「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

《マシュメガネ対談》 今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る」!(Part 5) 「60年代サイケ名盤編」

2021-01-09 15:47:00 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
やあやあ、あけましておめでとうございます。
{ 編集長「MASH」}
ヤア!ヤア!ヤア!だろ?
ヤア!が1つ足りん!やり直し!
《ハウリンメガネ》
相変らずの「FAB(ビートルズ)節」ですね(笑)
しかし仕方ありませんが
「正月らしい正月」ではなかったですねぇ。
あなたとも直接会ってないし。
{編集長}
まあ、そりゃぁ仕方あるまい・・・。
ずっと書いて来てるが「国がアホ過ぎるから」な!
《ハウリンメガネ》
(笑)今年もいろいろ起きそうな気配しかありませんが、
やれることを粛々とやっていくしかありませんのでね。
新年にも浮かれず、ちゃんと前回の続きをやるわけです。
{編集長}
そりゃぁ、そうよ。
コロナ同様「日々つながっている」からね。
シッカリと「つづき」をやらんと!
《ハウリンメガネ》
というわけで「イーノで紐解くロックの歴史!」
と行きましょう!
{編集長}
よし!さあ、来たまえ!
《ハウリンメガネ》
えっーと、イーノと関係の深い盤、ということで
前回取り上げたボウイ初期の名盤「スペース・オディティ」ですが、
そもそもこの盤が生まれた時代背景としては
「サイケデリック文化の勃興」があるわけですよね。
{編集長}
おおっ!愛しのサイケ!その通りだよ君!
「サイケデリック時代」がアレほど面白かったのは
何でもかんでも有り!そんな「サブカルのピーク」に向け
英米では60年代中期から花開いたからなんだよ!
《ハウリンメガネ》
それこそ「田舎のガレージバンド」から「ビートルズ」に至るまで
「サイケデリック」という文化がアングラからメジャーまで
一世を風靡して、後の世代にも勁い影響を遺しているわけですね。
{編集長}
ちょい待ち!その部分はシッカリと確認しておかんといかん。
そもそもサイケのスタートって「ビートルズ」なんだよ。
「あの4人組」が創り出す「魅惑の音楽」を
世界中の若者がガレージで練習した・・・
ココから生まれたのがガレージロックであり、
ガレージサイケに流れていく・・・
だから君の言う「田舎のガレージバンド」とは
ただの「ビートルズのコピーバンド」なのよ!
それが始まりなんだよ。
《ハウリンメガネ》
なるほど、順序が逆なんですね。
今回は少々横道に逸れますが、イーノやボウイ・・・
というか当時の全ての芸術家たちに影響を与えた
この「サイケデリックミュージック」ってのは
そもそもどんなものだったのか?というのを、
サイケの名盤を交えて話したいわけです。
{編集長}
おお!俺の得意ジャンルだからな!何から行く?
あの「FAB曲」をカバーしてオマケに「リバプール産!」
として出された「アメリカ人の噓つきガレージバンド」から行くか!
《ハウリンメガネ》
あなた、そうやってCD化もされていない盤を出してくるからぁ・・・
サイケの名盤となるとあなたには山ほどありますでしょうから(笑)、
今回は「サイケ生誕の年」といわれる「1966年発の作品」を
私が独断と偏見で3枚ピックアップしてきました。
{編集長}
なんだよぉ~。たった3枚?
《ハウリンメガネ》
(無視して)では一枚目。。
「サイケデリック・ロリポップ」(ブルース・マグース)!


