて「トリオバンド」なんですね。
ライブの前半は「堀内さん」と「谷村さん」の
ツインボーカル&(アコースティック)ギター
そこに「矢沢(透)さん」のパーカッションだけなんだけど、
無茶苦茶バンドサウンドしてる。
{ 編集長 }
そうなのよ!俺は幼少期に聴いて
おいおい、全然他と違うじゃない!
って思ったもんだよ。
《ハウリンメガネ》
「矢沢さんのパーカッションがグルーヴィー!」
ってのはまずあるけど、
「堀内さん」と「谷村さん」のギターが
ちゃんとコンビネーションしていて、
ツインギターの美味しさが出てるんですよね。
じゃかじゃかストロークしてるように見えて
実はベース的なラインとギター的なラインを
2人で分担してうまく捌いてる……
何かCSNとかPPMを彷彿とさせるサウンドなんですよ。
{ 編集長 }
おっ、イイトコロを突いて来たねぇ!
ギターのコンビネーションやパーカスの入りだけで
もう日本離れした音だろ?
《ハウリンメガネ》
そうそう!音がちゃんと本格派なんですよ!
{ 編集長 }
そもそも「アリス」って
デビュー前に谷村(チンペイ)さんが
バンドの大会の副賞か何かでアメリカへ行くのよ。
そこで矢沢さん(キンちゃん)と逢い、
なんと一緒にジャニス観るんだよ!
《ハウリンメガネ 》
えっ~!生ジャニス?
{ 編集長 }
そうそう!
多分「生ジャニス」を見ている数少ない日本人が
帰国後にバンドを組むんだよ。
ただ、そのサウンド・スタイルは同じフェスで観た
「リッチー・ヘイブンス」だったみたいよ!
帰国後チンペイさんが大学の後輩でバツグンに歌える
「堀内さん(ベーヤン)」を引き入れるわけ!
《ハウリンメガネ》
そうそう!ツインボーカルのバランスもすごく良い。
片方が主体になるんじゃなくて、2人で1つのボーカルになってる。
ここまでバランス取れてるツインボーカルって
ちょっと珍しいんじゃないですか?
{ 編集長 }
ココは大切な部分だが
やっぱり「ジョンとポール」なんだよ!
「初期ビートルズ」の影響が大だよね!
ベーヤンは「ビートルズと三橋道也が全て!」
と本人が言う程の「ビートルズ・フォロワー」だから
それこそ当時PPM一辺倒の「チンペイさん」と絡んだら自然と・・・
まあ、当然ああなるんだけれどさ(笑)。
《ハウリンメガネ》
三橋道也・・・ソコが後の演歌にも?
{ 編集長 }
そうそう。歌えちゃうんだよね(笑)。
だからチンペイさんはベーヤンに引っ張られて
「あのスタイル」に落ち着いたんだろうあぁ。
何でも
「実のお爺さんに三橋道也を歌って聞かせ、
 そのお小遣いでビートルズのレコードを買っていた」
らしいよ。
《ハウリンメガネ》
(笑)その堀内さん一人舞台の「帰り道」を挟んで、
後半戦はベース、鍵盤、エレキのサポートメンバーを入れた
完全バンドセットで「冬の稲妻」から始まるんですが、
これはこれでまたロックバンド然とした感じになって・・・
まるで、CSNがCSN&Yになったような(笑)。
{ 編集長 }
そうなんだ!
上手いコト言うね!実にイイ例えだよ。
そしてサウンドはシッカリとした「洋楽サウンド」だよね!
《ハウリンメガネ》
ふむ、つまりアメリカでサイケデリックロックが勃興する中、
日本から行った若者が「ジャニス」や「リッチー・ヘイブンス」を観て
「こりゃぁスゲエ」ってアメリカンルーツを持ち込んで
帰国後「ビートルズに影響を受けた歌手」を入れたら
こういうバンドが生まれていたと・・・恐ろしい。
{ 編集長 }
偶然なんだろうけれど、それって振り返ると
「ほとんどが必然」なんだよねぇ。
俺も歳を取ったもんだよ。
最近コーいうことばかり考えてね・・・(笑)。
そうそう、キンちゃんはR&Bをヤッテたようだぜ!
《ハウリンメガネ》
なるほど!あのビート感は黒さからも来ていると思いました。
しかし「はっぴいえんど」とか「グループサウンズ」は
再評価されてますけど、いかんせんこのアリス!
再評価の声は聞かれませんが・・・。
{ 編集長 }
だから、こうやって対談するんじゃぁないか!
《ハウリンメガネ》
あっ、失礼致しました。
{ 編集長 }
もうひとつ評価したいのは
チンペイさんが言うには
「20代に1億5千万円の借金を背負うハメになった・・・」
らしいんだけれど(笑)
事務所が「大物の来日公演」を実現させているんだ!
誰だと思う?
《ハウリンメガネ》
えっ、呼んだってプロモートしたってコト?
見当もつきませんね・・・
{ 編集長 }
フフフッ
我らがJBの初来日だよ!
《ハウリンメガネ》
ウッ!黒い!じゃなくて、凄い!
{ 編集長 }
黒凄いだろ(笑)!
とにかく、宣伝もせずに
「大阪フェスティバルホール公演」
をやったもんだから、200人しか入らず・・・
大赤字を喰らったようだぜ(笑)!
当時の1億5千万って15億くらいの感じらしいよ。
《ハウリンメガネ》
うひゃぁ!そりゃ「スーパーバッド」な状況!
{ 編集長 }
おっ、曲目入れてきたね!黒い!
とにかく音楽にしろ、JB騒動にしろ
どちらも本紙で再評価すりゃ本物さ!
何たって本紙にゃ金が動かネエからさ!
ワッハッハッ!本音のハードパンチでいいのさ!
《ハウリンメガネ》
おっと、それ以上は言わずに願います(笑)。
まあ、売り出し方として
フォーク、歌謡曲で括られているのも原因でしょうか?
{ 編集長 }
売れたからだよ!
アリス後半は爆発的に売れるでしょ?
売れたら歌謡曲になる時代さ。
でも、サウンドは歌謡曲じゃないんだけれどね。
《ハウリンメガネ》
アリスはちゃんと「バンド」なんだ!
って、私も声を大にして言いたい!
{ 編集長 }
そうそう!
結局のところ
「売れないと音が評価され」
「売れると音が聴かれない」
コレ色々なところで見られる現象よ。
《ハウリンメガネ》
しかしやっぱり
本編ラストの「チャンピオン」は名曲ですね。
「you're king of kings」
って台詞が聴こえるとなんか燃える(笑)。
{ 編集長 }
チンペイさんのMCでのアオリもイイよね!
来るぞ!来るぞ!って感じ。
《ハウリンメガネ》
そうそう、MCがやっぱり上手い(笑)。
知らなかったんですが、
「谷村さんと堀内さん」大阪の人だったんですね。
{ 編集長 }
そうなんだよ。
このジャべりも当時から人気だったから
歌謡曲に見られたんだろうね。
《ハウリンメガネ》
やっぱり
「関西はシャベリができないとウケない」
ってのはありますから。
ミュージシャンでも喋りのスキルを要求されるという……
私もだいぶ鍛えられました(苦笑)。
{ 編集長 }
いやあ、やっぱり「笑いは大事」なんだよ!
ちゃんと「でんがなまんがな」やっていかないと!
《ハウリンメガネ》
いや「でんがなまんがな」は
関西でもよう言いませんよ?
{ 編集長 }
うっ・・・ いや言うって。
《ハウリンメガネ》
言わんって。
{ 編集長 }
だから、大年の師匠たちは言うって!
《ハウリンメガネ》
もうみんな死んじゃって、この世にいないでしょ!
{ 編集長 }
え~い、言うの!
《ハウリンメガネ》
言わんって!
{ 編集長 }
言うんだって!
《ハウリンメガネ》
言わん!
{ 編集長 }
言う!
《ハウリンメガネ》
言わん!
{ 編集長 }
言う!
《ハウリンメガネ》
言わん!
もっと言えば
「言わんのバカ~ン」
{ 編集長 }
なんでトルストイやねん!やめさせて貰うわ!

『ありがとうございましたぁ~』

<番外編 終わり>


《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part10)「60年代サイケ名盤編 その6」

2021-06-26 16:36:19 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい。今月も始まりました!
「イーノで紐解くロックの歴史」。
{ 編集長「MASH」}
始まった!
《ハウリンメガネ》
今回のテーマは前回の流れで
「ビートルズの影響はアメリカにどんな音楽をもたらしたのか」
でございます。
{ 編集長 }
どうした?妙におとなしいじゃないか?
《ハウリンメガネ》
いえ、たまには教養番組の様に静か~に
やってみるのも趣向が変わってよろしいかと思いまして。
{ 編集長 }
どういう風の吹きまわしだ?
それに、その変なしゃべり方ヤメロよ!
《ハウリンメガネ》
まあまあ、お気になさらず。
というわけで、本日の主役はこちら。
「ラヴィン・スプーンフル」という
実にフレッシュな若者「4人組バンド」でございです。
{ 編集長 }
・・・・
《ハウリンメガネ》
ええ、しかし皆様、コチラの若者達
「実に素晴らしいバンド」でございますのはもちろん、
この方たちは……あ~……曲がぁ……大変よろしいですね……
{ 編集長 }
……ちょっと訊いていいか?
《ハウリンメガネ》
(微笑みを浮かべながら)なんでございましょう?
{ 編集長 }
未だかつて君からスプーンフルの話題をふられた覚えがないんだが?
《ハウリンメガネ》
ギクッ!
{ 編集長 }
……お前あまり聴いていないな?
そんな不得意ジャンルだから
いつもと調子を変えて
煙に巻こうとしてるんじゃないか?
《ハウリンメガネ》
ギクギクッ!
{ 編集長 }
どうやら図星の様だな?
《ハウリンメガネ》
……バレたか!
{ 編集長 }
バレたか!じゃないよ!
何年つきあってると思ってんだ!
《ハウリンメガネ》
ウハハハ!バレちゃぁしょうがない!
{ 編集長 }
ウッ、急にいつもの調子に戻して来たな!
《ハウリンメガネ》
バレてんのに今更取り繕ってもしょうがないでしょ!(笑)
そうなんですよぉ、全然通ってないんだよね。
このスプーンフル。有名曲しか聴いたことなかったから。
いや、ほら「王道のグッドメロディ系」
後回しにしがちな私の悪癖、ご存知でしょ?
{ 編集長 }
ソーいうのを「へそ曲がり」とか
「性質(たち)が悪い」とか言うんだよ。
《ハウリンメガネ》
いや、すいません(苦笑)。
今回はあなたに送ってもらった盤の感想オンリーで
しゃべるしかないので、ちょっと私、不利ですね(笑)。
{ 編集長 }
何を言ってるんだ。
彼らの代表曲中心のベスト盤に、
あえて入って来ない「この2枚」は彼らを知る重要作だぞ!
《ハウリンメガネ》
まあ、行ってみましょうか!
そもそも「ラヴィン・スプーンフル」というと
「魔法を信じるかい?」に代表される
フォーキーなグッドメロディのアメリカンバンド、
というのが私の印象なんですが。
{ 編集長 }
ベスト盤を聴いて「バブルガム系」とホザク・・・
そんなアホもいるな。
《ハウリンメガネ》
(苦笑)あと、やっぱり「ウッドストック」に出たこともあってか、
メイン・ソングライターの「ジョン・セバスチャン」が有名ですよね。
ボブとかCSNとの絡みもありますし。
{ 編集長 }
ジョン・セバスチャンは実に重要な人物なんだよ!
追々説明していくがね。
《ハウリンメガネ》
じゃあ、まずはこちらの2枚。

