コロラド州より、小さな町の小さな物語

コロラドの魅力は小さな町にありました。人気の田舎町への小さな旅と、日々の暮らしのレポートです。

今年もハロウィンがやってくる。

2009-10-31 07:33:38 | 日記
今年もハロウィンがやってくる。






ハロウィンが近づくと、もう冬だと思う。 子供たちはハロウィンが近づくと、今年はどんなコスチュームを着ようか、新聞の折込チラシをチェックするのに余念がない。 でも私にとってハロウィンは、冬の訪れのサインである。

ハロウィンは10月31日と決まっている。 このハロウィンの前後に、毎年、サマータイムが終わる。 今年は11月1日から標準時間にもどるので、ハロウィンが終わった後、日曜日の朝の零時に時計を1時間もどす。(時計を1時間戻すために、夜中まで起きている人はいないが。) すると昨日まで夕方6時くらいに暗くなっていたのが、5時に暗くなる。突然、お昼がぐっと短くなってしまうのだ。 
おまけに、ハロウィンは寒い日が多い。 私が住む地域も昨日、一昨日の最高気温は華氏で25度だった。 摂氏になおすとマイナス4度。 寒いはずだ。 この寒さと雪のおかげで、学校は二日間休校になった。 今朝も道路がツルツルすべるため、学校は2時間遅れで始まった。





暗くなってからこの家の前をとおると、やっぱり怖い。


さて、ハロウィンになにを着るか。 これが子供にとっての一番の関心事だが、小さい子供はパンプキンになったり、機関車トーマスになったり、お姫様の衣装を着たり、とにかくかわいい。 わが息子は小学校1-2年のときは恐竜のぬいぐるみを着た、パワーレンジャーや忍者キッズも流行った。 
ところが小学校の高学年になると、とたんに目玉が飛び出たお面や、血なまぐさい衣装に変わる。 こんな気持ち悪いコスチュームで子供たちは「Trick or Treat」 (何かくれないと悪さするぞ)と家のドアをたたきながら、近所をまわるのだ。 戦利品は袋いっぱいのチョコレートやキャンディー。 一年分のキャンディーをかき集める。




ハロウィンの夜は、ガイコツが踊る。


サンフランシスコにいた時は、ちょっと違っていた。
ずいぶん昔の話だが、アメリカに来て最初のハロウィンは、サンフランスシスコのカストロストリートに行った。 カストロストリートはゲイで有名な通りで、ハロウィンには女装したゲイたちが集まってくる。
私が当時住んでいた家には、ゲイのハウスメートが4人いて、ハロウィンともなると、それはそれは賑やかだった。
ある日家に帰ると、リビングルームの真ん中に、ドサッとドレスが積み上げられている。 ドレスのほかにクリクリのウエーブの金髪のかつらや、クレオパトラ風のストレートヘアー、よくこんな大きなサイズがあったものだと感心するような特大サイズのハイヒール。 カストロストリートの古着屋さんで仕入れてきたという。

ハロウィンの前日、彼らは丁寧にひげをそっていた。 血が出るくらい深く剃るのだそうだ。 そしてハロウィンの当日は、ユニオンスクエアのメーシーズ(デパート)の化粧品売り場に行き、プロの美容部員に化粧をほどこしてもらう。
夕方になると、みんなお気に入りのドレスを着て、かつらをかぶり、カストロストリートにくりだした。
カストロストリートには、この日を待ってましたとばかり、念入りにお化粧しドレスアップしたゲイの人たちであふれていた。 みんな綺麗。 ミニスカートからまっすぐに伸びた長い足。 胸もウエストラインもちゃんとある。 
ウエディングドレスに身を包んだ人に「きれーい」と声がかかった。 すると彼女(彼?)はドレスの後ろをまくりあげ、お尻をみせた。
すごく大きな女物のパンツ!

ところかわればハロウィンもかわる。 子持ちになった今は、コロラドでよかったと思う。 




わが息子は、いったい何になりたかったのか? 年頃の男の子を理解するのは難しい!?



