『イップ・マン』という香港のカンフー映画がある。
テレビでときどき放映されるシリーズ映画、ワタシはカンフー映画が理屈抜きに好きである。
ブルース・リーは『燃えよドラゴン』(1973年)で世界的なスターとなったが、
それ以前の『ドラゴン危機一発』(1971年)、『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年)、
『ドラゴンへの道』(1972年)も面白かった。
『イップ・マン』シリーズは2008年から2019年にかけて4作作られている。
以下がそのデータ。
『イップ・マン 序章』2008年。ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演。
『イップ・マン 葉問』2010年。ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演。
『イップ・マン 継承』 2015年。ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演。シリーズ第3作。
『イップ・マン 完結』2019年。ウィルソン・イップ監督、ドニー・イェン主演。シリーズ第4作目にして最終作。
すべて監督も主演も同じだ。
実在したイップ・マン〈=葉問〉という香港の中国武術家を描いた映画で、
脚色され実際のイップ・マンとはずいぶん違うらしいが、映画はどれも面白い。
イップ・マンを演じるドニー・イェンは地味といえば地味な俳優だから、
派手なアクションは似合わない。
静かに闘う姿に好感がもてる。
未見だった最後の『イップ・マン完結』が昨晩CSで放映されたので、
やっと全作を観ることができた。
イップ・マンが闘う相手は、武術で名をあげようと挑戦してくる武術家だか、
基本的にはその時代の支配階級の手先である。
第一話では中国に侵略した日本軍の空手家との戦いが描かれる。
戦後間もない香港を舞台にした第二話の相手は英国人ボクサーとの闘い。
ここにイップ・マンのもとで13歳から18歳まで詠春拳を学んだブルース・リーが登場する。
第三話はアメリカから来た闇試合を興行するデベロッパーとの闘い、
さらにイップ・マンの詠春拳の正当性をかけての若い中国人武術家との闘いが中心となる。
最後の作品は渡米したブルース・リーの誘いでアメリカ・サンフランシスコに渡ったイップ・マンが
中華街を守るため、米軍の格闘家と闘うことになる。
支配階級の手先との闘いといっても、中国の愛国心を鼓舞する映画というわけではない。
むしろ闘うことから身を引いた場所で武術を極めたいイップ・マンが
いやおうなく闘いの場に引き出されるという構図である。
東映任侠映画にも通じる側面がある。
葉問(イップ・マン、1893年10月1日-1972年12月2日)は、香港の中国武術家。詠春拳葉問派宗師。
1953年には13歳のブルース・リーが入門。5年間葉問のもとで修業している。写真はそのころのイップ・マンとブルース・リー。
詠春拳の練習に使われる木人椿(もくじんとう)は映画には必ず登場する。
基本的に木で出来ている作られており3本の手を相手の手と見立て、一本の足を相手の足と見立て、実戦を想定して相手側に向かって打撃攻撃を放つ鍛錬行為に使用される。
葉問派詠春拳はイップ・マンの遺言「日本人には詠春拳を教えるな」により日本人には教授されない。