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ホラー映画 その4小林正樹『怪談』

ワタシが子どものころ怪談映画というのは夏のプログラムで、
毎年新作が撮られていたわけだが、あまり観た記憶がない。

まあ、ワタシが怖がりだったということもあるだろう。

1964年製作の映画『怪談』(監督・小林正樹 東宝)は
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が1904年に妻である節子から聞いた
日本各地に伝わる伝説、幽霊話などをもとに、
独自の解釈を加えて情緒豊かな文学作品として描いた『怪談』を原作とするオムニバス。

原作には17編の怪談話が収められているが、
小林正樹はこの中から「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」の4つの話を映画化している。

ワタシはこれを映画館で観たのか、
それとも後年テレビで放映されたさいに観たのかよく覚えていない。

4つの話の中で「耳無芳一の話」はよく覚えているのだが、
ほかの3つの話については記憶がない。
「耳無芳一の話」は芳一役の中村賀津雄の印象が強く
ほかの話に登場したキャストのことはまるで記憶にない。

「耳無芳一の話」の中村賀津雄。

ほかの3話の主要キャストは以下の通りである。
「黒髪」新珠三千代、渡辺美佐子、三国連太郎

「雪女」仲代達矢、岸惠子、望月優子

「茶碗の中」中村翫右衛門、滝沢修、杉村春子、中村鴈治郎、仲谷昇、宮口精二、佐藤慶、奈良岡朋子

どれも当時の邦画を代表する俳優陣である。
これを覚えていないワタシはバカなのか。

そうかもしれないがやはり「耳無芳一の話」の話に圧倒されて結果であろう。

住職を演じる志村喬、最初のキャスティングでは笠智衆が予定されていた。

「耳無芳一の話」の主要キャストは
中村賀津雄、丹波哲郎、志村喬、林与一、村松英子、田中邦衛、北村和夫

丹波哲郎は芳一を迎えにくる甲冑の武士。
志村喬は芳一の身体にお経を書く住職。

この話はよく知られている。

昔話として徳島県で採集された例があるが、
小泉八雲が典拠としたのは、江戸時代後期の天明2(1782)年に刊行された
一夕散人の怪談奇談集読本『臥遊奇談』(全5巻5冊)の第2巻「琵琶秘曲泣幽霊」とのことだ。

小林正樹のことを書き出したのは、邦画の怪奇映画のことを書く以上
この映画のことに触れないわけにはいかないからだが、
じつはこの『怪談』よりももっと恐ろしい作品が小林正樹にはある。

『怪談』が撮られた2年前の1962年の作品『切腹』がその映画である。

〈続く〉

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