おはようございます。
護衛艦まきなみ、完成です。
前回製作済のさみだれと2ショット。
同じ配色で塗装したのに、色味が食い違うかと思ったらそうでもありませんでした。
手前がさみだれ、奥がまきなみです。
で、護衛艦いなずま、手すりを全体に張り巡らしました。
いなずまは、次回、晴天の日に塗装して、デカール貼り、追加工作して完成です。
あと、参考までに、むらさめ型とたかなみ型の情報貼っておきます。
曖昧さ回避 この項目では、1996年より就役を開始したDD-101「むらさめ」級について説明しています。
1959年より就役を開始したDDA-107「むらさめ」級については「むらさめ型護衛艦 (初代)」をご覧ください。
むらさめ型護衛艦
Ariake (DD 109) pulls into Pearl Harbor.jpg
真珠湾に入港するDD-109ありあけ
艦級概観
艦種 汎用護衛艦(DD)
建造期間 1993年 - 2002年
就役期間 1996年 - 就役中
前級 DD:あさぎり型護衛艦
次級 DD:たかなみ型護衛艦
主要諸元
排水量 基準 4,550トン
満載 6,100トン
全長 151 m
全幅 17.4 m
深さ 10.9 m
吃水 5.2 m
機関 COGAG方式
LM2500ガスタービンエンジン (16,500PS) 2基
SM1Cガスタービンエンジン (13,500PS) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大30ノット
乗員 165名
兵装 62口径76ミリ単装速射砲 1基
高性能20mm機関砲
(CIWS Mk.15 mod.12) 2基
Mk.48 mod.0→4
(16セル; シースパロー/ ESSM短SAM用) 1基
Mk.41 mod.9 VLS
(16セル; VLA SUM用) 1基
90式SSM 4連装発射筒 2基
68式3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 SH-60J/K哨戒ヘリコプター 1機
FCS FCS-2-31 主砲・短SAM用 2基
C4I SUPERBIRD B2衛星通信装置
海軍戦術情報システム
(OYQ-9 CDS+リンク 11/14)
OYQ-103 ASWCS
レーダー OPS-24B 3次元式 1基
OPS-28D 対水上捜索用 1基
OPS-20 航海用 1基
ソナー OQS-5 艦首装備式 1基
OQR-2 曳航式 1基
電子戦・
対抗手段 NOLQ-3電波探知妨害装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置
むらさめ型護衛艦(むらさめがたごえいかん、英: Murasame-class destroyer)は、海上自衛隊が使用する汎用護衛艦(DD)の艦級。計画番号はF120[1]。ネームシップの建造単価は609億円であった[2]。
海上自衛隊の第2世代汎用護衛艦として、03・08中期防に基づき、平成3年度から平成9年度にかけて9隻が建造された。発展型のたかなみ型(10〜13DD)およびあきづき型(19〜21DD)とともに、護衛隊群の基準構成艦となっている[3]。
目次 [非表示]
1 来歴
2 設計 2.1 船体
2.2 機関
3 装備 3.1 C4I
3.2 対空戦
3.3 対水上戦
3.4 対潜戦
3.5 電子戦
3.6 航空機
4 同型艦
来歴[編集]
海上自衛隊では、第1世代の汎用護衛艦(DD)として昭和52年度計画より2,900トン型(はつゆき型; 52DD)を、また昭和58年度計画からは改良型の3,500トン型(あさぎり型; 58DD)を建造し、昭和61年度計画までに、両型あわせて20隻が整備された。これにより、8艦8機体制の4個護衛隊群の所要は充足され、護衛艦隊のワークホース(基準構成艦)の近代化は一段落したと判断されたことから、護衛艦の整備は地方隊向けに移行して、同年度より1,900トン型(あぶくま型; 61DE)の建造が開始されていた[3]。
しかしDEの整備を継続した場合はその間はDDが建造されず、かつDDを艦齢いっぱい使用する場合は、52DDの代艦建造は25年後の2002年となる。周辺諸国海軍の近代化を考慮すると、これでは護衛隊群の任務遂行能力が相対的に大きく低下する懸念があった。このことから海上幕僚監部では、平成元年度でDEの建造を打ち切るかわりに、新世代のDDの建造を再開し、これによって護衛隊群から押し出されるはつゆき型(52DD)を地方隊に配備することで、旧型DEの更新に充当する方針とした。これは、護衛隊群は新鋭DD、地方隊はDEと旧型DDという構図を崩すことになることから、内局や政府部内からの反発も強かった。しかし護衛隊群の護衛艦の更新を継続し、質的な水準の確保をはかるためには必要な施策であることから、最終的には承認された。そして、この方針に基いて、第2世代のDDとして開発されたのが本級である[4]。
設計[編集]
船体[編集]
本型では、パッシブ対潜戦に対応して水中放射雑音の一層の低減を求められたほか、航空運用能力の強化や居住性の改善を図った結果として、船体は汎用護衛艦としてはかなり大きくなり、58DDと比べると、全長で14メートル、幅で2.8メートルの大型化となった[5]。概算要目作成時には、更に大型の4,700トン型とされていたが、大幅な縮小が行われたことから、要求の具現化には困難が伴ったが、最終的に4,400トン型として設計された[1]。航走雑音の低減を考慮して、船型は細長くなっており[6]、これにより、凌波性・砕波性は優れたものとなっている。またレーダー反射断面積(RCS)低減のため、船体・上部構造物ともに傾斜が付されており、船体舷側は外側に、上部構造物や煙突壁面は内側にそれぞれ7度傾けられているほか、壁面の合わせ目は鋭いエッジとしている。また大型のラティスマストにも電波吸収体が貼り付けられている[7]。
第1世代DDでは飛行甲板は艦中央の01甲板レベルに配置されていたが、本型では幅が増加した分だけ発着艦が容易となったことから、わざわざ1甲板分高める必要がなくなり、上甲板レベルとされた。しかしこれにより、今度は係留装置などとの干渉をさける必要が生じたことから、こんごう型(63DDG)と同様に、艦尾甲板の舷側部はなだらかに傾斜している。これを初代むらさめ型(32/33DD)を始めとする初期の海上自衛隊護衛艦の設計上の特徴であったオランダ坂に喩えて、ミニ・オランダ坂とも称する[5][8]。
居住性向上策として、61DEと同様に2段ベッド化が図られている(従来艦は3段ベッド)が、これは大幅な省人化によって達成されたものであった。ただし有事等には3段化することで、乗員数を60人程度増加することもできる[9]。本型では、更に科員居住区の小部屋化(12名程度)も図られた。また乗員の平均身長の増加に対応して、艦内の応急甲板は甲板間高さを増している[5]。
機関[編集]
主機方式は、58DDと同様のCOGAG方式が踏襲された。58DDでは同機種4基であったのに対し、本型では2機種2基ずつとなっているという点でははたかぜ型(56DDG)に近いが、本型では更に巡航機と高速機のメーカーも異なっており、このようにメーカーの異なるガスタービンエンジンを採用することは世界的にも珍しい。巡航機はロールス・ロイス社製のスペイSM1C(1基あたり13,500馬力)、高速機はゼネラル・エレクトリック社製のLM2500(1基あたり16,500馬力)である[10]。
機関配置は、あさぎり型で採用されたシフト配置を踏襲しており、前後に2つの機械室が設けられている。前方の第1機械室には1号ガスタービン(LM2500)と2号ガスタービン(SM1C)が設置されており、減速機を介して左推進軸を駆動する。同様に、後方の第2機械室には3号ガスタービン(LM2500)と4号ガスタービン(SM1C)が設置されて、右推進軸を駆動する。主機配置の関係から、前部煙突は左寄りに、後部煙突は右寄りに配置されている[7]。なお省力化のため、機械室の無人化(Mゼロ化)が行なわれている[10]。
また主発電機としては、川崎重工業M1A-25ガスタービンエンジン(出力1,500 kW)を原動機とした発電機3セットが搭載された。これは第1世代DDで採用されたM1Aシリーズの発展型であった[11]。なお、主発電機をガスタービン駆動発電機3基で構成する方式は、こんごう型(63DDG)より採用されたものであったが、本型を含む第2世代DDではいずれも踏襲されている[12]。
装備[編集]
C4I[編集]
詳細は「OYQ-9」を参照
