陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「陰謀のセオリー」

2009-06-22 | 映画───サスペンス・ホラー

タイトルだけは知っているのに、観たことがない。そのタイトルのインパクト故になんとなく期待をふくらませていた映画。
それが、97年作の「陰謀のセオリー」

陰謀と銘打ってあるのでなにかとてつもない要人暗殺だとか、世界征服だとか大それた企みがあるのかと思えば、じつはただの殺人事件の域を出ていません。終盤になるとやや強引なご都合主義展開があるのですが、それでも前半の謎をひっぱるプロット、演出は評価できる。
ただ、ラスボスが最初の三〇分ほどですぐ分かっちゃうんですよね。

NYのタクシーの運転手ジェリー・フレッチャーは、冴えない風体の男。
司法省に勤める女性弁護士アリス・サットンの元に意味もなく通いつめては、彼女を困らせている。
彼は記憶があやふやなくせに、新聞を賑わした事件の裏には陰謀有りという都市伝説を捏造したニュースレター「陰謀のセオリー」を個人で発刊してもいる、謎めいた男。

ある日、政府ナンバーの車を尾行していたジェリーは、CIAに拉致され拷問をうける。からくも、そこを脱出したジェリーは、アリスに助けを求めるが、精神異常者として、病院に収容される。自分が暗殺される予感に脅え、そこも尋常ならざる手並みで脱出する。ジェリーを追跡していたのは、CIAの医師ジョナス博士だった。

逃亡するジェリーの指図のままに、彼のアパートに連れ込まれたアリスは、彼の奇妙な生態を知る。そして、彼が執拗に自分をストーキングしてきたことも。
ジョナス博士とコンタクトをとったアリスは、ジョリーが自分の父の死と因縁があることを聞かされる。
はたして、ジョリーは何者だったのか?

このジョナス博士の陰謀というのが、まさに「ボーン・アイデンティティ」とネタかぶりしているので、斬新さがあまりなかったというか。こちらのほうが先ではあるのですが。

記憶をうしなってもアリスをからだを張って守護しようとした、ジェリーの健気さには、まま心うたれるのですが、なんというか安易にアリスと恋心を芽生えさせすぎのような。
メル・ギブソンの小心な中年男(「ダイ・ハード2」のブルース・ウィリスもこんな役柄でしたっけ)、精神異常者ぶり、はてはダンディな暗殺者ふうへの変身ぶりはみごとかも。

(〇九年六月二〇日)


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