平成18年(ネ)第5934号 国家賠償請求控訴事件
控訴人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面 (3)
平成19年11月27日
東京高等裁判所第21民事部ロろ係 御中
被控訴人指定代理人 藤原典子
山田正壽
大迫輝己
小田 昇
梅木俊洋
-1-
被控訴人は,控訴人の平成19年9月18日付け準備書面(5)(以下「控訴人
準備書面(5)」という。)及び平成19年10月19日付け準備書面(6)(以下
「控訴人準備書面(6)」という。)に対して,必要と認める限りで反論する。
なお,略称等は,本書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
第1 控訴人が,浅香らの違法行為として主張する各種事実について
1 本件実況見分調書(甲第42号証)について
(1) 控訴人の主張
控訴人は,「警察写真⑦(甲99①=甲32⑦)の控訴人車線に「徐行」
の道路標示がある。栗山警部補が実況見分時この徐行の道路標示の存在を認
めたら,実況見分調書に記載すべきところ,この標示についての記載はな
い。」(控訴人準備書面(5)第3の2・5ページ以下),「警察現場写真
(甲101=甲32⑮⑯」は「自衛隊写真を流用している強い疑いがあ
る。」(同4(3)・7ページ),「栗山警部補が作成した同調書(甲42)
が事故当時の実況見分を基に真正に作成されたか否かが争点である。」(同
6・8ページ)等,本件実況見分調書及びその添付写真についてるる主張す
る。
(2)しかしながら,本件の争点は,浅香らの違法行為の有無であるところ,警
察の作成する実況見分調書の作成に浅香らが関与できる立場にないことは,
原審及び当審において,被控訴人が繰り返し主張するところである。
また,被控訴人の平成19年6月19日付け準備書面(2)(以下「被控訴
人準備書面(2)」という。)第2の1(8)(4ページ)において指摘したとお
り,本件実況見分調書が別件訴訟の証拠として提出された経緯は,控訴人が,
別件訴訟において,裁判所に対し,本件事故に係る実況見分調書等の送付嘱
託を申し立て(甲第60号証),当該文書の所袴着であった大分地方検察庁
日田支部が,本件実況見分調書を別件訴訟の裁判所に送付し(甲第62号
-2-
証),これを受けて,控訴人自身が,本件実況見分調書を別件訴訟甲第23
号証として提出したのである(控訴人(原告)作成の平成17年10月18
日付け「書証番号対照表」参照)。
すなわち,本件実況見分調書に控訴人主張の虚偽記載があったと仮定して
も,浅香らが別件訴訟において内容虚偽の証拠を提出したわけではないから,
本件実況見分調書が,浅香らの違法行為を基礎づける事情となることはいか
なる意味においでもあり得ない。
よって,本件実況見分調書を批判する控訴人の主張は,すべて,その前提
において失当である。
(3)本件実況見分調書が適正に作成されたことは,被控訴人準備書面(2)第2
の2(5ページ以下)において詳述したとおりであるが,被控訴人が,別件
訴訟において,本件実況見分調書の作成経緯について主張しなかった理由は,
以下のとおりである。
控訴人は,上記(2)のとおり,別件訴訟において,本件実況見分調書を甲
第23号証として提出した。控訴人は,同訴訟において,その後,同調書に
添付されている写真が,本件事故当日に撮影されたものではなく,ねつ造・
改ざんされたものである旨主張はしたが,作成日が本件事故から2年近く経
過した平成13年9月27日であることに対する不審,作成の真正に対する
疑義その他同調書の作成経緯については何ら主張しなかった。
そのため,被控訴人も,その作成経緯について特段主張する機会がなく,
その必要もなかったものである(なお,控訴人は,現在においても,本件実
況見分調書を栗山警部補が作成したこと自体は争っていない。)。
(4)なお,念のため,「徐行の道路標示」(控訴人準備書面(5)第3の2・5
ページ以下)について述べれば,控訴人は,本件実況見分調書に,控訴人走
行車線に「徐行」と書かれていたとの記載がないこと及び自衛隊現場写真
(定義は原判決17ページ)に写っている人物が警察現場写真(定義は原判
-3-
決16ページ)に写っていないことをもって,「徐行」という標示の写って
いる警察現場写真はねつ造されたものであると主張するようである。
しかしながら,控訴人指摘の事情をもって,道路標示が存在しなかったと
認めることはできないことは当然であり(特に,写真に写った人物の有無に