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コテーズ ネイティブアメリカンが生活する町

2009-10-29 03:52:50 | 旅行
コテーズ ネイティブアメリカンが生活する町


Cortez
人口8500人  標高1860メートル



メサベルデ国立公園へ行こうと計画したとき、宿泊するのはデュランゴではなく、コテーズにしようと思った。 コテーズからだとメサベルデまで車で15分。 コテーズを拠点に日帰りで岩窟住居跡が見れる。 コテーズという町の名前は、Indianナバホ族がこの地をCortez Tsayatoh:Rock Waterと呼んだことに由来するらしいが、町の中にきれいな谷川流れているのだろうか。

デュランゴからコテーズへは、Hwy160にのって西へ約1時間。 少し走るとすぐに山の風景から抜け出し、牧歌的な風景が広がる。
「わぁ、広い。」
山に囲まれたデュランゴの町に少々息苦しさを感じていたので、この何もないだだっ広さは気持ちよかった。
でも、コテーズになにがあるのかと聞かれれば、「何もない。」と答えるしかない。 コテーズはメサベルデ国立公園に一番近い町で、私たちのように、ここで一泊してメサベルデに行く人が多い。 だから町はアメリカ版の宿場町といった雰囲気。 メインストリートにはレストラン、モーテル、ギフトショップが並ぶがメインストリートからはずれると、普通の町になってしまう。




青い空と白い雲。どーんと構える大きな山。 そして、自分の車以外は何も通っていないハイウェイ。


コテーズは東にラプレタ山、西にはユーツ山が迫っているが、南西にはGreat Sage Plainとよばれる平野が広がる。
Great Sage Plain このあたりはセージが咲き乱れる大平原なのだ。 セージはお料理の香辛料としてよく使われるが、染料にもなる。 ネイティブアメリカンはセージを使って繊維を灰緑色に染めるそうだ。 伝統工芸店でみたネイティブアメリカンの織った敷物の錆びたような緑色は、セージの色だったのだ。
ここ一面に青紫色のセージの花が咲いた頃、また来てみたいと思った。


 



木の枠に土と干したレンガとでつくられた集合住宅。 



コテーズには、先史時代からプエブロインディアン(干したレンガの集合住宅に住む北米先住民)が住んでいた。 Anasazi Heritage Centerには干したレンガの集合住宅や、当時のプエブロインディアンの生活風景を撮った写真が展示されている。 プエブロ先住民がこの地を去った後、Ute Indianユーツ族が長く住んでいたそうだ。
1886年。 コテーズにも白人がやってくる。 そして、他のコロラドの町と同じように、金銀発掘にともなう白人の流入でこの地は大きく変化した。
 





コテーズは、Mesa Verde National Parkメサベルデ国立公園へのゲイトウェイ。メサべルデ国立公園にはユネスコの世界遺産にも登録されている、多くのCliff Dwelling岩窟住居跡が残る。



コテーズからメサベルデ国立公園までは、車で15分。 町にはモーテルが多く、特に夏はメサベルデに向かうツーリストで賑わう。 コテーズのギフトショップで働く女性がちょっと呆れ顔でこういった。
「よくツーリストに聞かれるの。どこへ行けばネイティブアメリカンに会えるかって。このお店を出て町を歩いてごらんなさい。どこにでもネイティブアメリカンはいるわよ。」

コテーズの学校では、生徒数の26%をネイティブアメリカンが占める。 コロラド州の平均は1%だから、コテーズはかなりネイティブアメリカンの占める割合が高いことがわかる。




アメリカ人が大好きなデニーズ。 コテーズのデニーズはなんでこんなにキラキラしているのだろう。

市民プールの隣にウェルカムセンターがあり、他のロッキーマウンテンタウンの観光案内やメサベルデのパンフなどが手に入る。 




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コロラドのワイルドライフ ④ あっ、鹿だ。

2009-10-23 07:03:30 | 日記
あっ、 鹿だ。


コロラドに来て、感動したことがある。 山の美しさ、強烈な稲妻と落雷、そして雪。 特に最初の年は、雪を見ると外に飛び出し、空から降ってくる雪、芝生に落ちた雪、木の枝にたまった雪など写真をいっぱい撮った。 コロラドに何年も暮らしていると、雪など珍しくもなくなるかな思ったが、意外に何年たっても雪が降りそうな空模様になるとソワソワする。
反対に、始めてみた時はあんなに感動したのに、すぐに嫌いになったのもある。 それは何かと言うと、呼びもしないのにやってくる鹿だ。





