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Cinema Cafe ~シネマ・カフェ~

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オリヲン座からの招待状

2010-07-26 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
町の映画館・オリヲン座は、毎日、たくさんの人で賑わっていた。
経営しているのは映写技師の豊田松蔵と妻・トヨだ。ある日、
一人の青年が映画館にやってきた。
映画を観たくて仕方がないが、お金がない。トヨはその青年を
「途中からだから」と言って入れてやった。上映が終ると、その
青年、留吉は松蔵にここで働かせてくれと頼み込む。
留吉は熱心に働き、映写技師となる。しかし、松蔵が急死して
から、映画館は段々寂れるように…。

【出演】
宮沢りえ
加瀬亮
宇崎竜童
田口トモロヲ
中原ひとみ
樋口可南子
原田芳雄




  感想  ※ネタバレ注意

“泣ける作家”として国民的人気の浅田次郎原作の「鉄道員」に
収められた短編小説を『MISTY』の三枝健起監督が映画化。
昭和30年代の映画黄金時代から、映画が斜陽になり、現代に
至るまで、亡き夫から受け継いだ映画館、オリヲン座を守る妻と
映写技師の純愛を描く。



劇中、上映されている映画として『無法松の一生』『二十四の瞳』
『ひめゆりの塔』など、名作の映像が流れる。


浅田次郎原作の「鉄道員」の短編「オリヲン座からの招待状」を
原作にはない映写技師の豊田松蔵と妻・トヨそして青年、留吉
の視点からも膨らませ作られた。

原作を読んだのですが、「ラブレター」や「うらぼんえ」など短編
でも人の情に訴えかけるような物語がうまい浅田次郎だけど
今作の原作にもなったオリヲン座は、主に招待状が送られて
きた夫婦の話がメインだった。
それをよくここまで膨らませたものだと関心した。

青年の留吉がいかにして、映写技師になり、トヨと2人だけの
オリヲン座になったのか。
留吉が松蔵から受け継いだ職人の心や、冷たい世間の風…
意外と丁寧に作られていてビックリした。

特に蚊帳の中で手をつないでホタルをみつめる場面が逸品だが
そうした中から、原作での妻が「あたし、どうしたらいい?」
と呼びかけるシーンなども、たくさん織り交ぜて夫婦の絆の
再生とまでは言いませんが、そういったものを見せてくれたら
もっと浅田次郎原作っぽかったかな。


【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 オリヲン座からの招待状 HP

親指さがし

2010-07-25 | 邦画(あ・か)
 親指さがし
 


  あらすじ 
12才の武ら仲良し6人組は、野原に立つ廃ホテルに忍び込ん
では、そこで遊んでいた。ある日、ホテルの屋上で遊んでいる
時に「親指さがし」をすることになる。
それは親指を失った少女のために知らない部屋で親指を探す
という、学校で噂の怖い遊びだった。6人が呪文を唱え目を
開けると、6人の一人、由美子が消えていた。警察が捜査に
乗り出すが、由美子は見つからなかった。
それから8年後の夏、5人は同窓会で久しぶりに再会する。
事件が忘れられない武は、もう一度「親指さがし」をしようと
彼らを誘う。

【出演】
三宅健、伊藤歩、松山ケンイチ
永井流奈、尾上寛之、品川徹
春海四方、斎藤歩、野澤祐樹
小野明日香、佐野史郎、手塚理美




  感想  ※ネタバレ注意

「山田悠介原作の同名の小説を、熊澤尚人監督が映画化。
「親指さがし」とは、子供たちの間で知られる「都市伝説」の
ひとつである。“口裂け女”や“こっくりさん”など、子供ならでは
のネットワークで町から町に広がる怖い話。