艦の指揮中枢となる戦闘指揮所(CIC)は船体内の第2甲板に設置されており、戦闘システムの中核となる戦術情報処理装置は新世代のOYQ-9である。OYQ-9は新世代の電子計算機であるUYK-43 1基とUYK-44 1基を中核として、ワークステーションとしてAN/UYQ-21が配置されているほか、CICにはイージス・ディスプレイ・システム(ADS Mk.2)に類似した大画面液晶ディスプレイ(LCD)2面構成の情報表示プロジェクタが設置され、戦術情報の表示を効率化している[13]。
また本型では、OYQ-9とのインターフェースを取って、OYQ-103 対潜情報処理装置(ASWCS)が搭載されており、これによって全武器システムとのデジタル連接が実現された。データリンクとしてはリンク 11およびリンク 14、また、哨戒ヘリコプターのヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)との連接用にORQ-1 TACLINKを装備している[13]。また後にデジタル化したORQ-1Bが開発され、「はるさめ」などに試験搭載された[14]。
対空戦[編集]
艦橋前方に76ミリ速射砲、Mk.41 VLS、高性能20mm機関砲、煙突間にMk.48 VLSが配置されている
防空用の武器システムは、基本的には58DDと同じ能力であるが、レーダー射撃指揮装置を同機種2基とすることで同時2目標対処を可能とするとともに、ミサイルを垂直発射化したものとなっている[15]。
個艦防空ミサイル(短SAM)の垂直発射機(VLS)としては、16セルのMk.48が艦の中央部の煙突間に配置されている。搭載するミサイル数は第1世代DDと同数であるが、従来は8発撃つとミサイルをランチャーに装填する必要があったのに対して、VLSではその必要がなくなり、即応弾数は倍になった。ミサイルとしては、当初は従来型シースパローをもとにVLSに対応させたRIM-7M(PIP)が搭載されていたが、平成16年度から24年度にかけて発展型シースパロー(ESSM)の運用能力が付与された。これは「むらさめ型等の短SAMシステム換装」と称されており、VLSをMk.48 mod.4 VLSに換装した[16]。Mk.48 mod.4 VLSに装填されるキャニスタはMk.20 キャニスタであり、ESSM搭載数は1セルあたり1発のままである。[17][18][脚注 1]。
砲熕兵器も第1世代DDのものが基本的に踏襲されており、主砲としては76ミリ単装速射砲(コンパット砲)を艦首甲板に1基装備した。また近接防空用については、高性能20mm機関砲(CIWS Mk.15 mod.12; ファランクス ブロック1)2基を搭載している点では第1世代DDと同様であるが、設置位置は、艦橋前部とハンガー上に変更されている。CIWSを艦首尾線上に配置することで、襲来する対艦ミサイルへの火力集中と、艦の暴露面積の縮小を図ったものである[7]。
射撃指揮装置(FCS)としては、第1世代DDでは、主砲用(GFCS)としてはFCS-2-2xシリーズを、短SAM用(GMFCS)としてはFCS-2-1xシリーズを搭載していたため、特に短SAMによる目標の同時処理能力は1個に制約されていた[脚注 2]。本型では、当初は同時多目標対処可能な完全新型機であるFCS-3の搭載が検討されていたものの、開発スケジュールの遅延と重量容積の増加のために、これは実現しなかった[20]。しかし砲・短SAMの双方を管制できる改良型であるFCS-2-31を2基搭載することで、同時2目標対処は可能となった[15]。
なお、対空捜索用のレーダーとしては、アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)アンテナを用いた3次元レーダーであるOPS-24Bを搭載した。原型機であるOPS-24は、あさぎり型の後期建造艦(60・61DD)で装備化されたものの、航空自衛隊のレーダーサイトで用いられていたJ/FPS-3をもとに最小限の改正で艦載化したこともあって搭載後より問題が多発し、用兵者からの評価は惨憺たるものとなっていた。このことから、本型搭載のOPS-24Bでは、ほぼ新造に近いレベルの抜本的な改良が施されている[19]。
対水上戦[編集]
本型は、90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)による長距離対水上打撃力を備えている。SSM-1Bは1号型ミサイル艇で装備化された国産の艦対艦ミサイルで、従来使用されてきたハープーンよりも優れた精度と対妨害性を備えている。発射機はハープーンと同様の4連装発射筒で、2基の発射筒は、艦中央部、第1煙突後方に搭載されている。なお攻撃指揮装置としては対艦ミサイル艦上装置2形を備えており、SSM-1Bとハープーンの双方の発射管制機能を有している[21]。このため、実運用上はハープーンを搭載している例も多く見られる[22]。
対水上捜索用のレーダーとしては、58DDと同じくOPS-28が搭載されている。これはCバンドで動作し、遠距離での精密捜索能力に優れており、水上の目標のみならず、低空を飛行する巡航ミサイル(シースキマー)などの探知にも使用される[23]。
また、ソマリア沖海賊の対策部隊派遣などで近距離の小型水上目標に対応することを想定して、艦橋側面のチャフ甲板および格納庫上の両舷に12.7mm重機関銃M2の銃座を設置しているほか、艦橋構造物前には防弾板も装着できるように改修されている[24]。
対潜戦[編集]
68式3連装短魚雷発射管
海上自衛隊の第1世代DD(52・58DD)は、対潜戦能力という面では、元々は狭域陣形でのアクティブ戦を中心としており、途中から戦術曳航ソナーやソノブイによるパッシブ戦能力を付与したものであった。しかし当時の趨勢としては、潜水艦へのステルス艦型導入や水中吸音材の使用によって、従来のアクティブ・ソナーによる探知が困難となり、より本格的なパッシブ戦能力の導入が求められていた。これに応えて、本型では当初よりアクティブ・パッシブの両機能が具備され、SH-60Jと連携した広域陣形での対潜戦が主体となった[15]。
最大の変更点は、OYQ-103 対潜情報処理装置(ASW Control System: ASWCS)によるシステム化の導入である。汎用護衛艦(DD)においては、あさぎり型の最終艦(61DD)よりOYQ-101 ASWDSが導入されていたが、これはあくまでセンサーからの入力を統合するためのものであった。その後、こんごう型護衛艦(63DDG)において、米国のAN/SQQ-89に範を取り、システム統合をより進展させたOYQ-102 ASWCSが装備された。本型のOYQ-103は、このOYQ-102の経験を生かして開発されたものであり、OYQ-9と連接されるとともに、水測予察器やソナー、曳航ソナー(TASS)、ソノブイ信号処理装置(SDPS)などのセンサー、VLSや魚雷発射管などの対潜兵器、更にはヘリコプター・データリンク(TACLINK)を介して哨戒ヘリコプターのヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)とも連接されている[13]。
船体装備ソナーとしては、新開発のOQS-5を搭載した。これは、昭和59年度から平成元年度にかけて開発されていたOQS-Xの成果を踏まえて開発されたものであり、ラバーウィンドーを採用した点では58DDのOQS-4A(II)と同様であるが、装備位置は4次防以前の艦と同様の船首装備式(バウドーム)に戻された。なお第1世代DDでは、中周波式のOQS-4シリーズをいずれも船底装備式(ハルドーム)としていたが、特に52DDにおいては、機関室の騒音からの隔離不十分や艦首波の影響などのために、ソナー性能の深刻な低下を招いていた[19]。
曳航ソナー(TASS)も、新型のOQR-2が搭載された。これは、第1世代DDに後日装備された86式えい航式パッシブソーナーOQR-1と比してアレイの径が細く、その分長さを伸ばして方位精度を増したものとされている[7]。また第1世代DDでは後甲板におけるTASSの投入・揚収作業は危険を伴い、特に夜間・荒天時の作業は安全確保上特別の配慮が必要であった[25]のに対し、本型では艦尾はエンクローズされて曳航ソナーの装備区画が艦内に取り込まれ、艦尾には油圧駆動による水密扉が設けられている[5]。
対潜兵器は基本的に第1世代DDと同構成だが、アスロックの発射機として、従来用いられてきた8連装発射機(Mk.16 GMLSあるいは74式アスロックランチャー)にかえて、垂直発射式のMk.41 mod.9 VLS(16セル)が搭載された。搭載位置は艦橋構造物前方で、甲板内に収容されている。Mk.48を含め、これらの垂直発射装置は、汎用護衛艦としては初めての搭載例である。魚雷発射管としては、68式3連装短魚雷発射管HOS-302を艦中部両舷に装備している[5]。