関する控訴人の主張は,人間が容易に移動可能な存在であることを無視する
ものといわざるを得ない。),結局,当該道路標示が存在しなかったはずで
あるというのは,控訴人の憶測の域を出ない。
2 自衛隊現場写真(甲第67号証)について
(1) KP34.9の警戒標識(控訴人準備書面(5)第3の1・3ページ)につ
いて
ア 控訴人の主張は,要旨,以下のとおりであると思われる。
すなわち,控訴人が指摘する,柱に取り付けられた線形誘導標(甲第2
3号証に「安全標識」として示されたもの。以下「本件警戒標識」とい
う。)は,本来,北方向(湯布院方面)から南方向(小国町方面)へ走行
する車両のために取り付けられたものであるから,南方向へ走行する車両
から当該標識の正面が見えなければならないところ,平成11年10月7
日に撮影されたとされる自衛隊現場写真(甲第67号証①,第33号証,
第98号証の1①。なお,いずれも同一の写真である。)及び本件実況見
分調書添付の写真(甲第32号証⑥,第98号証の2①。なお,いずれも
同一の写真である。)並びに控訴人自身が同月29日に撮影した写真(甲
第66号証,第98の3④)では,逆に,北方向へ走行する車両から正面
が見える。これに対し,控訴人が,平成13年10月30日に撮影した写
真(甲第35号証⑩以下,第98号証の4)においては,本件警戒標識は,
正しく,南方向へ走行する車両から正面が見えるように角度が変わってい
る。
ところで,本件警戒標識は,本件事故以前には正しい角度で設置されて
-4-
いたはずであるから,平成11年10月8日から同月28日の間に誤った
角度で取り付けられたことになる。
したがって,誤った角度で取り付けられた本件警戒標識が撮影されてい
る自衛隊現場写真(甲第67号証①,第33号証,第98号証の1①)は,
本件事故当日撮影されたものではない(控訴人準備書面(5)3ないし5ペ
ージ)。
イ しかしながら,本件事故当日である平成11年10月7日に撮影された
複数の写真に,いずれも,本件警戒標識が北方向へ走行する車両から正面
が見えるように設置されているものとして写っており,同月29日,控訴
人が当該標識を撮影した時にもそれと同じ角度で写っているのであれば,
本件警戒標識は,本件事故当日も,同様の角度で設置されており,自衛隊
現場写真は,それをそのまま撮影したものであると考えるのが自然である。
平成13年に撮影された写真で向きが変わっているのは,平成11年10
月29日以後,正しい角度に設置し直したからにすぎない。
控訴人の上記立論は,すべて,本件警戒標識が,本件事故以前には正し
く南方向へ走行する車両から正面が見えるように設置されていたはずであ
るとの前提に立っているところ,そのような事実を認めるに足りる証拠は
なく,控訴人の主張は失当である。
(2) 炊事車の衝突痕(控訴人準備書面(5)第3の3・6ページ以下)について
ア 控訴人は,控訴人が運転していた普通自動二輪車の前輪右側と本件炊事
車後部車輪が衝突したにもかかわらず,本件炊事車のホイール・ナットに
傷がなく,塗装もはがれていないことから,本件炊事車を撮影した自衛隊
現場写真(甲第67号証⑩⑨,第100号証②)は事故当日に撮影された
ものではないと主張するようである(控訴人準備書面(5)6,7ページ)。
イ しかしながら,自衛隊車両は,戦場,災害現場等非常時に用いられるこ
とが想定されており,当然,一般車両を相当上回る強度を備えているから,
-5-
控訴人が本件事故の際運転していた普通自動車二輪車と接触した程度では,
写真に明瞭に写るような傷はできないのが普通である。よって,控訴人の
指摘する自衛隊現場写真に,本件炊事車の傷が写っていないことは,何ら
不自然なことではない。
なお,本件実況見分調書(甲第42号証)には,本件炊事車の右側タイ
ヤ枠及び右側タイヤに軽微な擦過痕がある旨の記載がされており(甲第4
2号証18ページ),栗山警部補は,本件炊事車の擦過痕を視認したこと
が認められる。
よって,控訴人の主張は失当である。
3 控訴人が,被控訴人による隠ぺいである等と主張する写真等について
(1)事故直後の控訴人車の停止位置の写真(控訴人準備書面(5)第3の4・7
ページ以下)について
控訴人は,被控訴人が,本件事故後の「停止位置で撮影された自衛隊車の
写真」及び「自衛隊車の停止位置を示す目印の写真」を提出していないのは
隠ぺいであり違法である,また,控訴人の運転車両の転倒位置として提出し
た写真が明瞭でないことも違法であると主張するようである(控訴人準備書
面(5)第3の4(1)(2)・7ページ)。