僕たち鹿です。 シカッとみてください。

 
「あっ、鹿だ。」
コロラドに引っ越してきたとき、公園に鹿がいっぱいいた。 車を運転していると、信号もないのに前の車が突然止まる。 何かな? と思うと、鹿が道路を横断している。 それも一頭ずつ、ゆっくりと。 ドライバーは鹿がみんな渡りきるまで、辛抱強く待っている。 不動産屋に連れられて家を見に行ったときも鹿がいた。 
「すごい、裏庭に鹿が来るんですか?」と驚く私に、不動産屋は「可愛いでしょう。」と笑った。

確かに私は感動したのだ。 山が近い。 自然がいっぱい。 家を買うなら絶対このあたり。 鹿が遊びにくるなんて、さすがコロラド。
しかしこの感動は、住みだして2-3ヶ月ですっかり冷めてしまった。

だいたい鹿はバカである。 漢字で書いても馬と鹿で馬鹿ではないか。 鹿は自分のテリトリーと人間のテリトリーの区別がつかないから、他人の裏庭に勝手に入ってくる。 そして、せっかく植えたお花を全部食べてしまう。 何を植えても、恐ろしいほどの食欲で、きれいさっぱり食べてしまう。
 
一度パンジーをいっぱい植えて、食べられないように、上に大きなネットをかけた。 ある朝、外を見ると、鹿が狂ったようにネットに噛み付き、首をブンブン振ってネットをはがしていた。 
友達が「クリスマスのデコレーションによく使う、葉がギザギザのプラントなら食べないらしいよ。」 と教えてくれたので、小鉢を買ってきて植えてみたが、これも全部食べられてしまった。 結局、メリーゴールド以外は、なにを植えても食べられてしまった。





そこのけ、そこのけ、お鹿が通る。


花だけではない。 鹿のおかげでもっとひどい目にあった。
新車を買って2ヵ月後、小学校の近くをドライブしていると、ドンという音がして、車が少し揺れた。 何だろう? と周りを見渡しても、変わったものはなにもない。 たまたま近くを散歩していた人がこちらを見ていたので、「なにがあったの。」 と聞くと、「鹿だよ。」 と言う。
 
「鹿がどうしたの。」 私は詳細が知りたかった。
「あなたの車の後ろから走ってきて、体当たりして、いったんコケたけれど、すぐ起き上がって逃げた。」 と教えてくれた。 
「どっちへ?」  「あっち。」 と彼は住宅を指差した。

車を調べると、運転手側のボディが凹み、バックミラーが壊れてぶらさがっている。 よーく見ると、ボディには鹿の毛が付いているではないか。
なんで? 住宅地だからゆっくり走っていたのに、鹿にはまったく気づかなかった。 でも、なんで体当たりして逃げるわけ?
くやしい、新車なのに。 無理して買ったボルボなのに。




道路を渡るときは、右をみて左をみて、好きな時にわたります。


この日から、鹿は目の仇になった。
もちろん、息子も私の見方で、鹿をみると水鉄砲をもちだし、鹿めがけて撃っていたが、鹿はびくともしない。 相変わらず、我が家の花を食べ、裏庭の一番いい場所で休憩し、芝生のうえにウンチをして帰る。

鹿のウンチのお掃除もまた大変だった。 鹿はパチンコ玉くらいの黒い丸い玉をドサッと捨てたようなウンチをする。 芝生の上にやられると、スコップをつかってもこぼれ落ちてしまう。 どうしたものか? と考えていたら、韓国の食料品店で買った長めのお箸を思い出した。 先のほうに輪状のすべり止めの切り込みがはいっている。
これだ、と思いキッチンからとりだしたが。。。確かに、鹿のフンは拾える。 でも、これって。。。




そこはトイレじゃありません。 トイレじゃないってば!