タイトルに「サイケデリック」という言葉を使った
「最初のアルバム」といわれる傑作でございます。
「(ヤング・)ラスカルズ」にも通ずる、
そんなリズム&ブルースをベースに
「コレぞアメリカン・サウンド」という音を追求!
そこが魅力的な名盤でございます。
{編集長}
おっ、ラスカルズたぁ良い所に目をつけたネ。
その通りでサ。実はアメリカで最初の「本格的ロックバンド」って
実際は「ヤング・ラスカルズ」なんだよね。
まあ、「バターフィールド・ブルースバンド」もそうだが
よりブリティッシュビート寄りなRockは「ラスカルズ」でしょ?
もちろん「ソウルフルな歌」がソコに乗るので
ブルーアイドソウルのバンドとも言えるけれど。
《ハウリンメガネ》
しかし「マグース」もちゃんと「黒く」プレイしようとしてるし
この頃のアメリカ人は黒人の影響も凄いんですよね。
{編集長}
「ラスカルズ」とこの「マグース」は
ほぼ同時期に同音楽から影響を受けているから、
自然と似てしまうんだね。
ただ、「ラスカルズ」が全員歌う「FABスタイル」なのに対し、
「マグース」はギター中心の「ストーンズ・スタイル」!
リードギターの音やアレンジも鋭いし、面白いでしょ?
そこにセールスの明暗が出たよね。
結局マイナーに終わるわけだから。
《ハウリンメガネ》
惜しいバンドを無くした・・・・と言ったところでしょうか(笑)
次は「ペット・サウンズ」(ザ・ビーチ・ボーイズ)!


いやあ、久々に聴きましたがアナログ、
しかも「UKオリジナル・モノ(マト1)」だと印象が全く違いますな。
久々に「俺が悪かった!」ってアメリカ西海岸に向かって
詫びを入れましたよ(笑)
{編集長}
コレは「ビートルズ」の「ラバーソウル」を聴いて寝込んじゃった(笑)
そんなブライアンがほぼ一人で考えて、
外部のミュージシャンを集めて創り上げた・・・・
そんな涙ぐましい「真の力作」だよ。
《ハウリンメガネ》
そうやって新しい方法、新しい方向を求めたのが
「サイケデリック文化の大いなる遺産」ですよね。
そしてその流れのトドメとなったのが
「リボルバー」から「サージェント」へ至る
そんな「ビートルズのサイケ期」!
本作は「サージェント」に影響を与えたという話ですよね!
{編集長}
まあ、影響を与え合っていたわけだよ。
コレが出たのって66年5月なんだ。
今回君は取り上げないみたいだが、
6月には「ザッパとマザーズ」が驚愕のデビュー作
そう!「フリーク・アウト」を出すワケよ!
で、同じ6月にはビートルズの「ブッチャーカバー(Y&T)」
(なんと英盤「リボルバー」から3曲先に入っている)
が、そして8月には英米で「リボルバー」が出ているの!
《ハウリンメガネ》
そういう流れで見て行くと、確かに凄いですね!
しかし「ペット・サウンズ」ってサイケっぽさは皆無ですよね。
メロディも演奏も盛り上がるというより繊細ですし。
でもその繊細な楽曲にエコーや多彩な楽器群が使われることで
より神秘的な美しさになってるんですよね。
{編集長}
やはりそこは「ラバーソウル」を、より発展させる・・・
っていうブライアンの構想が爆発したわけだよ。
《ハウリンメガネ》
あと、この盤はやっぱりコーラスワークが素晴らしいですね。
音処理の上手さも相まって、クワイアのような、
ザ・バンドの「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」にも
当然通じる荘厳さを感じますよね。
{編集長}
ザ・アメリカン・ミュージック!
が色々聴こえてくるし、今でも大名盤として君臨している・・・
しかし、当時は「リボルバー」が打ち消していくんだよ!
そして、またブライアンは寝込むっていう・・・・(笑)
《ハウリンメガネ》
(笑)しかし、こういう音がサイケとして扱われて
そこからピンク・フロイドみたいな静謐なプログレや
チルアウトミュージックのような音が生まれていって
……アンビエントに至る!と。
{編集長}
そうだね。そして忘れちゃイカン盤があるだろ?
《ハウリンメガネ》
ザ・ディープ「サイケデリック・ムーズ」!