スプーンフルが音楽を担当した映画のサントラですね。
スプーンフルの活動時期的には後期に当たるんでしょうか?
{ 編集長 }
全6枚中の「3枚目(写真左)」と「5枚目(右)」だから
中後期と云ったところだが
何せ活動が2年と短いからねぇ。
分けることがナンセンスだし、
しかも「タイガー・リリー(左)」
次作に出す大名盤「ハムズ~」(写真↓)

のセッション風景と来ている!
《ハウリンメガネ》
この映画2つとも見たことないなぁ。見ました?
{ 編集長 }
観ていないけれど「タイガー・リリー」は
「スプーンフルの演奏シーン」が有ると聞いたよ。
谷口監督の東宝映画「国際秘密警察・鍵の鍵」を
ウディ・アレンがセリフや独自のシーンを入れ込み仕上げた
そんなパロディ映画のようだね。
日本盤DVDは版権の問題で出ていないみたいね。
《ハウリンメガネ》
ほほう。もう一方は?
{ 編集長 }
初期コッポラの「大人になれば・・・」だね?
コレも観ていないけれど、
こっちは国内でもちゃんとDVD化されている様だよ。
で、肝心のサウンドはどうだったのよ?
《ハウリンメガネ》
イイです!
スプーンフルの「バンドサウンド」と
「映画のBGM用にアレンジされたインスト」
が入り混じってるけど、どっちもいい!
{ 編集長 }
そうだろ!
《ハウリンメガネ》
インストの方は見事に50 60年代アメリカン映画音楽!
ストリングスも入ったビッグバンド編成で
個人的に「トムとジェリー」のBGMを思いだすんですが、
あの時代のアメリカン映画、TV向け音楽って
今聴くと無茶苦茶豪勢ですよね。
{ 編集長 }
「アメリカの世界」
って感じがモロだよね。
《ハウリンメガネ》
しかし、このアレンジ凄く上手いけど、
ジョンセバが一人でやったんですかね?
{ 編集長 }
先にも言った通り
前者は「セッション風景」から生まれていて
後者は「オーケストレーションまで起用」した
本格的なサントラ盤だよね!
前者は名義こそ無いけれど
やっぱりソコは彼らの片腕
「エリック・ヤコブセン」のプロデュース
だと思うんだよね。
《ハウリンメガネ》
後者は?
{ 編集長 }
コチラもバンド・アレンジの方はスプーンフルながら
オーケストラ・アレンジは他者がヤリ、
それをヤコブセンの下で被せた感じさ。
《ハウリンメガネ》
ふーん、なるほど。上手くいっていますねぇ。
で、バンドでの曲について言うと
やっぱり「ビートルズの影響」はあると思うんですが、
この人たちの場合、ベーシックな部分は
「アメリカン・フォーク」にあるように思うんですよ。
メロディのフックにうまく
「ビートリーなアレンジ」が入ってたりするけど、
モロに「ビートルズやりたい!」系ではないですよね?
{ 編集長 }
そこがスプーンフル!
彼らは前回紹介した「バグス」なんかとは違い
基本アメリカのフォーク・ブルースに
イギリスから急に入って来た・・・・
そんな「ビートルズ」を
エッセンスとして音に入れているんだね。
《ハウリンメガネ》
ジョン・セバスチャンって人は
元々「レッド・ベリー」とか
「ミシシッピ・ジョン・ハート」
なんかに影響されて演奏し始めたようですね。
{ 編集長 }
そうなんだよ。
「黒人フォーク・ブルース」だよね。
《ハウリンメガネ》
前々回のポール・バターフィールド・ブルース・バンド
の時にも似たようなことを言いましたけど、
この「アメリカン・フォーク(ルーツ)+ビートリー」なセンス、
ってのが彼らを「ビートルフォロワー」という一言で
到底片付けられない「肝の部分」ですよね。
{ 編集長 }
そうなんだよ。
「バーズ」や「デッド」も同じだよね。
結局は今でも聴かれ、名を残している
そんな「アメリカン・バンド」って
ソコに尽きるんだよ!
《ハウリンメガネ》
こうやって「ビートリーな感覚」と「ルーツの部分」が
上手く融和していって「王道アメリカン・ミュージック」が
徐々に変化していくわけですね。
{ 編集長 }
65年辺りから急に「アメリカンロック」が動く!
そんなところだよね。
《ハウリンメガネ》
その辺わかりやすいのが「ジョン・セバスチャン」のソロ作。
ベタに「ブルー・スウェード・シューズ」とかやってんですよね!

このライブ盤、ジョンセバ以外は
ピアノとベースが入るぐらいなんですが、
ジョンセバはいいギター弾きますねぇ!
カントリー・フレーバーありありな感じで、
ギターだけでもちゃんとオーケストレーションしてて。
こういうところもボブとかCSNと仲良かった要因の一つですかね。
{ 編集長 }
この盤は「ライブの温かさ」を上手く録らえた名盤だね。
観客とのコミュニケーションに彼の人柄が出ていてさ。
だからこそ「会場の一体感」が有って、
聴いていると、観客の一人になった気がする・・・
そんな所も素晴らしいんだ。
《ハウリンメガネ》
LP「ユーアー・ア・ビッグ・ボーイ・ナウ」にも入ってる
「ダーリン・ビー・ホーム・スーン」も原曲より
アコギの鳴らし方が野太くてかっこいいですね。
原曲の素朴な感じも捨てがたいですが。
{ 編集長 }
「ウッドストック」でもスプーンフル時代の曲を、
彼ひとりでヤルわけだけれど
結局、スプーンフルってジョンだけでいいよねぇ~。
って思わせる独自性があるよ。
《ハウリンメガネ》
その後に出てるアルバムの
「ザ・フォー・オブ・アス(写真左)」では


サウンド自体はグッとルーツに接近しつつ、
メロディの抜き差しが更に巧みになっていたりと、
ルーツの味は残しつつ、アレンジやメロディは進歩していく……
これはボブにも通じるものがありますね。
{ 編集長 }
結局ボブよりも「自分に正直」な分、
コー云う「ジョンセバ印(じるし)の作品」
になるわけだけれど、まあボブと違い
本人もレコード会社も
「セールスは気にしていない」
って作りになっているよね。
その分、聴く方も不思議とリラックスできるんだよ。
《ハウリンメガネ》
他のソロ作品も、どれも同じテイストなんでしょうか?
{ 編集長 }
そうだね。
「ターザン・キッド」という74年の作品(写真)では

そのリラックス感が上手く出ていて、コレも名盤だね!
その後、ある時期から「早期退職」しちゃって(笑)、
音楽家を辞めちゃう辺りも一癖ある人物だよ!
「ロックの殿堂」に入った時に見せたライブでは
「物凄く音痴になっていて」驚いたよ(笑)!
《ハウリンメガネ》
えっ、そうなの?(笑)
しかし、やっぱり音楽ってどっかで地続きなんですよね。
もちろんジョンセバはルーツとの関係が分かりやすい方だけど、
突拍子もなく出てきたように見える音楽でも
どこかで必ず親になるなにかがある。
{ 編集長 }
例えば「ビートルズ」の「ハンブルグ時代」とか聴くと
CベリーやLリチャードなんかの「ルーツR&R」が
それこそステージでのメイン曲なワケじゃない。
でもなぜか、それらの黒人音楽を
「ビートルズ風アレンジ」で演るうちに、
そこから「ビートル・サウンド」が生まれるのよ。
ソレがアメリカに逆輸入されて
「アメリカンロック」が活気付くのさ!
《ハウリンメガネ》
という感じで、煙に巻くのは失敗しましたが、
いい感じの着地を見た!
ということで今回はよろしいでしょうか?
{ 編集長 }
う~ん……
まあ上手くまとまったから、
今回は許してやろう。
《ハウリンメガネ》
よっしゃ!あざーっす!
{ 編集長 }
んっ、その言葉使い……
こりゃ説教が足りねぇか?
《ハウリンメガネ》
すんません!勘弁してください!ううっ。
運動部、特に「野球部の人」への言葉使いには
皆様もご注意を・・・・
では、また次回!ううっ・・・。
{ 編集長 }
そもそも聴き込みが甘い!
ちょっとコチラへ、イラッシャイ!
《ハウリンメガネ》
ああっ・・・元「桂三枝」のネタまで飛び出した!
聴き込むべきだった・・・
皆さんも「焼を入れられる」前に聴き込みましょう!
{ 編集長 }
聴き込んで、しかも言葉もシッカリだ!
「日本の未来」は君たちに掛かっているからな!
ワッハッハ!
《ハウリンメガネ》
大きな話になっちまったなぁ・・・
{ 編集長 }
んっ、何か言ったか?
《ハウリンメガネ》
何も言っておりません!
それより「ラバーソウル」のラウドカット
について、ご質問なのですが・・・
{ 編集長 }
おっ、いいね!何でも聞いてくれたまえ!
ラウドカットは世界を救うからな!ワッハッハッ!
《ハウリンメガネ》
・・・・・

