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詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

『塚本邦雄の百首』&「十月」

2025-07-30 12:01:00 | 短歌情報

『塚本邦雄の百首』 林 和清

ふらんす堂の「歌人入門⑬」(百首シリーズ)。既刊を何冊か紹介してきた。

塚本に「ダイジェストを愛す」なるうたがあったと記憶する。

塚本BESTではないが、あらすじを知ることができる読み物として

興味深いし愉しい。

 

「十月」165号

年三回刊の「十月会」機関誌が届く。

ボクは会の運営についてはなんら発言しない幽霊会員みたいなもの。

 

「勧酒」十首と<らんだむ(300字)>「疑心暗鬼になりてならるる」を書いている。

「勧酒」冒頭から四首紹介する。

 

なにもかも無器用にして小器用に凌ぎ切りしが心のこりさ

見返してやると思いつつ人生の四分の三過ぐ覚悟してろよ

信金の若者が言う「これからは報われますよ」的外れだな

命令に背かなければ平穏と言い聞かしては生きてきたから

 

十首を26文字で揃え、最後の文字を右から読むと

「さよならだけが人生だ」となるように作った。

「勧酒」たる所以である。こういう枷をはめなきゃ

やってられないのである。

 

みなさんの<らんだむ>を読んで思ったこと。

ボクがもっともバカらしいことを書いている。

バカらしいという推測ではなく形容でもなく

バカなんよ。

 

 


今日の東京新聞文化欄

2025-07-12 13:29:38 | 短歌情報

東京新聞「文化欄」7/12

『比喩の短歌コレクション1000』を歌人の石川美南さんに

ご紹介いただきました。

何人かの歌人より「取り上げられているよ」とメール頂きました。

執筆者の石川美南さんをはじめとして、お知らせくださった歌人の方々には

お気に留めて頂き、ことごとくありがたいことです。

 

 


「帆」40号  佐藤よしみ個人誌

2025-06-15 11:48:55 | 短歌情報

「帆」40号  佐藤よしみ個人誌 2025/6/23発行

 

40号。記念すべき区切りのいい数字なのに淡々としているのが

佐藤よしみさんらしい。ボクとは違うわ。

 

「苦き雨 -前田高地にて-」より

 

とぼとぼと南へくだる人々のまぼろしが顕つ宜野湾街道

空と海分かたぬ闇のはかに聞く風の嘆きのごときくちぶえ

雨を呼ぶ風なまぬるくまとわりぬ平和行進のひとりとなれば

Tシャツにへばりつきたる島の雨ときに礫となりてこころを

八十年経ったというなこの丘に鉄の匂いの雨いまだ降る

 

好きなうたを紹介した。

 

連載は「琉歌(うた)の見える場所(29)」。

 

8頁には母を回想するとともに沖縄への想いが書かれる。

六月二十三日で組織的な沖縄戦の終結から八十年となるそうだ。

「帆」40号の発行日にその思いが込められている。

 

 

 


歌集『地吹雪と輪転機』批評会へ行くの巻

2025-06-15 11:18:56 | 短歌情報

2025/6/15(日) 雨曇  

梅雨らしい天気が続くのは梅雨だから。

 

昨日は十年ぶりくらいに歌集批評会なるものに出席する。

「短歌人」所属の森澤真理第一歌集『地吹雪と輪転機』。

13:05から受付と案内されている。

ここ数日、腰をいわしていますから電車はムリと判断する。

会場は千代田区一番町の日本カメラ財団。

カメラ博物館の裏のビルだからクルマはあそこに停めようと計画済。

工場に寄って、湿布を貼り換えて腰椎コルセットを締め直す。

これで重量挙げの選手みたいになる。こんなの締めてるもんだから

デニムだってワンサイズ上のものを穿いてるよ。

目立つくらい姿勢が良くなっちゃって恥ずかしいわ!