昔、あなたが「ザ・ディープも聴いてないやつは音楽を語るな!」
ぐらいのことを言っていた記憶がフラッシュバックします。
事実、すごくいい盤なんですよね。
メロディもいいし、全体的にルーツミュージックが染み付いてる
そんな渋みのあるプレイ……
そしてそれらに混ざるカオスで珍妙な音の数々と(笑)。
{編集長}
大切なのはコレが「リボルバー」後に出た音ってことなんだよ!
ブライアンには悪いが、やっぱり当時のビートルズって
あまりに先へ先へと進んでいてさ。
「ペット・サウンズ」が当時サラッと流され
「フリーク・アウト」はコツコツと聴かれるワケ・・・
で、それって「リボルバー」の流れが
ザッパたちの音に有るからなんだよね。
実際「サイケデリック・ムーズ」も「リボルバー」への返答でさ。
無理に「奇怪な音をオーバーダブしている」じゃない。
《ハウリンメガネ》
当たり前ですが、「この珍妙な音」が入るのは
確信犯以外の何者でもないですよね(笑)。
真っ当にルーツやれば「真っ当な名盤」になっていたはず
の演奏なんですよ。鉄琴やティンパニみたいな、
当時のロックではまだ使われてなかった音を
積極的に入れてるのもバックボーンがしっかりしてないと
やっぱりできないでしょ。
{編集長}
俺は逆に、アレが無ければ「とっくに消えた作品」だと思うよ。
と言うのも、このカメオという地方のマイナーレーベルでは
どんなことをしても普通は残っていかないのに、
本作は長い間ずっと「熱い支持」を受け続けているからね。
あの「オーバーダブの奇怪さ」のお陰でさ(笑)。
もちろん俺みたいな「ビートル・マニア」が世界中に居るから
なんだけれどね(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
ビートルズを軸に今でも聴かれている盤・・・・
なんてこった・・・(苦笑)
{編集長}
うん。ちなみにディープのラスティ・エバンスは
後にコレが評価され、コロンビアから「フリーク・シーン」という
サイケ・バンドで再び登場し脚光を浴びるんだけれど、
俺は断然ディープ派だね。実際ディープはラスティのワンマだし、
彼は元々カントリー歌手だから本作には「本物感」が有る!
フリークシーンはメジャーの音で俺にはイマイチだなぁ。
《ハウリンメガネ》
どちらにしろ、そんな人たちが敢えてこういう盤を作った・・・
そんなところに当時の熱量が感じられますねぇ。
しかしこうやって並べてみるとわかりやすいですが、
サイケってルーツミュージックが根っこにある盤ばっかりですね。
つまり、ルーツミュージックに既存のものと異なる方法論で向き合った
その結果がサイケデリックミュージックとも取れそうですが?
{編集長}
コレはアメリカン・サイケでは当然のことなんだよね。
ビートルズとアメリカの土着音楽が彼らの肥やしだからさ!
何度も出すがザッパとマザーズ「フリーク・アウト!」でも
この対談で以前に出た「ベルベッツ」もやっぱりそこでしょ?
《ハウリンメガネ》
ドラッグをキメてたらルーツミュージックがこう聴こえた・・・
ということもあるとは思いますが(苦笑)。
{編集長}
まあ、そこは個人差が有ると思う。
マグースみたいに「サティスファクション」にヤラレタ
やっぱりストーンズも入り込んで来たりしちゃうし・・・。
結局「当時の音楽シーン」の方がクスリよりも
彼らに与えた影響は大きいよ。フラワームーブメントまではね!
《ハウリンメガネ》
こういう雑多、かつ自由な文脈の中で
ミュージシャン達がどんどん新たな音を探求していった、
その一つの発露が「スペース・オディティ」だったわけですね。
{編集長}
イーノもボウイも当時のシーンをモロに浴びて来たワケで・・・
そうなりゃ自然と取り入れているよね。
《ハウリンメガネ》
いやぁ、ちょっとサイケに触れただけで
いくらでも話すことがでてきますねぇ。
{編集長}
この時代は底無しだよ(笑)!
で、「サージェント」以後にシーンはまた変わって行くでしょ?
たった数ヶ月間で「物凄いスピード」で音楽が進化していたのよね。
ブライアンの様に脱落者も多く出るが、
それこそ「面白い盤」が山ほど出てくる事になるんだ!
《ハウリンメガネ》
山ほど(笑)!
それこそ今年も「山ほど音楽のこと」を話す年となりますな(笑)。
読者の皆様、本年度もどうぞお付き合いのほど、
よろしくお願い致します!
{編集長}
あれっ?もう〆るのか?
仕方ない。それじゃぁ次は
「サージェント」以降の「サイケ盤」に行こう!
『緊急事態宣言時にサイケを聴く!』
案外面白い組み合わせだぜ(笑)!

<続>



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