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【あるがまま】

表現ビトの萬(よろず)徒然日記!
気功にヨーガ。そして芝居。あるものをあるがままに…

きっとそいつは小説家。その9 。

2011-03-09 09:59:23 | 小説。
顔のない男が
鏡の前に立っている。

顔のない男は
鏡には写らない。

「いっそ透明人間ならば、ワルサだって出来るのに」

と、ふしだらな事を思ったが
手をかざすと鏡に写るのだから
始末に悪い。

やっぱり男の顔(履歴)と言うものは生き様が創るものらしい。

その夜、男は夢を観た。

花粉症でくしゃみをする為、
存在位置の確認が容易い
透明人間の話だった。

きっとそいつは小説家。その8 。

2011-03-08 19:53:13 | 小説。
名前が決まったところで男は

唐突に

「履歴書を書いてみよう。」

と思い立った。

何せ仮初めの

記号の様な名前だ。

まして男は小説家、

デタラメテキトーな履歴を

面白オカシク調子にノッテ

書き殴った。

履歴書を書き終えた男は

近所のスーパーの前にある

証明写真の機械に

コインを7枚プレゼントした。

出来上がった写真を見て

男は愕然とした。

男には 顔がなかった。

きっとそいつは小説家。その7。

2011-03-07 23:45:36 | 小説。
「我が輩は小説家である。名前はまだない。」

意を決して男は小説を書き出した。

ところが5分もしない内に

霊界から手紙が届いた。

「これは盗作ではないですか。」

差出人の名前は夏目とあったが

雅子ではなかった…。

しかし現世の人からの手紙ではないので

男は深く考えず、かつ開き直った。

棗宝石。

かくして男のペンネームは安易に決まった。

男は冒頭の文章を早速書き直した。

「我が輩は小説家である。名前は棗宝石…。」

…前の文章の方がなんかワクワクするなあ。

と男は正直に思った…。

違う夏目はやっぱり

偉大である。

きっとそいつは小説家。その3。

2011-03-04 22:15:27 | 小説。
男は旅から帰って来た。

ややお疲れの

傷心の旅であった。

今やなんでも売っている

萬なんでもコンビニ屋。

自信を持ってコンビニの

美人過ぎない店員に

「すいません。私、ください。」

と言ったのだが

美人過ぎない店員は

いともあっさり

「その様なものは、お取り扱いしていません。」

と言ってのけたのだ。

ベンベン便利なコンビニでも

“劣り”

あつかいされてない自分・。

男のチキンなハートは

賞味期限切れで

廃棄処分される弁当の様に

痛み傷ついた…。

きっとそいつは小説家。その2。

2011-03-03 22:36:23 | 小説。
男は旅に出る事にした。

自分探しの旅って奴だ。

なにせ男は、自分の名前すら知らないのだ。

「自分を知らなくて、他人の話が書けるものか?」

珍しく男は真っ当な事を思った。

考えたら男は小説を書くには知らない事だらけだった。

「どうして駅のトイレは、使いたい時に清掃中なんだろう。」

「美人過ぎるキヨスクの店員は、全国に何人居るのだろう。」

「果たしてガールズトークは、何歳までをガールズトークと言うのだろう。」

『世の中は、知らない事に満ちている。』

男は旅に出た。

近所のコンビニまで