なお魚雷対策用の曳航式デコイについても、58DDと同じく、アメリカ製のAN/SLQ-25ニクシーが装備された[26]。
電子戦[編集]
マスト
第1世代DDにおいては、当初はNOLR-6電波探知装置(ESM)とOLR-9ミサイル警報装置(RWR)、OLT-3電波妨害装置(ECM)が搭載されていた。その後、60DDからはRWRの機能を統合した新型のNOLR-8電波探知装置が搭載されるとともに、OLT-3と連接して電子戦システムが構築されるようになっていた[19]。
本型では統合を更に推し進めて、電子攻撃と電子戦支援を兼用できるNOLQ-3電波探知妨害装置が搭載されている。これは63DDGで搭載されたNOLQ-2と同系列で、アメリカ海軍のAN/SLQ-32にほぼ匹敵するものと見られている[23]。
またデコイ発射機としては、チャフロケットシステム(Mk.137 6連装デコイ発射機)が艦橋構造中段の両舷に2基ずつ設置されている[5]。ここから投射される弾薬としては、従来のチャフロケット弾やIRデコイ弾(フレア)などのほか、平成7年度計画艦以降では投棄型電波妨害機も搭載されている[1]。
航空機[編集]
ヘリコプター格納庫
艦載機としては、当初からSH-60J哨戒ヘリコプターの搭載を想定しており、艦尾甲板のヘリコプター甲板にはRAST(Recovery, Assist, Secure and Traverse)発着艦支援装置が設置されている。またSH-60Kの開発後は同機の搭載にも対応した[27]。
なお海自DDでは、艦載ヘリコプターの定数はいずれも1機となっている。58DDではSH-60クラスのヘリコプター2機を格納可能なように拡張したが、これは設計の最終段階で急遽行われた措置であったために、あくまで応急的に2機を収容できるスペースを確保したという程度であった。SH-60Jを用いて行われた2機格納検証作業の際には、途中で危険な状態に陥って作業中止となっており、実際に2機搭載が行われた実例はないとされていた。これを踏まえて、本型では当初よりSH-60ヘリコプター2機の収容を前提とした設計が行われることになった。RAST発着艦支援装置の機体移送軌条は1条しかないため、運用には若干の困難が伴うものの、自衛隊インド洋派遣やソマリア沖海賊の対策部隊派遣の際には、実際に2機での運用(1機搭載、1機格納)が実施されている[28][29]。
同型艦[編集]
艦番号
艦名
建造
起工
進水
竣工
所属
DD-101 むらさめ 石川島播磨重工業
東京第1工場 1993年
(平成5年)
8月18日 1994年
(平成6年)
8月23日 1996年
(平成8年)
3月12日 第1護衛隊群第1護衛隊
(横須賀基地)
DD-102 はるさめ 三井造船
玉野事業所 1994年
(平成6年)
8月11日 1995年
(平成7年)
10月16日 1997年
(平成9年)
3月24日 第2護衛隊群第2護衛隊
(佐世保基地)
DD-103 ゆうだち 住友重機械
追浜造船所
浦賀工場 1996年
(平成8年)
3月18日 1997年
(平成9年)
8月19日 1999年
(平成11年)
3月4日 第3護衛隊群第7護衛隊
(司令部:舞鶴基地)
(定係港:大湊基地)
DD-104 きりさめ 三菱重工業
長崎造船所 1996年
(平成8年)
4月3日 1997年
(平成9年)
8月21日 1999年
(平成11年)
3月18日 第4護衛隊群第4護衛隊
(司令部:呉基地)
(定係港:佐世保基地)
DD-105 いなづま 1997年
(平成9年)
5月8日 1998年
(平成10年)
9月9日 2000年
(平成12年)
3月15日 第4護衛隊群第8護衛隊
(呉基地)
DD-106 さみだれ 石川島播磨重工業
東京第1工場 1997年
(平成9年)
9月11日 1998年
(平成10年)
9月24日 2000年
(平成12年)
3月21日 第4護衛隊群第4護衛隊
(呉基地)
DD-107 いかづち 日立造船
舞鶴工場 1998年
(平成10年)
2月25日 1999年
(平成11年)
6月24日 2001年
(平成13年)
3月14日 第1護衛隊群第1護衛隊
(横須賀基地)
DD-108 あけぼの 石川島播磨重工業
東京第1工場 1999年
(平成11年)
10月29日 2000年
(平成12年)
9月25日 2002年
(平成14年)
3月19日 第1護衛隊群第5護衛隊
(佐世保基地)
DD-109 ありあけ 三菱重工業
長崎造船所 1999年
(平成11年)
5月18日 2000年
(平成12年)
10月16日 2002年
(平成14年)
3月6日 第1護衛隊群第5護衛隊
(佐世保基地)
たかなみ型護衛艦(たかなみがたごえいかん、英語: Takanami-class destroyer)は海上自衛隊が運用する汎用護衛艦(DD)の艦級。計画番号はF121[1]。ネームシップの建造単価は644億円であった[2]。
海上自衛隊の第2世代汎用護衛艦の小改正型として、08・13中期防に基づき、平成10年度から平成13年度にかけて5隻が建造された。原型にあたるむらさめ型(03〜09DD)および発展型にあたるあきづき型(19〜21DD)とともに、護衛隊群の基準構成艦となっている[3]。
目次 [非表示]
1 来歴
2 設計
3 装備 3.1 C4ISR
3.2 武器システム
3.3 航空機
4 同型艦 4.1 事故
来歴[編集]
海上自衛隊では、第1世代の汎用護衛艦(DD)として昭和52年度計画より2,900トン型(はつゆき型; 52DD)を、また昭和58年度計画からは改良型の3,500トン型(あさぎり型; 58DD)を配備し、昭和61年度計画までに計20隻を建造した[3]。
続いて平成3年度より、第2世代DDとして4,400トン型(むらさめ型; 03DD)の建造が開始された。これは、基本的な能力は第1世代DDと同様であるが、当初よりパッシブ対潜戦能力に対応するとともに、ステルス性に配慮した設計やミサイルの垂直発射化などの新機軸を導入していた。同型はおおむね用兵者の要求を満足した艦となったものの、2機種のVLSを併載していることによる非合理性の是正、また艦砲射撃能力向上の要請に応じて、08中期防の途中で、03DDの最小限の不備補正を講じた発展型に移行することになった。これに応じて開発されたのが本型である[4]。
設計[編集]
詳細は「むらさめ型護衛艦#設計」を参照
船体線図と機関部の構成はむらさめ型(03DD)から変更されておらず[5]、遮浪甲板型の船型と、艦尾の「ミニオランダ坂」様の造作も同様である。ただし主砲の換装に伴い、弾庫の造作も変更されたことから、弾庫と装薬庫の分離が図られた。また主船体の主横隔壁に変更はないが、前部VLSの所要容積増加などに伴って、かなりの区画変更がなされている[6]。
艤装面で最大の差異が海曹士の居住区で、03DDでは12名程度の小部屋に区分されていた科員寝室は、ダメージコントロールの観点から、30名程度の大部屋に変更された。一方、先任海曹(CPO)の居住区はグレードアップが図られている。また航空要員の居住区は、03DDでは主船体内に配置されていたのに対してMk.48 VLSの撤去跡に移動され、搭乗員待機室と航空事務室も設けられた[6]。
03DDでは2基であったデッキクレーンは1基に統合された。クレーン長は3メートル延長されて12メートルとなっている。搭載艇は03DDと同じく内火艇2隻と複合型作業艇1隻であるが、複合型作業艇の搭載位置は第1煙突直後に変更された。なお03DDでステルス性を損なっていると評された大型のラティスマストを2本に分散して小型化する案も検討されたが、これは実現しなかった[6]。
03DDと比して、排水量にして100トン程度の大型化となっているが、この程度では艦の運動性能にはほとんど影響を与えないことから、機関区画の配置も含めて、主機関には変更はない。また発電機も同機種・同構成となっている[6]。
装備[編集]
「むらさめ型護衛艦#装備」も参照
C4ISR[編集]
戦術情報処理装置については、最初の3隻(10・11DD)ではOYQ-9Cが搭載されていた。これは03DDで搭載されていたOYQ-9/9Bとほぼ同構成で、AN/UYK-43電子計算機とAN/UYQ-21(OJ-663)ワークステーションから構成されていた。その後、4番艦(12DD)では、電子計算機とワークステーションをともにAN/UYQ-70に更新したOYQ-9Dに発展した。また戦術データ・リンクとしては、OYQ-9C/Dでは従来通りのリンク 11が用いられていたが、5番艦(13DD)のOYQ-9Eではリンク 16にも対応した。なお戦闘指揮所には、大画面液晶ディスプレイ(LCD)2面による情報表示プロジェクタが設置されている[7]ほか、新造時よりMOFシステムの洋上端末(C2T)を備えている。C2Tの画面はCICと艦橋におかれている[8]。