満車になったら苦労するんで早めに出る。現地に着いたのは10:30。

バカでしょ?早すぎる。駐車場からなだらかな坂を上る。

腰から脚にかけて痛んでいる。

カメラ博物館を覗く。小一時間ふらふらしたけどまだまだだ。

たしか、ドトールがあったはずだと訪ねると電気が消えている。

その隣の喫茶店を覗くと12:00からですーと言われる。

ボクは難民状態となる。が、その隣の町中華屋さんに入る。

物心ついたときから大好きな冷やし中華を啜る。

それから半蔵門ミュージアムに寄る。曼荼羅についてのビデオを

見て時間を潰し、さっきの喫茶店に辿り着く。

喫煙目的店「カフェの」。喫煙者のオアシスだ。

13:05になるのを待って批評会会場に行く。徒歩2分。

 

受付には宇田川さん、受付のそばに依田仁美さんがいらっしゃりホッとする。

出席者名簿を見ると60名ほど。「短歌人」以外が4割くらいかな。

ひとことふたこと喋ったことのある方が多かった。

けれど、なかなか挨拶する機会もなく。

 

それにしても歌人って話が上手。どなたも立て板に水。

ボクも指名してもらったけれど立て板に餅。カタコトの日本語ですから。

話術を学ぶ機会もなく人生が終わろうとしているよ。

二次会には8割の方が行くそうでしたが、ボクは帰った。

疲れちゃったよ。

わが孤人誌「晴詠」20号記念特大号がお手元に届き始めたそうです。

顔見知りに挨拶するとみなさん届いたよと言ってくださった。

名刺代わりになって良かったよ。

 

おしまい。

 

 


『比喩の短歌コレクション1000』(日本短歌総研編・飯塚書店)発売!

2025-06-12 12:04:57 | 短歌情報

『比喩の短歌コレクション1000』(日本短歌総研編・飯塚書店)

発売日2025年6月21日 ¥1.400円(税別)

 

懸案の新刊が発売されます。大手の書店さんには並ぶでしょう。

比喩の短歌を集めたアンソロジーです。

 

アマゾンでは以下のとおり紹介されています。

出版社 ‏ : ‎ 飯塚書店 (2025/6/21)

発売日 ‏ : ‎ 2025/6/21

言語 ‏ : ‎ 日本語

単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 216ページ

ISBN-10 ‏ : ‎ 4752210533

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4752210535

寸法 ‏ : ‎ 18.8 x 12.8 x 1.6 cm

 

どうぞよろしくお願いします。

 

 


「舟」46号(代表編集人 依田仁美)

2025-06-04 12:16:50 | 短歌情報

「舟」46号(代表編集人 依田仁美)

現代短歌舟の会機関誌「舟」46号が発行された。

日本短歌総研のメンバーの作品を紹介します。

 

依田仁美「素浪人日立日和」より

空よりも天が好きだという時と空が好きだという時がある

日本的と括るなかれや組織には一個一個の精魂がある

バカ真面目全品検査手を抜くな自力難行疲れて悔いなし

 

水門房子「着物一枚」より

ボルドーの着たいドレスがあったって/あたし/行きたいクラス会ない

わたくしの笑顔は/たぶんこわいはず/にっこりわらってゆっくりはなす

インデックスラベルのことを/「耳」なんて呼んでたあの日/昭和のオフィス

 

私は購読会員。

「折鶴は白鳥である」15首より6首紹介します。

一で始まり十五で終わるような連作。

 

ひと筋の糸を垂らして夜のうちに罠仕掛けんと風を待つ蜘蛛

二股の枝に落ち着くメジロの巣は巣材を蜘蛛の糸で固める

三枚目の役作りに疲れたころ猛禽類の定義を語る

四十雀(シジュウカラ)、山雀(ヤマガラ)、小雀(コガラ)らカラ類の小ネタを話す酒を酌みつつ

ゴメと呼ぶカモメの群れはウミネコなり口数少なし北の言葉は

十五回折りて返しし折鶴を白鳥だよなこれと思えり

 

 

 

 


発行予定のモノ。

2025-06-02 12:30:22 | 短歌情報

新刊『比喩の短歌コレクション1000』日本短歌総研編

 

「晴詠(SEIEI)」20号

とあるCDジャケットのデザインを参考にしたものです。

 

2025/6/2(月) 曇 

25℃くらいまで気温が上がる予報ですがいまのところ意外に涼しい。

月が替わったので材料やら部品やら注文しています。

月末締めで支払うので月初に頼むと都合がいいのです。

月末を乗り越えたと思ったら10日の支払日です。

ぼやかない!

