現在の栄養学は、“食べる”ことを前提として成り立っていますが、栄養学を、食べないこと“断食”という視点からのぞいてみると栄養学も少し違ったものになります。
そんな、普通とはちょっと違った栄養学は、断食中の過ごし方、補食(回復食)、断食後の食生活に大いに役立つでしょう。
断食という非日常の別世界から、もう一つの栄養学をお伝えしたいと思います。
話は、江戸時代までさかのぼります。
ある人は、もっとも健康にとって理想想的な食事は、日本の江戸時代の食事だと言う人がいます。
現在の飽食と比べれば、という話だと思うのですが、江戸時代より、現代人の多くが健康で長生きしている点を考えれば、必ずしも江戸時代の食事が理想的だとは言えないと思います。
江戸時代の人々の食事は、現代人が学ぶべき要素がたくさんあるにせよ、相対的に考えれば、貧困(食べない)ことより、飽食(食べる)ことのほうが、はるかに健康的です。
最近では、小食が健康に良いという流行もあるようで、確かに食べ過ぎによる健康的害は大きいのですが、普段から小食で健康に過ごすというのは、まさに、神業ともいえる技法が必要なわけで、決して、むやみに小食だけで過ごすことは、健康の糧にはならないのではないかと思います。
江戸時代に生きた人たちの病気の多くは、栄養不足よるものだったようです。
代表的は病(やまいと読んでくださいね。)の一つが、脚気です。
これは、当時一握りである中流階級以上にの暮らしをしている人に流行った病です。
脚気は、当時、中流階級以上の人たちに白米食が流行り、お米の胚芽部分に多く含まれるビタミンB1が不足したために起きたビタミンB1欠乏症です。
現代では、ほとんどの人が白米食をしているにも関わらず、なぜ脚気が少ないかと言えば、
豚肉にビタミンB1が多く含まれているからです。
ですから、豚肉を食べましょう、ということでは、普通の現代の栄養学です。
ですから、玄米を食べましょう、と言うことでは、普通の自然食です。
断食の栄養学は、普通とはちょっと違うので、興味のある方は、続きをお読みくださいませ。
江戸時代のもう一つの代表的な病といえば、結核などの感染症です。
あっはっ、それは抗生物質がまだ発見されてないから感染症が多いんだよ~、と西洋医の方から突っ込まれそうですが、感染症の発症と抗生物質は関係ありませんし、その当時、もう既に、
南方仁先生が抗生物質の製造に成功していますから。(笑)
江戸時代になぜ感染症が多かったかといえば、その原因の一つがタンパク質の不足にあるのではないかと思います。
当時、肉を食べず、魚も手に入りにくかった日本人は、タンパク質の不足により、免疫が低下して感染症が多かった。
さらに言えば、タンパク質の不足により血管がもろくなるために、脳出血がも多かった。
江戸時代の病気の一番の原因は、タンパク質の不足によるものであったと言えると思います。
(日本史上、もっとも身長が低いのが江戸時代で、そのことからもタンパク質の圧倒的不足がうかがえます。)
タンパク質の不足は、明治大正を経て、昭和30年頃まで続きます。
“タンパク質が足りないよ~。”
これは、昭和30年頃の流行語です。実際、その頃まで日本人の動物性タンパク質の摂取量はまだまだ少なかったのですが、昭和30年を境に、その摂取量は、右肩上がりに増えていきます。
動物性タンパク質の摂取量の増加に伴い、脳出血や感染症で亡くなる人は減り、日本人の平均身長も急激にのびていきました。
そして、動物性タンパク質は、過剰摂取の時代を迎えます。
動物性タンパク質の理想の摂取方法は魚です。
もともと魚好きの日本人でしたが、食生活の欧米化に伴い、動物性タンパク質は、お肉や乳製品へと変わっていきました。
そもそも、タンパク質というのは組成が複雑で、人間の体がタンパク質を摂取し代謝するのには大変な労力を必要とします。
タンパク質は疲れるのです。
明治時代の話です。
ドイツの栄養学者ベルツさんが、ある実験をしました。