夏といえば、ホラーですよね。ホラー第2弾として観たのが今作
なのですが、観てみると…コレ、ホラーじゃなくね!?
って内容でした。


8年前に仲良し6人組で行った「親指探し」…だが、そのうちの
1人が失踪してしまう。
それから8年が経ち、再び同窓会で出会った5人が失踪した
由美子をもう一度探そうと、再び「親指探し」を行おうとする
のだが…。

ホラーだと思って観たら、ガッカリしてしまいます。
怖いシーンをまだかまだかと待っていても、ほとんどないですし
テンポも遅いので、なえてしまいそうになります。
この映画はホラーではなく、どちらかというとサスペンスです。

途中から犯人はすぐにわかってしまうのですが…って犯人って
言ってる時点でホラーじゃないですよね(苦笑)。

それなのに最後の死体が灰になってしまうシーンだけはホラー
っぽかったりと、曖昧なところがあります。
そのシーンは悪くないのですが、はじめからそういう演出を
したいのなら、もっとドロドロ感を出して完全なホラーサスペンス
にしてくれたら、もう少し見方が変わったかもしれませんね。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

2010-07-02 | 邦画(あ・か)
 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.



  あらすじ 
汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗ることで、自ら戦う
ことを選んだ碇シンジ。大きな運命を託された14歳の少年の
物語は、ここから未知の領域へ突入する。綾波レイと人気を
二分するヒロイン、アスカがエヴァンゲリオン2号機に乗って
参戦。加えて魅惑の新ヒロイン、マリが登場する。
謎の敵性体“使徒”とEVAシリーズの戦いは新エヴァンゲリオン
仮設5号機の参加で、さらに激しくエスカレートしていく。
スクリーンに続々と展開する誰も見たことのないバトルシーン。
驚異のスペクタクルの興奮は未知の物語へとつながっていく。

【声の出演】
緒方恵美
林原めぐみ
宮村優子
坂本真綾
三石琴乃
山口由里子
山寺宏一




  感想  ※ネタバレ注意

07年9月に公開された映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』
に続く第2弾。

1995年に初出後12年経って、リニューアルでもリメイクでもない
まったく新しい位置づけにあるヱヴァンゲリヲン新劇場版だが
前作の『序』は最新CG映像によるアニメーション映像は、
さすがと思わせてくれたが、旧作とほぼ同じストーリーで進んで
いて目新しいことが特になかった。
だが、この『破』は、まさにこれまでの旧作イメージを、色んな
意味で破壊する内容になっていた。



『破』が始まって、初っ端から新キャラの登場&新エヴァ仮設
5号機の登場だが、今から使徒と戦う時に鼻歌を歌ったり、
エヴァに乗る事で快感を得ていたりと、今までにないキャラで
実際のその正体はまったく不明である。
『破』での役割も最強の使徒との戦い時に活躍し、弐号機の
ビーストモードを使用したりと、さらに謎は深まるが、いまいち
立ち位置が微妙…次の話からの活躍に期待です。

そして、『破』からアスカが登場する。加持さんもね。
しかしそれに以上に、先ほども言ったがこの『破』は旧作での
キャラの行動や言動が180度は言い過ぎだが、まったく別人!?
みたいなことになっている。
名前も変わってるし、なぜ変えたのかまったく意味不明だが。

特に変わったのはレイじゃないかな…それに付随してシンジ
もアスカも…あのゲンドウまでもが誰!?みたいな状態です。
加持さんはあんまり変わってないけどね。相変わらずです(苦笑)
…今度も何やら舌を噛みそうな名前の鍵を持ってくるあたり
また謎が謎を呼んでますけど。



とにかく主要キャラの性格の変更が目立った今作で、これまで
のファンは正直戸惑うと思う。
レ、レイ!?シンジくん!?みたいにね。
おそらく次回作の出来次第で、その変更点が受け入れられるか
拒絶されるかが決まると思う。

