陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

いにしえのアニオタはビデオテープ命だった

2024-07-13 | 二次創作論・オタクの位相

昭和生まれの方なら覚えがあるであろうビデオデッキ。
わが実家に迎えたのは1990年代頃で、今は亡き父が知り合いの街の電気屋さんから購入したものでした。このビデオデッキはテレビともども両親の寝室にあったので、本来は大人の所有物。父は趣味の釣りのビデオ+α(お察しください(笑))を見るため用でしたが、ほどなく、私たち子どもが占領して、ドラマやアニメ観賞用になってしまいました。

平成初期、地上波デジタル放送もまだなかったあのころ。
全国放送のテレビ局はしのぎを削って、ゴールデンタイムにアニメを放映してくれていました。さらには地元のローカル局では金曜夕方17時ぐらいに、「聖闘士星矢」だとか「美少女戦士セーラームーン」だとかの再放送があったり。フジとか朝日放送だとかでも、夕方の15時とか16時ぐらいに、なつかしめのアニメの再放送が毎日あった覚えがあります。

私が熱心に録画していたのは「ドラゴンボール」「セーラームーン」「幽遊白書」などなど。
その当時のテレビアニメは現在と違って、一年で50話近くは放映されます。2時間テープを三倍速に伸ばして6時間分にして、CMカットで省いても、1本があっという間に終わってしまいます。

アニメのオリジナル回はつまらないものが多くて上書きしてしまいます。
が、「セーラームーン」だけは土曜日に録画しながら生視聴→日曜日あたりに再視聴をするため、きれいな状態で保管したいので三倍速にせずに贅沢に録画していました。

ビデオテープも最初の頃は高くて1本が千円ぐらいしたものですが、3本セットで千円ぐらいの安価なものも出てきて、少ないお小遣いから捻出するのに助かりました。

今の推し活だと、アニメグッズを買い集めて、声優さんのコンサートやイベントに出かけて、コスプレしたり、さらにはファン同士のオフ会に参加したりとか、とにかく派手です。当時のど田舎の中高生のアニオタができることといえば、原作漫画や掲載誌を買って先の展開を妄想、アニメ雑誌に投稿したりする。そんな地味なものでした。

当時はネットもなかったものですから、全国のファンと意見交換するなんてこともありません。
今回のやらかし、おかしくない?と声をあげて、炎上することも、ファン同士が解釈違いで口論することさえも、さらには公式さんが弁明することさえもありません。ミーハーに大量買いしたり、フライング視聴のネタバレレヴューをアップしてマウントをとることもありません。平和な時代でしたよね。

私がはじめて自分専用のビデオデッキを購入したのは、2006年頃。
関西で働いていた頃、深夜アニメをリアルタイム視聴できなくなったため。当時はすでにDVDが主流でしたが、録画するだけなら安価になっていたビデオデッキがよかったため。テレビ放送で気に入れば、公式のディスクをプレイヤーで再生すればいいと思ったからです。ちょうど拙ブログを始めたころで、録画したのが「京四郎と永遠の空」「魔法少女リリカルなのはStrikerS」ぐらいでした。

そのあと引越しに際し、このビデオデッキもテープも処分してしまったのですが。
数年前に実家の断捨離をしたところ、中高生のころの熱中した溜め撮りのアニメのビデオテープが数十本発見されました。一部の思い出深いものだけ二、三本を残してばっさり廃棄してしまったのですが。

最近になって、この実家にまだあるデッキとテレビが現役で、ビデオだけ再生用として活用できることがわかり、時間があるときたまに懐かしんでひとり観賞会を開いています。

90年代ぐらいのアニメは確かに絵柄は古くさいのですが、手書きのセル画ならではの線の強さや演出の濃さがあって、今でも色褪せない表現力の豊かさがありますよね。

最近のアニメは深夜ばかりで起きていられないし、しかも視聴できる放送局が現況限られてしまって、NHKアニメぐらいしか観られないので、当時のあの撮り溜めテープ保管しておけばよかったかな、と今さらになって後悔しています。

もちろん、昔の作品はアマゾンのプライムビデオなどでも視聴できたりはするのですが。
現在、ウェブ上の動画をあまり視聴したくないのと、当時のテレビアニメのあいまにあるCMで、その時代の世相とかを振り返ったりもできるからです。円盤はレンタルもできますけど、古い作品だと置かれていないこともありますよね。

つい先日、その残されたわずかなアニメのビデオテープで再視聴できたのは。
なんと「魔法騎士レイアース」第一部最終話スペシャルの放映分でした。テープにラベルを貼っていなかったので中身がわからずに、とりあえず保管(家族の社内旅行や成人式の放映画像の可能性もあったため)していたのがかえってよかったのです。

ちょうど「魔法騎士レイアース」の放送30周年記念でのお知らせがあったばかり。
次回の記事では、この件に触れることにします。


(2024.07.11)









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