センサー面では03DDの構成が踏襲されている。レーダーについては、長距離捜索用としては3次元式のOPS-24B、対水上捜索用(低空警戒兼用)としてはOPS-28Dと、いずれも03DDと同機種である。またソナーも、艦首装備式のOQS-5-1、曳航式のOQR-2と、03DDに準じた構成となっている[8]。なお艦首装備ソナーについては、開発中であったOQS-XX(後のOQQ-21)が実用化され次第に後日装備する案もあったが、重量容積面の負担が大きいことと形態管理上の観点から見送られた[4]。
武器システム[編集]
外見上もっとも目立つ変更点が主砲の変更で、第1世代DD以来踏襲されてきた62口径76ミリ単装速射砲(76mmコンパット砲)を離れて、54口径127ミリ単装速射砲(127mmコンパット砲)が搭載された。これはその名の通り、76mmコンパット砲のスケールアップ・モデルとして、同じくオート・メラーラ社で開発されたものであり、海上自衛隊ではこんごう型(63DDG)で装備化された。これは対空射撃の威力強化と工作船事案などの多様な事態対処能力の向上[4]、対地・対水上射撃の火力強化の要請に応じたものであった[7]。同系列の砲とはいえ、砲塔重量は5倍強に増加し、また76mm砲が完全弾薬筒方式であったのに対して、127mm砲は半固定式となったことから、弾庫と装薬庫に分離されるなど、関連区画は大きく変更されている[8]。
またVLSの統合化も、艦内設計に大きな変更を必要とした。03DDでは、艦首甲板に埋め込むかたちで垂直発射型アスロック(VLA)用のMk.41(16セル)を、また第2煙突直前の甲板上にシースパロー用のMk.48(16セル)を設置していたのに対して、本型では、Mk.41を両者兼用として、32セルに増やしている。ただし艦内区画の関係上、主船体内に完全に収容することができずに、1甲板分装備位置を上げることとなった[8]。なお、ここから運用される個艦防空ミサイル(短SAM)としては、従来はRIM-7M(PIP)シースパローが用いられていたが、平成26・27年度予算において、「たかなみ型護衛艦の短SAMシステムの能力向上」として、ESSM(発展型シースパロー)運用能力の付与が決定された[9]。
短SAMと主砲を管制する射撃指揮装置(FCS)としては、03DDの機種に小改正を加えたFCS-2-31Bが搭載された。03DDと同様に同一機種2基搭載としており、同時2目標対処を可能としている。なお、同時多目標対処可能な新型機であるFCS-3が、早ければ平成12年度前後にも制式化される見通しであったことから、本型の後期建造艦でこれを搭載する案もあったが、形態管理上の観点から見送られた[4]。
艦対艦ミサイルは、03DDと同じく90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を4連装発射筒2基に収容して搭載しているが、装備位置は、03DDでは前部上構の後端であったのに対し、本型では後部上構の前端に変更されている。これにより、ミサイル発射時のデッキクレーンとの干渉が解消され、ブラストガードが不要となった[6]。
対潜兵器としては、上記のVLAのほかに、68式3連装短魚雷発射管HOS-302を艦中部両舷に装備しているが、これは03DDと同様の要領である。一方、魚雷対策用の曳航式デコイについては、国産の曳航具4型に変更された[8][10]。
電子戦装備は03DDと同様で、電子攻撃と電子戦支援を兼用できるNOLQ-3電波探知妨害装置を搭載しているほか、デコイ発射機としては、Mk.137 6連装チャフ・フレア発射機を艦橋構造中段の両舷に2基ずつ設置している[6][8]。
航空機[編集]
ヘリコプター格納庫
海上自衛隊の全ての汎用護衛艦は、ヘリコプター格納庫を装備し、哨戒ヘリコプターを1機運用している。58DDでは応急的に2機を収容できるように格納庫を拡張したものの、当初設計では考慮されていなかった措置であったために無理があり、実際に2機搭載が行われた実例はないとされている。これを踏まえて、続く03DDでは当初からSH-60ヘリコプター2機の収容を前提とした設計が行われることになった。RAST発着艦支援装置の機体移送軌条は1条しかないため、運用には若干の困難が伴うものの、自衛隊インド洋派遣やソマリア沖海賊の対策部隊派遣の際には、実際に2機での運用(1機搭載、1機格納)が実施されている[11][12]。
本型では更に、発着艦支援装置の機体移送軌条を2条としたE-RAST(Expandable RAST)に換装することで、汎用護衛艦として初めて、ヘリコプター2機を十分運用させるだけの能力が付与された。ただし、移送用のシャトル(RSD)は1基しか装備されていないほか、ヘリコプター運用定数はこれまでと同じように1機である。また格納庫は、現在使用されている哨戒ヘリコプターSH-60Jよりもやや大型のSH-60Kの運用を前提として開発されたため、むらさめ型より奥行きが拡大されている。またSH-60Kには空対艦ミサイル(ヘルファイア)の搭載能力が付与されているため、弾薬庫もこれにあわせて改設計された。これは、ヘリコプター搭乗員待機室とともに、むらさめ型でシースパロー対空ミサイル用Mk.48 VLSが装備されていた場所に設けられており、よりヘリコプター格納庫に近い合理的な配置となった[8]。
同型艦[編集]
当初は、本型を11隻建造して、むらさめ型(03DD)とあわせて20隻とすることで8艦8機体制の4個護衛隊群の所要を充足したのちに、本型で搭載できなかった新装備(FCS-3やOQS-XXなど)を搭載した第3世代DDを改めて建造することも検討された。しかし最終的には、本型の建造は平成13年度までの5隻で打ち切られ、DDH・DDGの更新を挟んで、平成19年度からは、本型をもとにこれらの新装備を盛り込むとともに主機関などを改正した5,000トン型に移行することになった[4]。
「たかなみ」から「まきなみ」までの艦名はあやなみ型の同番号の艦と同一となっている。
艦番号
艦名
建造
起工
進水
竣工
所属
DD-110 たかなみ アイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド
浦賀工場 2000年
(平成12年)
4月25日 2001年
(平成13年)
7月26日 2003年
(平成15年)
3月12日 第2護衛隊群第6護衛隊
(司令部:佐世保基地)
(定係港:横須賀基地)
DD-111 おおなみ 三菱重工業
長崎造船所 2000年
(平成12年)
5月17日 2001年
(平成13年)
9月20日 2003年
(平成15年)
3月13日
DD-112 まきなみ アイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド
横浜工場 2001年
(平成13年)
7月17日 2002年
(平成14年)
8月8日 2004年
(平成16年)
3月18日 第3護衛隊群第3護衛隊
(大湊基地)
DD-113 さざなみ 三菱重工業
長崎造船所 2002年
(平成14年)
4月3日 2003年
(平成15年)
8月29日 2005年
(平成17年)
2月16日 第4護衛隊群第4護衛隊
(呉基地)
DD-114 すずなみ アイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド
横浜工場 2003年
(平成15年)
9月24日 2004年
(平成16年)
8月26日 2006年
(平成18年)
2月16日 第3護衛隊群第3護衛隊
(大湊基地)
事故[編集]
DD-110「たかなみ」は、就役後1年余りの2004年6月6日、訓練検閲を受けるため千葉県館山市沖合いにて、大規模被害対処訓練を実施中、注排水バルブの操作ミスにより船体内に浸水。弾庫やVLS(垂直発射機)などの区画が水に浸かった。死傷者は出なかったものの、浸水した区画の関連機材の多くは使用不可能となった。
DD-111「おおなみ」は、就役後1年余りの2004年6月ごろ、マストが折れ曲がるという事故が発生した。
現在までに、大分市大在埠頭を母港とする、我が海上自衛隊第1機動艦隊は、就役済がヘリ空母いせ、
汎用護衛艦2隻、さみだれ、まきなみの合計3隻となっております 笑
次回作は、ハセガワのイージス護衛艦こんごう(スーパーデティールアップセット)です。
エッチングが、マストアンテナを含めフル装備なので、手すりの不足に悩まされることなく安心して、
なおかつ前回よりも相当手を入れて作れます。
まだヘリは今回1機も作っていませんが、ヘリ空母いせ用にヘリセットも購入してしまいました。
これもヤフオクで、1,000円以内で購入できてお買い得でした。
