教わる子供達の事も考えるべきだ。

2009-06-05 10:50:50 | 社会

分限免職の“不適格”元教員が2審も勝訴 大阪高裁
2009.6.4産経新聞


 教員としての適格性に欠けるとして
採用1年後に分限免職処分にされた京都市立小学校の元教員の男性(36)が、
市に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が4日、大阪高裁であった。

 赤西芳文裁判長は「処分は裁量権の行使を誤っている」として、
取り消しを命じた1審京都地裁判決を支持、
市側の控訴を棄却した。

 また、赤西裁判長は新規採用教員について、
「職務成績が十分でなかったとしても直ちに分限免職の対象となるとはいえず、
 将来成長していく資質・能力の観点から判断するべきだ」
との判断を示した。

 弁護団は
「処分の基準が示されたのは初めてではないか。
 教育行政の透明化に向けた警鐘になる」
と話している。

 判決によると、男性は平成16年4月、
京都市教委に1年間の条件つきで採用され、市立小学校で勤務。

市教委は男性が「適格性に欠け、勤務実績が不良」などとして
17年3月末で分限免職処分とした。





分限免職というのは

===================

公務員に対する「身分保障の限界」という意味で、
組織の能率的運営の維持・確保を目的として行われる免職のこと。

具体的には、財政悪化などに伴う人員の整理削減(いわゆるリストラ)や
事故・災害による長期間の行方不明、
心身の故障等による職務への従事不能・勤務成績不良、
公務員として適格性を欠くこと、などを理由に行う免職である。

==========================

とあり、

「適格性に欠け、勤務実績が不良」であることは

充分に分限免職の要件を満たす。


この事案の場合裁判官は

『将来成長していく資質・能力の観点から判断するべき』

だと言うが、


そもこの男性は1年間の条件付で採用されており、

民間で言えば『試用期間』のようなものではないのか。


試用期間に当該人物が不適応であると判断されれば、

民間ではもちろん解雇(不採用)となる。


又この事案で『分限免職』が認められないと言うのなら、

『分限免職』なるものは現実には適用が極めて困難で、

『分限免職』という言葉自体が形骸化されたものとなるだろう。



しかもこの男性は二十歳前後の無分別な年齢とは違い、

36歳ともうすでに個体としての人格が

固まっていると判断してよい年齢であり、

市教委の判断が適正であると、私は思う。




その前に、裁判官が、

この教師から教育を受ける子供たちへの影響を

いささかも考慮していないように見える事

が気になる。




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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
へ? (心の地図)
2009-06-05 18:38:21
校長や教頭がボロクソに「不適格」評価すりゃ、思い通りに平教師切れるのが今の文科省の方針ってことでしょ?学校や地域は千差万別。恵まれた学校に赴任すりゃ適当にやっても正式採用安泰、ひどい学校に決まったらイバラの道。使い捨てでポイっとな。
そもそも、他の記事や新聞で、管理職の評価が信用ならんってこと書いてあったの見た?つまり、ハメられたって事でしょ?
パワハラの香りがプンプン鼻につくけどな。
返信する
心の地図さん (P@RAGAZZO)
2009-06-06 11:08:51
まぁ、これでも読みなさい。

===========

「今年の担任はアタリ」 教師の指導力 やる気左右


新年度を迎えるたびに、保護者の間でこんな会話が交わされる。
「うちはハズレ」「お宅はアタリね」。
新たに発表される、わが子の担任をめぐって。
 
 福岡都市圏の中学校に通い、今春で2年になった息子を育てるヒトミ(50)の場合、
「アタリ」だった。
 
 1年生のころに理科を習い、息子の評は「何でも話せる好きな先生」。
家族にアルコールランプの実験を熱心に説明するなど、相性の良さは学習面でもプラスに働いた。
実際に理科の成績は伸び、自分から机に向かう時間も増えたという。
 