 

短歌業では懸案だった『比喩の短歌コレクション1000』は

完成を待つばかりです。大きなミスがないことを願うばかり。

次の企画には白紙ですから妙案を考えないといけません。

わが孤人誌「晴詠(SEIEI)」20号記念特大号も完成を待つばかり。

 

今日はあっさりと近況報告でしたー。

 

おしまい。

 

 

 

 


「夏暦」60号(王 紅花)

2025-05-28 11:59:48 | 短歌情報

「夏暦」60号 発行者:王 紅花

 

「夜の雨」30首 王 紅花 より

猫の毛に明るく纏はる春光は猫の歩みとともに移るも

玉葱を切れば泣けるよ流れたる涙隠ししはきみ在りしとき

抱擁と言ひ換ふれば俄然エロチック菱川善夫とハグをしたりき

ピアニストの蟷螂(たうらう)の鎌のごとき指は鍵盤のピンポイント捉ふ

<未亡人通り>のこの路地どの庭も赤黒きチューリップを咲かす

 

今号でも読む歓びを感じる多くの作品と出合えた。

二首目の〈玉葱を〉は「きみ」への想いと作者の想いが

実によく表現されている。ボクも泣けるよ。

三首目の〈抱擁と〉は共感する。ボクも先日「抱擁」をした。

 

あとがきで『松平修文全歌集』(文庫版)と王 紅花歌集『緑色の人』が

近日刊であると予告されている。ともに青磁社。

 

60号という区切りを意識しない個人誌の作り方をボクも学ぶべきだ。

 

 

 


『桜だより』 桑山則子

2025-04-12 09:59:34 | 短歌情報

『桜だより』 桑山則子

本阿弥書店 2025/4/4  ¥3.300.-

 

桜に特化した写真歌集を紹介する。

桑山さんと面識はないが、歌人としては岡野弘彦の「人」で出発し、

現在は沢口扶美さんの「滄」に所属している。

目次を見ると圧巻である。

日本三大桜から全国各地の桜を取材され丹念に詠まれている。

 

「三春の滝桜」。まもなく見頃を迎える頃だろう。

桜の画像に解説と桑山さんの短歌が3首添えられている。

 

巻末には三大和歌集、八代集、西行、岡野弘彦の

桜のうたについての解説が載る。

 

資料としても大変貴重な歌集となっている。

学びたいと思う。

 

 

 


『冬潮を航く』三好直太の歌 久我田鶴子

2025-03-29 12:37:26 | 短歌情報

『冬潮を航く』三好直太の歌 久我田鶴子

発行:六花書林 2025/4/18  ¥2.000.-

 

相変わらずの不勉強にして三好直太(みよしなおた)という歌人を

知らなかったが、彼は「地中海」の歌人である。

彼のうたを鑑賞しながら彼の51年の生涯を紹介してゆく久我田鶴子。

読み物として面白い。

歌人には、いや人間にはそれぞれの物語がある。

 

「はじめに」に三好が書いた一文が引用されている。

 

略)一首を推敲する一刻々々の累積が、やがて一生のぼくぎりぎりの一刻が、

いかに真剣であるか、或は否かが、ぼくをどのようにでも、明日へ押しあげて

いくのである(略

 

イマドキこのように真剣にうたと向き合う短歌愛好者がどれだけいるだろう。

SNSに横書きで溢れかえる・・、また説教じみるのでやめておく。

 

私はいま直喩のうたに興味があるので三好の作品から紹介する。

 

みずからに銹(さび)吹くごとく黙し佇つゆうべ凍みて澄む島嶼のうえの空

*久我は<島嶼>は単に「しま」と読むのではないかと解説する。

巌稜によぎらん魄を喚ぶごとく黒髪ながき女を想えり

 

三好直太は漢字の力を信じていたように思う。

ともすれば難しい、近づきがたい歌に思えるがそこがまた魅力。

SNSでは表現し難い世界だろう。

 

 