今のところ、ボクの中では五分五分ってところです。
確かに面白いし、エンターテイメント性は格段に上がったと思う
…以前にエヴァに感じた他のアニメとのぼやけた境界線が消え
はっきりした感覚を覚えました。
主要キャラの性格に加え、エヴァの戦闘もこれまでと違う展開
を見せ、エヴァの良い意味でのぎこちなさがなくなっていて
ものすごくアニメっぽい戦闘に変更されている気が…。

参号機との死闘から最強の使徒との戦い…まさか主要キャラを
あんな状態にもっていったり、エンドロール後の渚カヲルくんの
登場&「次回予告」を観る限り、次の話はまったく読めない…
また庵野秀明監督にハメられてる感は、感じるが続きがかなり
気になる『破』でした。





【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 HP

空気人形

2010-06-17 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
古びたアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、
本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が
仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと
歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た
彼女は、いろいろな人に出会っていく。
ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、そこでアル
バイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女
だったが…。

【出演】
ぺ・ドゥナ
ARATA
板尾創路
オダギリジョー
高橋昌也




  感想  ※ネタバレ注意

09年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でワールドプレミア
を果たした本作は、心を持ってしまった空気人形と人間の交流
を温かく見守るファンタジー。



『ワンダフルライフ』や『歩いても 歩いても』などで“生きるという
こと”を見つめてきた是枝監督が、業田良家の短編コミック
「ゴーダ哲学堂 空気人形」を映画化した切ないラブストーリー。

『リンダリンダリンダ』で日本映画にも出演経験のあるペ・ドゥナ
が空気人形を熱演。共演者には、是枝作品は3度目の出演と
なるARATAや板尾創路、オダギリジョー。
また、アジアを股にかけて活躍する撮影監督リー・ピンビンの
カメラによる東京の情緒豊かな風景も見所。


神の悪戯か?奇跡か?人形に心が宿ってしまったことから
人形の視点から、人間の持つ社会の中でただ空気のように
生きている人たちの孤独や心を通して描いている逸品。

またこの人形は、性欲処理に使われるダッチワイフだから
驚きだけど…それをぺ・ドゥナが見事に演じている。
彼女以外ではこの映画は描けない程に素晴らしい演技だった
と思う。

突然自我に目覚めた彼女が話す片言の言葉や、初めて外の
世界を見た時のキラキラとした表情や、初めて知る感情と
いい、空気が抜けてしまった彼女にARATAが息を吹き
込むシーンがまた逸品。その時の彼女の恍惚とした表情は
この映画の中でも1番のシーンだと思う。

またこの映画で使われている楽曲も爽やかでいて切ない
映像とカメラワークにのって、映画をうまく包み込む様。

この作品が普通なら彼女を作ったオダギリジョー演じる人形
師とのシーンで終わっていたかもしれない。
この映画が普通でないのは、やはりラストの彼女の人形として
の結末があったからだと思う。

この映画に登場する人たちは、みんな心の中や生活がどこか
からっぽなのだ。
ダッチワイフで心を満たす男性、母親のいない娘や過食症の
女性、生きることに希望をもてない男性…
みんなこの空虚な社会に、満たされない心にどうすることも
出来ずに、生きていくことしか出来ない。
人は心が備わったために悩み、苦しむ。
彼女がいった「心を持つことは切ないことでした」という言葉が
胸に染みてくる。

そんな世界をこの映画は見事にスポットを当て、またそんな
世の中でも、誰かが誰かのために命を繋いでいるという
メッセージもこめられていると思いました。


「心なんて、持たなければ良かった?」

「わたしも同じさ…からっぽだ。」

「あなたの息で、わたしのカラダを満たして…。」

なぜ人は心を持ったのか?
それは生きていく上で逃げることは出来ない…
生きて死ぬまでの、持たされた人としての課題なんだろう。




【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 空気人形 HP

クヒオ大佐

2010-06-15 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
米特殊部隊ジェットパイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ
大佐。華麗なる経歴と流暢な日本語で次々と女性をおとす彼
は、実は名前も経歴もでっちあげの稀代の日本人詐欺師だ。
今は弁当屋の女社長・しのぶを夢中にさせているにも係わらず
、博物館のエリート学芸員の春や銀座のホステス・未知子も
その毒牙にかけようとしていた。しかしそんな中、しのぶの弟
・達也に、クヒオが詐欺師だと見抜かれてしまい…。