米(玄米)とか、野菜、味噌しか食べない日本人が、重さ80kgの人力車を1日14時間、距離にして40kmも走らせていることに驚き、もし、この車夫に西洋風の肉を中心とした食事を与えれば、もっとすごい力を発揮するに違いない。
そこで、車夫に肉を与え人力車を引かせたところ、車夫は力を発揮するどころか、3日でダウン。
“食事を元に戻してくれ~。”と懇願したそうです。
動物性タンパク質を摂れば、確かに体格はよくなります。体格がよくなること自体は、健康に悪いことではないのですが、タンパク質の過剰摂取は、体への負担が大きく、慢性疲労や様々な病気の原因にもなります。
必須タンパク質であるメチオニンが代謝してできるアミノ酸、ホモシステインは動脈硬化の原因となるため、お肉の過剰摂取は、虚血性心疾患の原因となります。
また、牛乳を飲むとカルシウムが体外に排泄されることは有名ですが、動物性タンパク質自体にもカルシウムの排泄作用があり、これも、ガン、脳血管障害、虚血性心疾患の原因となります。
動物性タンパク質が不足してた頃には、脳出血や感染症が主な死亡原因でしたが、これが現在はタンパク質の過剰摂取の時代となり、身長や寿命が延びた代わりに、ガン、脳血管障害、虚血性心疾患が、死亡原因の1位、2位、3位を占めるようになったわけです。
このような時代の流れの中で、食生活の欧米化に背を向け、穀物や野菜を中心にする食生活、いわゆるマクロバイオテックが多くの一般人にも知られるようになりました。
それまで自然食など知らなかった人たちが、マクロバイオテックの食事を体験すると、その体調のよさに驚いたことでしょう。
今までの体の重さや不調の原因が、動物性タンパク質であったことを知る訳です。
ここに落とし穴があります。
確かに、マクロバイオテックの食事をすると体調はよくなるのですが、その流派によっては、まったく動物性タンパク質を摂らない流派もあり、そうして玄米菜食にはまった人たちが、江戸時代の人のように、動脈硬化や脂肪肝を引き起こし、かえって体調を崩すケースがあるのです。
タンパク質が不足すると、肝臓でリポタンパク(LDLコレステロールなど)が生成されなくなり、必要な脂質が血液中に移動できなくなり、結果、欠陥がもろくなり脳出血などを引き起こします。
また、肝臓から脂質が移動できなくなるため、脂肪肝となるのです。(いわゆるぽっくり病の原因)
現代の栄養学では、必須タンパク質などといい、必ずタンパク質を摂るようにすすめるのですが、その摂取量に関しては、ほとんど制限をしていません。
動物性タンパク質は、不足しても摂りすぎてもイケナイのです。
動物性タンパク質と聞けば、お肉やお魚を思い浮かべますが、乳製品も立派な動物性タンパク質です。牛乳やヨーグルト、アイスクリームなどなど。
コラーゲンも動物性タンパク質ですね。
タンパク質は、小腸でアミノ酸に分解され、肝臓に送られ再合成されます。
人間が魚を食べても魚にならないのは、肝臓で魚のアミノ酸が人間用に作りかえられているからです。
つまり、コラーゲンや酵素(酵素もタンパク質)を食べても、体内ではコラーゲンや酵素になるわけではなく、肝臓で再合成され体へと分配されていきます。
コラーゲンや酵素などの栄養剤は、肝臓に負担をかけるだけで、ほとんど意味はないわけです。
また、市販のほとんどの食品に含まれるアミノ酸(その正体は化学調味料。)にも注意が必要。
動物性タンパク質の摂取量は、子供でも食事全体の2割以内に収めたいところです。
大人は、時々、魚を食べる程度でも基本的には十分です。
お肉を食べたい人は、お肉をどうぞ。でも、毎食お肉はいくらなんでも食べすぎですよね。
動物性タンパク質と植物性タンパク質は、半々ぐらいで。
牛乳は、大人も子供も止めた方がいいですね。牛乳飲むんだったら、お肉は食べないとかしないといけません。
断食後の補食には、動物性タンパク質は体への負担が大きいので、用いません。
“海の汚染が気になって、魚はどうも・・。抗生物質や殺菌剤、放射能が気になってお肉はどうも・・・。”
あらあら、困ったもんですね。
北海道でエゾシカが増えて困っているそうだから、野生のエゾシカでも食べますか!
