ついに触れざりき雛(ひいな)は姉のもの妹のもの愛嬢のもの
いままでも触れたことはないしこれからも
触れることはおろかじっくりと見つめる
こともないだろう。もちろん子供のころ
暮らしていた貧乏長屋でも見た気はするし、
ぼくに娘がいたころの家にもあった。
けれども何となく気恥ずかしく
チラ見はすれどじっくり見たことはなかった。
雛飾りで思い出すのは家庭をもったころ
いつものように夜遅く帰ると
ずいぶん立派な何段かの雛人形が飾られていた。
娘の初節句に近い夜だったのだろう。
リビングに腰かけて呆然とそれを眺めながら
「ああ、こんな飾りがおける一家の主になったのだな」
と、感慨に耽っているといつものように機嫌の悪い女の人に
「なに!?なんか文句あるの?!」と怒鳴られたのだった。
びっくりしてもうて何とも言われんかった。
早々のすれ違い、早々のすきま風やったんやなぁ。
画像は先日訪ねた茨城県桜川市真壁町のもの。
味噌醤油を作る旧家のもので、明治期のものだったかな。
そういえば今朝、お天気の依田さんが
この大きなひな人形をリポートしていた。
真壁では町をあげてひな祭りに取り組んでいるようで
この週末もにぎわうことでしょう。