【出演】
堺雅人
松雪泰子
満島ひかり
中村優子
新井浩文
児嶋一哉(アンジャッシュ)
安藤サクラ
内野聖陽




  感想  ※ネタバレ注意

「母はエリザベス女王の妹、父はカメハメハ大王の末裔」など
語り数々の女性を騙した、実在の結婚詐欺師をモデルにした
ドラマ。
詐欺師のクヒオ大佐と彼が狙う女性たちの関係を、オフビート
な笑いとともに描いていく。



クヒオ大佐を演じたのは、『クライマーズ・ハイ』『ジェネラル・
ルージュの凱旋』
の堺雅人。
クヒオ大佐をつかみどころのない演技で表現し、不思議な空気
感を醸し出す。クヒオに入れ込むしのぶを演じた松雪泰子、
クヒオに興味を持ち始める春を演じた満島ひかり、海千山千の
ホステス・未知子を中村優子が演じた。


実際の話をもとに作られたらしいのだが…本当にこんなコント
のような展開で、女性たちが騙されるのだから人の心と言う
ものはよくわからないですね…苦笑。

そんなクヒオ大佐を演じたのは堺雅人で、彼自身掴みどころが
ないので、映画を観る側にしてみたら、あからさまな行為に
あの明らかな付け鼻も中々、似合っていて面白かった。
バレてるのにバレてないフリとか、わざとなのかボケたところ
も愛嬌があって、やってる事は悪い事だけど何か憎めない(笑)。

そうしているうちに、弁当屋の女社長しのぶのヤクザみたいな
弟に見破られてしまい、逆にお金を要求されるクヒオ大佐(笑)。
こっから繰り広げるドタバタ劇は、中々面白い。


騙し、騙され、最後には自分自身すら騙す。
彼の過去が見え隠れするが、本当なのかどうかすらわからない。
彼が本当に嘘をついているのか、そう信じ込んでいるのか…

昔は中佐で、今は大佐…次は総帥にでもなってるのかな(笑)。





【評価】
 (4点/5点満点中)

 クヒオ大佐 HP

大洗にも星はふるなり

2010-06-09 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
クリスマス・イヴの夜、大洗海岸に立つ1件の海の家に、夏に
ここで働いた5人の男たちが集められた。彼らを集めたのは
それぞれに送られた手紙。
手紙の主は海の家の同僚でみんなのマドンナ・江里子で、
手紙には「イヴの夜、海の家で会いたい」とだけ書かれていた。
手紙の意図を推測する男たちは、「この中に、江里子の本命
がいる」と結論。やがて誰が江里子の本命なのかを巡って
熾烈な自己アピールが始まり…。

【出演】
山田孝之
山本裕典
ムロツヨシ
小柳友
白石隼也
安田顕
佐藤二朗
戸田恵利香




  感想  ※ネタバレ注意

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』やドラマ「33分探偵」などを
手掛けた福田雄一監督による、ハイテンションな青春コメディ。



真冬の海の家に、以前この海の家で働いていた男のアルバイト
たちが次々と集まってくる。
それは、アルバイト期間中に一緒に働いた誰もが恋するような
かわいいマドンナ・江里子からの手紙に「会いたい」と書かれ
ていたからだ。しかもイヴの夜に。

誰もが自分が本命だと疑わないところへ、海の家を取り壊す
ようお役所から指示されやってきた弁護士が乱入。
話は急にマドンナが誰に恋をしているか?という話のズレた
方向へと行くが、そこへ弁護士が1人1人の自己アピールを
聞いて、誰が1番マドンナに愛されているのかを判定すると
いうのだ。

それからの自己アピールは、かなり笑える!
自分の良いように話を捻じ曲げてばかりで、自分が本命だと
疑わないのだが、そこへきて弁護士が話の中におかしな矛盾点
を次々と指摘!
指摘された男たちの絶叫やどん底への落ちっぷりはまるで人
が変わってしまったようになり!かなり面白かった!
でも男ってこういうバカっぽくて、純情なところ…確かにある!



