途中で安楽死がテーマか!
と気づいた
最後に殺されるのは菊本さんというケーキ屋さんのおじいちゃん
それぞれのお年寄りには
入院前のエピソードが語られてあるのです
とりわけ この菊本さんには読者は愛着を持ってしまってると思う
お嫁さんはいわば玉の輿に乗ったのだけれど
そのいきさつもなかなか心温まる話だったので
この人が殺されるのはちょっと我慢がならない
それは著者の戦略でしょう
実際に認知症になり
家族が地獄の有様になることもあるだろうし
もともと許しがたい性癖の人が
ぼけてしまって
うっかりすると家族が殺されかねないということもあると思う
合併症の病が患者を痛みで責めさいなみ
見るに耐え兼ねないということもある
無益な延命治療と安楽死との境は何?
きれいごとではすまないことが
医療の現場にはいっぱいあるのだろうと思う
前にも書いたかも知れないけれど
癌で亡くなった友人の子供が
中学三年生だったとき
「お母さん死なないで!」と子供はすがった
(この友人の旦那さんは若くて癌で亡くなり
そのためそのこの祖父母との折り合いも悪くなって
子供にとってお母さんが本当に頼りだった)
苦しい抗癌治療を耐え職場に復帰した頃知り合った友人だったのです
それでも治療は続き
再発悪化したときその子は大学4年生でした
最後のころ
親子は語り合ったそうです
「お母さんはもう頑張れない
あなたはもうお母さん無しでもやっていけるね
もう頑張らずに病気に負けてしまって いい?」
その子は
「もうボクは大丈夫だからお母さんはがんばらなくていい
死んでしまっても僕は大丈夫だ」
そういって
友人は亡くなっていったのでした。
この安楽病棟は
認知症の人々への暖かい思いというのは自然に湧いてしまう本なのだけれど
実際の世の中はなかなかきれいごとにはいかない
それと
自分がその内側に入ったとき
自分が何が侵されてるか把握できない恐怖をどうしたらいいのさと思う
そういう情けない自分を自分ではどうできるわけでもないものね
相手次第というのが情けない
自力で生きていけなくなっていくとき
安楽死させてほしい気って
実は
私はあるのよ