夢邪鬼は本当に去って行ったのか

　前回述べたことは、夢邪鬼が去って行ったことを前提にしています。しかし、夢邪鬼が本当に去って行ったのかという疑問があります。去って行ったふりをして油断させておいて、また戻ってくる可能性があるのではないかということです。
　たしかに、ラッパを鳴らされた後もしつこく夢を作り続けたしぶとさを考えると、こんなにもあっさりと去って行くものなのかと疑いたくなります。また、去って行く前に「ホンマ…　あの人らとつき合うのは並大抵のことやおまへんで。」という不気味な言葉を残したことも気になります。過去形ではないので、まるでこれからもつき合うつもりなのではと思わせます。
　しかし、また戻るのならば、わざわざ看板の覆いを取る必要はないのではないでしょうか。本当に去るつもりなので、看板を完成させたのだと思います。
　最後のセリフにしても、今までさんざんつき合ってきたけれども、それが終わることになったからこそ出てきた言葉のような気がします。たしかに過去形ではないですが、ちょっと突き放した感じや、しみじみとした言い方でそのように思います。
　私はそのように考えますが、たしかに根拠が薄いので、微妙なところだと思います。この問題の現時点での解決は難しいようです。