舞台は「キサラギ」と同じワンシチュエーション形式!
「キサラギ」ではどれだけ自分がアイドルのファンかを競って
いたが、この男たちのおバカな妄想は素晴らしい!
ボク以上です(笑)。
そして、本来脇役のはずの弁護士まで話を聞いているうちに
マドンナに恋をしてしまい、このおバカな戦いに名乗りを
あげてくるのだから、男ってバカです(苦笑)。

中でも山田孝之が演じた杉本が、アルバイトしていた時は
まるでジョニー・デップのようだったと他のアルバイトから
言われていたのに、途中から恐ろしいほどの変貌ぶりを
見せてくれて、彼の新境地を見た感じ(笑)。面白かった。

バカな男たちの妄想劇に付き合ったマドンナ役を演じた
戸田恵利香もとてもキュートで魅力的です。
確かに彼女になら男はバカになるかもしれないですね。


そして、いったい彼女は何のためにここへみんなを集めたのか
謎は深まるばかりだが…7人目のバカ…いえ、男が登場して
話は急展開を見せます。

妄想ばかりで突進していたのに、急に謎の部分が判明して
しまいます。その展開も中々ほろりとして、映画が終わる
時に何だか、夏が終わる時のような少し寂しい気持ちを
感じさせ良い映画でした。

映画が終わった後でも、猫田先輩の彼女が気になりましたね。




【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 大洗にも星はふるなり HP

告白

2010-06-08 | 邦画(あ・か)
 告白
 


  あらすじ 
女教師・森口悠子の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する
中学校のプールで溺死体にて発見された。数ヵ月後、森口は
終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒
二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその
二人の生徒に復讐する。そして4月、クラスはそのまま2年生に
進級。犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。
そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもって
いた…。

【出演】
松たか子
岡田将生
木村佳乃




  感想  ※ネタバレ注意

2009年の本屋大賞を受賞した湊かなえの同名小説を、
『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督が映画化。
娘を殺されたシングルマザーの教師を、松たか子が演じ
37人の中学生がそのあどけない残酷性を秘めた無邪気さを
中島監督が、今までにない映像とリアリティで表現している。



原作を読んで、原作がとても面白かったので、さっそく映画化
していたので観に行ってきました。
月曜日はレディースデーともあって、女性の人がたくさん映画館
にいました。なぜ、メンズデーがないのか…女性だけずるいなぁ
と思いながらも観賞しました。


女教師である松たか子演じる森口先生の告白から物語は始まる。
それは、事故死と思われた自分の娘が、自分が担任を受け持つ
生徒の中に犯人がいると告白したのだ。

それまで騒がしかった生徒たちも、静まりかえり森口先生の話
に釘付けになる。
この映画で1番の成功は、森口先生を演じたのが松たか子さん
だったからじゃないでしょうか。
はじめの告白のシーンも原作では、一人で喋りつづけているので
どのようなシーンになるのか気になっていましたし、その場面
は一つのキーになる場面だったので、そこは見事にこなしてくれ
原作のイメージのままでした。