鹿が私をみつめている。 もし私がこのお箸でフンを拾い出したら、きっと仲間を呼んで笑うのだろう。 なんで私が鹿に笑われなきゃならないんだ。 これが自然に囲まれたコロラド生活か。
「かわいいでしょう。」と笑った不動産屋の顔も思い出した。

コロラドで鹿をかわいいという人は、あまりいない。
そのかわり、鹿には気をつけろ、と忠告してくれた人は多かった。車を運転していると、鹿が道路に突然飛び出してくるからだ。  もちろん、鹿をはねると可哀相だからではない。 鹿をはねると車が凹み、修理代が高くつくからである。

 

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コロラドのワイルドライフ ③ あっ、マウンテンライオンだ。

2009-10-14 14:45:47 | 日記
あっ、 マウンテンライオンだ。



数年前の9月6日、私の誕生日に素晴らしいプレゼントが届いた。
朝、トーストをかじっていると、なにやら見慣れない黒と白の鳥が、バタバタとやってきては、飛び立ってゆく。 なんだろう、と外を見ると、裏庭の芝生の一部がもっこりと盛り上がっている。 鳥は何かをつついているようだ。
外に出て近づいてみると、なんと鹿の屍だった。 
内臓を食べられ、肋骨が見える。 草の山のように見えたのは、枯れた芝をかき集め、屍を隠そうとしてあったからだ。
誕生日の朝に、なんという贈り物だ。

私はすぐに主人に電話をした。
「大変よ。 裏庭に鹿の死体がころがっている。 きっと熊にやられたんだ。 帰ってきて。」
彼はすぐに同僚を連れて帰ってきた。
「鹿の首が食いちぎられている。 マウンテンライオンの仕業だ。」と同僚が言う。
「違う。熊よ、きっと。」と、私が強気になると、「熊が鹿を食べるか?」と主人が首をふった。 なるほど、熊が鹿のお尻に噛み付いている様子は、想像できない。 やっぱり、マウンテンライオンなんだ。 ひぇ、怖い。




こんなかわいいマウンテンライオンはいません。 本物はこれの100倍くらいの迫力で牙をむく。


この屍をどうすればいいのか? 警察に電話をしたら、「裏庭は個人の所有地だから、家主が処理をしなさい」という答えだった。 しかし、どうしていいのか分からない。 電話帳を調べるとAnimal Moversなんてのがあったが、動物の死体を持っていってくれるのだろうか。 ひょっとして、ペットの引っ越し屋さんかもしれない。
同僚は「みんな道路に捨てにいくんだよ。 道路に捨てておけば、市が片付けてくれるさ」と言う。 そういえば、車にはねられた鹿の死体が道路わきによくころがっている。 あれは、市が片付けているのか。
主人と同僚は、キャンプ用のブルーのシートに鹿の屍を乗せ、トラックにつみこんで、臭い臭いといいながら、どこかに走り去った。

夕方、隣人にこの話をすると、驚いたように言った。 「危ないよ。」
隣のダンナ様は、ハンティングをするらしい。 ハンティングで一番危険なのは、動物の死体に近づくことだという。 マウンテンライオンは食べ残した獲物を、隠れて見張っていることが多い。 そこに人間が近づけば、獲物を横取りされると思い、襲いかかるのだそうだ。

私はゾッとした。
鹿を運び出した後、私はひとりで血のついた芝をビニール袋にいれて、お掃除していたのだ。 あの時、もしマウンテンライオンが戻ってきていたら、私は間違いなく襲われていた。 
やっぱりここはコロラドだ。 恐ろしいなあ。 しばらくは子供を裏庭で遊ばせるのをやめよう。





マウンテンライオン出現後は、動物の足跡を見ただけでもドキッとする。 この足跡はたぶんBobcat 山猫、、、と思ったが、犬の足跡らしい。


夕食時、今日はとてもエキサイティングな日だったなどと話していると、息子が「マウンテンライオ~~ン」と歌うように言う。 「そうよね。 今日はマウンテンライオンが出たのよね。」と返事をすると、「ママー、マウンテンライオ~~ン」と、またいう。
えっ? と外を見ると、ダイニングテーブルから10メートルも離れていないところにマウンテンライオンがいた。 マウンテンライオンはこちらを睨みつけながら、歯を剥きだしウーッと唸っている。
やっぱり、隠した獲物を探しに来たのだ。 マウンテンライオンと私たちの間にはガラスの扉があったが、突撃されたらガラスなど粉々に割れてしまうだろう。

