【ストーリー】
美大在学中ながら大学に行かず、土木作業のアルバイトに明け暮れる一本槍歩太と、高校で国語教諭をしている斉藤夏姫。二人は、決して忘れる事のできない辛い過去を共有している―
4年前。美大を目指して浪人中の歩太と、一足早く大学に入学した夏姫は、小料理屋を営む母も認めるお似合いの、高校時代からのカップルだった。しかし、生活のリズムが違っている二人は、少しずつその関係に違和感を抱き始めてもいた。
そんなある日、歩太は満員電車の中で、凛としたたずまいの中にどこか陰のある、美しい女性に出会い、その表情に心を奪われる。見知らぬ年上の女性でありながら、その横顔が脳裏に焼きついて離れず、歩太は、それをスケッチブックに描き続けるのだった。
数日後、精神的な病で10年間入院している父の病院で、歩太はその女性と突然の再会をする。父親の新しい主治医である彼女は、五堂春妃といい、夏姫の8才上の姉だった。しかし、絵描きになるという夢を応援してくれる春妃に対し、歩太の密かな恋心はますます加速していく―
ある日、春妃は歩太を呼び出し、「歩太の父が回復の兆しを見せているから仮退院をさせてあげたい」ということと、「妹(夏姫)が歩太の事で悩んでおり『他に好きな人ができたんじゃないか』」と言う。思わず歩太は、「・・・あなた以外に、誰がいるっていうんですか」と打ち明ける・・・
その後、夏姫と別れた歩太の、ピュアな愛によって春妃の心は少しずつ開かれ始めてゆくのだが・・・思いがけない運命が二人を待ち受けていた―!
【主演】
市原隼人(一本槍歩太役)/小西真奈美(五堂春妃役)/沢尻エリカ(斉藤夏姫役)
【コメント・感想】
1994年に刊行されて以来、100万部を突破した村山由佳原作のベストセラーを、豪華俳優をキャスティングし、2006年10月21日に満を持して公開された、ラブストーリー映画です。
私は、「天使の卵」そのものは、一番初めはHPコンテンツ内にあるように小説から入り、続編の「天使の梯子」の小説、そしてテレビドラマ版「天使の梯子」を見てから、最後にこの映画を観るという流れで触れてきました。
まさに、「謎は全て解けた!(コミック・『金田一少年の事件簿』)より」という感じにさせられましたね。
小説の中では描かれなかった部分―とりわけ、「歩太の時間が凍りついて止まってしまった『あの日』」から4年後の世界が描かれているのも興味深いところです。つまり、小説とドラマ・「天使の梯子」の橋渡しをしてくれている作品といえます。また、別な捕らえ方をするならば、お話の舞台が、小説では東京ですが映画では京都ということ、歩太と春妃の出会う場所が、若干違うところ、タイトルであるところの「天使の卵」のもともとのネタが違うところなど、さまざまに異なる点があるので、まるで、アニメで言うところの「テレビ版とOVA版では、設定や話の本筋は変わらないけど、別物」という「パラレルワールド的」物語が展開されています。
男である私は、メイン2人の女性の像を、自分の世界の中で創造(想像)していたのですが、改めてキャスティングとその演技を見たときに、「あ!ぴったり!!」と思いました。特に小西真奈美さんは、20代になったばかりの頃から較べれば全然違ってオトナの魅力を湛え、光と影の両面を併せ持つ27歳の「五堂春妃」を見事に演じきっていたのはとても好感が持てました。
撮影の多くが京都で行われたということで、背景に見える街並みや寺院など、作品全体を通して邦画らしい作品に仕上がっていることや、メインテーマのメロディも雰囲気に合っていますし、ラストに「Sunset Swish」が歌う「君がいるから」が流れてきたらもう圧巻です。
演出について少し触れると、「天使の梯子」が、「天使の卵」の舞台から8年後というコトで、その間を取った4年後の世界を使用しているのはいいと思いました。が、お話が夏姫の一人称で語られるところが多いところ、美術の世界を意識して春妃の表情を長い時間クローズアップしすぎていて、原作で描かれていた、春妃と歩太の心の接近がどうなっていくかの過程があまり描かれていなかったのが残念です。
あと、意外な面かと思いますが、「精神的に病んでいる」人間を診るということの大変さ、難しさ、それを抱える家族の苦労を垣間見ることもできました。それは、知的障害者更生施設で勤務していた事のある私ならではの視点なのでしょうか・・・。
そして、小説を映画化するというのは、やはり監督の技量にもよりますが、難しいということを実感した映画作品でもありました。でも、「あ~、なるほど、ここはこーしたのかア」という面白さがあって、結構楽しめました。
ただ・・・本当に全てを知るには、この世界に纏わる全ての作品媒体に触れることです。この映画と小説だけでは何も解りません。
あなたは、年上の女性に恋をしたことがありますか―?
大切な人を失ってしまったら、そのとき、そしてその後どう生きますか―?
今大切な人がいるあなたは、その人を何があっても守り抜く、そういう力を持っていますか―?
