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ホロコーストの教訓

2016年11月06日 | 時事・雑文


欅坂46のコスチュームがナチスの軍服に似ていたとかなんとかで騒動になったことについての論点整理。

「ナチスが犯した歴史的犯罪」から「ナチスっぽいマークや衣装の吊るし上げ」に走るのは短絡的かつ歴史的教訓の無視に過ぎない。被害者の心情を慮ってある程度の配慮は要るにしても、そこは歴史的教訓の主題ではない。なぜならマークや軍服が歴史的犯罪を犯したわけではない。

ナチスの歴史的犯罪を絞り込めばホロコーストに尽きる。ホロコーストとは、ナチスドイツ占領下におけるユダヤ人の虐殺ないしは域外への移送である。これはナチスが立案した計画「ユダヤ人問題の最終的解決」に基づいて実行された。これは戦争の範囲内ではないし、戦争犯罪の概念からも逸脱している。

ところで、「ユダヤ人」とは人種ではない。ウィキでは「ユダヤ教の信者(宗教集団)、あるいはユダヤ人を親に持つ者(血統)によって構成される民族集団」と説明されている。そして民族とは、「特有の文化宗教言語などを共有する集団」とされている。2千年前のユダヤ人と今のユダヤ人は人種が異なる。

ユダヤ人の著書によれば、ユダヤ人の特徴はユダヤ教の信仰に加えて、知性を重んじる点にあるという。すなわち、国土を持たず、諸国で迫害を受けながら生き抜くには財産とて当てにならず、最後は自分たちの知性だけが頼りであると。それが金融その他のビジネス、科学などの分野での成功を生んだ。

一方で、ヒトラーも傾倒したと言われる反ユダヤ主義の中では「貨幣の権力、すなわち、自らは労働せずに、いわゆる営業の自由の利益を独り占めしている」と批判されている。なんのことはない、ユダヤ人が誇りとしている知性が生んだ金融業その他のビジネスでの成功の裏返しである。

ヒトラー自身は「ユダヤは宗教共同体ではなくユダヤ教徒による宗教同盟であり、実体としては、ほとんどユダヤ民族による一時的な統治システムである」と書いている。「ヒトラーはユダヤ主義的金融資本主義がもたらす金利奴隷世界の来ることを看破し、それを防ごうとした。」と説明した人物もいる。

実は、歴史上には似たような場面は他にもあった。例えば20世紀初頭のアメリカでの、日本人移民に対する排斥運動である。一説によれば、真面目に働きすぎて周囲の労働者から反感を買った、とか、日系人だけで閉鎖的コミュニティーを形成し地域に溶け込まない、などが理由とされる。

そして、今の日本にも同じ状況がある。在日韓国人である。日本で生まれ育った在日3世とか4世になっても頑なに日本国の一員となることを拒否し、「在日は日本人でも韓国人でもない」などと強弁している者たちが特にそうである。日本と共存するならともかく、反日カルト教的な言動は迷惑千万。

さらに、最も懸念すべきは中国。今まさに現在進行形でチベットとウィグルの民族浄化が進行中である。両自治区に大量の漢民族を移住させ、逆にウイグルの女性を自治区の外へ移住させて漢民族と結婚させたり、宗教や独自の言語を禁止するなど、両民族を歴史の彼方に消し去ろうとしてる。

従って、話を戻すと、隣国でまさに民族浄化が行なわれている最中なのに、それを批判することもなく「ナチスっぽいマークや衣装の吊るし上げ」などに走るのは的外れもいいところである。そして、日本も含めてこういった民族の衝突のような事態にどう対処するのかという点に知恵が必要である。






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