 「理科の授業がある日はやる気満々で登校するようになりました。
 先生が科学への興味を引き出してくれたみたい」。

どの科目も、クラスメートについて行けなかった息子。
それだけに「授業が楽しい」との言葉を聞けるだけで安心する。
 
 「担任や教科担当次第で子どもの1年間の学習、生活すべてが左右されるんです」。
もしも「ハズレ」を引いてしまったら…。
 
 
 また始まった。
「この戦闘機の殺傷能力を知ってるかな?」。
国語の授業のはずなのに。
教室に、あきらめムードが広がった-。
 
 九州北部の中学校。3年生のハナエ(14)は、
1年生のころに体験した授業風景を、今でも思い出す。
国語担当の男性教諭は「軍事オタク」だった。
 
 迷彩服姿でパイロットと肩を組むスナップ写真、
航空ショーで曲技飛行を演じる自衛隊機のパネル…。

見せびらかしては「かっこいいだろう」と自慢する。
国語とは無縁の趣味の話題が、終業のチャイムが鳴るまで続いたこともあった。
 
 そんな調子だから、定期考査の出題範囲まで終わるはずもなく
「あとは教科書を読んでおけ」。

生徒は口々に不満を訴えるようになり、親も抗議した。
だが、聞く耳を持たない。
ほぼ1年、苦痛の時間は続いた。
 
 「こんな先生じゃ勉強できない」。
気力をそがれたハナエは、定期考査が迫っても
国語だけは試験勉強を“放棄”した。

結果、通知表の国語の欄には「1」や「2」が並んだ。
 
 受験生となった今、
ハナエは国語の遅れを取り戻すのに苦戦している。
そんな姿に、母親(44)は
「娘の学ぶ権利を奪い取ったも同然。許せない」
と憤る。

2009年6月2日西日本新聞
返信する
ほう。 (心の地図)
2009-06-28 18:47:42
この先生は「ハズレ」だったのね?
どんな人物か知ってるの?
管理職がどんな人物か知ってるの?
調査は客観的かつ公正な形で行われたの?
報道だけじゃ何も分からんが、ひょっとしてPさん、関係者?

「理由をでっち上げて不当な解雇に追い込む」なんて手口は、企業でも普通にやってるよな。
それで労働裁判があちこちで頻発してるのも、全部労働者が悪いの?

この先生がどんな人物か知らんけど、マスコミや行政の言い分だけ鵜呑みにしていると、底が知れますよ。都合の悪いことは全部個人責任論に逃げるからな、奴らは。年金問題なんかそうでしょ?
Pさんには、より慎重な分析と発言を求む。
返信する
 (P@RAGAZZO)
2009-06-29 11:30:40
>>他の記事や新聞で、管理職の評価が信用ならんってこと書いてあったの見た?

>>マスコミや行政の言い分だけ鵜呑みにしていると、底が知れますよ

片方で新聞の記事を見ろと言い、
他方でマスコミを信用するなと言う。

底が知れるのは誰かね?
返信する
分析 (心の地図)
2009-07-01 01:32:08
まあまあ、そう怒らずに。別にPさんとケンカする気は一切無いです。

まずはこれを見てよ。…「分析」とは↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E6%9E%90

要はPさん、あなたの論は、残念だけど今のところ情報不足。ゆえに多面的な分析に欠けていて、非科学的だと言いたい訳です。致命的なのは、何ら反証がなされていないこと。考えられる可能性を考慮できていないことこそが、最大の弱点です。
所詮は新聞記者もヒトであり、ヒトが作る記事だからこそ疑ってかかること、批判的思考は大前提です。最近の冤罪事件はPさんも知ってるでしょ?あの事件は誰もが非科学的な物証をもってこぞって犯人を仕立て上げ、結果として一人のヒトのかけがえのない一生を奪ったわけで。

Pさん、あなたがどれだけの情報を精査し、考察したかは知らない。かく言う私もこの先生本人や処分当時の状況まで知らんからPさんと同じだわな。

けど、もし私が「ダメ社員(先生)」と決め付けられて上司(管理職)からあることないこと会社の経営陣(教育委員会)に報告されてクビにされたとしたら…私だったら事実無根だと激烈猛抗議するけどな。Pさんは違うのか?