しかしながら,訴訟にいかなる証拠を提出するかは当事者の自由であり,
「証拠を提出しないこと」を違法と評価される根拠はないし,提出した写真
が不明瞭であることが違法となることもあり得ない。
そもそも,控訴人が「隠蔽している」と主張する写真は存在していない。
(2) 自衛隊作成の実況見分調書(控訴人準備書面(5)第3の5・8ページ)に
ついて
控訴人は,本件事故において,松比良は業務上過失傷害の被疑者であった
から,北熊本駐屯他業務隊古澤秀一が実況見分調書を作成していた旨主張す
る(控訴人準備書面(5)第3の5・8ページ)が,この点については,既に,
-6-
被控訴人準備書面(2)第2の5(7ページ以下)において反論したとおりで
ある。
(3) KP34.9の里程標(控訴人準備書面(6)第3・4ページ以下)につい
て
この点についてば,既に原判決が正当に判示しており(23ページ),控
訴人の主張は,結局,何ら客観的な根拠を示すことなく,自らの主張に反す
る事実はすべてねつ造であると主張するにすぎない。
4 小括
以上のとおり,別件訴訟における浅香らの訴訟活動には,何らの違法行為も
存在しない。
第2 浅香らの故意・過失の有無
上記第1のとおり,浅香らには,別件訴訟において何らの違法行為も存在し
なかったから,浅香らに故意・過失があったとの控訴人の主張は,その前提を
欠く。
それをおくとしても,東京法務局訟務部付検事浅香幹子については,控訴人
準備書面(5)第2(2ページ以下)の記載によっても,別件訴訟の指定代理人
となった事実しか指摘されておらず,陸上自衛隊西部方面総監部法務課賠償専
門官古澤秀一については,平成11年10月15日,控訴人に「昨日で自衛隊
の調査が終わった。」と述べたこと,本件事故当時駐屯地業務隊に所属する防
衛庁事務官であったこと及び別件訴訟の指定代理人となった事実しか指摘され
ていないところ,これらの事実からなぜ,「自らの不正な行為を認識していた
ことは明らか」といえるのか,全く不明である。
第3 結語
以上のとおり,控訴人の主張はいずれも理由がないことは明らかであるから
-7-
本件控訴は速やかに棄却されるべきである。
-8-
控訴人 出羽やるか
被控訴人 国
準 備 書 面 (3)
平成19年11月27日
東京高等裁判所第21民事部ロろ係 御中
被控訴人指定代理人 藤原典子
山田正壽
大迫輝己
小田 昇
梅木俊洋
-1-
被控訴人は,控訴人の平成19年9月18日付け準備書面(5)(以下「控訴人
準備書面(5)」という。)及び平成19年10月19日付け準備書面(6)(以下
「控訴人準備書面(6)」という。)に対して,必要と認める限りで反論する。
なお,略称等は,本書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
第1 控訴人が,浅香らの違法行為として主張する各種事実について
1 本件実況見分調書(甲第42号証)について
(1) 控訴人の主張
控訴人は,「警察写真⑦(甲99①=甲32⑦)の控訴人車線に「徐行」
の道路標示がある。栗山警部補が実況見分時この徐行の道路標示の存在を認
めたら,実況見分調書に記載すべきところ,この標示についての記載はな
い。」(控訴人準備書面(5)第3の2・5ページ以下),「警察現場写真
(甲101=甲32⑮⑯」は「自衛隊写真を流用している強い疑いがあ
る。」(同4(3)・7ページ),「栗山警部補が作成した同調書(甲42)
が事故当時の実況見分を基に真正に作成されたか否かが争点である。」(同
6・8ページ)等,本件実況見分調書及びその添付写真についてるる主張す
る。
(2)しかしながら,本件の争点は,浅香らの違法行為の有無であるところ,警
察の作成する実況見分調書の作成に浅香らが関与できる立場にないことは,
原審及び当審において,被控訴人が繰り返し主張するところである。
また,被控訴人の平成19年6月19日付け準備書面(2)(以下「被控訴
人準備書面(2)」という。)第2の1(8)(4ページ)において指摘したとお
り,本件実況見分調書が別件訴訟の証拠として提出された経緯は,控訴人が,
別件訴訟において,裁判所に対し,本件事故に係る実況見分調書等の送付嘱
託を申し立て(甲第60号証),当該文書の所袴着であった大分地方検察庁
日田支部が,本件実況見分調書を別件訴訟の裁判所に送付し(甲第62号
-2-
証),これを受けて,控訴人自身が,本件実況見分調書を別件訴訟甲第23
号証として提出したのである(控訴人(原告)作成の平成17年10月18
日付け「書証番号対照表」参照)。
