八正道

お釈迦様の言葉とのことですが、常に、これら八つの言葉で
示される正しい道を進むように心がけたいと思います。

「八千頌般若経」を読む (28) [ 無相 ]

2007-05-25 04:18:49 | Weblog

第十九章 「ガンガデーヴィー天女」・弥勒の教え

 「マイトレーヤ長老よ、あなたがことばで語っているそのような仕方で、あなたは、それらのものをまのあたりに見ておられるのですか」

 マイトレーヤは答えた。

「シャーリプトラ長老よ、私がことばで語っているそのような仕方で、それらのものを私がまのあたりに見ているわけではないのです。

 シャーリプトラ長老よ、私がことばで語り、心で考えるそのような仕方でも、私はそれらのものを知らず、認識せず、見出しはしないのです。

 かえって、シャーリプトラ長老よ、身体で触れえず、ことばで語りえず、心で考えられない、そういう本性をすべてのものはもっているのです。

それらには本体がないという理由で」

 (「八千頌般若経Ⅱ」 梶山雄一訳 中公文庫・大乗仏典 3 p156-157)

 私の解釈

 私たちは、ものごとについて言葉を介して考え、認識し、語り合います。

また、言葉はものごとを理解し、認知し、把握するための手段として使われています。

 しかし、仏典によりますと、「ことばで語り、心で考えるそのような仕方」によっては、ものごとの真実を見出すことはできない、というのです。

 その意味について、私は次のように解釈しています。

 ものごとは、それを対象とする人々の立場、場所、時期によって、その様相やゆ受けとめ方が異なります。ですから、特定の場合を捉えて、これが真実の姿であると断言することはできないと思います。

私たちは絶対的な真実などというものを、言葉で表現することができないのです。また、全てのものごとは、その時の原因と条件(因縁)によって起るものであり、絶対不変のものごとというものは存在しないのです。

 仏教では、この辺の事情を取り上げて、すべてのものごとには本体が無く「空」であるとか「無相」である、というのです。

また西谷啓治博士は次のように述べています。

「すべてのものは本体が無いから空である。それはそれが絶対的に清浄であるということだ。

 ・・・・・・・

 空とは事実の実相そのものである。 実相がそのまま無相なのであり、 無相なるものとしてのみ、 事実は真に事実として現成する」 と。

 これは、まさに「無相」についての至言であり、

思想分野における一つの「公理」であると思います。

 私たちは思索活動全般にわたって、これを応用することができます。

 一つの例として、旅行について考えた場合。

 旅行は人々に様々な思い出を残すものです。私たちは旅行することによって楽しいことや苦しいこと等、いろいろな体験をします。

不幸にして苦しい体験を味わった人は、この公理(ひと言でいえば「すべてのものごとは無相である」ということ)を応用すれは苦しみを完全に消してしまうことができるのです。

しかも、その後で冷静になって、積極的なプラス思考をすることが可能になるのです。

当然のことながら楽しい旅の思い出も時間が経てば、この「公理」により消えてなくなるのです。

 勿論、これだけの考え方で「旅行」後の心の整理が完結したとは言い切れません。

しかし、問題の処理手法として、この「公理」を活用することは効果的である、と私は考えています。

 


「八千頌般若経」を読む (27) [行為のよりどころ]

2007-05-22 04:00:26 | Weblog

第十九章 「ガンガデーヴィー天女」・夢中の業

  シャーリプトラが言った。

「・・・・・・(省略) 仏陀世尊でさえ思いはからって(『私の生死する身心は尽きたのだ』というように) 滅尽の思いを起されます。その(仏陀の)行為も増えたり集まったりするのですか」スブーティが言った。

「そうではない、シャーリプトラ長老よ、それはなぜかというと、如来はすべての区別や思い計らいを滅しておられて、それはたとえば虚空のようなのです。

シャーリプトラ長老よ、行為はよりどころとなる対象がなくては起りません。心はよりどころとなる対象がなくては起りません。ですから、シャーリプトラ長老よ、よりどころを伴なったときだけ行為は起るので、 よりどころのないときは起りません。よりどころを作ったときだけ心は起るので、よりどころのないときは 起りません。

シャーリプトラ長老よ、知識というものは、見たり、聞いたり、考えたり、知ったりしたもの について生じるのです。そのばあい、ある知識は汚れ(雑染)をとらえ、ある知識は清らかなもの(清浄) をとらえるのです。ですから、シャーリプトラ長老よ、意志(思)はよりどころとなる対象を伴なってこそ起るが、よりどころなしには起らないし、行為もよりどころとなる対象を伴なってこそ 起るが、よりどころなしには起らないのです」      (「八千頌般若経Ⅱ」 梶山雄一訳 中公文庫・大乗仏典 3 p153)

 私の解釈

 仏陀世尊つまりお釈迦さまは滅尽の思いを起される。それは、すべての区別や思い計らいを滅せられ、あたかも虚空のようである、というのです。

 これに対して私たち凡人の心は、常に、煩悩に汚染されています。このため私たちは絶対的に「すべての区別や思い計らいを滅すること」ができません。

 はっきりいえることは、お釈迦さまも私たち凡人も心や行為は、よりどころを伴なって起るものである、ということです。

 お釈迦さまは虚空のような心で、よりどころを受けとめ、私たちは煩悩で汚染された心でその「よりどころ」を受けとめているのです。

 私たちが仏教を学び、お釈迦さまの教えを守る目的は、心の中の汚れを少しでも取り除くためであると私は考え、次のような心がけるように留意しています。

つまり、「集まる苦しみを滅するためには八正道を基にして、八正道の一つ一つを心がけること」です。

八正道の一つ一つには、これら八正道のすべてが含まれている、と思うわけです。

  注: 「岩波仏教辞典」によりますと、八正道の意味は次のとおりです。

  正見(ショウケン): 正しい見解、  正思(ショウシ): 正しい思惟、

  正語(ショウゴ):  正しい言葉、  正業(ショウゴウ): 正しい行い、

  正命(ショウミョウ): 正しい生活、 正精進(ショウショウジン): 正しい努力、

  正念(ショウネン): 正しい落着き、 正定(ショウジョウ): 正しい精神統一

 