護衛艦まきなみ、完成です。
前回製作済のさみだれと2ショット。
同じ配色で塗装したのに、色味が食い違うかと思ったらそうでもありませんでした。
手前がさみだれ、奥がまきなみです。
で、護衛艦いなずま、手すりを全体に張り巡らしました。
いなずまは、次回、晴天の日に塗装して、デカール貼り、追加工作して完成です。
あと、参考までに、むらさめ型とたかなみ型の情報貼っておきます。
曖昧さ回避 この項目では、1996年より就役を開始したDD-101「むらさめ」級について説明しています。
1959年より就役を開始したDDA-107「むらさめ」級については「むらさめ型護衛艦 (初代)」をご覧ください。
むらさめ型護衛艦
Ariake (DD 109) pulls into Pearl Harbor.jpg
真珠湾に入港するDD-109ありあけ
艦級概観
艦種 汎用護衛艦(DD)
建造期間 1993年 - 2002年
就役期間 1996年 - 就役中
前級 DD:あさぎり型護衛艦
次級 DD:たかなみ型護衛艦
主要諸元
排水量 基準 4,550トン
満載 6,100トン
全長 151 m
全幅 17.4 m
深さ 10.9 m
吃水 5.2 m
機関 COGAG方式
LM2500ガスタービンエンジン (16,500PS) 2基
SM1Cガスタービンエンジン (13,500PS) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 最大30ノット
乗員 165名
兵装 62口径76ミリ単装速射砲 1基
高性能20mm機関砲
(CIWS Mk.15 mod.12) 2基
Mk.48 mod.0→4
(16セル; シースパロー/ ESSM短SAM用) 1基
Mk.41 mod.9 VLS
(16セル; VLA SUM用) 1基
90式SSM 4連装発射筒 2基
68式3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 SH-60J/K哨戒ヘリコプター 1機
FCS FCS-2-31 主砲・短SAM用 2基
C4I SUPERBIRD B2衛星通信装置
海軍戦術情報システム
(OYQ-9 CDS+リンク 11/14)
OYQ-103 ASWCS
レーダー OPS-24B 3次元式 1基
OPS-28D 対水上捜索用 1基
OPS-20 航海用 1基
ソナー OQS-5 艦首装備式 1基
OQR-2 曳航式 1基
電子戦・
対抗手段 NOLQ-3電波探知妨害装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置
むらさめ型護衛艦(むらさめがたごえいかん、英: Murasame-class destroyer)は、海上自衛隊が使用する汎用護衛艦(DD)の艦級。計画番号はF120[1]。ネームシップの建造単価は609億円であった[2]。
海上自衛隊の第2世代汎用護衛艦として、03・08中期防に基づき、平成3年度から平成9年度にかけて9隻が建造された。発展型のたかなみ型(10〜13DD)およびあきづき型(19〜21DD)とともに、護衛隊群の基準構成艦となっている[3]。
目次 [非表示]
1 来歴
2 設計 2.1 船体
2.2 機関
3 装備 3.1 C4I
3.2 対空戦
3.3 対水上戦
3.4 対潜戦
3.5 電子戦
3.6 航空機
4 同型艦
来歴[編集]
海上自衛隊では、第1世代の汎用護衛艦(DD)として昭和52年度計画より2,900トン型(はつゆき型; 52DD)を、また昭和58年度計画からは改良型の3,500トン型(あさぎり型; 58DD)を建造し、昭和61年度計画までに、両型あわせて20隻が整備された。これにより、8艦8機体制の4個護衛隊群の所要は充足され、護衛艦隊のワークホース(基準構成艦)の近代化は一段落したと判断されたことから、護衛艦の整備は地方隊向けに移行して、同年度より1,900トン型(あぶくま型; 61DE)の建造が開始されていた[3]。
しかしDEの整備を継続した場合はその間はDDが建造されず、かつDDを艦齢いっぱい使用する場合は、52DDの代艦建造は25年後の2002年となる。周辺諸国海軍の近代化を考慮すると、これでは護衛隊群の任務遂行能力が相対的に大きく低下する懸念があった。このことから海上幕僚監部では、平成元年度でDEの建造を打ち切るかわりに、新世代のDDの建造を再開し、これによって護衛隊群から押し出されるはつゆき型(52DD)を地方隊に配備することで、旧型DEの更新に充当する方針とした。これは、護衛隊群は新鋭DD、地方隊はDEと旧型DDという構図を崩すことになることから、内局や政府部内からの反発も強かった。しかし護衛隊群の護衛艦の更新を継続し、質的な水準の確保をはかるためには必要な施策であることから、最終的には承認された。そして、この方針に基いて、第2世代のDDとして開発されたのが本級である[4]。
設計[編集]
船体[編集]
本型では、パッシブ対潜戦に対応して水中放射雑音の一層の低減を求められたほか、航空運用能力の強化や居住性の改善を図った結果として、船体は汎用護衛艦としてはかなり大きくなり、58DDと比べると、全長で14メートル、幅で2.8メートルの大型化となった[5]。概算要目作成時には、更に大型の4,700トン型とされていたが、大幅な縮小が行われたことから、要求の具現化には困難が伴ったが、最終的に4,400トン型として設計された[1]。航走雑音の低減を考慮して、船型は細長くなっており[6]、これにより、凌波性・砕波性は優れたものとなっている。またレーダー反射断面積(RCS)低減のため、船体・上部構造物ともに傾斜が付されており、船体舷側は外側に、上部構造物や煙突壁面は内側にそれぞれ7度傾けられているほか、壁面の合わせ目は鋭いエッジとしている。また大型のラティスマストにも電波吸収体が貼り付けられている[7]。
第1世代DDでは飛行甲板は艦中央の01甲板レベルに配置されていたが、本型では幅が増加した分だけ発着艦が容易となったことから、わざわざ1甲板分高める必要がなくなり、上甲板レベルとされた。しかしこれにより、今度は係留装置などとの干渉をさける必要が生じたことから、こんごう型(63DDG)と同様に、艦尾甲板の舷側部はなだらかに傾斜している。これを初代むらさめ型(32/33DD)を始めとする初期の海上自衛隊護衛艦の設計上の特徴であったオランダ坂に喩えて、ミニ・オランダ坂とも称する[5][8]。
居住性向上策として、61DEと同様に2段ベッド化が図られている(従来艦は3段ベッド)が、これは大幅な省人化によって達成されたものであった。ただし有事等には3段化することで、乗員数を60人程度増加することもできる[9]。本型では、更に科員居住区の小部屋化(12名程度)も図られた。また乗員の平均身長の増加に対応して、艦内の応急甲板は甲板間高さを増している[5]。
機関[編集]
主機方式は、58DDと同様のCOGAG方式が踏襲された。58DDでは同機種4基であったのに対し、本型では2機種2基ずつとなっているという点でははたかぜ型(56DDG)に近いが、本型では更に巡航機と高速機のメーカーも異なっており、このようにメーカーの異なるガスタービンエンジンを採用することは世界的にも珍しい。巡航機はロールス・ロイス社製のスペイSM1C(1基あたり13,500馬力)、高速機はゼネラル・エレクトリック社製のLM2500(1基あたり16,500馬力)である[10]。
機関配置は、あさぎり型で採用されたシフト配置を踏襲しており、前後に2つの機械室が設けられている。前方の第1機械室には1号ガスタービン(LM2500)と2号ガスタービン(SM1C)が設置されており、減速機を介して左推進軸を駆動する。同様に、後方の第2機械室には3号ガスタービン(LM2500)と4号ガスタービン(SM1C)が設置されて、右推進軸を駆動する。主機配置の関係から、前部煙突は左寄りに、後部煙突は右寄りに配置されている[7]。なお省力化のため、機械室の無人化(Mゼロ化)が行なわれている[10]。
また主発電機としては、川崎重工業M1A-25ガスタービンエンジン(出力1,500 kW)を原動機とした発電機3セットが搭載された。これは第1世代DDで採用されたM1Aシリーズの発展型であった[11]。なお、主発電機をガスタービン駆動発電機3基で構成する方式は、こんごう型(63DDG)より採用されたものであったが、本型を含む第2世代DDではいずれも踏襲されている[12]。
装備[編集]
C4I[編集]
詳細は「OYQ-9」を参照
