陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「アイアンマン」

2011-02-24 | 映画──SF・アクション・戦争
アメリカンコミックの映画版には、あまりいい手応えを感じていませんでした。
2008年のアメリカ映画「アイアンマン」は、アマゾンのレヴューではおおむね好評だったので期待していたのですが…。
ファンには申し訳ない、以下、残念なレヴューです。

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武器の製造を手掛ける巨大企業スターク社の若き経営者トニー・スタークは、ある日、アフガニスタンで新作のデモンストレーションを行ったあと、武装集団に拉致される。おなじく誘拐されていた医者とともに、ひそかにパワースーツを開発し脱出した彼は、帰国後、平和に目覚め武器製造から手を引くと宣言するのだが…。

いわゆる変身ヒーローものなのですが、ストーリーはいたって単純そのもの。
「スパイダーマン」(あれもシリーズ三作目になると飽きるんですけどね)みたいな変身して闘うことへの秘匿性とか、顔なじみであった敵方への情で葛藤があるとか、そういう人間ドラマはいっさいありません。
この辺はエンターテインメントだからと割り切ってみるしかないのかもしれませんが。
最初は、舞台がアフガニスタンからはじまっていてリアリティも交えておもしろく感じられたのですが、かえってその現実味が重荷となって、戦闘部分が陳腐に感じられてくるのです。
アイアンマンに変身できるまでの製造過程にちまちま時間を割きすぎたのも、興ざめ。仮面ライダーにしても、ウルトラマンにしても、瞬時に着脱できるからいいんですって。科学手的な裏付けなんていらんでしょうに。というか、いかにもSFちっくな凝った設定なんてなしに、メカマニアの男が趣味の工房でつくったような感じでしたので、がっかりでした。

主演俳優が若く見えない(失礼、でもあのヒゲ面はちょっと…)のも、損してるような気がしました。
アメリカでは受けるんでしょうけど。日本の特撮のほうが、はるかにおもしろく感じられます。

変身して強化スーツでバトルって、いわゆる、武士の鎧なんですよね。
生身では軟弱で丈の劣る日本人ならではの発想からすれば、アメリカ人はやっぱり肉体美を生かしてふつうに殴る蹴るしてくれるか、してくれたほうがはるかにかっこいい。

舞台をアフガニスタンにしたことは、アメリカのイスラム社会=テロリスト・凶悪犯罪組織という刷り込みを子どもたちにしたい、という政治的な意図も感じさせます。

日本だと勧善懲悪のヒーローものでも、敵方を魅力的に描くんですよね。
その思い入れの違いなのかな、という気もなきにしもあらず。
でも原作コミックは、1960年代で、パワードスーツを手がけたSF漫画の先駆け。鶏よりも卵がすばらしいという論調に陥っていることは否めないのですが、この映画がお好きな方はけっこうお年を召した方々なのでしょうか。

主演は「シャーロック・ホームズ」のロバート・ダウニーJr.。
演技力には定評があるも、過去にスキャンダルも多く、本作では絶賛されたそうですが。
共演はテレンス・ハワード、グウィネス・パルトロウ。
監督は「恋愛適齢期」「ディープ・インパクト」のジョン・ファヴロー。

なお本作は2010年に第二作が公開され、2013年公開予定の第三作も決定しています。

(2011年2月20日)

アイアンマン - goo 映画

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