美大在学中ながら大学に行かず、土木作業のアルバイトに明け暮れる一本槍歩太と、高校で国語教諭をしている斉藤夏姫。二人は、決して忘れる事のできない辛い過去を共有している―
4年前。美大を目指して浪人中の歩太と、一足早く大学に入学した夏姫は、小料理屋を営む母も認めるお似合いの、高校時代からのカップルだった。しかし、生活のリズムが違っている二人は、少しずつその関係に違和感を抱き始めてもいた。
そんなある日、歩太は満員電車の中で、凛としたたずまいの中にどこか陰のある、美しい女性に出会い、その表情に心を奪われる。見知らぬ年上の女性でありながら、その横顔が脳裏に焼きついて離れず、歩太は、それをスケッチブックに描き続けるのだった。
数日後、精神的な病で10年間入院している父の病院で、歩太はその女性と突然の再会をする。父親の新しい主治医である彼女は、五堂春妃といい、夏姫の8才上の姉だった。しかし、絵描きになるという夢を応援してくれる春妃に対し、歩太の密かな恋心はますます加速していく―
ある日、春妃は歩太を呼び出し、「歩太の父が回復の兆しを見せているから仮退院をさせてあげたい」ということと、「妹(夏姫)が歩太の事で悩んでおり『他に好きな人ができたんじゃないか』」と言う。思わず歩太は、「・・・あなた以外に、誰がいるっていうんですか」と打ち明ける・・・
その後、夏姫と別れた歩太の、ピュアな愛によって春妃の心は少しずつ開かれ始めてゆくのだが・・・思いがけない運命が二人を待ち受けていた―!
【主演】
市原隼人(一本槍歩太役)/小西真奈美(五堂春妃役)/沢尻エリカ(斉藤夏姫役)
【コメント・感想】
1994年に刊行されて以来、100万部を突破した村山由佳原作のベストセラーを、豪華俳優をキャスティングし、2006年10月21日に満を持して公開された、ラブストーリー映画です。
私は、「天使の卵」そのものは、一番初めはHPコンテンツ内にあるように小説から入り、続編の「天使の梯子」の小説、そしてテレビドラマ版「天使の梯子」を見てから、最後にこの映画を観るという流れで触れてきました。
まさに、「謎は全て解けた!(コミック・『金田一少年の事件簿』)より」という感じにさせられましたね。
小説の中では描かれなかった部分―とりわけ、「歩太の時間が凍りついて止まってしまった『あの日』」から4年後の世界が描かれているのも興味深いところです。つまり、小説とドラマ・「天使の梯子」の橋渡しをしてくれている作品といえます。また、別な捕らえ方をするならば、お話の舞台が、小説では東京ですが映画では京都ということ、歩太と春妃の出会う場所が、若干違うところ、タイトルであるところの「天使の卵」のもともとのネタが違うところなど、さまざまに異なる点があるので、まるで、アニメで言うところの「テレビ版とOVA版では、設定や話の本筋は変わらないけど、別物」という「パラレルワールド的」物語が展開されています。
男である私は、メイン2人の女性の像を、自分の世界の中で創造(想像)していたのですが、改めてキャスティングとその演技を見たときに、「あ!ぴったり!!」と思いました。特に小西真奈美さんは、20代になったばかりの頃から較べれば全然違ってオトナの魅力を湛え、光と影の両面を併せ持つ27歳の「五堂春妃」を見事に演じきっていたのはとても好感が持てました。
撮影の多くが京都で行われたということで、背景に見える街並みや寺院など、作品全体を通して邦画らしい作品に仕上がっていることや、メインテーマのメロディも雰囲気に合っていますし、ラストに「Sunset Swish」が歌う「君がいるから」が流れてきたらもう圧巻です。
演出について少し触れると、「天使の梯子」が、「天使の卵」の舞台から8年後というコトで、その間を取った4年後の世界を使用しているのはいいと思いました。が、お話が夏姫の一人称で語られるところが多いところ、美術の世界を意識して春妃の表情を長い時間クローズアップしすぎていて、原作で描かれていた、春妃と歩太の心の接近がどうなっていくかの過程があまり描かれていなかったのが残念です。
あと、意外な面かと思いますが、「精神的に病んでいる」人間を診るということの大変さ、難しさ、それを抱える家族の苦労を垣間見ることもできました。それは、知的障害者更生施設で勤務していた事のある私ならではの視点なのでしょうか・・・。
そして、小説を映画化するというのは、やはり監督の技量にもよりますが、難しいということを実感した映画作品でもありました。でも、「あ~、なるほど、ここはこーしたのかア」という面白さがあって、結構楽しめました。
ただ・・・本当に全てを知るには、この世界に纏わる全ての作品媒体に触れることです。この映画と小説だけでは何も解りません。
あなたは、年上の女性に恋をしたことがありますか―?
大切な人を失ってしまったら、そのとき、そしてその後どう生きますか―?
今大切な人がいるあなたは、その人を何があっても守り抜く、そういう力を持っていますか―?