私の健康法 その1

2007-05-19 03:41:57 | Weblog

 私はこれから数回に分けて、私が毎日実行している健康法(肉体的、精神的)について投稿します。

 その中で、これまでのメモから医師など専門学者のことばも示す予定です。

 投稿は「八千頌般若経」の読書録と並行して行います。

 1.腹式呼吸(深呼吸・丹田呼吸)

 私は、毎日、午前中に2回、午後に1回、腹式呼吸を行っています。

(1) 行い方

  初めに、口から息を吐きながら、お腹をへこませ、息を長く最後まで吐きだす。

  吸う息を短く、はく息を長くすることを心がけて、次の3ステップを繰り返します。

     ・ステップ1 : 鼻から息を吸い込み、

              お腹をふくらませる。(約3秒間)

    ・ステップ2 : 息を止める。     (約5秒間)

    ・ステップ3 : 口から息をだしながら、

              お腹をへこませる。 (約8秒間)

  午前中の場合は、これらステップ1,2,3を次のようにして行います。

  ステップ1(約3秒間)で いち、にいっ、さん と数える。

  ステップ2(約5秒間)で、いち、にいっ、さん、しい、こ゛お と数える。

  ステップ(約8秒間)3で、いち、にぃ、さん、しぃ、ごぉ、ろく、なな、はち と数える。

 (注:この3,5,8という数字は幸せの数字であると聞きましたので採用しています)

  午後の場合は、1(ひとおぉつぅー)から10(とおぉおー) までを10回以上繰り返し数えます。

  つまり、ステップ1(約3秒間)で、「ひとおぉ」、

  ステップ2(約5秒間)で、息を止め、

  ステップ3(約8秒間)で、「つぅー」というふうに

 唱えるかもしくは、場合によっては暗誦します。

  これを「ふたぁ」・「 」・「つぅー」 , 「みぃっ」・「 」・「つぅー」 , 「よぉっ」・「 」・「つぅー」  というふうに続けて、「とおぉ」・「 」・「おー」まで数えおわったら、再び 「ひとおぉ」「」「つぅ」 から、「とおぉ」「」「おー」まで数えるのです。

 これを10回以上繰り返します。

 このようにして、数かぞえに集中することによって、邪念を一切取り除くことができるのです。

 しかも、次項(2)で示すような効果が得られるというわけです。

 (2)効果

  ・ 腹式呼吸の効果については、新潟大学大学院・安保徹教授(国際的にも名高いといれる免疫学者)が次のように説明されています。(「がんも自分で治せる 安保徹の免疫学入門」・別冊宝島908号・2003,12.1発行による)

 腹式呼吸をすると、副交感神経が活性化し、免疫力もアップする。さらに、腹式呼吸をすると血行がよくなり、血液の中に存在しているNK細胞の働きが活潑となり、がん細胞を消滅させてしまう。

(同教授によりますと、健康な人の体内でも、毎日100万個ほどのがん細胞が生まれているとのことです)

 また、同教授は「よく笑うこともまた副交感神経を活性化する」とも述べておられます。

  ・ 私は午後行う腹式呼吸を、

    時々、次のように役立てています。

  つまり、不安や悩み事が生じたとき、これを心の中から打ち消してしまうための強力な手段として次のような手法をとります。

  「すべてのことは 夢・まぼろし・かげろうのごときものだ。水に浮かぶ泡のようなもの、蜃気楼のようなもの、水面に映るお月さんのようなものだ。

そんな実体のないものについて、あれやこれやと思い悩むことよりも、深呼吸をしながらか数をかぞえることに集中したほうが、健康のためにも良い」と考えて、この腹式呼吸を行います。

 このようにして不安や悩み事が心の中から削除され、その後で冷静に第三者的に、心配事の対処方法について考えることができます。その上、健康にも役立つことは間違いないと確信しています。

 また、榊原記念病院顧問で心療内科医の菊池長徳氏は呼吸を整えることによる効果として次のように述べられているということです。(07,5.12付け朝日新聞による)

  「座禅をして呼吸が整うと、皮膚温が上がり血流がよくなる。

   吸うと交感神経が、はくと副交感神経が刺激され、緊張と弛緩のバランスがとれる。

   不安や緊張が和らぎ、血圧も安定します」

 ・ 一般的に、自然界で生きる野生動物たちは病気せず、人間だけが病気をする、といわれています。

 その理由については、次のように説明されると何かの書物で読んだことがあります。

野生動物たちは腹式呼吸をしているから、病に対する免疫力が高い。一方人間は、腹式呼吸でなく胸式呼吸をするようになった。このため、交感神経の働きが強く、副交感神経の働きが弱くなったため、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなったのである、と。

  参考:   交感神経と副交感神経は、それぞれ相反する方向に働く。

        ひと言でいえば、次ぎのとおりである。

        交感神経  : 興奮させる

        副交感神経 : リラックスさせる

   (上記、別冊宝島908号・2003,12.1発行による)