<続>


《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part9)「60年代サイケ名盤編 その5」

2021-05-29 15:58:18 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい!「イーノで紐解くロックの歴史」!
話は順調に続いております。
ここ数回はサイケ方面に話が寄っていましたが、
そもそもサイケデリックムーブメントの火付け役は……
{ 編集長「MASH」}
ビートルズ!ビートルズ!
《ハウリンメガネ》
はい、編集長ニッコニコです(笑)。
{ 編集長 }
そりゃ、そーだよ!
「ビ-トルズだけで生きている」から!
《ハウリンメガネ》
はいはい。存じてますよ。
じゃあ、行きましょう。
当時「ビートルズに影響されたミュージシャン」
枚挙に暇がなかったわけですが、
それと同時にレコード業界自体も柳の下のドジョウ欲しさに
「ビートルズみたいな奴らを売って一儲けしたい!」
という欲が出たわけですよね。
{ 編集長 }
おっ、今日はキンクス?アニマルズ?
それともストーンズの話か?
《ハウリンメガネ》
うっ、確かに彼らもそのような節がありましたが・・・
そこは今や大御所と云うコトでロック史の中では
十分に落ち着いているはずでしょ?
{ 編集長 }
ああ、まあ彼らも今やレジェンドになっちまったからなぁ。
《ハウリンメガネ》
何をがっかりしているんですか(笑)!
ということで、
今回は当時の「ビートル旋風の真っ只中」だったからこそ
リリースされた「ビートルライクな盤」の話です。
{ 編集長 }
おっ、イイゾ!イイゾ!
《ハウリンメガネ》
急に息を吹き返して・・・もう。
ではさっそく行きますよ!
アメリカンサイケの本堂、
シスコ出身のビートルマニア!
ボー・ブラメルズ
「ザ・リッツ・コレクション」
(※2ndアルバムのタイトルを変更した西独リシュー)!


{ 編集長 }
おっ、出たね!
《ハウリンメガネ》
なんと本作のプロデューサーは
ファミリー・ストーン結成前の「スライ(・ストーン)」です。
{ 編集長 }
そうなんだよ!
スライはDJやったり、
こーいうプロデュースやったり・・・
後の「生涯神経衰弱人生」を考えると
本来は裏方で良かった人なのかもね。
《ハウリンメガネ》
スライ自身「ビートルズに影響を受けた一人」ですよね。
ラジオDJ時代にビートルズを筆頭に
ブリティッシュ・インベンションものを
ガンガンとかけまくってたという……
{ 編集長 }
いち早くイイ音を拾った人なんだよ。
後のファミリーストーンでは
モータウンとは角度が違う
「ポップな黒さ」で人気だっただろ?
《ハウリンメガネ》
大名盤の「暴動」なんか、
云うならば彼流の「サージェント」ですもんね。
{ 編集長 }
アレは強烈なアルバムだよな!
ずっと聴かれるべきだ!
《ハウリンメガネ》
そんなスライですから、
「ビートルマニア」の彼らに目をつけて
プロデュースを受けたんでしょう。
そんな本作ですが、確かに……ビートリーですね。
{ 編集長 }
ん?なんだよ、なんか含みのある言い方だなぁ。
《ハウリンメガネ》
いや、他意はないんです。
全体的に間違いなくビートリーなんですが、
同時に凄く別の影響源を感じるんですよ。
{ 編集長 }
ほほう?
《ハウリンメガネ》
ボブ。エレクトリック期初期のボブ。
このアルバム、ビートルサウンドにボブ的な、
というかカントリーロック的な節回しが
混ざり合ってるような感じしませんか?
{ 編集長 }
ふふふっ・・・。そうなんだよ。
この時期のバンドにボブの影響が無い分けない!
って話さ。
《ハウリンメガネ》
ギターの音もいい感じに乾いてて、
それも相まって「バーズ」とか
「フライング・ブリトゥ・ブラザーズ」
なんかを思い出すんですよね。
ただ、「バーズ」よりもビートル寄り。
そのバランスが絶妙に気持ちいいんですよ。
{ 編集長 }
まあ、「バーズ」って
モロに「ボブとビートルズの混ぜ合わせ」でしょ?
そこにクリス・ヒルマンのカントリーが入った・・・
それが「60年代バーズ」の音さ!
クロスビーが抜けるまでのね。
《ハウリンメガネ》
なるほど。わざと「バーズ」風にせず
スライが上手にプロデュースしたのかもしれませんね。
それにシスコの人たちだからルーツロックは身近だっただろうし、
その風土の上で「ビートルマニア」となると
確かにこういうバランスを実現できるかもなぁ。
{ 編集長 }
ちなみにB1の「サッド・リトル・ガール」
この対談でもバンバン出てくる
ヴェルヴェッツの「オール・トゥモローズ・パーティー」
の元ネタって話なんだよ!知ってた?
《ハウリンメガネ》
へぇー!そうなんですか!
確かに曲の作りは似てるなぁ……
でもなんかB面全体の空気が
「ヴェルヴェッツ」に影響してそうな気がするな。
シャーマニックというか土着的なドロっとした感じというか……
こういう感じが「サイケの勃興」にもつながっていくんですよね。
{ 編集長 }
ひとつひとつ、パズルのピースみたいにさ。
この頃のミュージシャンたちは貪欲に
「発売される音、レコードになっている音」を
色々聴いていたって事なんだよね。
《ハウリンメガネ》
「初期ビートルズとルーツ・ミュージックの邂逅」が
この盤のような「プリ・アメリカン・サイケ」を芽吹かせていた頃、
ビートルズは既に「サイケの大傑作」を作ってた、ワケでしょ。
やっぱりこの時代って「ロックの進歩する速度」が無茶苦茶速いですね。
{ 編集長 }
「リボルバー」ね!
《ハウリンメガネ》
やっぱりこの時代って
「ロックの進歩する速度」が無茶苦茶速いですね。
{ 編集長 }
って云うか、「ビートルズが早い」んだよ!
「ラバーソウル」の後に「リボルバー」なんだからさ(笑)。
《ハウリンメガネ》
着いて行ける訳ないです・・・
んじゃ、ところ変わって、こちらへ参りましょう。
ジャーン!

{ 編集長 }
お!出たな!
《ハウリンメガネ》
はい!一見、ビートルズの作品かな?
と見間違えそうなこちらは
ザ・バッグスの「ビートル・ビート」!
ジャケットに記載されている通り
「オリジナル・リバプール・サウンド」
「レコーデッド・イン・イングランド」
ビートルズ同様リバプールから出てきた
ブリティッシュ・ビートバンドです!
{ 編集長 }
……ププッ(笑)
《ハウリンメガネ》
……嘘です!
{ 編集長 }
アレ?引っかかったと思ったのにぃ・・・。
《ハウリンメガネ》
何をガッカリしているんですか(笑)。
{ 編集長 }
だって、引っかかると思ったんだもん。
《ハウリンメガネ》
何をスネているんですか(苦笑)!
こちらは「当時のビートル旋風」に便乗しようとした
マイナー会社「コロネット・レコード」が、
「ビートルズ関連作品」と勘違いさせる作戦で・・・
{ 編集長 }
あの「Vee Jayレコード」だって
同じようキワドイ手口だったけれど
コイツは全くの偽物だからなぁ(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
そんな「ビートルマニア」に狙いを付けて
買うのを確信し売り出した
ホントに「ワル~いアルバム」なんです(笑)。
{ 編集長 }
手強いよなぁ(笑)。
《ハウリンメガネ》
この「ビートルズ関係と勘違いさせること」に注力したジャケット、
実にヒドいですよね(笑)。バンド名を曲名みたいに記載してたり、
「間違い探し」みたいだもの(笑)。
{ 編集長 }
しかし、まあ実に興味深い1枚だよ!
《ハウリンメガネ》
このバンドはリバプールどころか
アメリカはニュージャージー州出身で
実際は「ザ・バッグス」という名前ですらないんですよね。
しかもこのジャケットに写ってる4人は
メンバーでも何でもない「それらしい誰かさん」!
{ 編集長 }
いかにこの時代
「ビートルズが強力なアイコン」
となっていたか?
が分かるだろ?
《ハウリンメガネ》
しかし、この発売された本アルバムを見て、
初めて自分たちと全く関係ない名前で、
しかも「詐欺紛いのジャケットでリリースされている」
ことを知ったメンバーは大きく落胆したという……
{ 編集長 }
いやぁ、ビートルズのカバー曲も無理矢理やらされたようだしな。
《ハウリンメガネ》
ビートル・ブームに便乗しようとし
「レコード会社に作られたバンド」
という意味では「モンキーズ」もいますが、
彼らの場合は少なくとも「モンキーズ」として
ちゃんと売り出されていますからね。
{ 編集長 }
「モンキーズ」の場合は
「ライブを辞めたビートルズの後釜」
の為にわざわざグレッチやTVと組んでまで
慎重に練られたアイドルグループだからね!
《ハウリンメガネ》
一方この「バッグス」の場合は
「タチの悪い業界人にダマされてしまった・・・」
ということですかね。
まあ業界の悪いところを煮詰めたような話ですな。
ショウビズの世界はおっかないなぁ。
{ 編集長 }
でも、ダマサレタお陰で音は残っているわけ!
《ハウリンメガネ》
そう!その「肝心の音」なんですが、
こんな悪徳商法みたいなことしてるんだから
音もプレイも酷いのかなって思うじゃないですか。
{ 編集長 }
一見、胡散臭いからね。
《ハウリンメガネ》
それが、上手いんですよ(笑)……
{ 編集長 }
と云うよりも、今やガレージのお手本的アルバム(笑)!
《ハウリンメガネ》
レコード会社の「ビートルズっぽく演奏しろ!」
ってディレクションもあったんだろうけど、
ここでカバーされてるビートルズの2曲
「抱きしめたい」も「シー・ラブズ・ユー」も
ちゃんとビートルズっぽくやれてるし、
他の曲も「あー、ビートルズっぽいわ」
と思えるレベルで悪くないんですよ。
{ 編集長 }
ニュージャージーとは言えニューヨークの隣でしょ?
日本で言うと埼玉県みたいなイメージ(笑)。
すぐ横は都内じゃない!
で、コレは「ニューヨークの田舎ガレージ」と捉えてもイイよね。
《ハウリンメガネ》
このバンドに参加している「ゲイリー・ライト」
後々ジョージやリンゴとも関係するし、多分メンバー自体は
「ビートリーなバンドをやりたいって方向性」で、
そこはレコード会社とも一致してたんでしょうね。
{ 編集長 }
本策の重要性はさっきも言ったとおり
ビートルズがアメリカへもたらした
「バンドブーム」の中で
「ガレージで黙々と演奏していたバンド」
がたくさん居たわけ。
で、その一部がマイナーレコードで出されたのよ。
多くは45回転でさ・・・、
そうそう今や「ガレージコンピ」として出てるアレね。
で、これこそ「ガレージロックの起源」なんだよ!
本作はLPで「その起源を聴ける」そんな重要盤なんだよ!
《ハウリンメガネ》
私、文句があるとしたら
「シー・ラブズ・ユー」に入ってるハンドクラップ!
あれ、リズムがズレてんですよ(笑)!
聴いててズッコケちゃったもん!
{ 編集長 }
ソレもガレージ感が有っていいけれどね。
《ハウリンメガネ》
でもあれオーバーダブかなぁ?
プレイを聴いてるとあそこだけおかしいんだよな。
あれもレコード会社が変なディレクション入れたのかな?
{ 編集長 }
いやぁ、素人かその辺の人を集めて手拍子させただけでしょ(笑)!
1発録音だろうから、ズレていても
リテイクは許させなかったんだろうな。
金と時間の無駄ってことで(笑)。
《ハウリンメガネ》
多分まともなレコード会社と付き合えてたら
「ボー・ブラメルズ」と同じように
「ブリティッシュ・ビートへのアメリカからの回答!」
みたいに売り出せたんだろうけど……勿体ないですねぇ。
{ 編集長 }
それこそ西海岸と東海岸の違いだよ。
同じアメリカでも全く違う風土でビジネスだから。
《ハウリンメガネ》
そういう意味で云ったら「ビートル・ブーム」ってのは
功罪半ばするところがあったんですかね。
多くのミュージシャンの扉を開くと同時に、
悪い業界人の欲に火をつけたことで
良いセンスの持ち主を潰した・・・
そんな側面もあったんだなぁと感じますよ。
こうして「ブラメルズ」と「バッグス」を並べると
「ビートル・ブームが生み出した光と影」が見えますなぁ。
{ 編集長 }
まあ本作や「ビートルカツラ」
「ビートルギター」なんてもんは
まだ、可愛いもんだよ!
「ビートルズが寝たホテルのシーツ、その切れ端」
まで売られたわけだからさ・・・
もうそーなるとスゴイでしょ?
《ハウリンメガネ》
(笑)ま、悪いのはあくまでも
「ビートル・ブームを悪用した連中」
ですからね。
それに「バッグス」も本位ではなかったとしても
こうやってアルバム1枚シッカリ残ってるわけですから。
{ 編集長 }
そして、ちゃ~んと
「日本のコアな音楽ファン」にまで知られている(笑)!
メンバーのゲイリーライトなんかは
この後「スプーキートゥース」や「ソロ」でも
しっかりと売れて、生き残っているから十分でしょ。
《ハウリンメガネ》
いやぁ、こうして紐解いていくと
「音楽業界の暗黒面も」見えてきたりと、
益々話は広がっていく一方ですな。
{ 編集長 }
ビートルズのお陰で多くの人が
「人生を良くも悪くも狂わされた」
のさ!俺もその一人だけれどね(笑)。
《ハウリンメガネ》
ううっ!話し足りない!
次回もまだまだ続きますよ!
「イーノで紐解くロックの歴史」!
というわけでまた次回!
{ 編集長 }
おう!臨むところだ!

