〈ムラサキバレンギク=紫馬簾菊〉について。
学名:Echinacea purpurea.
属名のラテン名でエキナセア、またはエキナケアとも呼ばれる。
和名の馬簾というのは江戸時代に火消しが持っていた、〈まとい〉の回りに垂れ下がる飾りのこと。
また、相撲取のまわしの「前垂れ」の裾にのれんのように
連なって縫い付けられている房状のものも馬簾と呼ぶ。
この花の舌状花(花弁に見える部分)が下に垂れ下がっているのが、
馬簾に似ていることから名付けられた。
しかしこの垂れ下がったものをなぜ〈馬簾〉と呼ぶのかがわからない。
中央の盛り上がった部分(頭状花)は、花弁が落ちたあとも残る。
触って驚いたのだが、この部分はウニの棘のように硬い。
先端は栗のイガほど鋭くはないから、触っても刺さるということはない。
もちろん強く圧迫すれば刺さることもあるだろう。
どこを調べても、この棘状の頭状花についての詳しい記述がない。
ただ属名のエキナセアはギリシア語で〈ウニ〉または〈ハリネズミ〉を意味するから、
この植物を特徴付ける大きな要素ではあるのだろう。
ムラサキバレンギクは北アメリカが原産で、ネイティブアメリカンが歯痛や喉の痛み、
蛇に噛まれたときの治療薬として用いた。
19世紀末にはヨーロッパに紹介され、栽培もされるようになる。
ドイツでの薬理研究では免疫賦活、抗菌、抗ウイルス、
抗炎症などに有効とされ、感染症の治療薬として認知されている。
現在ヨーロッパ各国では医薬品として、
アメリカではサプリメントとして流通しているというから、薬効は認められているようだ。
漢方薬に使用されているという情報はないから、
北米のネイティブアメリカン発、ヨーロッパ経由でアメリカへ逆輸入という形での、
欧米型自然療法薬ということか。
この国ではハーブの一種として流通している。
花期は7月から10月と長い。
ムラサキバレンギクを使ったエキナセア茶という名前のハーブティー。
エキナセアが持つ免疫力を向上させる働きがあるらしい。
新型コロナ対策において効果があるというが、怪しいもんである。