「舟」46号(代表編集人 依田仁美)
現代短歌舟の会機関誌「舟」46号が発行された。
日本短歌総研のメンバーの作品を紹介します。
依田仁美「素浪人日立日和」より
空よりも天が好きだという時と空が好きだという時がある
日本的と括るなかれや組織には一個一個の精魂がある
バカ真面目全品検査手を抜くな自力難行疲れて悔いなし
水門房子「着物一枚」より
ボルドーの着たいドレスがあったって/あたし/行きたいクラス会ない
わたくしの笑顔は/たぶんこわいはず/にっこりわらってゆっくりはなす
インデックスラベルのことを/「耳」なんて呼んでたあの日/昭和のオフィス
私は購読会員。
「折鶴は白鳥である」15首より6首紹介します。
一で始まり十五で終わるような連作。
ひと筋の糸を垂らして夜のうちに罠仕掛けんと風を待つ蜘蛛
二股の枝に落ち着くメジロの巣は巣材を蜘蛛の糸で固める
三枚目の役作りに疲れたころ猛禽類の定義を語る
四十雀(シジュウカラ)、山雀(ヤマガラ)、小雀(コガラ)らカラ類の小ネタを話す酒を酌みつつ
ゴメと呼ぶカモメの群れはウミネコなり口数少なし北の言葉は
十五回折りて返しし折鶴を白鳥だよなこれと思えり