これまでの彼女のイメージをまるで変えてしまう役柄ですが
娘を失った母親として、自分の生徒を法ではなく自らの手で
復讐していく姿は、とても良かったと思います。

犯人Bの母を演じた木村佳乃さんと空気を読めない先生役を
演じた岡田将生くんは、それなりに役をこなしていたと思います。




そして、映像の撮り方がとてもうまいと思いました。
もちろん編集もなんですが、映像はこれまでの中島監督作品に
比べ、わざと暗いフィルム調の色彩で、犯人が発明した殺人の
道具の効果など、子供をプールへ投げ入れる映像や、森口先生
の告白のあとの、新学期が始まる時の映像といい、随所に監督
のこだわりが見てとれた。

中でもボクは、犯人Aの修哉と美月を演じた子が良かったと
思いました。子供たちの言葉では表現しにくい、無邪気で、残酷
で、純粋で、わがままで自分勝手な都合の考えや、自立しようと
するけど最終的に誰かに依存し甘えたり…
この頃の微妙な心模様をとてもうまく捉えているのが原作同様
映画も表情といい、うまく表現していました。
修哉はとても頭が良いのですが、母親の居場所を知りながらも
会いにいけない心情も、この年齢の子供なら何となくうなずける。


映画では、原作では見られなかった場面がいくつかあり、また
省かれた場面もあったのですが、原作は原作、映画は映画として
映像から訴えるものがあったので、特に修哉が発明した逆時間
時計を使った映像と爆発のシーンは圧巻です。
最後まで目が離せなかったし、そこから放つ森口先生の言葉が
復讐を遂げた爽快さと虚しさが入り混じった何ともいえない
ものになって、映像と観客席を漂わせていた。




映画 「 告白 」 予告編



【評価】
 (4.5点/5点満点中)

 告白 HP

小森生活向上クラブ

2010-05-20 | 邦画(あ・か)
 小森生活向上クラブ


  あらすじ 
小森正一は、やる気のない新人社員に手を焼く中間管理職。
食欲不振と不眠症に悩みながらも改善する気力もなく、うつろ
な毎日を繰り返している。ある日、電車の中で痴漢の冤罪を
なすりつける常習犯の女たちに怒りが爆発し、ホームに突き
落として殺してしまう。その日から小森は一変して活力がみな
ぎり、職場でも部下から尊敬の眼差しを向けられる。悪を退治
する快感に目覚めた小森は、拳銃を入手し、次のターゲットを
探し始めた。

【出演】
古田新太
栗山千明
忍成修吾
有森也実
佐野史郎
豊原功輔




  感想  ※ネタバレ注意

「コイツがいなれば世の中はよくなるのに」と言われる社会の
迷惑な面々を次々と成敗!サラリーマンの妄想を気持ちよく
叶えてくれる、室積光原作の「小森生活向上クラブ」が映画化。



大手商社勤務の小森課長は、通勤電車で見かけたムカつく
OLをホームに突き落とし転落死させたことがきっかけで正義
に目覚める。しかし、課長の行為に感銘を受けた部下たちが
続々と集まり、陰の活動が一大組織に膨れ上がり…。

劇団☆新感線の看板役者、古田新太の映画初主演作品。
共演は栗山千明、忍成修吾、有森也実、佐野史郎、豊原功輔。
監督は『ハーケンクロイツの翼』(04)の片嶋一貴。



中年サラリーマンの暴走した正義を描いたブラックコメディー。
古田新太演じる冴えないサラリーマンの小森課長は、自分の
正義感で犯した罪を正当化し次々と悪を裁いていく姿は面白い!

しかも、次々と殺人を計画しスケジュールや資料を作り小森殺人
…いえいえKSCをマネージメントする栗山千秋や、はじめは
殺すはずだった、まったくやる気のない新入社員を忍成修吾が
演じ、途中から自分の思いとは裏腹にまわりの部下が小森課長
の正義と合致し、殺人を犯していく姿はまさにシュールとしか
言いようがない。
でも、それがうまいスパイスとなって話を盛り上げていく。
シュールでブラックユーモアが好きな人には、好きな映画だと
思います。ボクは好きですね☆




【評価】
 (4点/5点満点中)