すなわち,本件実況見分調書に控訴人主張の虚偽記載があったと仮定して
も,浅香らが別件訴訟において内容虚偽の証拠を提出したわけではないから,
本件実況見分調書が,浅香らの違法行為を基礎づける事情となることはいか
なる意味においでもあり得ない。
よって,本件実況見分調書を批判する控訴人の主張は,すべて,その前提
において失当である。
(3)本件実況見分調書が適正に作成されたことは,被控訴人準備書面(2)第2
の2(5ページ以下)において詳述したとおりであるが,被控訴人が,別件
訴訟において,本件実況見分調書の作成経緯について主張しなかった理由は,
以下のとおりである。
控訴人は,上記(2)のとおり,別件訴訟において,本件実況見分調書を甲
第23号証として提出した。控訴人は,同訴訟において,その後,同調書に
添付されている写真が,本件事故当日に撮影されたものではなく,ねつ造・
改ざんされたものである旨主張はしたが,作成日が本件事故から2年近く経
過した平成13年9月27日であることに対する不審,作成の真正に対する
疑義その他同調書の作成経緯については何ら主張しなかった。
そのため,被控訴人も,その作成経緯について特段主張する機会がなく,
その必要もなかったものである(なお,控訴人は,現在においても,本件実
況見分調書を栗山警部補が作成したこと自体は争っていない。)。
(4)なお,念のため,「徐行の道路標示」(控訴人準備書面(5)第3の2・5
ページ以下)について述べれば,控訴人は,本件実況見分調書に,控訴人走
行車線に「徐行」と書かれていたとの記載がないこと及び自衛隊現場写真
(定義は原判決17ページ)に写っている人物が警察現場写真(定義は原判
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決16ページ)に写っていないことをもって,「徐行」という標示の写って
いる警察現場写真はねつ造されたものであると主張するようである。
しかしながら,控訴人指摘の事情をもって,道路標示が存在しなかったと
認めることはできないことは当然であり(特に,写真に写った人物の有無に
関する控訴人の主張は,人間が容易に移動可能な存在であることを無視する
ものといわざるを得ない。),結局,当該道路標示が存在しなかったはずで
あるというのは,控訴人の憶測の域を出ない。
2 自衛隊現場写真(甲第67号証)について
(1) KP34.9の警戒標識(控訴人準備書面(5)第3の1・3ページ)につ
いて
ア 控訴人の主張は,要旨,以下のとおりであると思われる。
すなわち,控訴人が指摘する,柱に取り付けられた線形誘導標(甲第2
3号証に「安全標識」として示されたもの。以下「本件警戒標識」とい
う。)は,本来,北方向(湯布院方面)から南方向(小国町方面)へ走行
する車両のために取り付けられたものであるから,南方向へ走行する車両
から当該標識の正面が見えなければならないところ,平成11年10月7
日に撮影されたとされる自衛隊現場写真(甲第67号証①,第33号証,
第98号証の1①。なお,いずれも同一の写真である。)及び本件実況見
分調書添付の写真(甲第32号証⑥,第98号証の2①。なお,いずれも
同一の写真である。)並びに控訴人自身が同月29日に撮影した写真(甲
第66号証,第98の3④)では,逆に,北方向へ走行する車両から正面
が見える。これに対し,控訴人が,平成13年10月30日に撮影した写
真(甲第35号証⑩以下,第98号証の4)においては,本件警戒標識は,
正しく,南方向へ走行する車両から正面が見えるように角度が変わってい
る。
ところで,本件警戒標識は,本件事故以前には正しい角度で設置されて
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いたはずであるから,平成11年10月8日から同月28日の間に誤った
角度で取り付けられたことになる。
したがって,誤った角度で取り付けられた本件警戒標識が撮影されてい
る自衛隊現場写真(甲第67号証①,第33号証,第98号証の1①)は,
本件事故当日撮影されたものではない(控訴人準備書面(5)3ないし5ペ
ージ)。
イ しかしながら,本件事故当日である平成11年10月7日に撮影された
複数の写真に,いずれも,本件警戒標識が北方向へ走行する車両から正面
が見えるように設置されているものとして写っており,同月29日,控訴
人が当該標識を撮影した時にもそれと同じ角度で写っているのであれば,
本件警戒標識は,本件事故当日も,同様の角度で設置されており,自衛隊