ただ、そんな私でも4・5年やっても復職できない裁判なんて、よっぽど自信ないとやらんな~。だって、行政相手の訴訟の9割方は原告(住民側)が負けてるんだよね、この国の裁判は。三権分立なんて嘘っぱちだよ!ふざけやがって!!
で、そんな国でこの先生が地裁も高裁も勝ったところを見ると、よっぽど教育委員会がデタラメな処分をやっちゃったんじゃねーの?って思えるんだよねえ。じゃなきゃ裁判所も国(文科省)を敵にまわしたりしないでしょ。彼らも役人だし。

無実を抗議してもクビが覆らないなら、どうするかねえ?校長や教育長殴ったら逮捕されるだけだし、そんな忍耐強くないので、私だったらやっぱり泣き寝入りか?とほほ…。
返信する
心の地図さん (P@RAGAZZO)
2009-07-01 11:27:35
いやいや、冷静に話をしていただければ私もそのように対応しますよ。


>>あなたの論は、残念だけど今のところ情報不足。ゆえに多面的な分析に欠けていて、非科学的だと言いたい訳です。
致命的なのは、何ら反証がなされていないこと。

非科学的とは何を指すのか良く理解できないが、
情報不足はそのとおりですね。
でしたら心の地図さん、この教師が本当は優秀であったという情報を出してください。
であれば、私は反論があれば反論しますし、
納得すればそのように記すでしょう。

非科学的な物証と言われるが、裁判長自身が
『職務成績が十分でなかったとしても』と、彼の成績不十分を認めていますよ。

また、反証とは何に対する反証ですか?
もし「職務成績が十分でなかったとしても直ちに分限免職の対象となるとはいえない」
という判決に対する反証でしたら、

>>分限免職というのは
公務員に対する「身分保障の限界」という意味で、
組織の能率的運営の維持・確保を目的として行われる免職のこと。
具体的には、財政悪化などに伴う人員の整理削減(いわゆるリストラ)や
事故・災害による長期間の行方不明、
心身の故障等による職務への従事不能・勤務成績不良、
公務員として適格性を欠くこと、などを理由に行う免職である。
とあり、
「適格性に欠け、勤務実績が不良」であることは
充分に分限免職の要件を満たす。

と論拠を述べて反論していますよ。



>>もし私が「ダメ社員(先生)」と決め付けられて上司(管理職)からあることないこと会社の経営陣(教育委員会)に報告されてクビにされたとしたら…私だったら事実無根だと激烈猛抗議するけどな。Pさんは違うのか?

私であれば、時事無根であれば、
受け持ちクラスの成績向上の実績を示すなどして抗議の根拠を示すでしょう。

市教委は「適格性に欠け、勤務実績が不良」と言っており、
裁判官もその事実を認めている以上、
彼が『成績不十分であった事』は裁判で争われていません。



>>そんな国でこの先生が地裁も高裁も勝ったところを見ると、よっぽど教育委員会がデタラメな処分をやっちゃったんじゃねーの?

あなたの推測であり、論拠が無い。
裁判の結果が全てであると言うのであれば、
>>最近の冤罪事件はPさんも知ってるでしょ
というあなたの主張と矛盾するのでは?

