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【あるがまま】

表現ビトの萬(よろず)徒然日記!
気功にヨーガ。そして芝居。あるものをあるがままに…

きっとそいつは小説家。その17。

2011-03-17 22:25:05 | 小説。
棗の家はあばら屋だ。

風が吹く日は

グラグラ揺れる。

だがもう風が強い日は

この揺れが風なのか地震なのか

判らなくなってしまった…。

つい先ほども大きく揺れた。

これは地震だと判ったが

すっかり慣れてしまった

自分がまた怖かった…。

きっとそいつは小説家。その16。

2011-03-16 23:49:07 | 小説。
今日は気分を換えて
詩でも書いてみおうかと
棗宝石は思った。

書いてみた。

『諸事情小唄』

政府が、って言うと

東電がって言う。

ガソリンが足りない、って言うと

まだ仮免だからって言う。

枝野さん寝てください、って言うと

菅さんは目を醒ませって言う。

こだまでしょうか?

いいえ 誰でも。


果たしてコレは詩なのだろうか?

『哀しみ発電所』

2011-03-16 23:19:07 | 小説。
2111年。その星は希望に溢れていた。

みんなパステルカラーの飛行服を着て空を飛び、
重力ブーツで壁も天井も歩けた。

大人には充実があり
子供には夢があった。
そしてみんなが笑っていた。

ある星からその星に来た、
バルタン12世はその星のエネルギーが無限大である事に驚いた。
バルタン12世の生まれ故郷では、
エネルギー不足が深刻で、
エネルギーの不足を計画停電で賄っていたからだ。

「この星のエネルギー源は一体なんですか。」

バルタン12世は、
ある日思い切って
空を行き交う人に聞いてみた。

とても親切な星民性らしく、
みんな空を飛ぶのを辞めてバルタン12世の周りに集まって来た。

「私の星ではつい先日、臨界事故がありましてね。
 原子力発電は法律で禁止されました。
 それでそれに変わる風力発電とか水力発電を勉強しにこの星に来たんです。」

するとその星の人がこう言った。

「風力や水力もいいけど、風は風のまま水は水のままが一番いいんだよ。」

それはそうかも知れないが、じゃあどうすればいいんだ。

バルタン12世はそう言いたくなったが我慢した。

その星の人の一人から、その星の発電所のある場所の地図をもらった。
その人は親切に「一緒に飛びましょう。案内しますから」
と言ってくれたが、バルタン12世は断った。

「風は風のまま、水は水のままがいいのなら
 人は人のままがいい。歩いて行ける足があるんだから
 歩いてゆこう。」

バルタン12世のささやかな意地だった。

歩いてゆくのはそれは大変だ。
でもなんとかヒロシマという街に辿り着いた。

そこに発電所はあった。

原爆ドームという宇宙遺産の建物の横に置かれた
千羽鶴という小さな折り紙がそれだった。

「それは哀しみ発電所ですよ。この街の幾つもの残留哀しみや
 今生きている人の哀しみを集めてエネルギーにしてるんです。」

そう言って説明してくれた人が居た。

166年も前にヒバクした人の子孫だと言う。

バルタン12世は改めて地図を観た。

ヒロシマ・ナガサキ・ビキニカンショウ・チェルノブイリ…

これだけの哀しみがこの星にあったのか

ひとつの土地だけ赤字で大きく書かれている。

どうやらそれが最後の哀しみ地であり
そして哀しみ発電所を創った最初の人の故郷だそうだ。

フクシマ…と書いてあった。

待てよ…。バルタン12世は考えた。

「ここが最後の哀しみ地なら…どうして哀しみ発電所のエネルギーは無限なんだ…。」

幾ら考えても、バルタン12世には
その理由が判らなかった…。

きっとそいつは小説家。その15。

2011-03-15 23:00:18 | 小説。
地震は天罰だという人がいる。

けどこれが天罰なら

どうしてその人は

のうのうとその歳まで

都知事のイスに居座る事が出来たのだろう。

そういえば昔その人は小説家だったハズ…。

棗宝石は自分の才能のなさもある程度自覚していたが

こんなに言葉の力に疎い人が小説家だった事を考えると

誠実に努力すれば小説家にも都知事にも総理大臣にもなれる気がした。

被災者の子供達よ。

「なんにだってなれるぞぉ~!!」

「頑張れ~~~~~!!」

だが棗宝石はもう…いい歳のオッサンだ…。

餅は餅屋…。

小説家は小説を書こう。

ペンを握って書き出した。

『哀しみ発電所』

きっとそいつは小説家。その14 。

2011-03-14 22:14:44 | 小説。
何を書いても

何を読んでも

虚しさだけが吹雪く日が

人間にはある。

謙虚でもない人間が

頭を垂れてしまう日が

人間にはある。

しかしそんな時にも

命はある。

ならばそれを

燃やすがいい。

ただ毎日

丁寧に燃やせばいい。

男はそう思う。

自分にも思いつく事だから

きっとそれは

誰にでも出来る事だ。

男はそう思う。

きっとそいつは小説家。その13 。

2011-03-13 18:31:09 | 小説。
棗宝石は考える。

良くない頭で考える。

今テレビ局がスタジオに

呼ぶべき人が居るとしたら

それは神戸や新潟

あの震災を乗り切った人の

何が助かり 何が困ったか

という 生きる知恵で

地震学者の

知識ではないだろう。

棗宝石は考える。

珍しく真面目に考える。

自分に何が出来るのか?

医者や看護婦なら

現地に行けば役に立つ。

落ち着いた後ならば

喜劇役者は笑顔を配れる。

小説家は、小説を書こう。

だがおそらく棗宝石に

文才というものはない。

それでもとにかく

ペンを握る。

一際大きく

タイトルを書き出す。

『節電のススメ。』

都内に住む君よ

夜の祈りはただひとつ。

出来るだけ早く

眠る事だよ。

きっとそいつは小説家。その12 。

2011-03-12 18:50:21 | 小説。
男は身勝手な男だが、

男の家族程ではない…。

巨大地震発生直後、

男の家族の行動。

風呂を沸かす。魚を焼く。

停電だったから

早く用を済まそうという

気持ちは判るが…。

直後にする事ではない。

節電を呼びかけても

「ウチ一件だけやって何になる。」

と取り合おうともしない。

男は自分を棚に上げ

「自分勝手な奴らだなあ。」

としみじみ思った。

きっとそいつは小説家。その10。

2011-03-10 23:09:12 | 小説。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

この国境は“こっきょう”なのだろうか?

それとも“くにざかい”なのだろうか?

こっきょうにあるコンビニと

くにざかいにあるコンビニにでは

エラク違う店の様な気がする。

なんでこんな事を書いたかというと

男がまたなんとなく盗作の匂いを醸し出す書き出しで

小説を書き始めたからである。

「県境の山道を上ると、富士山であった。」

どうやら棗宝石の頭の中には

オリジナルは何もないらしい…。

なにせ顔のない男…。

霊界の偉大な先駆者よ、どうか大目にみて欲しい…。