 小森生活向上クラブ HP

風が強く吹いている

2010-05-16 | 邦画(あ・か)
 風が強く吹いている
 


  あらすじ 
寛政大学4年生のハイジはある日、貧乏な新入生カケルを
陸上部の寮・竹青荘に連れてきた。
カケルはかつて天才ランナーと呼ばれたが、今は陸上部に
所属していない。竹青荘の寮長も務めるハイジはカケルに
対し、陸上部入部などを条件に家賃格安の竹青荘への入寮
を許可。そしてここからハイジの野望が始動する。
それは寛政大学陸上部で箱根駅伝に出場すること。
ハイジは長距離専門の竹青荘メンバーらを徐々にその気に
させていき…。

【出演】
小出恵介、林遣都
中村優一、川村陽介、橋本淳
森廉、内野謙太、ダンテ・カーヴァー
斉藤慶太、斉藤祥太、水沢エレナ




  感想  ※ネタバレ注意

日本のお正月の風物詩にして、大学生の長距離レースとして
最も注目を集める大会、箱根駅伝。
毎年、懸命の走りでたすきを繋いでいくランナーたちの様が
多くの人の感動を呼んでいるが、この舞台に立てる大学は
わずか20校程度。
そんな狭き門である箱根駅伝の出場を目指し、落ちこぼれ陸上
部員たちが必死で努力する姿を感動的に描いた作品。



天才ランナーのカケルを演じた林遣都とケガによりエリート
ランナーとしての道を挫折したハイジの2人で物語は引っ張られ
ていく。

林遣都と言えば、スポーツ系の映画でよく見かけるのでさすが
に走る姿は、体系も細身だし1番様になってると思った。
そしてハイジ役を務めた小出恵介。
彼が1番の原動力となって、竹青荘メンバーを引っ張るのだが
竹青荘メンバーは中々、クセのあるメンバーがそろっていて
まとめるのはちょっと大変そうなメンバーだ。

役者さんたちは、まさに適材適所と言うべき配役で、スポーツ
映画では見られがちな、所々で言動がたくましくなるところも
あるが、スポーツ映画では盛り上げる為には必要なんでしょう。


建物はボロボロだが、ただ家賃が安く、食事つきの竹青荘で
住むためには、毎日5キロを走ることが契約条件なのだ。
そして、このメンバーたちは密かにハイジが大学内で目をつけた
箱根駅伝に出場する為の構成メンバーだった。

突然、ハイジから「箱根駅伝に出る!」と言われ戸惑う竹青荘
メンバー。
しかし、竹青荘メンバーは普段から、父のように母のように
何から何までお世話になってしまっているハイジのたった
1つの頼みは断れないのだ。
何より戸惑い怒ったのはカケルだが、メンバーたちの毎日の
走り込みとそれぞれの特徴が生かされ、箱根出場を半分は
信じるようになるのだが…漫画オタクの王子がチームの足を
引っ張る形になる。



物語の中で、チームが勝つためには、メンバーの力の向上が
ポイントになってくるのだが、その中でも王子がネックに。
はじめは嫌々やらされながらも、彼の持ち前の好きなことに
打ち込む努力がチームの結束力を固めていく。
また漫画オタクの為、ところどころでニコチャン先輩が禁煙の
為にたばこを針金で縛っているのを見て「力石だ!」や漫画の
世界に置き換え、のめり込んでいく姿も面白い。

ラストでは、成長した王子へ「辛い思いをさせて、ごめんな。」と
告げたハイジに、自分が聞きたかった言葉は「ごめんな。」では
ない「ありがとう。」だ。と告げる。
駅伝では、10人で各区間を走るので、やはりチームが勝つため
の鍵になってくる。
仲間に対する感謝の気持ちや信頼を教えてくれて胸が熱くなった。