気持ちはわからんではないが、
心の地図さんは私に科学的物証をとおっしゃっているのあるから、
是非、「教育委員会がデタラメな処分をやっちゃった」という物証を出してください。

科学的である事は、ある推論を生み出しますが、
推論過程において
「適切な証拠から、適切な推論過程によって演繹されたものとみなせること」
が要求されるわけですから、
証拠を出さなければただの憶測だと言われても仕方がないのではありませんか。
返信する
調べました。長くなって申し訳ない! (心の地図)
2009-07-02 00:42:34
証拠を出さなければとのPさんの指摘…本当だわ。失敬、失敬。私の論拠を出さないと、私もただの批判じゃん。調べてみてかなり私も勉強になったよ。
で、まずコレ。

大阪高裁、教員の免職取り消す 「将来性で判断を」
 京都市立小学校の教員に新規採用した男性(36)を、1年間の試用期間中に「指導力不足」を理由に分限免職にした市教育委員会の処分の適否が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は4日、一審京都地裁に続き、処分を取り消した。
 赤西芳文裁判長は判決理由で「試用期間中の教員は経験が足りず、職務成績が不十分でも、将来成長する資質・能力があるか、という観点から判断するべきだ」と指摘。
 その上で、男性が担任するクラスが学級崩壊になったことについて「支援態勢が不十分で、能力不足が主な原因とはいえない」と判断。「男性の資質で職務に支障が出るとはいえない。管理職の評価は疑わしく、処分は誤り」と認定した。
 判決によると、男性は2004年4月に採用され、5年生の担任になった。市教委は05年3月31日付で分限免職にした。
2009/06/04 17:32 【共同通信】

処分した市教委が「適格性に欠け、勤務実績が不良」と正当性を主張しているのは当然です。裁判やってるのに「適格性があり、勤務実績が良いけど、処分しました」じゃあ、勝てるものも勝てないでしょ。

裁判所の判断は「支援態勢が不十分で、能力不足が主な原因とはいえない」であり、「男性の資質で職務に支障が出るとはいえない。」と、資質問題を認めてはいませんね。さらに、「管理職の評価は疑わし」いとして、処分の一番の理由となった管理職による評価からして信用できないという判断がされていますよね。
これらを総合すると、きちんとした支援体制も無いまま、学校で起こった問題の責任を新人教師一人に押し付けて処分した。こう考えると一番しっくりきませんか?少なくとも、有り得なくはないでしょ?

さらに地裁段階の記事も発見!

指導力不足の分限免職は違法 京都地裁 
2008.2.28 20:43
このニュースのトピックス:民事訴訟
 京都市立小学校の教諭に採用された後の試用期間中に、指導力不足とされ分限免職になったのは違法として、同市の男性(34)が市に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が28日、京都地裁であった。中村隆次裁判長は「処分理由は客観性に乏しく、市は裁量権の行使を誤っている」として、免職処分の取り消しを命じた。
 判決で中村裁判長は、市側が処分理由として挙げた35項目のうち、22項目については事実ではないか、事実であっても教員としての評価には影響しないと指摘。さらにテストの採点が遅れたことや、受け持ったクラスが学級崩壊状態にあったなどとする残りの13項目についても、「学校の新任教員への支援態勢に不十分な面があった」と認定した。
 判決によると、男性は大学卒業後、小学校などの講師を経て平成16年4月に採用。1年間の試用期間中に、小学5年生を担任したが、市教委は学習指導、生徒指導の両面で男性の力が著しく不足しているとして17年3月に分限免職し、男性は正式採用されなかった。
 市教委教職員人事課の話 「児童の教育保障のためには必要で妥当な処分であったと考えており、残念な判決だ。控訴を考えたい」

仮にも1人の職を奪っておきながら、処分理由のうち22/35は事実無根か、取るに足らない些細なことって判断。残りの13項目はいい加減な支援体制って事でしょ。つまり市教委の処分理由は全部却下ってことじゃない?