主人が「動くな」といった。 マウンテンライオンはまだこちらを睨みつけている。
私にはマウンテンライオンの言葉が聞こえるようだった。 「おまえだろう、オレ様の獲物を横取りしたのは。許さねえ、許さねえからな。」

マウンテンライオンはもう一度、ウーッと唸ると、裏山のほうへ消えていった。
マウンテンライオンと向かい合っていたのは、たぶん5秒か10秒だと思うが、私の体はカチンコチンに固まってしまった。

この事件の3日後、こどものクラスメートのお母さんたちが立ち話をしていた。
このあたりで鹿の屍を見るのは珍しくないけど、学校の裏の道の鹿の死体はひどいわね。肋骨まで丸見えよ、と。
主人にどこに捨てたのか聞くと、場所が一致する。 潅木の茂みに置いたらしいが、たぶんマウンテンライオンかコヨーテが道路に引きずりだしたのだろう。

まずいな、これは。
我が家の鹿の話はしないでおこう、と心に決めた。

 

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コロラドのワイルドライフ ② あっ、熊だ。 

2009-10-13 15:25:55 | 日記
あっ、 熊だ。



コロラドに住んでいると、ごく自然に熊と遭遇する。

カリフォルニアからコロラドに引っ越した年の8月、夜中にけたたましく犬の吠える声が聞こえた。 なにやら獣のうめき声もするので、2階の窓から見ると、なんと、熊が隣の家のゴミ箱をあさっているではないか。 熊は私の身長ほどある。 ごみは収集日の朝にしか出してはいけないのに、隣人は前夜にゴミ箱を家の前に出したのだろう。 
突然、スプリンクラーが回りだした。 どうやら隣の人も異様な物音に気づいたらしい。 スプリンクラーで水をまいて、獣なり泥棒なりを追っ払おうとしたのだろうか。 5分くらいでスプリンクラーは止まり、中年夫婦が懐中電灯を持って出てきた。 
「あなたーー、何かいるのかしらーーー」。 わざと大声で話をしている。 しかし、熊はまだいるのだ。 わたしたちのベッドルームの窓の下に隠れているのだ。  
「熊がいる。 戻れ!」と2階から主人が叫んだ。 
中年夫婦は、あわてて家に戻った。 ほんとにもう。 危ない危ない。

しかし、私もえらそうなことは言えない。 うっかりガレージのドアを閉め忘れて眠ってしまって、熊にゴミ箱をひっくりかえされたことがある。 
右隣のお家も、一度、熊にやられている。 私たちが引っ越してくる2年位前に、やはりガレージのドアを閉め忘れたら、熊がやってきて、ガレージのなかに置いてある冷凍庫の冷凍パイを、全部たべてしまったらしい。 家の中まで入り込まれなかったのが不幸中の幸い。 しかし、熊の食い散らかしようは、凄まじかったと言っていた。




こんな熊なら、至近距離で目があっても怖くないけれど。


もっと間近で熊を見たのは、デュランゴに住んでいた2007年の夏。 我が家の裏庭にはりんごの木と洋ナシの木があり、実がたわわになっていた。 熊は本来、山奥に棲んでいて町には下りてこないのだが、ここ数年、熊がゴミ箱をあさり、民家の果物の木によじ登るのが問題になっていた。 我が家の裏庭にも、よく熊が来ていた。

暑い夏の日、窓を開けて風をいれていると、何やらガッタン、ドッサンと音がする。 外を見ると、熊がゴミ箱をひきずりまわしている。 「うわ、ゴミだらけ。」と窓に近づくと、なんと窓枠のすぐ下に熊がもう一頭いて、至近距離で目と目が合ってしまったのだ。
「伏せろ!」。  夫の声で、親子3人、ガバッと床に伏せた。 そして、熊が立ち去るまで、「伏せ」の状態でいた。
しかし、、、。 借家とはいえ、ここは私の住居だ。  なぜ私たちが隠れなきゃいけないのか。 熊のほうが失礼しましたと頭を下げるべきなのに、無礼な熊め。 ゴミ箱に入ってたまずいもの食べて(私が作ったんだけれど)、お腹こわしても知りませんからね。



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