6者協議の合意はナカナカ面白い。

2007-02-14 12:35:14 | 時事
昨日、難航していた6者協議でどうにか合意文書が採択されたようだ。

取りあえずは核施設の閉鎖で重油5万トン、
北朝鮮が無力化(永久的機能停止)を履行すれば残りの95万トンを提供するというものだ。

これに関し、日本の対応は『拉致問題の進展が無い』という理由で、
当面この5万トンの重油提供負担には応じない。

今朝の国内5大紙の社説に目を通すと、
やはり朝日は
『だが、いずれにしても北朝鮮の核放棄が実現に向けて動き出すとすれば、日本も積極的にかかわっていくべきだ。
 安全保障上の大きな国益がそこにかかっているからだ』
などと相変わらず中朝韓のスポークスマンみたいなコメントを出しているが、
他の4紙は概(おおむ)ねこの日本の対応に好感を示している。


今回の合意は北朝鮮の勝ちだとか、日本はしてやられた、
などの反応をしている向きもあるが、私はそうは思わない。


今回の合意はナカナカ面白い。


まず日本にとっては、
拉致の進展は無かったが、これは元々無かったのであり、
核の当面の脅威が消えたことは歓迎すべきで、しかもその代償を取りあえず負担する必要が無く、
これは小さな勝利である。

北朝鮮にとっては「核」というカードで、それ以前は有りもしなかった経済援助を受ける可能性が出たわけで、
大きな果実を手にしたつもりだろう。

韓国はもともと自国一国でも北に経済援助をしたくて堪らなかったのであるから、
これを他の4国と分担できるという事で喜んでいるだろう。

ロシアは北朝鮮に80億ドル(9600億円)の債権があり、
これを北朝鮮が返済しなければ経済援助できないという法律があり、
重油5万トンの援助に「参加できない」と早々に表明し、
その代わりにこの「80億ドルの90%を帳消しにします」などと人の良いような事を言っているが、
この帳消し話は、
既に北朝鮮がロシアに地下資源の開発権を手渡し、港湾を無償で貸し出すことを前提に申し出ていた話で、
実質ロシアは何も負担しない。

中国はこれで北朝鮮がしばらくは体制を維持し、崩壊による難民流入や混乱を免れ、
しかも議長国としての面子も保たれたと喜んでいるだろう。

米国は一番厳しい対応を迫られた。
結局米国が手にしたのは、取りあえず核の拡散は未然に防げたのではないかという事と、
一応極東はこれで収めて、中東に専念しようという事だろう。
ただ北朝鮮に対する経済支援は米議会が簡単に承認するとは思えず、もう一波乱が予想される。



とまぁ、表面上、各国一応の果実は有ったわけである。


しかし良く各国の事情を見ると判るが、実際の経済支援は

①日本は拉致で不可能
②ロシアは80億ドルの問題で出来ない。
③米国は議会が簡単に承認しない。

と5カ国の内3カ国が不参加また履行不明であり、
すんなり出すのは中国と韓国の、元々何もなくても経済援助をしていた国だけなのである。


あはは、、、そういう意味で、私はこの合意を『ナカナカ面白い決着』であったと思っている。


ただ、、、、
これを契機として国内に『核保有論』が再燃するであろう。






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