さらに…

新採教員の分限免職事件 大阪高裁勝訴!
2009年6月5日
弁護士 渡辺輝人
事案の概要
  本件は、2004年4月に京都市に新規採用された教員であるTさんが、1年間の条件附採用期間中である2005年2月24日に分限免職処分されたことについて、Tさんが処分の取り消しを求めて提訴して第一審で勝訴後、京都市が控訴していたものです。
  提訴後、地裁判決までの状況は、「まきえや」2008年春号「新採の先生をつぶすな~分限免職処分を取り消す画期的な判決~」(藤澤眞美弁護士)で報告したとおりです。
大阪高裁の判決
  高裁の審理では、京都市は新たにTさんの同僚だった教員2人の証人尋問を申請しましたが、出廷した同僚がTさんのクラスの状況についてあまり問題を感じていなかった旨供述するなど、分限免職の根拠がないことがさらに明らかになりました。
  大阪高裁は、2009年6月4日、京都市の控訴を棄却する判決を下しました。判決は「具体的な事実関係において、<筆者註:分限免職処分が>裁量の範囲内にあるかどうかは、結局、行政処分庁の処分の前提として、職場での教員の指導・評価に当たる管理者等が、条件附採用期間の推移をみても当該教員が教員としての適格性を欠き、職務の円滑な遂行に支障を来すといわざるを得ず、それが、今後の、経験、研さんによっても改善される可能性が薄いと判断し、その判断が客観的で合理的なものであることが必要といえる。また、そのためには、被控訴人が新採の教員であることから、職場における適切な指導・支援体制の存在と本人が改善に向けて努力をする機会を付与されたこと、ある程度の整合的・統一的な評価基準の存在が前提となるといえる(もっとも、これらの点は、具体的な事実関係に照らした総合判断的要素の面がある。)。その場合、個々の事象の評価に過度に拘るのではなく、一定の時間の経緯の中で評価すべきであり、また、教員の児童に対する指導方法については、裁量的な余地があることは否定できないから、主観的な評価の入る余地のある出来事を評価対象とすることはできるだけ避け、できる限り客観的で安定した方針の下で、今後の経験、研さんによっても、教員としての適性が備わることが困難であるかどうかを検討するのが相当である。」と述べました。
  大阪高裁は、その上で、本件について「児童や保護者らが被控訴人に対する信頼を失ったとすれば、その一因は、管理職や学校の被控訴人に対する態度にもあり、学級崩壊の原因も被控訴人の能力不足が主たる原因であるとは即断できず、管理職らの指導・支援体制も必ずしも十分でなかったなどの事情からすれば、被控訴人には簡単には強制することのできない持続性を有する資質、能力、性格等に起因してその職務の円滑な遂行に支障を生ずる高度の蓋然性があるとはいえないし、管理職等の被控訴人に対する評価が客観的に合理性を有する者か疑わしいと<筆者註:原判決は>判断したものであり、前提となる事実関係の認定評価として是認できる。」としました。
大阪高裁判決の評価
  昨今、教員の働き過ぎ、過労死、うつ病等の疾病よる休職等が社会問題化しています。新採教員もすさまじい過労状態におかれ、十分な教育実践もままならず、なかには精神疾患を患う中で、教育委員会の恣意的な評価によって「不適格」の烙印を押され、「依願退職(という名の退職強要)」したり分限免職を受け、教壇を去らなければならない事態が多数発生しています。
  大阪高裁判決は、Tさんに対する処分を取り消した地裁判断を維持した点自体で画期的ですが、それだけに留まらない意義を持っています。大阪高裁判決は、新採教員の評価のあり方について、上記の通り、従来の判例よりかなり踏み込んだ判断を行いました。これまで各地の教育委員会が極めて恣意的に行ってきた新採教員に対する評価を厳しく戒め、客観的な基準と継続的な事実評価、経験の蓄積・研さんによる改善可能性の有無の判断を求めたものであり、述べられていることは当たり前のことでありながら、従来の判例と比べれば極めて画期的な判断をしたと言えます。
  また、評価の前提として「本人が改善に向けて努力をする機会を付与されたこと」に言及している点も高く評価できます。この考え方を敷衍すれば、新採教員が極めて多量の業務を強いられ、自己研鑽の機会すら奪われている状況で適格性の評価を行ってはならないことにもなり得ます。この判決は新採教員の過労が横行する現状自体に警鐘を鳴らしたものと言えましょう。
(京都第一法律事務所HP)