現場写真は,それをそのまま撮影したものであると考えるのが自然である。
平成13年に撮影された写真で向きが変わっているのは,平成11年10
月29日以後,正しい角度に設置し直したからにすぎない。
控訴人の上記立論は,すべて,本件警戒標識が,本件事故以前には正し
く南方向へ走行する車両から正面が見えるように設置されていたはずであ
るとの前提に立っているところ,そのような事実を認めるに足りる証拠は
なく,控訴人の主張は失当である。
(2) 炊事車の衝突痕(控訴人準備書面(5)第3の3・6ページ以下)について
ア 控訴人は,控訴人が運転していた普通自動二輪車の前輪右側と本件炊事
車後部車輪が衝突したにもかかわらず,本件炊事車のホイール・ナットに
傷がなく,塗装もはがれていないことから,本件炊事車を撮影した自衛隊
現場写真(甲第67号証⑩⑨,第100号証②)は事故当日に撮影された
ものではないと主張するようである(控訴人準備書面(5)6,7ページ)。
イ しかしながら,自衛隊車両は,戦場,災害現場等非常時に用いられるこ
とが想定されており,当然,一般車両を相当上回る強度を備えているから,
-5-
控訴人が本件事故の際運転していた普通自動車二輪車と接触した程度では,
写真に明瞭に写るような傷はできないのが普通である。よって,控訴人の
指摘する自衛隊現場写真に,本件炊事車の傷が写っていないことは,何ら
不自然なことではない。
なお,本件実況見分調書(甲第42号証)には,本件炊事車の右側タイ
ヤ枠及び右側タイヤに軽微な擦過痕がある旨の記載がされており(甲第4
2号証18ページ),栗山警部補は,本件炊事車の擦過痕を視認したこと
が認められる。
よって,控訴人の主張は失当である。
3 控訴人が,被控訴人による隠ぺいである等と主張する写真等について
(1)事故直後の控訴人車の停止位置の写真(控訴人準備書面(5)第3の4・7
ページ以下)について
控訴人は,被控訴人が,本件事故後の「停止位置で撮影された自衛隊車の
写真」及び「自衛隊車の停止位置を示す目印の写真」を提出していないのは
隠ぺいであり違法である,また,控訴人の運転車両の転倒位置として提出し
た写真が明瞭でないことも違法であると主張するようである(控訴人準備書
面(5)第3の4(1)(2)・7ページ)。
しかしながら,訴訟にいかなる証拠を提出するかは当事者の自由であり,
「証拠を提出しないこと」を違法と評価される根拠はないし,提出した写真
が不明瞭であることが違法となることもあり得ない。
そもそも,控訴人が「隠蔽している」と主張する写真は存在していない。
(2) 自衛隊作成の実況見分調書(控訴人準備書面(5)第3の5・8ページ)に
ついて
控訴人は,本件事故において,松比良は業務上過失傷害の被疑者であった
から,北熊本駐屯他業務隊古澤秀一が実況見分調書を作成していた旨主張す
る(控訴人準備書面(5)第3の5・8ページ)が,この点については,既に,
-6-
被控訴人準備書面(2)第2の5(7ページ以下)において反論したとおりで
ある。
(3) KP34.9の里程標(控訴人準備書面(6)第3・4ページ以下)につい
て
この点についてば,既に原判決が正当に判示しており(23ページ),控
訴人の主張は,結局,何ら客観的な根拠を示すことなく,自らの主張に反す
る事実はすべてねつ造であると主張するにすぎない。
4 小括
以上のとおり,別件訴訟における浅香らの訴訟活動には,何らの違法行為も
存在しない。
第2 浅香らの故意・過失の有無
上記第1のとおり,浅香らには,別件訴訟において何らの違法行為も存在し
なかったから,浅香らに故意・過失があったとの控訴人の主張は,その前提を
欠く。
それをおくとしても,東京法務局訟務部付検事浅香幹子については,控訴人
準備書面(5)第2(2ページ以下)の記載によっても,別件訴訟の指定代理人
となった事実しか指摘されておらず,陸上自衛隊西部方面総監部法務課賠償専
門官古澤秀一については,平成11年10月15日,控訴人に「昨日で自衛隊
の調査が終わった。」と述べたこと,本件事故当時駐屯地業務隊に所属する防
衛庁事務官であったこと及び別件訴訟の指定代理人となった事実しか指摘され
ていないところ,これらの事実からなぜ,「自らの不正な行為を認識していた
ことは明らか」といえるのか,全く不明である。
第3 結語
以上のとおり,控訴人の主張はいずれも理由がないことは明らかであるから
-7-
本件控訴は速やかに棄却されるべきである。
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