「風花春秋」令和7年春

2025-03-28 12:28:12 | 短歌情報

「風花春秋」令和7年春

編集発行 秋元千惠子

制 作  洪水企画:池田 康

 

 

秋元千恵子さんが30年以上に亘って発行されていた

短歌文芸誌「ぱにあ」が昨年秋、ついに終刊となった。

秋元さんは1932年生まれで今年93歳になる。

終刊号が出て間もなくお電話を頂き、

「「ぱにあ」は終刊したけど来年、次の雑誌を出すつもりよ」

と、仰っていた通り、短歌文芸誌「風花春秋」が発行された。

まさに

「これからの人生では、今が一番若い」

を地でゆく意欲に脱帽するのである。

 

私は「田島邦彦という歌人」を書かせてもらった。

ありがたいことであった。

 

 

 


「からの」第68号(遠山景一)

2025-03-18 18:10:52 | 短歌情報

「からの」第68号 2025-02 年三回刊

編集・発行/遠山景一

 

玉城徹に関する資料やエッセイが読ませる。

 

遠山景一「爾来(あれから)」より3首紹介する。

寸ばかりチューリップの芽あらはれて土のおもては雨去りにけり

ボサ藪の山河に歩み入りゆきしこころ安らにゆたかなりける

木石のごとしと人ら見るらめど後をもわれはかくありなむ

実に丁寧なうた。との印象。

 

本間サエ子「散り残る花」より2首紹介する。

ビルディングの屋上白くしぶきつつ来たる豪雨はいなづま光る

ふるさとの新米届き胸あつし米作らすはあと幾とせか

 

 

 


「鱧と水仙」第64号・藪の会

2025-03-08 11:05:21 | 短歌情報

「鱧と水仙」第64号・藪の会

 

才能&意欲溢れる同人誌。

作品も文章も充実。

 

「良いおばあさん」15首(山中もとひ)より4首紹介します。

 

はす向かいのソファの乳児に気に入られ良いおばあさんになる喫茶店

誰もみな無為ならずとは本当か朽木を食べる蜚蠊(ごきぶり)もある

冷え込めば列の前なる短コート去年の糸くずひらひらとする

迷っている戸惑っている考えない傍から見ればわたしはわたし

 

 


「短歌往来」3月号

2025-02-22 09:47:14 | 短歌情報

「短歌往来」3月号(ながらみ書房・2/20発売)

 

「子規庵に行くだけです」13首を発表しています。

5首だけ紹介します。

 

苦虫のようなる総理大臣が「楽しい日本」と言い出す始末

吉原の迎えを待っている男ではなく子規庵に行くだけです

待たせるも待つもまっぴら一画目を袈裟に斬り捨て侍となる

三艇を消して三艇残すだけデータはスマホが教えてくれる のに

へこむわれに「レンタルおじさんに向いてるよ」だしぬけに言うなんたる妹

 

 

 

 

 

 


佐藤よしみ個人誌「帆」39号 

2025-02-15 10:21:24 | 短歌情報

「帆」39号 佐藤よしみ個人誌

一首目の

 取っておいた月見うどんの満月が不意に破れぬ 不意は切なし

がとても好きです。「月見うどんの満月」という喩が良いですよね。

卵だけではなく何か不条理なものも感じられるのです。

と、歌友からLINEがあって佐藤さんにLINE転送しましたよ。

 

個人誌の良いところは結社誌や同人誌よりも

うたや文章を読んでもらえる可能性があるところ。

ボクの孤人誌「晴詠」は写真だけ見てもらってるようですけど。

 

では佐藤さんの「さくら散る」よりボクの好きなうたを紹介します。

 

ほどほどの寂しさなればうみかぜをほどほど浴びてまた歩みだす

不機嫌は伝染をする起き抜けの言葉は選びコーヒーを飲む

友の手に渡らなかったいちまいの葉書ちぎれば桜花のごとし

 

1首目は佐藤さんお住まいの横須賀の海が思われる。

2首目は孤独なボクにだってイヤなほど経験がある。

人間は一人が良い。失う哀しみを知らなくていいからね。

3首目はハガキをちぎるイメージが実感できる。