ちなみに…「反証 - ある仮説、命題、主張などが間違っていると証明すること」つまり、反証=反論ではありませんよね。

実は私は、Pさんがこの教師を良く思っていないのは、ご自身の経験則によるものではないかと仮定してみたわけです。
市教委の主張を前提にして、様々な予断・可能性に目をつぶる理由は何か?見たことも無いヒトをやすやすと否定し、糾弾できる根拠は何か?Pさんは、学校に絶大なる信頼を寄せてきたので、学校管理職の決定に疑う余地を感じていないのではないか…と。仮に学校や教師に嫌悪感を持っているなら、市教委や管理職がいかに理不尽でやりたい放題かも、とうに知ってるはずですし。

さ、今度はPさんの番ですよ。「この教師が実に劣悪であったという情報」と、「教育委員会が公正で客観的な処分を行った物証」。実のところ、これらが揃えば、実像により近いものが浮かび上がってくるかもしれませんね。
返信する
ありがとうございます。 (P@RAGAZZO)
2009-07-02 13:31:25
心の地図さん、こんにちは。

いや、よく調べられましたね、ありがとうございます。
観念的でなくこのように具体的に話をしていただければ、お互いにこの問題が良く理解できますね。

しかし、これらの中のどこに『教育委員会がデタラメな処分をやっちゃった』という物証があるのですか?

むしろ、テストの採点が遅れたことや、受け持ったクラスが学級崩壊状態にあった(支援体制が充分でなかったともありますが)ことは否定されていませんから、
市教委がデタラメとは断言できないのではないでしょうか?


さて、
心の地図さんと私の争点である、
この教師が『成績不十分』であったかどうかですが、

市教委は「適格性に欠け、勤務実績が不良」と言っておりますね。

原告は「勤務実績が不良」については争っておらず、「適格性」については長い目で見るべきであり市教委の判断は恣意的であると言っています。

判決文においても
「職務成績が不十分でも、将来成長する資質・能力があるか、という観点から判断するべきだ」

と、『この教師が現在成績不十分である事』は3者とも認めており争われていません。

つまり、彼は『成績不十分であった』と見てよいのではありませんか?



私はこの問題の争点は分限免職の解釈の違いにあると思います。

分限免職が
公務員に対する「身分保障の限界」という意味で、組織の能率的運営の維持・確保を目的として行われる免職のこと。
具体的には、財政悪化などに伴う人員の整理削減(いわゆるリストラ)や事故・災害による長期間の行方不明、心身の故障等による職務への従事不能・【勤務成績不良】、公務員として適格性を欠くこと、などを理由に行う免職である。

である以上、市教委の判断は分限免職の裁量範囲である。
と、私は解釈しますね。
返信する
京都第一法律事務所のHPより。 (心の地図)
2009-07-04 23:23:50
Pさんの指摘から、「実際の裁判がどう進行したのか、そして何が明らかにされたのか」が知りたくなって、先日の記事のリンクからさらに「地裁」の内容を探してみましたよ。

新採の先生をつぶすな
~分限免職処分を取り消す画期的な判決~
弁護士 藤澤眞美
  2008年2月28日、京都地方裁判所の中村隆次裁判長は、京都市教育委員会が京都市立小学校の新採教員に対して下した分限免職処分を取り消す判決を言い渡しました。同判決は、教育行政の裁量を広く認める流れの中で、教員の指導力を理由とするやみくもな解雇(分限免職)処分に対して警鐘を鳴らす画期的な判決です。