<続>


《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part8)「60年代サイケ名盤編 その4」

2021-04-24 11:13:03 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
さあさあさあ、お待たせしました、
「イーノで紐解くロックの歴史!」
満を持して前回やるつもりだった、
「サイケの時代でもルーツ!」
特にブルースに正面から向き合ったバンドの話です!
{ 編集長 「MASH] }
キミ、あれだぞ?
満を持してと言うが、
前回、俺はそのまま続けても良かったんだぞ?
《ハウリンメガネ》
いや、ほら、長くなりすぎると
読者も読みづらいでしょ?
私はそのへんも考慮してですね……
{ 編集長 }
そうかなぁ?
そんなことないと思うけどなぁ。
《ハウリンメガネ》
(小声で)
話が長引くと間違いなく
「ビートルズの話」に突入して
さらに話が長引くからなぁ……
{ 編集長 }
今、ビートルズって聞こえたぞ?
《ハウリンメガネ》
いえいえ!気のせいです!
{ 編集長 }
そぉ?聞こえた気がしたんだけどなぁ・・・
ビートルズって!
《ハウリンメガネ》
あなたいつもビートルズのことを考えているから
ついつい幻聴が聴こえちゃったんですよ。
{ 編集長 }
幻聴?いくらサイケ話でも、
俺はヘンなクスリはキメてないぞ!
《ハウリンメガネ》
さあさあ!早速行きましょう!
サイケの話になってから毎回のように
「アメリカン・サイケの根っこはルーツ・ミュージック」
と言っとるわけですが、
その中でもやはりブルースは外せません!
{ 編集長 }
「ロックはブルースから生まれた子供だ!」
ってジョンリーも言っていたしな。
《ハウリンメガネ》
というわけで……こちら!
「イースト・ウエスト/バターフィールド・ブルース・バンド」!
{ 編集長 }
うむ。絶対に外せない大名盤だ!
俺も幼少期にコレを聴いて
随分とギターが上達したよ!
《ハウリンメガネ》
はい!そんな盤を解説しましょう!
シカゴで育ち、マディやウルフから直に薫陶を受けた
そんなハーピスト兼ボーカルのポール・バターフィールドと、
これまたシカゴ出身で、ボブの「追憶のハイウェイ」
にも参加したギタリスト、マイク・ブルームフィールド
を擁するブルース・ロック・バンドの大名盤です。
あ、忘れちゃいけない。
メンバーにエルビン・ビショップもいますね!
{ 編集長 }
エルヴィン・ビショップ!
彼は70年代に自分のグループを作り
良いアルバムを連発しているギター弾きだよ!
《ハウリンメガネ》
本作は66年作ですから、まさに前に話した
「ザ・ディープ」や「ブルースマグース」同様
サイケデリック勃興の年、ド真ん中のリリースですよね。
{ 編集長 }
で、どうよ、コレ!
《ハウリンメガネ》
いやぁ……表現に困る……
{ 編集長 }
何をそんなに困ってるんだ?
《ハウリンメガネ》
うーん……
いえね、かなり幅広くないですか?
このアルバム。
{ 編集長 }
ルーツと当時の音が混ざった作品だよね!
《ハウリンメガネ》
A3の「アイ・ゴット・ア・マインド・トゥ・ギヴ・アップ・リヴィング」
なんかはB.B.御大の影響もろ出しのアーバン・ブルースですけど、
A1の「ウォーキン・ブルース」とか、
A4の「オール・ジーズ・ブルース」とかは
だいぶファンキーじゃないですか!
{ 編集長 }
JB「パパのニューバッグ」以降
というのも大きな要素だよね。
《ハウリンメガネ》
あと、B1の「メアリー・メアリー」とか
B3の「ネバー・セイ・ノー」なんか
ドアーズがやっててもおかしくない
「ドロッとしたロック」だし。
{ 編集長 }
ロックやアンダーな部分も
メンバーはゃんと聴いていたから
66年らしいサウンドにもなっているんだよね!
《ハウリンメガネ》
なるほど。
単純なブルース・ファンの出す音ではないですよね。
特にA面ラストの「ワーク・ソング」。
リズムが抜群にスイングしてるんだよな。
実はリズム隊はジャズ上がりだったりするのかしらん?
{ 編集長 }
俺もコレをよく演奏するけれど
キャノンボールの名曲だろ?
だから元々ジャズありきで、
ソコにブルース的フィールを入れているんだ!
《ハウリンメガネ》
この曲でのソロ回し!
それぞれのリードプレイは素晴らしいです!
演奏はかなりドライヴしてて、
ロッキンなのにちゃんとジャジー、という。
ソロ回し最後のポールのハープもいいですね。
ジャジーに聴こえるんだけど、ちゃんとブルースが滲んでる。
{ 編集長 }
俺はこの曲が本作のピークと見ているけれど
とにかくブルース・ロック・バンドがヤルJazz!
と考えると分かり易い!
俺もこのスタイルには憧れたねぇ!
《ハウリンメガネ》
あと、やっぱりB面最後の「イースト・ウエスト」。
これ聴くと
「あ〜、デッドとかオールマンがジャムでやろうとしてた事ってこれだったのか」
って思いますよね。
{ 編集長 }
そうね。
デッドはもう少しアシッド感があって
オールマンはカチッとブルース基調でジャムる・・・
その違いは有れど、本作の影響は大きいね!
ちなみに先に挙げた「ウォーキン・ブルース」
デッドがライブでプレイする時はこのアレンジが元だよね。
《ハウリンメガネ》
あと、私、これ聴くと
マイルスの「カインド・オブ・ブルー」を思い出すんですよね。
楽器のプレイがモードジャズっぽいというか。
こういうモード的なセッションってイーノ、
というかイーノプロデュース期の
「トーキングヘッズのアプローチ」
に通じる感じしません?
{ 編集長 }
「トーキングヘッズ」って
メンバー全員「もの凄く凝る」でしょ!
あの時代では珍しく「音楽マニア的な集団」で、
その点がイーノと合致しててさぁ。
《ハウリンメガネ》
うん、一枚まるっと通しで聴くと、
やっぱり幅広いですよ。
でも幅広いのに一本芯が通っているのは
彼らの根っこに「ブルースという芯」があるからでしょうね。
{ 編集長 }
そう!
例えば俺だったらビートルズ大好きじゃない!
でも歌やプレイでは「ブルースが芯」でしょ?
コレは「自分の音楽的アイデンティティ」が
「ブルースにある」からなんだよねぇ。
《ハウリンメガネ》
なんちゅうか、これまでに話に出てきたサイケバンドって
やっぱり「ビートルズ・ショック」が根っこにあると思うんですよ。
「うぉぉぉ!カッコいいぜ!俺たちもこういうのがやりたいぜ!」
という。
{ 編集長 }
その気持ちは多いに分かるし、
俺も最初にギターを持った時
ソレしか考えなかったよ。
でも、すぐに変ったけれどね・・・・。
《ハウリンメガネ》
えっ、なんで?
{ 編集長 }
ギター始めた当時さぁ
ビートルズの歌本で弾き語るじゃない!
ジャラーンと・・・・
そーすると虚しくなるんだよ。
彼らの偉大な曲が自分の口を通すと駄作になる・・・・
要はビートルズが完璧だから自分が情けないワケ(笑)
《ハウリンメガネ》
なるほど。この人たちは
「ビートルズ、カッコいいよね!でも俺たちロックじゃなくてブルースだから」
という気配が見えるといいますか、
マディの「エレクトリック・マッド」みたいに
まずにブルースがあって、ロックはその味付けというか。
{ 編集長 }
その通り!
まさにそこが「彼らのアイデンティティ」だよね!
グループ名にも「ブルースバンド」って付いているわけでさ(笑)
やっぱり「新しいブルース」という感覚でプレイしているはずさ。
《ハウリンメガネ》
しかし、話は飛びますが、
「マイク・ブルームフィールド」
はココでもイイ音させてますね。
{ 編集長 }
キミは相変らずギター好きだねぇ!
《ハウリンメガネ》
いいじゃないですか!好きなんだもん!
あの、私、あなたとの会話の中で
ホワイト・ブルース・ギタリストの話って
あんまりしてないと思うんですよ。
話の取っ掛かりに出ることはあっても、
すぐマディだジョン・リーだマジック・サムだの・・・
黒人ブルース話になだれ込むから(笑)。
{ 編集長 }
実はブルームフィールドだけじゃなく
ビショップの音もイイんだよ!
「彼らのカラミ」が「当盤の聴き所」
でもあるワケでさぁ。
《ハウリンメガネ》
そもそも白人ブルースギタリストの話って
数人で話すと、SRVとかジョニー・ウィンターの話になるでしょ?
アレは音がどうしてもロックに聴こえちゃうから・・・
ソコがイヤなんですよね。
だけど、ブルームフィールドはねぇ……
ちゃんとブルースが聴こえる。
{ 編集長 }
ココから出た後は
「アル・クーパー」との「スーパーセッション」とか
「フィルモアの奇跡」とかでブルース・ブームを牽引する・・・
とても重要なギタープレイヤーのひとりだよね。
《ハウリンメガネ》
彼のソロアルバムを聴くとわかるんだけど、
ギタリストだけど、ギターギターしてないんですよ。
前へ出るべき時に出て、それ以外はちゃんと控えてる。
ちょっと次回はその辺を掘り下げつつ、
さらにルーツに寄ったバンドの方へ話を進めましょうか。
{ 編集長 }
その前に、この時代に
「ビートルズの影響下だからこそ出せた」
そんな作品を見て行こうよ!
65年からのアメリカン・ロックの流れは
「ビートルズからサイケ」という流れの後、
そこに「ブルースが入り込み、一般化されていく」だろ?
その流れを追ってみようぜ!
《ハウリンメガネ》
なるほど。アル・クーパーもそうですが
急激にブルース・ブームが来るわけではないですよね!
ソコにも当然「流れ」がある!ワケです。
そのブルース・ブームの源流が
今日ご紹介の「EAST WEST」なワケですから!
{ 編集長 }
ブルースは白人によりオーバーグランド化したんだよ。
ソコをちゃ~んと追って行こう、じゃぁあーりませんか!
《ハウリンメガネ》
うっ、チャーリー師匠!
残念です。
{ 編集長 }
チャーリー師匠!いずこへ~!
《ハウリンメガネ》
ご安心下さい。
きっと天国ですよ。合掌です・・・

