陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「天国の青い蝶」

2018-05-27 | 映画──社会派・青春・恋愛

二〇〇四年作の映画「天国の青い蝶」は、実話を基にした難病の少年と、世界的な昆虫学者との交流を描いたドラマ。題材としてはよかったのですが、妙に陳腐な家族関係の修復のプロットに終わってしまったところが惜しい。DVDの特典で実在のご本人が出演されていましたが、映画でへたに脚色せずに、ドキュメンタリーとして見せたほうがよかったのではという気がしました。
以下、ネタバレあり。

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おすすめ平均
stars美しい
stars**奇跡を起こすためには…**
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十歳のピート・カールトンは末期の脳腫瘍に冒されながらも、幻の青い蝶ブルーモルフォをひと目見たいと願っていた。母のテレサに連れられて、国際的な昆虫学者アラン・オズボーンに対面したピートは、南米の熱帯雨林に連れていってほしいと頼み込む。
いちどは断ったオズボーン博士だったが、ピートの熱意に根負けして出発。先住民族が暮らす村では、母子と博士は歓待をうけ、ピートは案内役のアレホの娘ヤナと親しくなる。

森を散策しても時期外れのためか、ブルーモルフォは見つからない。母のテレサは蛭に襲われたことに癇癪を起こして、オズボーンとは気まずい仲に。さらに、ピートが熱を出して倒れてしまい、探索が不可能に。ところが、なぜか回復したピートが、今度は博士とふたりだけで森の奥に行きたいという。

お目当ての青い蝶は、意外なところで見つかるのが拍子抜け。そして、ピートを肩車したせいで穴に落っこちた博士が重傷を負ったり、救援を求めにいったピートがさらに迷って倒れたりと、お約束な筋書きです。
密林の神秘に触れたせいか、その後、ピート少年は脳腫瘍が消えてしまったということで。この奇跡じたいは事実なのでしょうが、博士と母親との淡いロマンスはとってつけたようなお話ですよね。虫取りに熱中しすぎて家庭をないがしろにした仕事人間のパパだったという、オズボーン博士の描きかたも、型にはまった感じがします。

オズボーン博士を演じたのは、「A. I. 」のウィリアム・ハート。「白いドレスの女」では、人妻に誘惑される辣腕弁護士を演じたダンディな知性派ミドル。モデルとなった昆虫学者のイメージとはすこし異なりますね。渋すぎる気がします。
ピート少年役は、マーク・ドナート。モデルになった青年の当時のすがたに似ていますね。

監督はレア・プール。

筋書きはイマイチなのですが、森の美しい生き物の生態に真に迫ったカットには、魅了される作品です。
あと、死期を悟ってどこか達観している十歳の少年のほうが、博士や母親よりもよほど大人にみえてしまいますね。最後の青い蝶は、いかにもCGでつくったかのように大きさが不自然でしたね。

(〇九年十二月八日)

天国の青い蝶(2004) - goo 映画


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