旅する心-やまぼうし

やまぼうし(ヤマボウシ)→山法師→行雲流水。そんなことからの由無し語りです。

本庄陸男作『石狩川』

2014-11-15 23:51:32 | 水の道逍遥
本庄陸男(ほんじょうむつお)作の『石狩川』(新日本出版社)を読み終えた。
再読だったのだが、途中適当にさぼったり、他本を併読や岩出山町史などを確認したりしていたことから終えるのに1カ月もかけてしまった。





『石狩川』は、明治維新後、仙台藩支藩の岩出山伊達家主従が、過酷な困難を乗り越え北海道へ開拓民として移住した史実を素に歴史大河小説に書き下ろしたもの。
幕藩体制が崩壊し、明治という近代国家への変貌を遂げる中で薄らぎ行く主従関係。それでもかつての絆ともいうべきものを心のよりどころとしつつ、主従ともに新地開拓を実現していったその姿がいきいきと描かれ、読む者の心を打つ。

著者の本庄睦男(1905~1939年)は北海道当別村生まれ。この当別は、岩出山伊達家主従が最初に踏み入れた聚富(シップ)が不毛の地であったことから次に開拓し移り住んだところ。『石狩川』は、1938年(昭和13年)から1939年(昭和14年)にかけて書き下ろされている。昭和14年7月23日、本庄は東京都杉並区の自宅で病没。享年34歳だった。ときおり漢和辞典を頼りにしなければ読み込めないようなこの書にちりばめられた数々の漢字熟語に、若い作家の並々ならぬ知識がうかがわれ、それがまた驚きとなる。

ちなみに、1956年(昭和3年)には、この『石狩川』を素材に置いた映画『大地の侍』が製作されている。
監督は佐伯清、脚色は高岩肇、主な出演者は大友柳太朗、高千穂ひづる、三条美紀、杉村春子、千田是也など。

<関連情報>
① 本庄陸男作『石狩川』における自然表現の変化について-環境文化論の視点から- 岩井洋 著
   J.Rakuno Gakuen Univ. 33(2):137~148(2009) ⇒ こちら

② 青空文庫 『石狩川』 ⇒ こちら(Web公開)

③ 紋別「大地の侍」上映会 ⇒ こちら

ちなみに、宮城県でも上映会が開催されていたようだ。
・平成21年10月10日~11日 宮城県図書館
・平成23年9月24日 大崎市岩出山スコーレハウス(東日本大震災は、半年前の3月11日に発生)

   *

岩出山伊達家主従が北海道に向けてたどったコースについては『貞山運河事典』でも紹介しているが、自分なりに今後も精査の上、追記していきたいと考えているのだが・・・。

●第一次移住      43戸 160人
●第二次移住      44戸 182人
●第三次移住      56戸 210人
      
<第一次移住の際にたどったルート>
   ※岩出山町史から転載(一部修正加工)







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