<続>


《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part 7)「60年代サイケ名盤編 その3」

2021-03-27 17:10:02 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい!「イーノでひも解くロックの歴史」!
今回は前回の最後で触れた通りサイケの時代でも
ルーツ、ブルースの方へ接近しようとした人達の話を……
{ 編集長「MASH」}
うーん……
《ハウリンメガネ》
何を唸ってるんです?腹でも壊しましたか?
季節の変わり目、三寒四温で気温の変化が激しいですからねぇ。
{ 編集長 }
違うよ!いやぁ前に
ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」
を話に出したじゃない?うーん……
《ハウリンメガネ》
ええ、覚えてますよ。
{ 編集長 }
俺、ビーチ・ボーイズの作品だと
「ペット・サウンズ」の後の
「ワイルド・ハニー」(メイン写真)
が一番好きなんだよ。
《ハウリンメガネ》
はいはい、昔から仰ってましたね。
{ 編集長 }
ところが前の話ではそこに一切触れてない!
《ハウリンメガネ》
……なるほど。
{ 編集長 }
だから「ペット・サウンズ」以降のビーチ・ボーイズ
そしてその影響について話してから君の話に移ろう!
《ハウリンメガネ》
ええ~。
いや確かに「ワイルド・ハニー」は名盤ですから、
それも吝かではありませんが……
{ 編集長 }
安心しろ!ちゃんと話はつながるから!
《ハウリンメガネ》
ほんまかいな……
{ 編集長 }
うむ。じゃあ、進めていいな?
《ハウリンメガネ》
へい。「ワイルド・ハニー」って
「スマイリー・スマイル」の後、
ブライアン(・ウィルソン)が完全にナーバス
と云うかヘベレケになっちゃってた時期ですよね?
彼の状態もあってか、作曲はほぼ全曲ブライアンだけど、
アレンジはブライアン以外のメンバーが主体だったみたいですね。
{ 編集長 }
ソコがイイんだ(笑)!
《ハウリンメガネ》
そのせいか、「ペット・サウンズ」での
あのカラフルなアレンジは確かになりを潜めてるんだけど、
彼らの武器であるコーラスを主体に、
シンプルなバンドサウンドでまとめてて、凄くいい塩梅ですよね。
しかもベースラインの動きとか、
コードのアレンジとかは見事にビーチ・ボーイズ印のままで。
{ 編集長 }
やっぱり、バンドマン、特にロックやブルースをやって来た・・・
そんな俺たちには、このバンド・サウンドは刺さるよ!
《ハウリンメガネ》
「ペット・サウンズ」の評価が高いせいか、
「ビーチ・ボーイズ=ブライアン」
ってイメージで語られがちですけど、
これってビーチ・ボーイズがブライアンのワンマンバンドじゃなかった
って十分過ぎるくらい現している盤ですよね。
ブライアンの曲やアレンジをメンバーがちゃんと理解した上で
「ビーチ・ボーイズ」を形作っていたという。
{ 編集長 }
そうなんだよ。
何か「ブライアン神格化」って嫌じゃあない?
俺はバンドとしての「マトマリ」とか「タイトさ」とか
その辺りをもっと評価するべきだと思うんだよね。
実際バンド内で話し合って決めたアレンジなんかもあるしさ。
《ハウリンメガネ》
確かに音も太くてタイトですよね。
というか、もともとサーフロックのバンドとして
ずっとやっていたメンバーなんだから
当然ヘタなわけないんですけど。
{ 編集長 }
下手とかソー言う話じゃなくて
この人たちの「フェンダーギターの音」
そもそもイイでしょ(笑)。
そこに「あのコーラスワーク」と
全員が歌えるボーカル・スタイル!
《ハウリンメガネ》
同じようにサーフロックシーンにいた
ベンチャーズとかシャドウズは近年再評価されてるじゃないですか。
でもビーチ・ボーイズってどうしてもブライアン、
というか「ペット・サウンズ」のイメージのせいか
バンドとしての評価ってあんまりされてない気が……
{ 編集長 }
いやいや、それこそ大問題でさ。
初期のライブ盤もイイし、
俺の好きな「パーティー」なんか
もうビートルズやストーンズ
そしてボブ曲まで満載で(笑)
とにかく最高よ!
《ハウリンメガネ》
あー、そうか。
「ペット・サウンズ」を作っちゃたことで
サーフロックという土俵からビートルズと同じ土俵
つまり「ロックの先頭集団」に立っちゃったと。
そりゃいくら強い横綱でも
「雷電為右衛門」と比較されちゃキビシイよねぇ。
{ 編集長 }
まあ、前にも言ったが
ビートルズとビーチボーイズって
アメリカでは同じキャピトルレコード所属でさ。
相乗効果で売れていけばイイはずなんだが
ビーチボーイズは過酷な契約で
「バンバン出せ!」と言われていてね。
一方のビートルズはイギリスから来る音を
アメリカ編集のLPにしたり独自シングルを出したりして
やっぱりリリース枚数を稼いでる(苦笑)。
本国アメリカの横綱なのに扱われ方が小結級・・・。
《ハウリンメガネ》
(笑)とはいえビーチ・ボーイズも横綱であるわけですよね。
ちゃんとこうやって後世に影響を残してるわけで。
{ 編集長 }
その通り!この頃のビーチ・ボーイズに影響されたバンドが
それこそ、たくさんいるわけさ。
その中でも彼らの影響モロ出しだったのがこれ!
「ザ・サード・レイル」!

《ハウリンメガネ》
えーっと、すみません。
私、不勉強でこの人たちの事、全然知らなかったです。
{ 編集長 }
知らんで当然。
ロックのツナガリを紐解かんと絶対に出て来ない・・・
そんなグループだからね。
《ハウリンメガネ》
ちょっと調べただけなんですが、
この人たちは職業作曲家の集まりだったんですか?
{ 編集長 }
そうそう。
でもキャロル・キング然り、
この時代の裏方は皆ミュージシャンだからさ。
イギリスでは君の大好きなジミーペイジ先生もそうでしょ?
《ハウリンメガネ》
イエス!
そう言えば「ザ・ディープ」もセッションマンの集団でしたけど、
やっぱり音楽業界の最前線で仕事をしていたから
サイケの流行にも敏感に反応したのかな?
{ 編集長 }
この時代って録音技術も目まぐるしく進むじゃない。
だから、面白がっていたのも確かだよね。
NYの一部の先鋭集団だけがアート的で
シスコとかは間逆でアシッド的でしょ?
それ以外は録音技師やミュージシャンによる
「遊びの部分」ってのが多いんだよ。
《ハウリンメガネ》
なるほど。
オリジナルアルバムはこの一枚だけなんですかね?
確かに仰る通り、「ペット・サウンズ」以降のビーチ・ボーイズ直系!
ってのはもちろん分かるんですが……
ビートリーですよねぇやっぱり(笑)。
{ 編集長 }
まあ、そこがやっぱり入って来ちゃうワケ。
自然とビートルズが!
《ハウリンメガネ》
いやぁ、最初は「ペットサウンズ」的な楽器の使い方だなぁ
って思ったんですが、曲が進むにつれ、
どんどんサージェントを彷彿とさせる音が聴こえてきまして(笑)。
こればかりはしょうがないですよねぇ。
ビートルズがあの時代のトップランナーだもん。
{ 編集長 }
今では考えられないくらい、あの時代
「世界中がビートルズ!」なんだよ。
「追いつけ追い越せ」と言うよりも
「真似て幸せ!」って云うレベルでさ(笑)。
硬派な奴らも案外ミーハー的な動機でね。
《ハウリンメガネ》
ま、アレンジはそうであっても、
曲自体はアメリカンミュージックのグッドメロディが盛りだくさん!
そこは流石アメリカンミュージシャンです。
A面もB面も「もうちょっと聴いてたいな」
ってところで終わっちゃうのがズルいですね(笑)。
やっぱりアメリカの作曲家はルーツが身体に入ってるよなぁ。
{ 編集長 }
うむ、その事が最初の話につながるんだよ!
《ハウリンメガネ》
と言いますと?
{ 編集長 }
「ヤング・ラスカルズ」!

