僕は大学を出て社会人になる前に、半年ほど、海外を旅行していた。
そのとき出会った旅人の一人と、僕は帰国してから再会した。
僕よりいくつか年上の彼は、会社を辞めて旅に出て、1年と少し、おもにアジアを巡って帰国したばかりだった。
会社員の僕の部屋にしばらくのあいだ居候状態だった彼は、僕と一緒に歩いているとき、ふと空を見上げて、こう言った。
「日本も、空がきれいなんだね」
チベットを巡り、聖地カイラス山をヒッチハイクで旅した彼の言葉が意外だった。
チベットの、あの吸い込まれるような蒼い空を見ていたはずなのに。
ネパールの透き通ったような青空を見上げていたはずなのに。
それでも、彼は、日本の空も綺麗だと言った。
正直、そのとき、僕は彼の意見に納得が出来なかった。
日本の空なんて、チベットに比べれば、なんてことないさ。そう思っていた。
2年半の旅を終え、僕は帰国した。
先日、岐阜の山奥のほうに行ってきて、そこで目にした緑。山々。用水を流れる水。茂った田の稲穂。そして、空。雲。
きれいだった。
それはたしかに、チベットの空よりは蒼くなく、モンゴルの草原で見た空よりも広くはない。
でも、それとは違う美しさをもっていた。
この空のもとで、僕は産まれ、育ってきた。
まぎれもない、いままでずっと見ていたけれど、いままでずっと気付いていなかった美しさが、そこにはあった。
海外に行って、視野が広くなったんじゃないの?とよく聞かれるが、そんなことはないと思う。
逆に、足元の、ほんのささいな景色を眺められる余裕を身につけたんだと思う。
うだるような猛暑が続いている。
そんななかでも、ふと周りの景色を落ちついて眺めると、そこには数え切れないほどの美しさが転がっていた。
僕は今、あらためて、日本を満喫している。
そのとき出会った旅人の一人と、僕は帰国してから再会した。
僕よりいくつか年上の彼は、会社を辞めて旅に出て、1年と少し、おもにアジアを巡って帰国したばかりだった。
会社員の僕の部屋にしばらくのあいだ居候状態だった彼は、僕と一緒に歩いているとき、ふと空を見上げて、こう言った。
「日本も、空がきれいなんだね」
チベットを巡り、聖地カイラス山をヒッチハイクで旅した彼の言葉が意外だった。
チベットの、あの吸い込まれるような蒼い空を見ていたはずなのに。
ネパールの透き通ったような青空を見上げていたはずなのに。
それでも、彼は、日本の空も綺麗だと言った。
正直、そのとき、僕は彼の意見に納得が出来なかった。
日本の空なんて、チベットに比べれば、なんてことないさ。そう思っていた。
2年半の旅を終え、僕は帰国した。
先日、岐阜の山奥のほうに行ってきて、そこで目にした緑。山々。用水を流れる水。茂った田の稲穂。そして、空。雲。
きれいだった。
それはたしかに、チベットの空よりは蒼くなく、モンゴルの草原で見た空よりも広くはない。
でも、それとは違う美しさをもっていた。
この空のもとで、僕は産まれ、育ってきた。
まぎれもない、いままでずっと見ていたけれど、いままでずっと気付いていなかった美しさが、そこにはあった。
海外に行って、視野が広くなったんじゃないの?とよく聞かれるが、そんなことはないと思う。
逆に、足元の、ほんのささいな景色を眺められる余裕を身につけたんだと思う。
うだるような猛暑が続いている。
そんななかでも、ふと周りの景色を落ちついて眺めると、そこには数え切れないほどの美しさが転がっていた。
僕は今、あらためて、日本を満喫している。
それと・・にいや~歳だよ 歳!
若いときは感じないことにワビやサビを感じる
確実に30代だな。
そのうち涙腺も弱くなるぞ
仲間に入れてあげるぅ
小生も「ニイヤンの文章力はすごい」と感心させてもらった「美しい国」に一票を投ずるつもりです。
不満とはいわぬにしても、少なくても日本の大地や風に、さほどの「幸せ感」をもつことなく人生の晩年にきてそれを体験したこと。
遅すぎた悔いもありますが、それでも「生きているうちに」できたことに、小生はわが身を納得させています。
「若き時代」にそれを心したニイヤンを羨ましくおもいつつの一筆です。
侘び寂び!
30代は、利休の心が理解できるようになりたいと思います。
涙腺は、いまのところ、まだ大丈夫みたいです。
敬助さん>
インドにて、「息しとるだけで幸せ」とおっしゃった敬助さんの一言、すばらしかったです。
また一つ大人になりました
大人の階段、また一段登ったよ。