お肉大好きってひとも、自然食大好きってひとも、タンパク質に誤算がありませんように。
佐下橋聡 拝
そんな、普通とはちょっと違った栄養学は、断食中の過ごし方、補食(回復食)、断食後の食生活に大いに役立つでしょう。
断食という非日常の別世界から、もう一つの栄養学をお伝えしたいと思います。
話は、江戸時代までさかのぼります。
ある人は、もっとも健康にとって理想想的な食事は、日本の江戸時代の食事だと言う人がいます。
現在の飽食と比べれば、という話だと思うのですが、江戸時代より、現代人の多くが健康で長生きしている点を考えれば、必ずしも江戸時代の食事が理想的だとは言えないと思います。
江戸時代の人々の食事は、現代人が学ぶべき要素がたくさんあるにせよ、相対的に考えれば、貧困(食べない)ことより、飽食(食べる)ことのほうが、はるかに健康的です。
最近では、小食が健康に良いという流行もあるようで、確かに食べ過ぎによる健康的害は大きいのですが、普段から小食で健康に過ごすというのは、まさに、神業ともいえる技法が必要なわけで、決して、むやみに小食だけで過ごすことは、健康の糧にはならないのではないかと思います。
江戸時代に生きた人たちの病気の多くは、栄養不足よるものだったようです。
代表的は病(やまいと読んでくださいね。)の一つが、脚気です。
これは、当時一握りである中流階級以上にの暮らしをしている人に流行った病です。
脚気は、当時、中流階級以上の人たちに白米食が流行り、お米の胚芽部分に多く含まれるビタミンB1が不足したために起きたビタミンB1欠乏症です。
現代では、ほとんどの人が白米食をしているにも関わらず、なぜ脚気が少ないかと言えば、
豚肉にビタミンB1が多く含まれているからです。
ですから、豚肉を食べましょう、ということでは、普通の現代の栄養学です。
ですから、玄米を食べましょう、と言うことでは、普通の自然食です。
断食の栄養学は、普通とはちょっと違うので、興味のある方は、続きをお読みくださいませ。
江戸時代のもう一つの代表的な病といえば、結核などの感染症です。
あっはっ、それは抗生物質がまだ発見されてないから感染症が多いんだよ~、と西洋医の方から突っ込まれそうですが、感染症の発症と抗生物質は関係ありませんし、その当時、もう既に、
南方仁先生が抗生物質の製造に成功していますから。(笑)
江戸時代になぜ感染症が多かったかといえば、その原因の一つがタンパク質の不足にあるのではないかと思います。
当時、肉を食べず、魚も手に入りにくかった日本人は、タンパク質の不足により、免疫が低下して感染症が多かった。
さらに言えば、タンパク質の不足により血管がもろくなるために、脳出血がも多かった。
江戸時代の病気の一番の原因は、タンパク質の不足によるものであったと言えると思います。
(日本史上、もっとも身長が低いのが江戸時代で、そのことからもタンパク質の圧倒的不足がうかがえます。)
タンパク質の不足は、明治大正を経て、昭和30年頃まで続きます。
“タンパク質が足りないよ~。”
これは、昭和30年頃の流行語です。実際、その頃まで日本人の動物性タンパク質の摂取量はまだまだ少なかったのですが、昭和30年を境に、その摂取量は、右肩上がりに増えていきます。
動物性タンパク質の摂取量の増加に伴い、脳出血や感染症で亡くなる人は減り、日本人の平均身長も急激にのびていきました。
そして、動物性タンパク質は、過剰摂取の時代を迎えます。
動物性タンパク質の理想の摂取方法は魚です。
もともと魚好きの日本人でしたが、食生活の欧米化に伴い、動物性タンパク質は、お肉や乳製品へと変わっていきました。
そもそも、タンパク質というのは組成が複雑で、人間の体がタンパク質を摂取し代謝するのには大変な労力を必要とします。
タンパク質は疲れるのです。
明治時代の話です。
ドイツの栄養学者ベルツさんが、ある実験をしました。
米(玄米)とか、野菜、味噌しか食べない日本人が、重さ80kgの人力車を1日14時間、距離にして40kmも走らせていることに驚き、もし、この車夫に西洋風の肉を中心とした食事を与えれば、もっとすごい力を発揮するに違いない。