艦の指揮中枢となる戦闘指揮所(CIC)は船体内の第2甲板に設置されており、戦闘システムの中核となる戦術情報処理装置は新世代のOYQ-9である。OYQ-9は新世代の電子計算機であるUYK-43 1基とUYK-44 1基を中核として、ワークステーションとしてAN/UYQ-21が配置されているほか、CICにはイージス・ディスプレイ・システム(ADS Mk.2)に類似した大画面液晶ディスプレイ(LCD)2面構成の情報表示プロジェクタが設置され、戦術情報の表示を効率化している[13]。
また本型では、OYQ-9とのインターフェースを取って、OYQ-103 対潜情報処理装置(ASWCS)が搭載されており、これによって全武器システムとのデジタル連接が実現された。データリンクとしてはリンク 11およびリンク 14、また、哨戒ヘリコプターのヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)との連接用にORQ-1 TACLINKを装備している[13]。また後にデジタル化したORQ-1Bが開発され、「はるさめ」などに試験搭載された[14]。
対空戦[編集]
艦橋前方に76ミリ速射砲、Mk.41 VLS、高性能20mm機関砲、煙突間にMk.48 VLSが配置されている
防空用の武器システムは、基本的には58DDと同じ能力であるが、レーダー射撃指揮装置を同機種2基とすることで同時2目標対処を可能とするとともに、ミサイルを垂直発射化したものとなっている[15]。
個艦防空ミサイル(短SAM)の垂直発射機(VLS)としては、16セルのMk.48が艦の中央部の煙突間に配置されている。搭載するミサイル数は第1世代DDと同数であるが、従来は8発撃つとミサイルをランチャーに装填する必要があったのに対して、VLSではその必要がなくなり、即応弾数は倍になった。ミサイルとしては、当初は従来型シースパローをもとにVLSに対応させたRIM-7M(PIP)が搭載されていたが、平成16年度から24年度にかけて発展型シースパロー(ESSM)の運用能力が付与された。これは「むらさめ型等の短SAMシステム換装」と称されており、VLSをMk.48 mod.4 VLSに換装した[16]。Mk.48 mod.4 VLSに装填されるキャニスタはMk.20 キャニスタであり、ESSM搭載数は1セルあたり1発のままである。[17][18][脚注 1]。
砲熕兵器も第1世代DDのものが基本的に踏襲されており、主砲としては76ミリ単装速射砲(コンパット砲)を艦首甲板に1基装備した。また近接防空用については、高性能20mm機関砲(CIWS Mk.15 mod.12; ファランクス ブロック1)2基を搭載している点では第1世代DDと同様であるが、設置位置は、艦橋前部とハンガー上に変更されている。CIWSを艦首尾線上に配置することで、襲来する対艦ミサイルへの火力集中と、艦の暴露面積の縮小を図ったものである[7]。
射撃指揮装置(FCS)としては、第1世代DDでは、主砲用(GFCS)としてはFCS-2-2xシリーズを、短SAM用(GMFCS)としてはFCS-2-1xシリーズを搭載していたため、特に短SAMによる目標の同時処理能力は1個に制約されていた[脚注 2]。本型では、当初は同時多目標対処可能な完全新型機であるFCS-3の搭載が検討されていたものの、開発スケジュールの遅延と重量容積の増加のために、これは実現しなかった[20]。しかし砲・短SAMの双方を管制できる改良型であるFCS-2-31を2基搭載することで、同時2目標対処は可能となった[15]。
なお、対空捜索用のレーダーとしては、アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)アンテナを用いた3次元レーダーであるOPS-24Bを搭載した。原型機であるOPS-24は、あさぎり型の後期建造艦(60・61DD)で装備化されたものの、航空自衛隊のレーダーサイトで用いられていたJ/FPS-3をもとに最小限の改正で艦載化したこともあって搭載後より問題が多発し、用兵者からの評価は惨憺たるものとなっていた。このことから、本型搭載のOPS-24Bでは、ほぼ新造に近いレベルの抜本的な改良が施されている[19]。
対水上戦[編集]
本型は、90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)による長距離対水上打撃力を備えている。SSM-1Bは1号型ミサイル艇で装備化された国産の艦対艦ミサイルで、従来使用されてきたハープーンよりも優れた精度と対妨害性を備えている。発射機はハープーンと同様の4連装発射筒で、2基の発射筒は、艦中央部、第1煙突後方に搭載されている。なお攻撃指揮装置としては対艦ミサイル艦上装置2形を備えており、SSM-1Bとハープーンの双方の発射管制機能を有している[21]。このため、実運用上はハープーンを搭載している例も多く見られる[22]。
対水上捜索用のレーダーとしては、58DDと同じくOPS-28が搭載されている。これはCバンドで動作し、遠距離での精密捜索能力に優れており、水上の目標のみならず、低空を飛行する巡航ミサイル(シースキマー)などの探知にも使用される[23]。
また、ソマリア沖海賊の対策部隊派遣などで近距離の小型水上目標に対応することを想定して、艦橋側面のチャフ甲板および格納庫上の両舷に12.7mm重機関銃M2の銃座を設置しているほか、艦橋構造物前には防弾板も装着できるように改修されている[24]。
対潜戦[編集]
68式3連装短魚雷発射管
海上自衛隊の第1世代DD(52・58DD)は、対潜戦能力という面では、元々は狭域陣形でのアクティブ戦を中心としており、途中から戦術曳航ソナーやソノブイによるパッシブ戦能力を付与したものであった。しかし当時の趨勢としては、潜水艦へのステルス艦型導入や水中吸音材の使用によって、従来のアクティブ・ソナーによる探知が困難となり、より本格的なパッシブ戦能力の導入が求められていた。これに応えて、本型では当初よりアクティブ・パッシブの両機能が具備され、SH-60Jと連携した広域陣形での対潜戦が主体となった[15]。
最大の変更点は、OYQ-103 対潜情報処理装置(ASW Control System: ASWCS)によるシステム化の導入である。汎用護衛艦(DD)においては、あさぎり型の最終艦(61DD)よりOYQ-101 ASWDSが導入されていたが、これはあくまでセンサーからの入力を統合するためのものであった。その後、こんごう型護衛艦(63DDG)において、米国のAN/SQQ-89に範を取り、システム統合をより進展させたOYQ-102 ASWCSが装備された。本型のOYQ-103は、このOYQ-102の経験を生かして開発されたものであり、OYQ-9と連接されるとともに、水測予察器やソナー、曳航ソナー(TASS)、ソノブイ信号処理装置(SDPS)などのセンサー、VLSや魚雷発射管などの対潜兵器、更にはヘリコプター・データリンク(TACLINK)を介して哨戒ヘリコプターのヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)とも連接されている[13]。
船体装備ソナーとしては、新開発のOQS-5を搭載した。これは、昭和59年度から平成元年度にかけて開発されていたOQS-Xの成果を踏まえて開発されたものであり、ラバーウィンドーを採用した点では58DDのOQS-4A(II)と同様であるが、装備位置は4次防以前の艦と同様の船首装備式(バウドーム)に戻された。なお第1世代DDでは、中周波式のOQS-4シリーズをいずれも船底装備式(ハルドーム)としていたが、特に52DDにおいては、機関室の騒音からの隔離不十分や艦首波の影響などのために、ソナー性能の深刻な低下を招いていた[19]。
曳航ソナー(TASS)も、新型のOQR-2が搭載された。これは、第1世代DDに後日装備された86式えい航式パッシブソーナーOQR-1と比してアレイの径が細く、その分長さを伸ばして方位精度を増したものとされている[7]。また第1世代DDでは後甲板におけるTASSの投入・揚収作業は危険を伴い、特に夜間・荒天時の作業は安全確保上特別の配慮が必要であった[25]のに対し、本型では艦尾はエンクローズされて曳航ソナーの装備区画が艦内に取り込まれ、艦尾には油圧駆動による水密扉が設けられている[5]。
対潜兵器は基本的に第1世代DDと同構成だが、アスロックの発射機として、従来用いられてきた8連装発射機(Mk.16 GMLSあるいは74式アスロックランチャー)にかえて、垂直発射式のMk.41 mod.9 VLS(16セル)が搭載された。搭載位置は艦橋構造物前方で、甲板内に収容されている。Mk.48を含め、これらの垂直発射装置は、汎用護衛艦としては初めての搭載例である。魚雷発射管としては、68式3連装短魚雷発射管HOS-302を艦中部両舷に装備している[5]。
