「ポチッ」とマウスを右クリックしてから、ものの数秒もかからずかかってきた電話にその時はびっくり仰天だったが、よくよく考えてみると・・・
そう、なんだかなあ・・・うーん、ネットの恐ろしさを後になって感じた。
糸を張り巡らし、身を潜め、獲物がかかるのをタダひたすらじっと静かに待つ蜘蛛のようなネットの世界。
その世界になんも疑いもなく飛び込んでいく哀れな欲深老人一人。さあ、無事脱出できるだろうか。餌食にならずに無事生還できるのだろうか。
17時の査定時間にきっちり合わせて一台の高級外車がオイラの駐車場前に来た。
中から若い男性が
「zenpeichanさんでしょうか?」
と声をかけてきた。
おっと、こんな若い子がこの高級外車? いぶかしがりながら
「そうですよ。査定に来てくれたの。どうぞ、ゆっくり査定して。」
降りてきたのは20代と思える若者だった。そう過保護のカホコのお相手、若手人気俳優「竹内涼真」同様背の高い男の子だった。
開口一番
「めっちゃ綺麗ですね。外見はどこも傷んでないですよ。気に入りました。」
おっと、なんとかわゆいことを・・・よし、よし。
これが危険な落とし穴だとは昔は若かったzenpeichanには気づかなかった。これは査定員の常套用語なのかもしれない。
「ずいぶん素早い連絡だったんだけどいつもそうなの?」
「はい、我が社は直ぐ動く会社ですので・・・」
そう言いながらチェックをしていく・・・何やらスマフォで写真を撮ったり、スマフォで資料を見たり、スマフォで連絡を取りながらチェックしていく。
そんなチェックを横目に声をかける
「ところで、あのBMWは会社の車なの?」
車買い取り業者に勤める青年にはふさわしくない(失礼)と思ったので聞いてみた
「いいえ、あれは僕んのです。好きなので買いました。」
おっと、びっくり。そんなに給料が良い? 買い取り上手? それとも良いところの坊ちゃん?
「zenpeichanさん、この車気に入りました。僕が欲しいです。是非、売って下さい。」
「いいよ、勿論、査定額次第だけど。幾ら出してくれるの?」
「zenpeichanさん、幾らなら売ってくれますか?」
「うーん、そうじゃあなくて、今、査定しているでしょう。その査定だと幾らになったの?」
そう言うと、分厚い査定マニュアルのような業界の本を出し
「このお車ですが年式が〇〇 走行距離が〇〇 擦り傷がバンパーの一部にアリ・・・・」
ぐたぐた説明をし始めてDより少し安めの金額を弾き出した。
内心、問題外だなあと思いながら
「了解、他の買い取り会社が来るからその人達の出した買い取り価格を比べて一番高い所に決定するよ。今日はご苦労様。」
そう、ここで終わるはずだった。ここから彼が食い下がる。
「他の業者より高く出しますから是非、この車を売って下さい。僕はこの車が気に入って欲しいんです。ですからお願いします。」
「だけどさあ、他の会社はまだだよ。業界の仁義は? 大丈夫なの?」
「はい、是非、お願いします。本当にこの車気に入りました。欲しいです。是非・・・」
まあ、食い下がってくること。
まだ一社目だ。あと5社の予定がある。早い者勝ちで買い取ろうとしてもそういう要求には応えられない。
「zenpeichanさん、幾らなら売ってくれるんですか。希望の価格を言ってくれれば交渉します。」
交渉? 誰と? どの程度まで買値を上げても良いか会社に電話をし始めた・・・。
面倒くさくなったので希望価格を述べると、一瞬ひるんだ顔になったが、再度電話し始めた・・・
暫く待たされたところで
「本当に、売ってくれますか。今すぐ引き取っても構いませんか。後でヤーメタって言いませんよね。」
そういうと、またまた電話をし始めた。さて、どうなったんだろう?
「zenpeichanさん、OKが出ました。是非、売って下さい。」
何だかんだと1時間以上かかったがけっきょく他の業者を出し抜いて、彼がCX7を持って行くことになった。
ほんとうに上司とのやりとりをしながら金額を決定していたのか不明だが、途中から彼のペースに巻き込まれてしまったようだ。
きっと買い取り査定に慣れている人なら全社との査定を確実行って一番高い業者に売るだろうけど、世間に疎い退職した欲深い爺さんにはこれが精一杯だった。
ああ、弟か息子が一緒にいてくれたらそれでも冷静になっていただろうに残念。
まあ、残念と言っても希望金額であることいは間違いない。そしてこの希望金額はこれ以上の金額を出せるところはまずないだろう・・・←Dの担当者がびっくりしていた!
「CX7を欲しがっているお客様がいたんではないでしょうか。」
そんなことをDのつかず離れずの担当者が言っていた。
それにしても現役のころ、決められた日時を無視して「早い者勝ち」をしようとしている業者等がいたら絶対それに応じなかったオイラなのに退職したらこの有様だ。
他の5社に査定キャンセルを平謝りで電話をしたのはいうまでもない。この部分は後味が悪い。
彼の会社はこうやって業績を上げているのか・・・?