長距離選手に対しての褒め言葉で、「速い」より「強い」といった
ハイジの言葉通りに、長距離ではその体力面でも精神面でも
強さが求められる。

そういった面で印象的なのは、神童の山を登る区間。
田舎では2つの山を超えて学校へ登校していた神童の経験を
生かしてのことだが、当日神童は風邪のために体調不良のまま
走らなければならなかった。
いつも肝心な時に、田舎では人数が少なかった為に神童と
名づけられ、都会に出れば普通の凡人になってしまったことを
誰よりもコンプレックスに感じていた神童が、最後まで走りきり
電話で母親と話す会話は、涙が出る。


今にも目の前を走っていくような姿や、コースの見せ方。
鮮やかな朝焼けの中、駆けていく靴の音と息づかい。
しっかりと間に笑いもあり、映像や物語も終始、爽やかで
ストレートな青春スポーツ映画です。

結論、スポーツ青春映画はずるい(笑)!
所々で活躍を見せたニコチャン先輩が気を紛らわす為に作った
針金人形が欲しいです(笑)。




【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 風が強く吹いている HP

奇談

2010-05-11 | 邦画(あ・か)
 奇談


  あらすじ 
里見は最近、しばしば奇妙な夢を見る。大学院生として民俗
学を研究する彼女は、幼いころに神隠しに遭った。
隠れキリシタンの里として知られる東北の村に預けられ、村
の少年と遊んでいた時のことだ。少年はそのまま消え、里見
はひとり助かった。しかし当時の記憶を失っている彼女は、村
の“はなれ”がダムに沈むと聞き、真実を求めて村へと向かう。
そして異端の考古学者、稗田と出会う。
2人が目にする、もうひとつの聖書に秘められた事実とは?

【出演】
藤澤恵麻
阿部寛
草村礼子
清水紘治
菅原大吉




  感想  ※ネタバレ注意

「妖怪ハンター」シリーズや、手塚治虫文化賞・漫画大賞を
受賞した「西遊妖猿伝」などで知られる漫画家、諸星大二郎
は、熱狂的なファンの多い奇才。彼の作品群の中でも傑作と
して評価の高い短編「生命の木」を、映画化したミステリー。



謎に挑む考古学者に、テレビ・映画・舞台と幅広い活躍を見せる
阿部寛。自身の失われた記憶を求めて村にやってくるヒロインを
、これが映画デビューとなるNHK連続テレビ小説「天花」の藤澤
恵麻が務めている。
物語は、知恵の木の実を食べたアダムとは別の、生命の木の実
を食べた“じゅすへる”という、もうひとりの人類の祖先と子孫の
謎に迫る壮大なもの。



こんな映画が大好きなボクは、たまに昔の映画などを探して
観てます。この映画では、知恵の実を食べたアダムの子孫が
ボクたち人類なら、生命の木の実を食べた人たちの後を辿り
また、その2つを得て、神に近づこうとするダムに沈むこと
になった“はなれ”の人々の救いと運命を描いている。

物語冒頭では、神隠しのようなエピソードを踏まえ、それに
関係のある里見が主に主人公。
異端の考古学者、稗田は阿部寛が演じるが彼はこういう役
変わり者役が本当にお似合い(良い意味で)で、彼女と共に
“はなれ”で起ころうとしている出来事を目撃する。

この映画で語っている「生命の木」。
原作の漫画は知らないけど、「生命の木」というキーワードを
わかりやすく表現していたと思います。

救世主となるべく3日前に殺され、磔にされた善次はキリスト。
3日後に復活を遂げ、彼が果たそうとしているのは、生命の木
の実を食べ、死してなお浄化されない魂たちを解放するために
知恵の実を手に入れるということ。
その2つをもって、救世主、神になるというのだ。

「いんふぇるの」に落とされた「じゅすへる」の子孫である
仲間を救うラストシーン。
「おらといっしょにぱらいそさいくだ!!」の台詞には苦笑い
でしたけど、中々圧巻です。




【評価】
 (3.5点/5点満点中)