風が強く吹いている

あらすじ

寛政大学4年生のハイジはある日、貧乏な新入生カケルを
陸上部の寮・竹青荘に連れてきた。
カケルはかつて天才ランナーと呼ばれたが、今は陸上部に
所属していない。竹青荘の寮長も務めるハイジはカケルに
対し、陸上部入部などを条件に家賃格安の竹青荘への入寮
を許可。そしてここからハイジの野望が始動する。
それは寛政大学陸上部で箱根駅伝に出場すること。
ハイジは長距離専門の竹青荘メンバーらを徐々にその気に
させていき…。
【出演】
小出恵介、林遣都
中村優一、川村陽介、橋本淳
森廉、内野謙太、ダンテ・カーヴァー
斉藤慶太、斉藤祥太、水沢エレナ

感想

※ネタバレ注意
日本のお正月の風物詩にして、大学生の長距離レースとして
最も注目を集める大会、箱根駅伝。
毎年、懸命の走りでたすきを繋いでいくランナーたちの様が
多くの人の感動を呼んでいるが、この舞台に立てる大学は
わずか20校程度。
そんな狭き門である箱根駅伝の出場を目指し、落ちこぼれ陸上
部員たちが必死で努力する姿を感動的に描いた作品。
天才ランナーのカケルを演じた林遣都とケガによりエリート
ランナーとしての道を挫折したハイジの2人で物語は引っ張られ
ていく。
林遣都と言えば、スポーツ系の映画でよく見かけるのでさすが
に走る姿は、体系も細身だし1番様になってると思った。
そしてハイジ役を務めた小出恵介。
彼が1番の原動力となって、竹青荘メンバーを引っ張るのだが
竹青荘メンバーは中々、クセのあるメンバーがそろっていて
まとめるのはちょっと大変そうなメンバーだ。
役者さんたちは、まさに適材適所と言うべき配役で、スポーツ
映画では見られがちな、所々で言動がたくましくなるところも
あるが、スポーツ映画では盛り上げる為には必要なんでしょう。
建物はボロボロだが、ただ家賃が安く、食事つきの竹青荘で
住むためには、毎日5キロを走ることが契約条件なのだ。
そして、このメンバーたちは密かにハイジが大学内で目をつけた
箱根駅伝に出場する為の構成メンバーだった。
突然、ハイジから「箱根駅伝に出る!」と言われ戸惑う竹青荘
メンバー。
しかし、竹青荘メンバーは普段から、父のように母のように
何から何までお世話になってしまっているハイジのたった
1つの頼みは断れないのだ。
何より戸惑い怒ったのはカケルだが、メンバーたちの毎日の
走り込みとそれぞれの特徴が生かされ、箱根出場を半分は
信じるようになるのだが…漫画オタクの王子がチームの足を
引っ張る形になる。
物語の中で、チームが勝つためには、メンバーの力の向上が
ポイントになってくるのだが、その中でも王子がネックに。
はじめは嫌々やらされながらも、彼の持ち前の好きなことに
打ち込む努力がチームの結束力を固めていく。
また漫画オタクの為、ところどころでニコチャン先輩が禁煙の
為にたばこを針金で縛っているのを見て「力石だ!」や漫画の
世界に置き換え、のめり込んでいく姿も面白い。
ラストでは、成長した王子へ「辛い思いをさせて、ごめんな。」と
告げたハイジに、自分が聞きたかった言葉は「ごめんな。」では
ない「ありがとう。」だ。と告げる。
駅伝では、10人で各区間を走るので、やはりチームが勝つため
の鍵になってくる。
仲間に対する感謝の気持ちや信頼を教えてくれて胸が熱くなった。
長距離選手に対しての褒め言葉で、「速い」より「強い」といった
ハイジの言葉通りに、長距離ではその体力面でも精神面でも
強さが求められる。
そういった面で印象的なのは、神童の山を登る区間。
田舎では2つの山を超えて学校へ登校していた神童の経験を
生かしてのことだが、当日神童は風邪のために体調不良のまま
走らなければならなかった。
いつも肝心な時に、田舎では人数が少なかった為に神童と
名づけられ、都会に出れば普通の凡人になってしまったことを
誰よりもコンプレックスに感じていた神童が、最後まで走りきり
電話で母親と話す会話は、涙が出る。
今にも目の前を走っていくような姿や、コースの見せ方。
鮮やかな朝焼けの中、駆けていく靴の音と息づかい。
しっかりと間に笑いもあり、映像や物語も終始、爽やかで
ストレートな青春スポーツ映画です。
結論、スポーツ青春映画はずるい(笑)!
所々で活躍を見せたニコチャン先輩が気を紛らわす為に作った
針金人形が欲しいです(笑)。
【評価】




(4.2点/5点満点中)
風が強く吹いている HP