陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

手形取引から卒業できますか?

2024-04-11 | 政治・経済・産業・社会・法務

3月末は日本の企業の多くが決算時期。
私の勤め先もそうで、これは年度末に合わせたほうが都合がいいからなのか。学校と同じではあるけれど、会社員には進級はありませんが、卒業したほうがいいというか、させられてしまう習慣もあります。今回はそんな「卒業」のお話。


仕入れ先のある経営者さんが、弊社に支払手形を再発行してほしいとのお願いが。
経理さんが紛失されたとのことで。古い手形を拾った者が使わないように、振出人であるこちらは銀行へ届出せねばならず。小切手もそうですが、紙切れ一枚とはいえ、扱いに苦労します。まれに得意先からよその名義の受取手形を頂くこともあります。振込入金でも入金額の過不足があったりする、そんな驚きの事件にも、経理としては慣れました。さすがに私はまちがった相手先に手形や小切手、領収書を送ったことはありませんが、請求書に添付する送付状の誤字があった、請求書が遅れてしまった、というミスはやらかしてしまったことがあります。

受取手形は資産、支払手形は負債。
貸借対照表に載せるもの、会社の資産を表す数字です。会社では厳重に金庫に入れて保管していますが、満期日までかなり長いものもありますね。通常の支払いサイトは2か月ぐらいが相場なのですが、3箇月先のもあったりします。得意先からもそうですが、支払先にもそうであったり。

手形取引をおこなう業種は、毎月の仕入額や販売額が多額にわたるもの。
一社で数百万がっさり支払ったり、入金があったり。額面から送料引きをしたり、されたり。手形を送ってもらうために返信用封筒を用意したり。受取手形ならば、領収書を発行せねばならず。その印紙も税抜価格で5万円以内ならば非課税だとか、覚えておくべきこともあります。ちなみに、個人事業上の私は手形取引はいっさい行っていませんので、会社員生活ではじめて触れたことです。

この手形取引、2026年に廃止予定とのこと。
それを見越して経産省が斡旋する、でんさいという電子決済システムを導入してほしいという得意先もあったのですが。弊社としては二の足を踏んでいます。

インボイス制度もそうなのですが。
つぎつぎにこれまでの商取引を変える出来事が続々と。経理としては、どうすべきか実に悩ましいところ。セキュリティ対策上もそうですし。

手形取引のメリットは、仕入れ先に対しては支払いサイトを延期でき、資金繰りの悪化を防ぐこと。
しかし、得意先からは入金が遅れますので、振込のほうがいい。より現金化が早い方がいいわけです。弊社も支払手形の額が受取手形を上回っています。買掛金が多いほうが、会計上、経常利益を少なくでき、法人税の課税を減らすことができるからです。あくまで売上がいいときは、ですが。

でも、この手形が廃止されたらどうなるのでしょう。
手形取引をやめたら銀行振込だけど、その手数料負担はどちらになるのか、とか。政府は下請企業に負担を強いないようにとのお触れを出しているようですが。インボイス制度でも適格事業者登録をしてくれなければ、仕入税額控除できないので、消費税の負担額が増すし、それで取引をしなくなる可能性もあるんですよね。


この問題には、この記事執筆段階では結論が出ていません。
経理の私一人だけが決定できる範疇を超えているからです。はたして、古くからなじんだ手形取引から、無事卒業できるのでしょうか? 個人情報保護のためあえて時期をずらして投稿しますが。この記事がブログ上に反映される頃には解決できているでしょうけれども…。


(2023/03/25)



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