陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

続・温泉巫女

2007-08-12 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女
さてここからが肝心な本題。

主人公、時野和人と幼馴染みの七村秋菜、ワるきゅーレとハイドラの四人が泊まった秘湯の温泉宿。
その名も、乙橘旅館!
仲居姿でお出迎えしてくれたのは、一ノ宮千羽二条雛子
千歌音ちゃんと姫子まんまっていうより、見た目が前世のふたりに近いです。

しかし、外見こそ似てるし仲良さげなふたりですが、やはり彼女たちはあのふたりではないのですね。そこが淋しい。
村の巫女であるふたりは、全国巫女選手権(そんなんあるんかい?)で優勝した秋菜に憧憬を抱いてます。とにかく秋菜ラヴ。なにかと困ったことがあると、ふたりして「秋菜さまっ~」と抱きつきます。雛子はまだあの姫子だからいいとしても、千羽ちゃんがあんな甘ったれっていうのはどうも。姫子以外をキラキラ星な瞳で熱く見つめちゃう千歌音ちゃんなんて嫌です(泣)気高いお嬢様気質の千歌音ちゃんじゃないからっていうよりも、この作品世界のいろに染められて、すっかりSDギャグキャラ化してしまっているふたりが、ちょっと悲しいです。
村に伝わる九頭伝説とか、月の社を模したような祭壇とか、伝承に狂信的な村人の描写とか漫画『神無月の巫女』をおもわせるようなサービス設定もあるけれど。

一見すると、この雛子と千羽が和人たちを陥れる黒幕ではないかという目くらましの一線が張られるのですが…伏兵は思わぬ身近なところに、といった話運びです。
秋菜および雛子と千羽の苗字にならって、のちに八まで数を冠した巫女たちが集結します。例によって、介錯ワールドのどこかで見てきたようなキャラなんですけどね。

(袖の肩飾りはないけれど)陽と月の巫女服をまとうふたりの絵には、思わず嬉しくて涙ぐみました。
姫子と千歌音ちゃんらしさはないけれど、それでもこの世界で、このふたりが剣も交えず想いも違わず、安逸に存在していることは喜ぶべきことかもしれないわけで。その世界は、激しい恋情関係よりも、ゆるやかでのどかな共生を望むふたりが転生し得た、八つの平行世界のなかのひとつなのでしょう。

ともあれ。
アニメも終わって、原作も連載終了して放心していた時期に、ふたたび白黒の誌面でふたりに巡り会えた〇五年夏頃の喜び。それが二年後にまた体現できるとは。例の植竹小冊子と前後して数十倍の喜びでした。いちばん良かったのは、『神無月』の終了とほぼ同時期(最終回掲載が『少年エース』05年6月号、『ワルQ』の「八人の巫女」初出は『少年ガンガン』05年5月号)に描かれたため、絵柄にまったく違和感が感じられなかったことでしょう。
ちなみに、事態がおさまって最後は皆で温泉タイムになるのですが、髪をおろした千羽ちゃんの一コマは、まさに千歌音ちゃんでした(嬉)

ところで。
緒方恵美さんがアニメ「京四郎」終了記念インタヴューで、『ワるきゅーレ』の続編の可能性を匂わせていたので(公式HP、07年5月24日のDIARY参照)私はてっきり、もしかしたらこの姫千歌もどき回もOVA化されて、『京四郎』につづき雛子と千羽を下屋&川澄コンビがやってくれるかも?!なんて勝手に過剰な期待をふくらませていたのですが…。このエピソードにでてきた黒いワルキューレ(封印が解かれてワるきゅーレに憑依した「はいだら」)は、アニメ版ですでにワルキューレゴーストとして登場済みとのことなので、望み薄ですね。残念。今後アニメになんらかのかたちで、姫子と千歌音ちゃんが復活する際は、ぜひぜひ植竹補正をかけてくださらぬだろうか。

最後に。
姫子・千歌音の原点といえば、『十字架トライアングル』(角川グループパブリッシング・2002年4月)
実をいえば、さらに姫子と千歌音の前身があって『超絶対美少女天使エンゼルハート』(辰巳出版・1997年2月)という商業誌デヴュー作がふたりのはじまりなようです。主人公の名が御苑生姫子。ただし、この作品ではふたりは残念ながら想い通じる仲たりえず、他キャラと百合っているらしくて。いま連載している作品でも、まさかふたりのレプリカが登場していたりするんでしょうかね。

悲愴な物語性を脱して、図像だけが世界をまたいで輪廻する、ひめちかイコノグラフィー。
数万年後もおなじ空に昇りつづける星の瞬きのように、遠くて儚いふたりだからこそ、私たちはそれを望んでしまうのかもしれません。彼女たちの久遠の存続を。

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2 Comments

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Unknown (Sue)
2009-02-20 19:42:11
うん。千歌音と姫子の活躍にはかなり期待します。千歌音にはずっと姫子をみててほしいですね
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はじめまして。 (万葉樹)
2009-02-20 21:05:41
ごきげんよう、Sueさま。
コメントありがとうございます。
古い記事でしたので、コメがついたのを驚いている管理人です。

>千歌音と姫子の活躍にはかなり期待します。

活躍といいましても、今のところ、正式な続編が発表されていませんしね。原作者様がおっしゃっていた番外編の小説の予定も、どうなんでしょうね?

>千歌音にはずっと姫子をみててほしいですね

もちろんですとも!
けれど、姫子にもいつでも、千歌音ちゃんだけを見つめていてほしいものですね。

ひとりの運命の人を想いつづける、というのがこの作品のいちばん訴えたい愛のかたちではないかと思います。
だから、ソウマくんにも救済がなかったんでしょうし(笑)

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