そこで、車夫に肉を与え人力車を引かせたところ、車夫は力を発揮するどころか、3日でダウン。
“食事を元に戻してくれ~。”と懇願したそうです。
動物性タンパク質を摂れば、確かに体格はよくなります。体格がよくなること自体は、健康に悪いことではないのですが、タンパク質の過剰摂取は、体への負担が大きく、慢性疲労や様々な病気の原因にもなります。
必須タンパク質であるメチオニンが代謝してできるアミノ酸、ホモシステインは動脈硬化の原因となるため、お肉の過剰摂取は、虚血性心疾患の原因となります。
また、牛乳を飲むとカルシウムが体外に排泄されることは有名ですが、動物性タンパク質自体にもカルシウムの排泄作用があり、これも、ガン、脳血管障害、虚血性心疾患の原因となります。
動物性タンパク質が不足してた頃には、脳出血や感染症が主な死亡原因でしたが、これが現在はタンパク質の過剰摂取の時代となり、身長や寿命が延びた代わりに、ガン、脳血管障害、虚血性心疾患が、死亡原因の1位、2位、3位を占めるようになったわけです。
このような時代の流れの中で、食生活の欧米化に背を向け、穀物や野菜を中心にする食生活、いわゆるマクロバイオテックが多くの一般人にも知られるようになりました。
それまで自然食など知らなかった人たちが、マクロバイオテックの食事を体験すると、その体調のよさに驚いたことでしょう。
今までの体の重さや不調の原因が、動物性タンパク質であったことを知る訳です。
ここに落とし穴があります。
確かに、マクロバイオテックの食事をすると体調はよくなるのですが、その流派によっては、まったく動物性タンパク質を摂らない流派もあり、そうして玄米菜食にはまった人たちが、江戸時代の人のように、動脈硬化や脂肪肝を引き起こし、かえって体調を崩すケースがあるのです。
タンパク質が不足すると、肝臓でリポタンパク(LDLコレステロールなど)が生成されなくなり、必要な脂質が血液中に移動できなくなり、結果、欠陥がもろくなり脳出血などを引き起こします。
また、肝臓から脂質が移動できなくなるため、脂肪肝となるのです。(いわゆるぽっくり病の原因)
現代の栄養学では、必須タンパク質などといい、必ずタンパク質を摂るようにすすめるのですが、その摂取量に関しては、ほとんど制限をしていません。
動物性タンパク質は、不足しても摂りすぎてもイケナイのです。
動物性タンパク質と聞けば、お肉やお魚を思い浮かべますが、乳製品も立派な動物性タンパク質です。牛乳やヨーグルト、アイスクリームなどなど。
コラーゲンも動物性タンパク質ですね。
タンパク質は、小腸でアミノ酸に分解され、肝臓に送られ再合成されます。
人間が魚を食べても魚にならないのは、肝臓で魚のアミノ酸が人間用に作りかえられているからです。
つまり、コラーゲンや酵素(酵素もタンパク質)を食べても、体内ではコラーゲンや酵素になるわけではなく、肝臓で再合成され体へと分配されていきます。
コラーゲンや酵素などの栄養剤は、肝臓に負担をかけるだけで、ほとんど意味はないわけです。
また、市販のほとんどの食品に含まれるアミノ酸(その正体は化学調味料。)にも注意が必要。
動物性タンパク質の摂取量は、子供でも食事全体の2割以内に収めたいところです。
大人は、時々、魚を食べる程度でも基本的には十分です。
お肉を食べたい人は、お肉をどうぞ。でも、毎食お肉はいくらなんでも食べすぎですよね。
動物性タンパク質と植物性タンパク質は、半々ぐらいで。
牛乳は、大人も子供も止めた方がいいですね。牛乳飲むんだったら、お肉は食べないとかしないといけません。
断食後の補食には、動物性タンパク質は体への負担が大きいので、用いません。
“海の汚染が気になって、魚はどうも・・。抗生物質や殺菌剤、放射能が気になってお肉はどうも・・・。”
あらあら、困ったもんですね。
北海道でエゾシカが増えて困っているそうだから、野生のエゾシカでも食べますか!
お肉大好きってひとも、自然食大好きってひとも、タンパク質に誤算がありませんように。
佐下橋聡 拝