新採の先生に対する集中的な攻撃
  Tさんは、2004年4月1日付で京都市立小学校の教員に採用されました。公立学校の先生は、採用後1年間「条件附採用期間」とされ(一般公務員は6カ月間)、担任などをしながら、指導教員の下で初任者研修を受けた後、1年間の勤務成績などによる評価を経て正規採用となる仕組みになっています。しかし、実際は採用当初からあらゆる業務を一人前にこなすことが要求され、多くの新採の先生がまともな指導を受けることなく過重な仕事量の中で体調を崩すなどして現場を去っていっています。

  2002年ころから、いわゆる「指導力不足教員」が問題化される中で、教育行政は、この条件附採用という不安定で、しかも手続きの保証も不十分な新採の先生に目を付け、集中的に攻撃をしかけています。実際、新採の先生で正式採用とならなかった教員の数は、2003年度採用が111人、2004年度採用が191人、2005年度採用が209人、2006年度が295人と、次第に増えています。このうち最も多いのは病気を理由とする「依願退職」ですが、多くの先生は今述べたような勤務実態の中で「つぶされてしまう」のです。

  そして、「正式採用」されなかった先生の中には、T先生のように「成績不良による不採用」も含まれています(2006年度採用の場合で4人)。希望に燃えた新採教員のなかで、1年もたたないうちに辞めていく(辞めさせられていく)者が年々増加しているということは大きな問題です。

事実関係の調査さえされないまま強行された分限免職処分
  Tさんのクラスはいろいろな困難を抱えた子どもたちがいましたが、Tさんは個別指導や家庭訪問を繰り返すなど子どもたちの教育活動に熱心なだけでなく、校務分掌など他の教員としての仕事もきちんとこなし、無断欠勤や遅刻、書類の提出遅れなどもなく、研修は常に一番前の席で受けて講師に熱心に質問するなど、真面目に地道に教員一年目を過ごしていました。

  しかし、年度途中から授業中にクラスがざわついている等の理由から管理職から厳しい指摘を受けるようになり、9月には通常の業務と研究発表の準備に追われる中で、さらに毎日1時間分の授業指導案を提出するよう指示されました。

  Tさんは毎日2~3時間の睡眠で業務をこなしていましたが、忙しすぎて常時疲労蓄積状態となり、後期の初めには高熱が出て休まざるを得ない状況に追い込まれ、また、子どもたちとの触れあいが減ったため、ますますクラスがうまくいかない事態に陥ってしまいました。

  それでも、Tさんは学芸会の脚本を子どもたちの意見を聞きながら一から作成するなど、必死に努力を続けました。

  ところが、京都市教委は、校長などの一方的な情報を根拠に、事実関係の調査をきちんとせず、また、Tさんの主張をまともに聞くこともなく、2005年3月31日付で分限免職処分を強行しました。

Tさんは、この処分に納得がいかず、2005年5月27日に処分の取り消しを求めて、京都地裁に提訴しました。

「指導力不足教員」をめぐる42の攻防
  本件裁判における争点は大きく4つありました。

  本件は学校の先生に対して、責任感が欠如しているとか、指導力が不足しているとか、授業の方法が不適切であるとか、あるいは向上心がないとかそのような学校の先生の教育の指導力という抽象的な理由で、市教委が分限免職をしたという特殊性をもっています。

  したがって、第一に、教育の力量のレベルというものを新規採用の先生にどのような基準でどの程度求めるのか、どのレベルを切ると、分限免職の理由となるのかということが争点になります。それはもちろんベテランの先生と同程度に求められるものではないはずですが、この点被告側はTさんについて42項目にもわたる問題点を主張してきました。それは例えば、後期授業の始業式の日に熱を出したのは本人の健康管理が悪いからだとか、児童をきちんと整列させることができないとか、微に入り細に入る、まさに重箱の隅をつつきまわすものでした。

  第二に、これら42の免職の理由についてほとんど事実確認がまともにされないままに分限免職されたことが争点となりました。裁判では、これらの一つ一つが事実ではないこと、あるいは事実の一部だけを取り上げて問題化し全体的な教育の流れでとらえていないことなどを明らかにしてきました。