これで分かるだろ?
《ハウリンメガネ》
もちろん。
(フェリック・)キャバリエ先生擁する、
あのロッキン・リズム&ブルースバンド。
{ 編集長 }
この彼らの「1st」に収録されてる大ヒット曲
「グッド・ラヴィン」の作曲者が
「サード・レイル」のアーティ・レスニック なんだ。

《ハウリンメガネ》
え!そうなんですか!
(メガネ、ジャケット裏を確認する)ホントだ!


{ 編集長 }
な?ちゃんとつながっただろ?(笑)
《ハウリンメガネ》
はぁー、世の中、面白いもんですねぇ。
R&Bバンドのラスカルズがサード・レイル経由で
サイケ期のビーチ・ボーイズに繋がるとは……
しかしそのヤング・ラスカルズの1stですが、大名盤ですよね。
流石キャバリエ先生がいたバンド。
{ 編集長 }
おっと、この盤はキャバリエ先生だけじゃなくて
メンバー全員が歌って、しかも変化も出ているぞ?
《ハウリンメガネ》
そりゃ聴けばわかりますよ。
そもそもジャケ裏の曲リストにわざわざ
「リードボーカルが誰か」まで書いてるじゃないですか!
しかし、ラスカルズはみんな歌上手いですね!
コーラスも息ぴったり。
{ 編集長 }
ビートルズのジャケにも
「ボーカル」
を書いてあるLPがあるでしょ?
あの表示ってヤリタイんだよ。みんな!
《ハウリンメガネ》
分かるなぁ。しかし、演奏も凄まじい!
全員リズムの抜き差し自由自在!
ディノ・ダネリのドラムなんかキース・ムーン級のドコドコっぷり!
キース・ムーンと違って抑える時はちゃんと抑えてるけど(笑)。
{ 編集長 }
彼のドラムはやっぱり
「経験豊かな実力者が叩く音!」
だよな。元々はジャズを叩いてたらしいぜ。
《ハウリンメガネ》
ディノを例に出しちゃったけど、
この人達、飛ばす時と抑える時の
ダイナミクスのつけ方が抜群に上手いですよね。
この辺ってやっぱり歌心から来るのかね?
歌のダイナミクス、凄いじゃないですか。
アメリカンな拳が効いてるじゃないですか(笑)。
{ 編集長 }
歌と演奏はシンクロしてくるからね。
まあ、コレだけ歌えりゃ
演奏はグルーヴィーになって当然だよ!
《ハウリンメガネ》
選曲もいいですよね。
ボブの「ライク・ア・ローリング・ストーン」
その直後にウィルソン・ピケットの「ムスタング・サリー」
が入ってくるこのセンス!
しかもこれが「1st」だってんだからイヤになる(笑)。
この後には大名盤「グルーヴィン」を出すわけだし・・・。
{ 編集長 }
そうなのよ!デビュー盤がイイって本物の証しだよ。
ビートルズやボブは勿論だけれど
ストーンズ、ヤードバーズ、キンクス、フー、Zep・・・
アメリカではこのラスカルズやバーズ、デッド、CSN・・・
《ハウリンメガネ》
確かに!
{ 編集長 }
君の言う「グルーヴィン」では、また進化した彼らが聴けるよね。
とにかく、ラスカルズは捨て難い重要なグループだよ!
《ハウリンメガネ》
しかし、今回のこの3組は全員歌というか、
コーラスワークが抜群ですよね。
{ 編集長 }
あれ?気づいてない?
今回のこの3組、全部アメリカのバンドなんだよ!
《ハウリンメガネ》
……おお!確かに!
{ 編集長 }
いつも言うけれど
「アメリカン・バンドにはアメリカン・ミュージックがある!」
わけだよね。
《ハウリンメガネ》
そっか、コーラス、ドゥーワップ、ゴスペル……
アメリカって歌の国なんですね。
{ 編集長 }
そうそう。
もちろんブルース、ジャズ、カントリーもね。
《ハウリンメガネ》
で、そこで育ったミュージシャンがやる音楽は
ビートルズからの影響は多大でも、
そこはビートルズとは一味違うぞ、と。
{ 編集長 }
そこがアメリカン・バンド最大の魅力だよ。
な?ばっちり繋がっただろう?
《ハウリンメガネ》
ええ、ええ、お見事です。
{ 編集長 }
そうだろう?ハッハッハ!
《ハウリンメガネ》
ただ、あのですね、編集長?
{ 編集長 }
ん?
《ハウリンメガネ》
確かに「ヤング・ラスカルズ」は素晴らしいR&Bバンドなんですが……
{ 編集長 }
うむ!ルーツもちゃんと入ってるしバッチリだよな!
《ハウリンメガネ》
私が今回挙げようとしてたバンドは別のバンドでして……
{ 編集長 }
なんだよ!それを早く言え!
何が出てきてもいいぞ!
センバツも佳境だしプロ野球も始まったし
バッチこ~い!
《ハウリンメガネ》
いや、もう今回は長くなったのでまた次回に……
{ 編集長 }
えっ?

<続>


《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part 6)「60年代サイケ名盤編 その2」

2021-02-27 17:24:17 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
「イーノで紐解くロックの歴史」
長くなっていますがまだまだ道半ばです!
今回はどうしましょうかね?
{ 編集長「MASH」 }
何を今更?ビートルズだよ!
ロックの歴史はビートルズとイコールなんだから!
それ以外ないって!
どれだけ遠回りしてもロックの行き着く先はビートルズ!
《ハウリンメガネ》
……まあ、おっしゃるとおりですが
ほら、そればっかり喋っててもね?
読者も飽きるでしょ?
{ 編集長 }
ビートルズに飽きるぅ?馬鹿者!
俺が何年ビートルマニアやってると思ってんだ!
《ハウリンメガネ》
まぁまぁまぁまぁ、
前回、サイケの話も消化不良気味だったし、
サイケを掘り下げるのはいかがですか?
サイケ、お好きでしょ?
{ 編集長 }
……おお!引き続きサイケか!いいぞ!
まあサイケも元祖はビートルズだけどな!
ワッハッハ!
《ハウリンメガネ》
ああ、めんどくさい人……
{ 編集長 }
何か言ったか?小声はリモートじゃ聴こえんぞ!
《ハウリンメガネ》
いいえ!なんにも!
{ 編集長 }
じゃあ、始めようじゃぁないか!
サイケ道をシッカリ完走させんとイカンからな。
《ハウリンメガネ》
というわけで今回も引き続き
「イーノ達に影響を与えたサイケとはそもそも何ぞや?」です。
前回は東海岸ものが多かったので、
今回は西海岸ものをピックアップしました。
{ 編集長 }
おっ!フラワームーブメントだな!
ジョージもいち早くシスコに行って体験して来た・・・
と云うしな。ここは奥が深いぞ!
《ハウリンメガネ》
西海岸といえばすぐにデッド!
そしてジェファーソン・エアプレインのお膝下のシスコ、
そして、ドアーズを輩出したロスがありますね。
サイケ、フリーミュージックの本堂みたいな場所ですが
なんでこんなにサイケが盛んになったんですかね?
{ 編集長 }
実は元々の風土があってね。
ホラ、前回やったビーチボーイズはLAのバンドでしょ!
ビートルズがアメリカへ入る前にあった
「アメリカの本格的バンド」って実はこの
ビーチボーイズだけなんだよ!
いち早く自作自演で成功したバンドだったし、
その風土がずっとあるんだね。
LAにはこの英米両バンドを手がけた
「キャピトル・レコード」の本社もあるだろ?
その辺も関係しているんだけれど・・・。
まあその勢いが同じカリフォルニアのシスコにも飛び火した!
ってワケだね。
《ハウリンメガネ》
なるほどねぇ。
じゃ、早速シスコからいきましょう。1枚目!
{ 編集長 }
おう!何で来るんだ?
《ハウリンメガネ》
モビー・グレープ/1st!