なお魚雷対策用の曳航式デコイについても、58DDと同じく、アメリカ製のAN/SLQ-25ニクシーが装備された[26]。
電子戦[編集]
マスト
第1世代DDにおいては、当初はNOLR-6電波探知装置(ESM)とOLR-9ミサイル警報装置(RWR)、OLT-3電波妨害装置(ECM)が搭載されていた。その後、60DDからはRWRの機能を統合した新型のNOLR-8電波探知装置が搭載されるとともに、OLT-3と連接して電子戦システムが構築されるようになっていた[19]。
本型では統合を更に推し進めて、電子攻撃と電子戦支援を兼用できるNOLQ-3電波探知妨害装置が搭載されている。これは63DDGで搭載されたNOLQ-2と同系列で、アメリカ海軍のAN/SLQ-32にほぼ匹敵するものと見られている[23]。
またデコイ発射機としては、チャフロケットシステム(Mk.137 6連装デコイ発射機)が艦橋構造中段の両舷に2基ずつ設置されている[5]。ここから投射される弾薬としては、従来のチャフロケット弾やIRデコイ弾(フレア)などのほか、平成7年度計画艦以降では投棄型電波妨害機も搭載されている[1]。
航空機[編集]
ヘリコプター格納庫
艦載機としては、当初からSH-60J哨戒ヘリコプターの搭載を想定しており、艦尾甲板のヘリコプター甲板にはRAST(Recovery, Assist, Secure and Traverse)発着艦支援装置が設置されている。またSH-60Kの開発後は同機の搭載にも対応した[27]。
なお海自DDでは、艦載ヘリコプターの定数はいずれも1機となっている。58DDではSH-60クラスのヘリコプター2機を格納可能なように拡張したが、これは設計の最終段階で急遽行われた措置であったために、あくまで応急的に2機を収容できるスペースを確保したという程度であった。SH-60Jを用いて行われた2機格納検証作業の際には、途中で危険な状態に陥って作業中止となっており、実際に2機搭載が行われた実例はないとされていた。これを踏まえて、本型では当初よりSH-60ヘリコプター2機の収容を前提とした設計が行われることになった。RAST発着艦支援装置の機体移送軌条は1条しかないため、運用には若干の困難が伴うものの、自衛隊インド洋派遣やソマリア沖海賊の対策部隊派遣の際には、実際に2機での運用(1機搭載、1機格納)が実施されている[28][29]。
同型艦[編集]
艦番号
艦名
建造
起工
進水
竣工
所属
DD-101 むらさめ 石川島播磨重工業
東京第1工場 1993年
(平成5年)
8月18日 1994年
(平成6年)
8月23日 1996年
(平成8年)
3月12日 第1護衛隊群第1護衛隊
(横須賀基地)
DD-102 はるさめ 三井造船
玉野事業所 1994年
(平成6年)
8月11日 1995年
(平成7年)
10月16日 1997年
(平成9年)
3月24日 第2護衛隊群第2護衛隊
(佐世保基地)
DD-103 ゆうだち 住友重機械
追浜造船所
浦賀工場 1996年
(平成8年)
3月18日 1997年
(平成9年)
8月19日 1999年
(平成11年)
3月4日 第3護衛隊群第7護衛隊
(司令部:舞鶴基地)
(定係港:大湊基地)
DD-104 きりさめ 三菱重工業
長崎造船所 1996年
(平成8年)
4月3日 1997年
(平成9年)
8月21日 1999年
(平成11年)
3月18日 第4護衛隊群第4護衛隊
(司令部:呉基地)
(定係港:佐世保基地)
DD-105 いなづま 1997年
(平成9年)
5月8日 1998年
(平成10年)
9月9日 2000年
(平成12年)
3月15日 第4護衛隊群第8護衛隊
(呉基地)
DD-106 さみだれ 石川島播磨重工業
東京第1工場 1997年
(平成9年)
9月11日 1998年
(平成10年)
9月24日 2000年
(平成12年)
3月21日 第4護衛隊群第4護衛隊
(呉基地)
DD-107 いかづち 日立造船
舞鶴工場 1998年
(平成10年)
2月25日 1999年
(平成11年)
6月24日 2001年
(平成13年)
3月14日 第1護衛隊群第1護衛隊
(横須賀基地)
DD-108 あけぼの 石川島播磨重工業
東京第1工場 1999年
(平成11年)
10月29日 2000年
(平成12年)
9月25日 2002年
(平成14年)
3月19日 第1護衛隊群第5護衛隊
(佐世保基地)
DD-109 ありあけ 三菱重工業
長崎造船所 1999年
(平成11年)
5月18日 2000年
(平成12年)
10月16日 2002年
(平成14年)
3月6日 第1護衛隊群第5護衛隊
(佐世保基地)
たかなみ型護衛艦(たかなみがたごえいかん、英語: Takanami-class destroyer)は海上自衛隊が運用する汎用護衛艦(DD)の艦級。計画番号はF121[1]。ネームシップの建造単価は644億円であった[2]。
海上自衛隊の第2世代汎用護衛艦の小改正型として、08・13中期防に基づき、平成10年度から平成13年度にかけて5隻が建造された。原型にあたるむらさめ型(03〜09DD)および発展型にあたるあきづき型(19〜21DD)とともに、護衛隊群の基準構成艦となっている[3]。
目次 [非表示]
1 来歴
2 設計
3 装備 3.1 C4ISR
3.2 武器システム
3.3 航空機
4 同型艦 4.1 事故
来歴[編集]
海上自衛隊では、第1世代の汎用護衛艦(DD)として昭和52年度計画より2,900トン型(はつゆき型; 52DD)を、また昭和58年度計画からは改良型の3,500トン型(あさぎり型; 58DD)を配備し、昭和61年度計画までに計20隻を建造した[3]。
続いて平成3年度より、第2世代DDとして4,400トン型(むらさめ型; 03DD)の建造が開始された。これは、基本的な能力は第1世代DDと同様であるが、当初よりパッシブ対潜戦能力に対応するとともに、ステルス性に配慮した設計やミサイルの垂直発射化などの新機軸を導入していた。同型はおおむね用兵者の要求を満足した艦となったものの、2機種のVLSを併載していることによる非合理性の是正、また艦砲射撃能力向上の要請に応じて、08中期防の途中で、03DDの最小限の不備補正を講じた発展型に移行することになった。これに応じて開発されたのが本型である[4]。
設計[編集]
詳細は「むらさめ型護衛艦#設計」を参照
船体線図と機関部の構成はむらさめ型(03DD)から変更されておらず[5]、遮浪甲板型の船型と、艦尾の「ミニオランダ坂」様の造作も同様である。ただし主砲の換装に伴い、弾庫の造作も変更されたことから、弾庫と装薬庫の分離が図られた。また主船体の主横隔壁に変更はないが、前部VLSの所要容積増加などに伴って、かなりの区画変更がなされている[6]。
艤装面で最大の差異が海曹士の居住区で、03DDでは12名程度の小部屋に区分されていた科員寝室は、ダメージコントロールの観点から、30名程度の大部屋に変更された。一方、先任海曹(CPO)の居住区はグレードアップが図られている。また航空要員の居住区は、03DDでは主船体内に配置されていたのに対してMk.48 VLSの撤去跡に移動され、搭乗員待機室と航空事務室も設けられた[6]。
03DDでは2基であったデッキクレーンは1基に統合された。クレーン長は3メートル延長されて12メートルとなっている。搭載艇は03DDと同じく内火艇2隻と複合型作業艇1隻であるが、複合型作業艇の搭載位置は第1煙突直後に変更された。なお03DDでステルス性を損なっていると評された大型のラティスマストを2本に分散して小型化する案も検討されたが、これは実現しなかった[6]。
03DDと比して、排水量にして100トン程度の大型化となっているが、この程度では艦の運動性能にはほとんど影響を与えないことから、機関区画の配置も含めて、主機関には変更はない。また発電機も同機種・同構成となっている[6]。
装備[編集]
「むらさめ型護衛艦#装備」も参照
C4ISR[編集]
戦術情報処理装置については、最初の3隻(10・11DD)ではOYQ-9Cが搭載されていた。これは03DDで搭載されていたOYQ-9/9Bとほぼ同構成で、AN/UYK-43電子計算機とAN/UYQ-21(OJ-663)ワークステーションから構成されていた。その後、4番艦(12DD)では、電子計算機とワークステーションをともにAN/UYQ-70に更新したOYQ-9Dに発展した。また戦術データ・リンクとしては、OYQ-9C/Dでは従来通りのリンク 11が用いられていたが、5番艦(13DD)のOYQ-9Eではリンク 16にも対応した。なお戦闘指揮所には、大画面液晶ディスプレイ(LCD)2面による情報表示プロジェクタが設置されている[7]ほか、新造時よりMOFシステムの洋上端末(C2T)を備えている。C2Tの画面はCICと艦橋におかれている[8]。
