陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

副業の労働時間、勤務先に報告できますか?

2020-10-13 | 仕事・雇用・会社・労働衛生

私が個人事業主兼会社員をはじめて数年になります。
実は私にとっては個人事業主が本業で、会社員こそが副業です。会社員は「食業」ではないので、勤務地や労働時間、職種などはかなりえり好みしていますし、体調不良になったら退職しています。私の転職歴が多いのはそのせいです。転職ブームなせいか、資格が利いているのか、不思議なことに仕事は見つかるときは見つかります。私が多様な職種を経てきたせいかもしれません。本音は個人事業は家の維持のためで、自分の能力開発としてきちんと会社の要になる社員になりたいのが夢でもあります。会社員のほうが信用が高いですから。

2020年8月28日付け読売新聞朝刊には、「副業の労働時間 事前設定」という記事がありました。
この場合の副業・兼業とは、あくまでも「複数の企業」で働く会社員のことです。正社員で勤めているが、アフターファイブもしくは、土日祝に別の会社でアルバイトで働くなどですね。

労基法では、過重労働を防ぐため、本業副業の労働時間の合算管理を求めています。
まず本業勤務先での残業含めた労働時間を設定。副業の勤め先では、労基法で定めた時間外労働の上限規制(1か月100時間未満、複数月は平均80時間以内)の範囲で、残りの時間分働けることになります。

ところが、たいがいのフルタイム勤務者は週法定労働時間40時間に達しています。
とすれば、副業先の労働時間はすべて時間外労働とみなされ、25%(休日ならば35%)の割増賃金を払わねばならなくなります。この割増分を払うので、雇ってもらえる副業先なんてあると思えますか? コンビニバイトしているベテランのバイト君より、週1勤務だけのサラリーマン新人バイトのほうが時給がいいとなったら、おかしくはないですか? というか、就業規則で兼業副業禁止が謳われていたり、そうでなくとも会社に黙って副業アルバイトしているサラリーマンも多いでしょう。

なお、労働者が労働時間をあらかじめ決めない場合は自己申告にもとづき、本業勤務先が労働時間を把握。労働者の申告漏れや虚偽申告があっても、企業側は免責。まあ、それはそうだとしても。たとえば、実家の農家や商店をお小遣い稼ぎ程度に手伝っている会社員、子ども学費稼ぎに休日に単発バイトを入れている人が、勤務先にまともに申告するでしょうか。

そもそも、会社が副業を推進することで基本給を抑えたがる危険性について、もうすこし検討してほしいですね。
一箇所で同じ仕事で働いて、休日や仕事帰りはリフレッシュ、余暇を趣味や資格取得に活かす時間にあてたほうがいいのに。そもそも給料の低い会社を複数掛け持ちするのは、移動時間が無駄ですし、業務を二重三重に覚えなくてはいけないので、年をとったらかなりつらいです。重役の椅子にふんぞり返っているお偉方はわからないでしょう。それともこの副業の流れは、兼業禁止があった公務員優遇策なのでしょうか?

そもそも労働時間って、どこまでを言うんでしょうね。
自宅に仕事を持ち帰るサラリーマンもいる。テレワークで労務管理できなくなってもいる。家事や育児だって、立派な労働時間。会社にいる時間だけが労働だけではない。現在は通信機器の発達により24時間仕事に繋がっている状況で、心身が休まる暇がありません。休日に同僚に付き合うイベントも労働です。法定労働時間なんてカタチだけですよね。

ちなみに、私は「本業の」個人事業主活動のことは、これまでの「副業の」会社には隠しています。住民税は普通徴収にしていますし、確定申告は自分でするので年末調整を拒否し、源泉徴収票をもらっています。勤務先もうすうす感づいているのかもしれまませんが、あからさまに指摘されたことはありません。でも、休日に個人事業が忙しいので会社のイベントに行かなかったら干されたことは多々あります。でも、私にとったら、よその会社より、自分の本業の方が大事です。家族の生活に関わりますから。

私が会社員をつづけるのは、将来のためのスキルアップと人脈形成、人間観察のためでもあります。会社員ならともかく、個人事業主は定年退職後もできますから、会社員しかしたことがない人から妬まれるので絶対に言いません。個人事業主には会社に守られないなりのリスクや資金繰りや税務申告の悩みがあるんですけどね…。

(2020/09/14)




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