{ 編集長 }
うむ。外せないシスコサイケの傑作盤だな!
《ハウリンメガネ》
はい!大名盤!
元ジェファーソン・エアプレインのスキップ・スペンスが立ち上げ、
当時のサイケデリックシーンに衝撃を与えたといわれる一枚です。
一曲目からご機嫌な疾走感溢れるロックンロールで
リスナーの耳をがっちりキャッチ!
{ 編集長 }
その通り!
これぞアメリカン・ビートとも呼べる感覚が実にイイのよね!
《ハウリンメガネ》
しっとりした曲もロックンロールもビートリー(笑)な美しさがあって、
かつ、アメリカンミュージックらしさに溢れた
全体的にばっちりの演奏力とグッドメロディの洪水で
A面B面ともあっという間に終わっちゃう。
{ 編集長 }
一気に聴ける盤って、やっぱり凄いんだよ!
もう一度ひっくり返しちゃうから(笑)!
《ハウリンメガネ》
でも、未だ不思議なんですけど、
これ、なんでサイケの名盤扱いなの?
{ 編集長 }
ん?
《ハウリンメガネ》
いや、間違いなく超名盤だと思うんですよ。
でもこれ「グッドアメリカンミュージック」じゃん。
ほら「サイケシーンで評価された!」って言われると
もっとエコーぐわんぐわんだったり、
全体的に歪んでたりするのかと思うじゃないですか。
{ 編集長 }
そこが西海岸サイケの核でさ。
さっきも言ったように基本はビーチボーイズの州で
そこにビートルズが来て、ストーンズが来て、
なんか好きだったカントリーやブルース、
終いにゃメンバー内にソウルやジャズ好きも居る!
とかになると混ざり合うんだよ。
そしてそれがアレンジや時代性と合わさって・・・
《ハウリンメガネ》
あー、そっか!
当時革新的なことにチャレンジしていた音楽はすべからく
「サイケデリック・ミュージック」だった、と。
確かに曲中でばんばんシフトチェンジしていく感じとかは
デッドとかのジャムバンドが拡張した領域ですもんね。
{ 編集長 }
良い所に気づいたね!
実は「ビートルズ映画」を見てアコギ弾きだった
デッドのジェリー・ガルシアはエレキを手にするわけ。
そこから弾き出して数年でレコード出してるのよ(笑)。
で、そのパイオニア的デッドの影響は
ジェファーソンはじめ「シスコ音楽の支柱」になっていたんだね。
《ハウリンメガネ》
サイケって言葉の懐は深いってことですね。
奇妙な音処理だけがサイケじゃないぞ、と。
{ 編集長 }
実は欧米人のサイケ・マニアとかと話すと
「過剰にスタジオ処理された盤はギミックだ!」
って意識が強いんだ。
彼らの名盤となると「デッドの盤」や本作が上がるんだね!
《ハウリンメガネ》
なるほど。色々な視点が有るようですな!
じゃあ次行きましょう。
ブルー・チアー/ ブルー・チアー

ヘヴィロックの祖としていまも信奉者の多いブルー・チアーです!
彼らもシスコのバンドですよね?
{ 編集長 }
うん。
《ハウリンメガネ》
やはり最初期のトリオでの
「爆音サマータイムブルース」がサイケの金看板にされがち、
かつ「ヘヴィロックの祖」としての評価に傾きがちですが、
そもそもこの人たち、根はR&Bバンドですよね。
{ 編集長 }
やっぱり土台は「モビーグレイプ」と同じなんだよ。
そこにストーンズやThe Whoを入れ込んで、
しかもクリークとかジミも同時期でしょ、
そりゃぁ影響受けるよね。
《ハウリンメガネ》
自分の好きなR&Bをデカい音でプレイした結果、
それがサイケ、ヘヴィロックの原型・・・
として扱われるようになった、という(笑)
まさにルーツとロックとの関係を現したような話ですが、
この盤はそんな彼らのR&Bバンドとしての魅力が
タップリ詰まった名盤でございます。
{ 編集長 }
彼らも色々な盤が有り、どれもイイんだが、
コレは少し角度を変えようとしたところが捨て難い!
《ハウリンメガネ》
このアルバムでは「鍵盤弾き」をメンバーに加えてるんですよね。
そのお陰で「それまでのパワートリオとしての魅力」
だけじゃなくて曲に彩りが加わって、
ブルー・チアーとしてのR&Bにちゃんと仕上がってる。
{ 編集長 }
そう!まさにソコがイイのよ!マウンテンとは違う!
《ハウリンメガネ》
よく紹介される「1st」だけじゃなくて、
この頃の彼らの魅力を是非わかって欲しいですよね。
これを聴くと
「あ、やっぱりこの人たちシスコの系譜のバンドだわ」
ってわかると思うし。
{ 編集長 }
確かにね!余り語られない盤だけれど聴いてほしい1枚だよ!
《ハウリンメガネ》
最後はロスのバンドです。
ラブ/ フォーエバー・チェンジス

これも大名盤ですね(笑)。
私、学生時代にあなたから買った「このジャケのTシャツ」
未だに着てますよ(笑)。


{ 編集長 }
おう!それは確かイギリスでLoveを観た時に買ったんだよ。
ワンサイズしかなくてね・・・。
買ったはいいけれどデカくてさ。
泣く泣く君に譲ったんだ。(苦笑)
《ハウリンメガネ》
(笑)当時としては珍しく、
黒人白人混合でフロントマンの「アーサー・リー」が黒人という編成です。
{ 編集長 }
まあ実際は彼のセンスで持っていたバンドだからね。
ただ、この盤の「強烈なオープニング」が
アーサーの曲じゃないって所がまた、面白いよね。
《ハウリンメガネ》
アコースティックギターがメインのバンドサウンドに
オーケストラ楽器をふんだんに使った、それこそ
「ペットサウンズ」の系譜といえるアレンジ。
サイケにもいろいろありますが、
彼らはエコーやファズでドロドロにするタイプではなく、
オリエンタルなメロディとカラフルな音色で勝負するタイプですよね。
{ 編集長 }
特にこの盤はそうだね!
それまでは
「黒人アーサーが歌うガレージバンド」的グループ
で売っていたけれど、コレはアーサーがメンバーを当てにせず
「勝負作」として作ったみたいよ!
《ハウリンメガネ》
曲中の展開も多くて、このまま売れていれば
ピンク・フロイドみたいなバンドになってもおかしくなかった・・・
と思わせる名盤ですよね。
フロイドも元々サイケバンドだったわけだし。
{ 編集長 }
今でも評価が異常に高い盤だし、
「世界の評論家が選ぶロックトップ10」
とかに必ず入ってくる!
《ハウリンメガネ》
結局、アーサー以外がラリラリになっちゃって
バンドとしては機能不全に陥いちゃったのが
良くも悪くも当時のシーンを表しているといいますか……
{ 編集長 }
「思いのほかデビュー作が売れてメンバーの統率が取れなくなった・・・」
とアーサーは言っていたよ。
「女遊びに精を出す奴」「車を乗り回し旅に出ちゃう奴」
そして「クスリでぶっ飛んでばかりの奴」・・・
メンバーはバラバラで、そんな感じだったみたいね(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
LSDでアッチの世界に行っちゃった人も多いですしねぇ……
クスリ、ダメ!ゼッタイ!
うーん、しかしこうやって並べてみると
一口に纏められがちな西海岸ものでもそれぞれ違いますね。
もちろん東海岸とも違うし。
シスコの方がルーツの影響が濃いのかな?
{ 編集長 }
シスコは以前ココで君が書いた「ヴィレッジピープル」が出る様に
早いうちから「自由で多様性がある」場所なんだね。
「フィルモア」もあったから「イギリスの音楽」も生で聴けたり
黒人音楽もすんなり入って来ていたんだよ。
《ハウリンメガネ》
土地柄ってのもあるんですね!
ロスって映画の街だからミュージシャンも多種多様だったとか……
{ 編集長 }
君はどちらか行ったことある?
《ハウリンメガネ》
いえ、残念ながら・・・・・・
{ 編集長 }
行くと分かるんだけれど、全然違う都市だよ!
LAはその中に君の言う「ハリウッド」があり
「ビバリーヒルズ」があり「サンタモニカ」があり・・・
と云う様に、あの中でもバラバラなんだよ。
居住地も別れているし、まあ殺伐としているよ(笑)。
逆にシスコは「温かい空気」でいっぱいだね。差別もないしな。
《ハウリンメガネ》
しかし、東西でもシスコとロスでもなんでもいいけど、
やっぱりアメリカのミュージシャンってのは
「ルーツミュージック」が染み付いてるんですかね、
どれもこれもサイケの皮を被りながら一皮剥けば
「ルーツミュージック以外のなにものでもない!」
{ 編集長 }
そこがイギリスとアメリカの違いだよな!
《ハウリンメガネ》
ビートルズが「ラバーソウル」や「リボルバー」で
ああいう音をアメリカに広めて、アメリカの人たちが
「こういうのやりたい!」ってプレイしたけど、
染み付いたものが出ちゃった結果がこの時代のアメリカンサイケ!
ってことなんですかね。
{ 編集長 }
なんだ、分かってるじゃない!
だからさ、やっぱり「ビートルズ」と「ルーツミュージック」
それしかないんだよ!
《ハウリンメガネ》
(あ、また始まりそう)ですよねぇ。
なのでぜひ次回はこのサイケデリックムーブメントの時代でも
ルーツ、特にブルースに身を捧げていた人たちに話を持っていきたいな、
と思うんですよ。
{ 編集長 }
おお!そうか!
じゃあ次回は「ビートルズとルーツミュージックの関係」も
当然深掘りしなくちゃならんな!
いやあ、やることがいっぱいだなぁ!ワッハッハ!
《ハウリンメガネ》
ああ、めんどくさい人……
{ 編集長 }
ん?なんか言ったか?
《ハウリンメガネ》
いいえ!なんにも!
じゃぁ次回もお楽しみに!

(続 )


《マシュメガネ対談》 今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る」!(Part 5) 「60年代サイケ名盤編」

2021-01-09 15:47:00 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
やあやあ、あけましておめでとうございます。
{ 編集長「MASH」}
ヤア!ヤア!ヤア!だろ?
ヤア!が1つ足りん!やり直し!
《ハウリンメガネ》
相変らずの「FAB(ビートルズ)節」ですね(笑)
しかし仕方ありませんが
「正月らしい正月」ではなかったですねぇ。
あなたとも直接会ってないし。
{編集長}
まあ、そりゃぁ仕方あるまい・・・。
ずっと書いて来てるが「国がアホ過ぎるから」な!
《ハウリンメガネ》
(笑)今年もいろいろ起きそうな気配しかありませんが、
やれることを粛々とやっていくしかありませんのでね。
新年にも浮かれず、ちゃんと前回の続きをやるわけです。
{編集長}
そりゃぁ、そうよ。
コロナ同様「日々つながっている」からね。
シッカリと「つづき」をやらんと!
《ハウリンメガネ》
というわけで「イーノで紐解くロックの歴史!」
と行きましょう!
{編集長}
よし!さあ、来たまえ!
《ハウリンメガネ》
えっーと、イーノと関係の深い盤、ということで
前回取り上げたボウイ初期の名盤「スペース・オディティ」ですが、
そもそもこの盤が生まれた時代背景としては
「サイケデリック文化の勃興」があるわけですよね。
{編集長}
おおっ!愛しのサイケ!その通りだよ君!
「サイケデリック時代」がアレほど面白かったのは
何でもかんでも有り!そんな「サブカルのピーク」に向け
英米では60年代中期から花開いたからなんだよ!
《ハウリンメガネ》
それこそ「田舎のガレージバンド」から「ビートルズ」に至るまで
「サイケデリック」という文化がアングラからメジャーまで
一世を風靡して、後の世代にも勁い影響を遺しているわけですね。
{編集長}
ちょい待ち!その部分はシッカリと確認しておかんといかん。
そもそもサイケのスタートって「ビートルズ」なんだよ。
「あの4人組」が創り出す「魅惑の音楽」を
世界中の若者がガレージで練習した・・・
ココから生まれたのがガレージロックであり、
ガレージサイケに流れていく・・・
だから君の言う「田舎のガレージバンド」とは
ただの「ビートルズのコピーバンド」なのよ!
それが始まりなんだよ。
《ハウリンメガネ》
なるほど、順序が逆なんですね。
今回は少々横道に逸れますが、イーノやボウイ・・・
というか当時の全ての芸術家たちに影響を与えた
この「サイケデリックミュージック」ってのは
そもそもどんなものだったのか?というのを、
サイケの名盤を交えて話したいわけです。
{編集長}
おお!俺の得意ジャンルだからな!何から行く?
あの「FAB曲」をカバーしてオマケに「リバプール産!」
として出された「アメリカ人の噓つきガレージバンド」から行くか!
《ハウリンメガネ》
あなた、そうやってCD化もされていない盤を出してくるからぁ・・・
サイケの名盤となるとあなたには山ほどありますでしょうから(笑)、
今回は「サイケ生誕の年」といわれる「1966年発の作品」を
私が独断と偏見で3枚ピックアップしてきました。
{編集長}
なんだよぉ~。たった3枚?
《ハウリンメガネ》
(無視して)では一枚目。。
「サイケデリック・ロリポップ」(ブルース・マグース)!