そんなこんなでCX7を手放した。うーん、これでよかったかどうかは明日の心だあ。
さて、来週の火曜日。サインをしてこようかなあ・・・・ノー天気のzenpeichanなのであった。
そう、なんだかなあ・・・うーん、ネットの恐ろしさを後になって感じた。
糸を張り巡らし、身を潜め、獲物がかかるのをタダひたすらじっと静かに待つ蜘蛛のようなネットの世界。
その世界になんも疑いもなく飛び込んでいく哀れな欲深老人一人。さあ、無事脱出できるだろうか。餌食にならずに無事生還できるのだろうか。
17時の査定時間にきっちり合わせて一台の高級外車がオイラの駐車場前に来た。
中から若い男性が
「zenpeichanさんでしょうか?」
と声をかけてきた。
おっと、こんな若い子がこの高級外車? いぶかしがりながら
「そうですよ。査定に来てくれたの。どうぞ、ゆっくり査定して。」
降りてきたのは20代と思える若者だった。そう過保護のカホコのお相手、若手人気俳優「竹内涼真」同様背の高い男の子だった。
開口一番
「めっちゃ綺麗ですね。外見はどこも傷んでないですよ。気に入りました。」
おっと、なんとかわゆいことを・・・よし、よし。
これが危険な落とし穴だとは昔は若かったzenpeichanには気づかなかった。これは査定員の常套用語なのかもしれない。
「ずいぶん素早い連絡だったんだけどいつもそうなの?」
「はい、我が社は直ぐ動く会社ですので・・・」
そう言いながらチェックをしていく・・・何やらスマフォで写真を撮ったり、スマフォで資料を見たり、スマフォで連絡を取りながらチェックしていく。
そんなチェックを横目に声をかける
「ところで、あのBMWは会社の車なの?」
車買い取り業者に勤める青年にはふさわしくない(失礼)と思ったので聞いてみた
「いいえ、あれは僕んのです。好きなので買いました。」
おっと、びっくり。そんなに給料が良い? 買い取り上手? それとも良いところの坊ちゃん?
「zenpeichanさん、この車気に入りました。僕が欲しいです。是非、売って下さい。」
「いいよ、勿論、査定額次第だけど。幾ら出してくれるの?」
「zenpeichanさん、幾らなら売ってくれますか?」
「うーん、そうじゃあなくて、今、査定しているでしょう。その査定だと幾らになったの?」
そう言うと、分厚い査定マニュアルのような業界の本を出し
「このお車ですが年式が〇〇 走行距離が〇〇 擦り傷がバンパーの一部にアリ・・・・」
ぐたぐた説明をし始めてDより少し安めの金額を弾き出した。
内心、問題外だなあと思いながら
「了解、他の買い取り会社が来るからその人達の出した買い取り価格を比べて一番高い所に決定するよ。今日はご苦労様。」
そう、ここで終わるはずだった。ここから彼が食い下がる。
「他の業者より高く出しますから是非、この車を売って下さい。僕はこの車が気に入って欲しいんです。ですからお願いします。」
「だけどさあ、他の会社はまだだよ。業界の仁義は? 大丈夫なの?」
「はい、是非、お願いします。本当にこの車気に入りました。欲しいです。是非・・・」
まあ、食い下がってくること。
まだ一社目だ。あと5社の予定がある。早い者勝ちで買い取ろうとしてもそういう要求には応えられない。
「zenpeichanさん、幾らなら売ってくれるんですか。希望の価格を言ってくれれば交渉します。」
交渉? 誰と? どの程度まで買値を上げても良いか会社に電話をし始めた・・・。
面倒くさくなったので希望価格を述べると、一瞬ひるんだ顔になったが、再度電話し始めた・・・
暫く待たされたところで
「本当に、売ってくれますか。今すぐ引き取っても構いませんか。後でヤーメタって言いませんよね。」
そういうと、またまた電話をし始めた。さて、どうなったんだろう?
「zenpeichanさん、OKが出ました。是非、売って下さい。」
何だかんだと1時間以上かかったがけっきょく他の業者を出し抜いて、彼がCX7を持って行くことになった。
ほんとうに上司とのやりとりをしながら金額を決定していたのか不明だが、途中から彼のペースに巻き込まれてしまったようだ。
きっと買い取り査定に慣れている人なら全社との査定を確実行って一番高い業者に売るだろうけど、世間に疎い退職した欲深い爺さんにはこれが精一杯だった。
ああ、弟か息子が一緒にいてくれたらそれでも冷静になっていただろうに残念。
まあ、残念と言っても希望金額であることいは間違いない。そしてこの希望金額はこれ以上の金額を出せるところはまずないだろう・・・←Dの担当者がびっくりしていた!
「CX7を欲しがっているお客様がいたんではないでしょうか。」
そんなことをDのつかず離れずの担当者が言っていた。
それにしても現役のころ、決められた日時を無視して「早い者勝ち」をしようとしている業者等がいたら絶対それに応じなかったオイラなのに退職したらこの有様だ。
他の5社に査定キャンセルを平謝りで電話をしたのはいうまでもない。この部分は後味が悪い。
彼の会社はこうやって業績を上げているのか・・・?
そんなこんなでCX7を手放した。うーん、これでよかったかどうかは明日の心だあ。
さて、来週の火曜日。サインをしてこようかなあ・・・・ノー天気のzenpeichanなのであった。