  第三の争点は、新任の先生に対して管理職側が何ら系統的な指導をしてこなかった点です。新任の先生に対しては、学校長、教頭、教務主任、学年主任、そして指導担当教員とあらゆる指導者がいるわけですが、それぞれが個々ばらばらにあるいは単発的に指導をしており、学校が新任の先生をどのように教育力量をあげていくか視点がまったくありません。系統的に指導したという資料ももちろんありません。

  第四に、9月以降毎日2~3時間しか寝る時間が取れないというTさんが実に過密な仕事量の中で、児童達と十分な接触をもちおおらかな教育をする機会を奪われてきたという点です。中でも、数時間の授業準備や研究授業の準備に加えて、毎日1時間分の指導案を提出するように言われたことはTさんの継続的な過労状態を引き起こすことになりました。

管理職側の責任を厳しく断罪した判決
  今回の判決は、市教委が主張する42の免職理由を、裁判所の観点で35項目にまとめ、そのうち、10項目についてはそもそも事実自体がないという判断をし、市教委がいかに事実調査をしないまま免職処分を強行したかを明らかにしました。

  また、12項目については、事実は認められるとしても教員の評価には影響しないとしました。

  残る13項目については、原告の指導に不適切または不十分な面があったと判断しましたが、それは一概にTさんの責任感の欠如とは言えず、子どもたちや保護者の方がTさんに対して信頼を失ったとすれば、その一因は管理職や学校のTさんに対する態度に問題があり、管理職のTさんに対する評価が客観的に合理性を有するか疑わしいと指摘したのです。

  今回の判決に対して、京都市教委は即刻控訴をしてきました。これからが闘いの正念場となります。全国の学校で子どもたちの困難と向き合って、日々がんばっている先生方に対して、今回の判決が大きな励ましになったことを大切にして、控訴審でも勝ち抜けるようご支援をお願いします。
「まきえや」2008年春号

こうして見ると、実に42もの項目を列挙して「成績不十分であった」ことの証左として勤務実績の不良を主張した市教委に対して、認定されたのは13項目だけ。勤務実績不良事実の有無もちゃんと争われたみたいですな。
29項目も認定できない処分理由を挙げても、裁量範囲って言っても良いんでしょうか?
しかもそれ以外も「一概に責任感の欠如とは言えず」、「一因は管理職や学校の態度に問題があ」ったと判断されていて、純粋な本人の資質責任は認定されなかった様ですよ。

処分が分限であれ懲戒であれ、人事処分の前提条件としては、成績不良が客観的・多面的に見て事実かどうか、それを物語る情報は本当に確かなのか、公平に見て経験や修練を積んでも容易に改善できない程のものなのか、それらを精査しておくことは必要不可欠ですよね。
しかも、免職はこれらの処分では最も重いものです。仮にも「間違ってました」では済まされない類のものです。

Pさんのおっしゃる通り、私も市教委が徹底的な事実関係や調査を行い、本人主張とすり合わせて丁寧に判断した様であれば、裁量の範囲内と思います。現にトンデモ教師はいますから。
でも、この先生の場合は高裁でも市教委が用意した元同僚の証人が、出廷した同僚がクラスの状況についてあまり問題を感じていなかった、と供述してます。何ていうか、「きちんと手順を踏まえた処分」って匂いがどこからもしてこないんですよね…。
私が『教育委員会がデタラメな処分をやっちゃった』って思うのは、この辺りなんですよね~、きっと。
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なるほど、、 (P@RAGAZZO)
2009-07-05 11:08:16
心の地図さん、こんにちは。

なるほどなるほど、、
このレポートが原告側の弁護士側から出されているものであるとしても、
市教委の事実誤認や恣意的な判断部分が多々あるようですね。

しかし、当該教師が多少不器用な点もあり
現時点ではクラスの運営や指導実績に支障もあったようですね。

いや、勉強になりました。
ありがとうございました。

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