タイトルに「サイケデリック」という言葉を使った
「最初のアルバム」といわれる傑作でございます。
「(ヤング・)ラスカルズ」にも通ずる、
そんなリズム&ブルースをベースに
「コレぞアメリカン・サウンド」という音を追求!
そこが魅力的な名盤でございます。
{編集長}
おっ、ラスカルズたぁ良い所に目をつけたネ。
その通りでサ。実はアメリカで最初の「本格的ロックバンド」って
実際は「ヤング・ラスカルズ」なんだよね。
まあ、「バターフィールド・ブルースバンド」もそうだが
よりブリティッシュビート寄りなRockは「ラスカルズ」でしょ?
もちろん「ソウルフルな歌」がソコに乗るので
ブルーアイドソウルのバンドとも言えるけれど。
《ハウリンメガネ》
しかし「マグース」もちゃんと「黒く」プレイしようとしてるし
この頃のアメリカ人は黒人の影響も凄いんですよね。
{編集長}
「ラスカルズ」とこの「マグース」は
ほぼ同時期に同音楽から影響を受けているから、
自然と似てしまうんだね。
ただ、「ラスカルズ」が全員歌う「FABスタイル」なのに対し、
「マグース」はギター中心の「ストーンズ・スタイル」!
リードギターの音やアレンジも鋭いし、面白いでしょ?
そこにセールスの明暗が出たよね。
結局マイナーに終わるわけだから。
《ハウリンメガネ》
惜しいバンドを無くした・・・・と言ったところでしょうか(笑)
次は「ペット・サウンズ」(ザ・ビーチ・ボーイズ)!


いやあ、久々に聴きましたがアナログ、
しかも「UKオリジナル・モノ(マト1)」だと印象が全く違いますな。
久々に「俺が悪かった!」ってアメリカ西海岸に向かって
詫びを入れましたよ(笑)
{編集長}
コレは「ビートルズ」の「ラバーソウル」を聴いて寝込んじゃった(笑)
そんなブライアンがほぼ一人で考えて、
外部のミュージシャンを集めて創り上げた・・・・
そんな涙ぐましい「真の力作」だよ。
《ハウリンメガネ》
そうやって新しい方法、新しい方向を求めたのが
「サイケデリック文化の大いなる遺産」ですよね。
そしてその流れのトドメとなったのが
「リボルバー」から「サージェント」へ至る
そんな「ビートルズのサイケ期」!
本作は「サージェント」に影響を与えたという話ですよね!
{編集長}
まあ、影響を与え合っていたわけだよ。
コレが出たのって66年5月なんだ。
今回君は取り上げないみたいだが、
6月には「ザッパとマザーズ」が驚愕のデビュー作
そう!「フリーク・アウト」を出すワケよ!
で、同じ6月にはビートルズの「ブッチャーカバー(Y&T)」
(なんと英盤「リボルバー」から3曲先に入っている)
が、そして8月には英米で「リボルバー」が出ているの!
《ハウリンメガネ》
そういう流れで見て行くと、確かに凄いですね!
しかし「ペット・サウンズ」ってサイケっぽさは皆無ですよね。
メロディも演奏も盛り上がるというより繊細ですし。
でもその繊細な楽曲にエコーや多彩な楽器群が使われることで
より神秘的な美しさになってるんですよね。
{編集長}
やはりそこは「ラバーソウル」を、より発展させる・・・
っていうブライアンの構想が爆発したわけだよ。
《ハウリンメガネ》
あと、この盤はやっぱりコーラスワークが素晴らしいですね。
音処理の上手さも相まって、クワイアのような、
ザ・バンドの「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」にも
当然通じる荘厳さを感じますよね。
{編集長}
ザ・アメリカン・ミュージック!
が色々聴こえてくるし、今でも大名盤として君臨している・・・
しかし、当時は「リボルバー」が打ち消していくんだよ!
そして、またブライアンは寝込むっていう・・・・(笑)
《ハウリンメガネ》
(笑)しかし、こういう音がサイケとして扱われて
そこからピンク・フロイドみたいな静謐なプログレや
チルアウトミュージックのような音が生まれていって
……アンビエントに至る!と。
{編集長}
そうだね。そして忘れちゃイカン盤があるだろ?
《ハウリンメガネ》
ザ・ディープ「サイケデリック・ムーズ」!


昔、あなたが「ザ・ディープも聴いてないやつは音楽を語るな!」
ぐらいのことを言っていた記憶がフラッシュバックします。
事実、すごくいい盤なんですよね。
メロディもいいし、全体的にルーツミュージックが染み付いてる
そんな渋みのあるプレイ……
そしてそれらに混ざるカオスで珍妙な音の数々と(笑)。
{編集長}
大切なのはコレが「リボルバー」後に出た音ってことなんだよ!
ブライアンには悪いが、やっぱり当時のビートルズって
あまりに先へ先へと進んでいてさ。
「ペット・サウンズ」が当時サラッと流され
「フリーク・アウト」はコツコツと聴かれるワケ・・・
で、それって「リボルバー」の流れが
ザッパたちの音に有るからなんだよね。
実際「サイケデリック・ムーズ」も「リボルバー」への返答でさ。
無理に「奇怪な音をオーバーダブしている」じゃない。
《ハウリンメガネ》
当たり前ですが、「この珍妙な音」が入るのは
確信犯以外の何者でもないですよね(笑)。
真っ当にルーツやれば「真っ当な名盤」になっていたはず
の演奏なんですよ。鉄琴やティンパニみたいな、
当時のロックではまだ使われてなかった音を
積極的に入れてるのもバックボーンがしっかりしてないと
やっぱりできないでしょ。
{編集長}
俺は逆に、アレが無ければ「とっくに消えた作品」だと思うよ。
と言うのも、このカメオという地方のマイナーレーベルでは
どんなことをしても普通は残っていかないのに、
本作は長い間ずっと「熱い支持」を受け続けているからね。
あの「オーバーダブの奇怪さ」のお陰でさ(笑)。
もちろん俺みたいな「ビートル・マニア」が世界中に居るから
なんだけれどね(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
ビートルズを軸に今でも聴かれている盤・・・・
なんてこった・・・(苦笑)
{編集長}
うん。ちなみにディープのラスティ・エバンスは
後にコレが評価され、コロンビアから「フリーク・シーン」という
サイケ・バンドで再び登場し脚光を浴びるんだけれど、
俺は断然ディープ派だね。実際ディープはラスティのワンマだし、
彼は元々カントリー歌手だから本作には「本物感」が有る!
フリークシーンはメジャーの音で俺にはイマイチだなぁ。
《ハウリンメガネ》
どちらにしろ、そんな人たちが敢えてこういう盤を作った・・・
そんなところに当時の熱量が感じられますねぇ。
しかしこうやって並べてみるとわかりやすいですが、
サイケってルーツミュージックが根っこにある盤ばっかりですね。
つまり、ルーツミュージックに既存のものと異なる方法論で向き合った
その結果がサイケデリックミュージックとも取れそうですが?
{編集長}
コレはアメリカン・サイケでは当然のことなんだよね。
ビートルズとアメリカの土着音楽が彼らの肥やしだからさ!
何度も出すがザッパとマザーズ「フリーク・アウト!」でも
この対談で以前に出た「ベルベッツ」もやっぱりそこでしょ?
《ハウリンメガネ》
ドラッグをキメてたらルーツミュージックがこう聴こえた・・・
ということもあるとは思いますが(苦笑)。
{編集長}
まあ、そこは個人差が有ると思う。
マグースみたいに「サティスファクション」にヤラレタ
やっぱりストーンズも入り込んで来たりしちゃうし・・・。
結局「当時の音楽シーン」の方がクスリよりも
彼らに与えた影響は大きいよ。フラワームーブメントまではね!
《ハウリンメガネ》
こういう雑多、かつ自由な文脈の中で
ミュージシャン達がどんどん新たな音を探求していった、
その一つの発露が「スペース・オディティ」だったわけですね。
{編集長}
イーノもボウイも当時のシーンをモロに浴びて来たワケで・・・
そうなりゃ自然と取り入れているよね。
《ハウリンメガネ》
いやぁ、ちょっとサイケに触れただけで
いくらでも話すことがでてきますねぇ。
{編集長}
この時代は底無しだよ(笑)!
で、「サージェント」以後にシーンはまた変わって行くでしょ?
たった数ヶ月間で「物凄いスピード」で音楽が進化していたのよね。
ブライアンの様に脱落者も多く出るが、
それこそ「面白い盤」が山ほど出てくる事になるんだ!
《ハウリンメガネ》
山ほど(笑)!
それこそ今年も「山ほど音楽のこと」を話す年となりますな(笑)。
読者の皆様、本年度もどうぞお付き合いのほど、
よろしくお願い致します!
{編集長}
あれっ?もう〆るのか?
仕方ない。それじゃぁ次は
「サージェント」以降の「サイケ盤」に行こう!
『緊急事態宣言時にサイケを聴く!』
案外面白い組み合わせだぜ(笑)!

<続>