センサー面では03DDの構成が踏襲されている。レーダーについては、長距離捜索用としては3次元式のOPS-24B、対水上捜索用(低空警戒兼用)としてはOPS-28Dと、いずれも03DDと同機種である。またソナーも、艦首装備式のOQS-5-1、曳航式のOQR-2と、03DDに準じた構成となっている[8]。なお艦首装備ソナーについては、開発中であったOQS-XX(後のOQQ-21)が実用化され次第に後日装備する案もあったが、重量容積面の負担が大きいことと形態管理上の観点から見送られた[4]。
武器システム[編集]
外見上もっとも目立つ変更点が主砲の変更で、第1世代DD以来踏襲されてきた62口径76ミリ単装速射砲(76mmコンパット砲)を離れて、54口径127ミリ単装速射砲(127mmコンパット砲)が搭載された。これはその名の通り、76mmコンパット砲のスケールアップ・モデルとして、同じくオート・メラーラ社で開発されたものであり、海上自衛隊ではこんごう型(63DDG)で装備化された。これは対空射撃の威力強化と工作船事案などの多様な事態対処能力の向上[4]、対地・対水上射撃の火力強化の要請に応じたものであった[7]。同系列の砲とはいえ、砲塔重量は5倍強に増加し、また76mm砲が完全弾薬筒方式であったのに対して、127mm砲は半固定式となったことから、弾庫と装薬庫に分離されるなど、関連区画は大きく変更されている[8]。
またVLSの統合化も、艦内設計に大きな変更を必要とした。03DDでは、艦首甲板に埋め込むかたちで垂直発射型アスロック(VLA)用のMk.41(16セル)を、また第2煙突直前の甲板上にシースパロー用のMk.48(16セル)を設置していたのに対して、本型では、Mk.41を両者兼用として、32セルに増やしている。ただし艦内区画の関係上、主船体内に完全に収容することができずに、1甲板分装備位置を上げることとなった[8]。なお、ここから運用される個艦防空ミサイル(短SAM)としては、従来はRIM-7M(PIP)シースパローが用いられていたが、平成26・27年度予算において、「たかなみ型護衛艦の短SAMシステムの能力向上」として、ESSM(発展型シースパロー)運用能力の付与が決定された[9]。
短SAMと主砲を管制する射撃指揮装置(FCS)としては、03DDの機種に小改正を加えたFCS-2-31Bが搭載された。03DDと同様に同一機種2基搭載としており、同時2目標対処を可能としている。なお、同時多目標対処可能な新型機であるFCS-3が、早ければ平成12年度前後にも制式化される見通しであったことから、本型の後期建造艦でこれを搭載する案もあったが、形態管理上の観点から見送られた[4]。
艦対艦ミサイルは、03DDと同じく90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を4連装発射筒2基に収容して搭載しているが、装備位置は、03DDでは前部上構の後端であったのに対し、本型では後部上構の前端に変更されている。これにより、ミサイル発射時のデッキクレーンとの干渉が解消され、ブラストガードが不要となった[6]。
対潜兵器としては、上記のVLAのほかに、68式3連装短魚雷発射管HOS-302を艦中部両舷に装備しているが、これは03DDと同様の要領である。一方、魚雷対策用の曳航式デコイについては、国産の曳航具4型に変更された[8][10]。
電子戦装備は03DDと同様で、電子攻撃と電子戦支援を兼用できるNOLQ-3電波探知妨害装置を搭載しているほか、デコイ発射機としては、Mk.137 6連装チャフ・フレア発射機を艦橋構造中段の両舷に2基ずつ設置している[6][8]。
航空機[編集]
ヘリコプター格納庫
海上自衛隊の全ての汎用護衛艦は、ヘリコプター格納庫を装備し、哨戒ヘリコプターを1機運用している。58DDでは応急的に2機を収容できるように格納庫を拡張したものの、当初設計では考慮されていなかった措置であったために無理があり、実際に2機搭載が行われた実例はないとされている。これを踏まえて、続く03DDでは当初からSH-60ヘリコプター2機の収容を前提とした設計が行われることになった。RAST発着艦支援装置の機体移送軌条は1条しかないため、運用には若干の困難が伴うものの、自衛隊インド洋派遣やソマリア沖海賊の対策部隊派遣の際には、実際に2機での運用(1機搭載、1機格納)が実施されている[11][12]。
本型では更に、発着艦支援装置の機体移送軌条を2条としたE-RAST(Expandable RAST)に換装することで、汎用護衛艦として初めて、ヘリコプター2機を十分運用させるだけの能力が付与された。ただし、移送用のシャトル(RSD)は1基しか装備されていないほか、ヘリコプター運用定数はこれまでと同じように1機である。また格納庫は、現在使用されている哨戒ヘリコプターSH-60Jよりもやや大型のSH-60Kの運用を前提として開発されたため、むらさめ型より奥行きが拡大されている。またSH-60Kには空対艦ミサイル(ヘルファイア)の搭載能力が付与されているため、弾薬庫もこれにあわせて改設計された。これは、ヘリコプター搭乗員待機室とともに、むらさめ型でシースパロー対空ミサイル用Mk.48 VLSが装備されていた場所に設けられており、よりヘリコプター格納庫に近い合理的な配置となった[8]。
同型艦[編集]
当初は、本型を11隻建造して、むらさめ型(03DD)とあわせて20隻とすることで8艦8機体制の4個護衛隊群の所要を充足したのちに、本型で搭載できなかった新装備(FCS-3やOQS-XXなど)を搭載した第3世代DDを改めて建造することも検討された。しかし最終的には、本型の建造は平成13年度までの5隻で打ち切られ、DDH・DDGの更新を挟んで、平成19年度からは、本型をもとにこれらの新装備を盛り込むとともに主機関などを改正した5,000トン型に移行することになった[4]。
「たかなみ」から「まきなみ」までの艦名はあやなみ型の同番号の艦と同一となっている。
艦番号
艦名
建造
起工
進水
竣工
所属
DD-110 たかなみ アイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド
浦賀工場 2000年
(平成12年)
4月25日 2001年
(平成13年)
7月26日 2003年
(平成15年)
3月12日 第2護衛隊群第6護衛隊
(司令部:佐世保基地)
(定係港:横須賀基地)
DD-111 おおなみ 三菱重工業
長崎造船所 2000年
(平成12年)
5月17日 2001年
(平成13年)
9月20日 2003年
(平成15年)
3月13日
DD-112 まきなみ アイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド
横浜工場 2001年
(平成13年)
7月17日 2002年
(平成14年)
8月8日 2004年
(平成16年)
3月18日 第3護衛隊群第3護衛隊
(大湊基地)
DD-113 さざなみ 三菱重工業
長崎造船所 2002年
(平成14年)
4月3日 2003年
(平成15年)
8月29日 2005年
(平成17年)
2月16日 第4護衛隊群第4護衛隊
(呉基地)
DD-114 すずなみ アイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド
横浜工場 2003年
(平成15年)
9月24日 2004年
(平成16年)
8月26日 2006年
(平成18年)
2月16日 第3護衛隊群第3護衛隊
(大湊基地)
事故[編集]
DD-110「たかなみ」は、就役後1年余りの2004年6月6日、訓練検閲を受けるため千葉県館山市沖合いにて、大規模被害対処訓練を実施中、注排水バルブの操作ミスにより船体内に浸水。弾庫やVLS(垂直発射機)などの区画が水に浸かった。死傷者は出なかったものの、浸水した区画の関連機材の多くは使用不可能となった。
DD-111「おおなみ」は、就役後1年余りの2004年6月ごろ、マストが折れ曲がるという事故が発生した。
現在までに、大分市大在埠頭を母港とする、我が海上自衛隊第1機動艦隊は、就役済がヘリ空母いせ、
汎用護衛艦2隻、さみだれ、まきなみの合計3隻となっております 笑
次回作は、ハセガワのイージス護衛艦こんごう(スーパーデティールアップセット)です。
エッチングが、マストアンテナを含めフル装備なので、手すりの不足に悩まされることなく安心して、
なおかつ前回よりも相当手を入れて作れます。
まだヘリは今回1機も作っていませんが、ヘリ空母いせ用にヘリセットも購入してしまいました。
これもヤフオクで、1,000円以内で購入できてお買い得でした。