魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

ああ爆弾★★★★☆

2009年03月04日 | Weblog

★あらすじ★

昔気質のヤクザ組長・大名大作(伊藤雄之助)が3年ぶりに出所し、自分のシマに戻ってみると、そこは新興ヤクザの矢東(中谷一郎)に乗っ取られていた。怒りに燃える大作は、子分志願者の太郎(砂塚秀夫)に万年筆型の爆弾を作らせ、矢東を殺す計画を立てるのだが、万年筆は矢東の手を離れ次から次へと人手に渡ってしまう…
(Amazon.co.jpより抜粋、改稿)

★感想★
感想書いてみたんですが、通り一遍のことしか書けない…
そりゃね、この映画、そう簡単に歯がたつもんですか…
面白かったですよ。
見ていない人は見て損はないと思いますよ。


異色作異色作って言ってるけど、中身を見てみれば、「ああ、これは喜八映画に間違いないな」とほとんどの(?)人が思うでしょう。
狂言歌、ジャズ、ロックと映画全体のBGMは自由奔放で、登場人物たちの仕草やセリフに合わせて流れていて面白い。

明らかに「ウエストサイド物語」を模しているんですよ~。とでも言いたげな矢東(野党の矢東って…笑)の登場シーン、それに引き替え狂言、浪曲のBGMのみの大名大作。

計算された構図と佐藤勝の音楽がこれほどまでにしっくりと、否、しっくりではなく妙な違和感があるんですがでもこれ以外になにか選曲でもあるのかというくらい合っている。佐藤氏もそうとう楽しんでるんじゃないかと思わせます。

全篇通して登場人物のセリフが歌になってしまう、和製ミュージカルといった趣があるんですが、ミュージカルという枠で見るとどうもしっくりこない。
かと言って普通の映画とも言えないし、う~ん。こんな観客に対して挑戦的な映画、当時はどんな風にとられたのでしょうか?

銀行員が金を数えて、10円が足りないことも「10円足りない~」と歌になってします。
沢村いき雄の、会社の金を横領しようとたくらむ(といっても可愛いもの)タクシーの運転手の「300万、300万、300万」も歌になってしまう。
バカバカしいけど、面白い。
万年筆の行方も、落ちもだんだんわかってきちゃうけど、面白い。
なんだ、結構オーソドックスな映画なんじゃん!
と思ってみたりするけど、やっぱりそんなわけがない。

今でこそ観客の常識を破るかのような斬新な画の映画がいくつかつくられるようになりましたが、その40年以上も前にこんなとんでもない映画が作られていたとは。

「日本のいちばん長い日」や「沖縄決戦」を撮る監督ですが、そういう重厚な映画はむしろ異色作で、よくカルト作と言われるけど、こういう映画こそが岡本喜八って感じがしますけどね。

最後に、伊藤雄之助砂塚秀夫
あなたたちは本当にいい仕事をしますね~
二人がなにかしゃべっているだけで面白いんだからすごい。

 

 

監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八  
原作 コーネル・ウールリッチ 
音楽 佐藤勝 
 
 
配役    
大名大作  伊藤雄之助 
大名健作  高橋正 
大名梅子  越路吹雪 
田ノ上太郎 砂塚秀夫 
矢東彌三郎 中谷一郎 
椎野武三  沢村いき雄 
椎野松子  本間文子   
乾分テツ  天本英世 
銀行支店長 有島一郎 
社員竜見  二瓶正也 
銀行秘書  桜井浩子

1964年度東宝作品(モノクロ・東宝スコープ)

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