陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

成人式よりも正人式を

2017-01-09 | 教育・資格・学問・子ども

その日が15日でなくなったせいで、いまいち実感が湧かないのですが、きょうは成人の日。子供のころ、大人になったらうるさい親から自由になるぞ、酒が飲める、煙草も吸える(私はお酒も紫煙も大嫌いですが)、車も乗れる、とにかくできることが増える、と思っていたものです。人によったら異性を知ったら、という考えもありますよね…。

さて毎年、成人式といいましたら、派手な格好とか暴走するとか私語多いとか、とかくイマドキの若いモンはどうたらと文句垂れがちなイベント。ところが、今年はなんと福岡のとある市長は、賭けマージャンをしたせいで無断欠席、しかも言い訳が見苦しい。

私、思うのですけど、今の若い子すべてがすべてひどいわけではないですよね。
言動に問題があるのは年代問わず。むしろ、いい中高年のほうが子供っぽくて、無責任で、若い世代から呆れられていることもあります。いまの20代、学歴にしても圧倒的に大卒が多いですし、子供のころからITに親しんでいますから情報に接する機会も多い。しかも、バブル世代と異なって金銭感覚にシビア、見栄っ張りなモノの大量消費よりも必要最低限なサービスのシェアを好む賢い消費者になっています。外見もモデル並みにすっきりした子が多いですよね。そのいっぽうで、青少年が消費者契約で詐欺に巻き込まれたり、またブラック企業やブラックバイトで酷使される被害も目立ちます。自己の権利保護に敏感な世代でもあります。

いま、企業も公務員も50代の給料を減らし、結婚や出産で人口増に貢献できる20代、30代の労働者への保障を手厚くしようとしています。すなわち、30代までのうちに、それなりに仕事のキャリアを築き、しかも所帯を持っている人でなければ、「まともな大人」と見做さないという、暗黙の了解が形成されつつあるのです。中高年で大企業に勤めていても肩たたきがはじまり、公務員でも郵便局や社保庁みたいに、部署の統括や廃止で失職する可能性もあります。また、現役世代への負担軽減のため、本年から年金受給者の支給額を、物価ではなく賃金に合わせて増減させるシステムに変更。つまり働き手のお給料が増えないと、お年寄りや障害者、遺族の生活保障も期待できません。65歳以上の高齢者でも能力があれば再雇用が促され、雇用保険加入が義務付け。さらには、75歳からを高齢者と定義しようという動きまであります。

つまり、昔に比べますと、20歳から60歳までの40年間どころか、「現役の大人」としては、かなり長く、しぶとく、健やかに、生き抜かねばならなくなったわけです。しかも、本人の心がまえ次第で格差が広がっていく。ところが、肉体だけは成熟しているのに、精神がそれに見合っていないのは、傍から見ると滑稽なのです。自分が謙虚に成長しないと、ちゃんとした仕事や環境に身をおかないと、付き合う人にも見放されていくのですね。

自分の20代振り返ってみても、良識ありそうな大人ですら、年齢を理由に馬鹿にしていました。学力、権力や財力、仕事能力ある人に惹かれて、自分もそうなろうと必死にもがいていました。いま、自分がその年代に近くなっていて、はたして「まともな大人」かといいますと、自信もって言い切れません。この年になって漫画やアニメの話してますし(ちなみにリアル知り合いには絶対に明かしませんし(笑)、そもそも趣味を熱く語るのは恥ずかしい)、納税はきちんとしていますが生活を安定させるにはまだまだ収入が欲しい、周囲の人間関係を良好に保っている、健康管理万全、メンタルヘルス最善とはいいがたい状態です。不満があると怒りを制御できず、仕事に支障きたすこともあります。

若い子たちに説教したり、負担や責任を強いたりする前に、いまの大人が自分を振り返る必要があります。尾崎豊の歌みたいに、盗んだバイクで走り出すのがかっこいい、とか言ってる場合ではない。
成人式の日のみならず、毎年、毎月、毎週、毎日、自分がまともな大人たりえているのか、再確認し、まちがっている部分があれば軌道修正する勇気が必要ですね。ある脳活用の本によると、人間の脳は100歳まで成長するとのこと。適度な運動を欠かさず、勉強を重ね、つねに好奇心を抱いていれば判断力や知性は衰えない。一年ごとにかならず何か得たものがあるような毎日を過ごしたいですね。

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