シャガイ

　写真にあるものをご紹介します。シャガイといいます。　
家畜の何もかも無駄なく使うという遊牧民ならではのアイデアといえます。
　何だか、わかりますか。

　シャガイとはくるぶしのことです。
　モンゴル人は家畜を食べるとき内臓や脳みそ、骨の髄まで残さず食します。そして残った骨も日常生活に使ったり、なるべく無駄に捨てることがないようにします。その一例がこのシャガイです。
　シャガイでゲームや占いをするために、その4つの面がそれぞれ名称が付いています。

馬

ラクダ

ヤギ、そして

ひつじとなります。
　では、例えば“おはじき”をするとしたら、何個か（家庭によっては何百もありますが）シャガイを平らなところに散りばめ、同じ馬と馬、羊と羊というふうに当てていき、当てたら1個自分のものにして、最後に一番多くもらった人が勝ちとなります。
　他に、“競馬”もできます。まず“馬”を並べ、レースのレーンを作り、自分の“馬”を選びレーンに沿っておきます。4個のシャガイをサイコロとして使います、というのは、4個のシャガイをふり、“馬”ができた数だけそれぞれの馬が前に進むことができます。レーンを最初に抜けた人の勝ち。
　このほかにも様々なゲームができます。
シャガイを1個上に投げてそれが落ちてくる間に散りばめたシャガイの中から何個取れるかで争ったりもします。ちなみにアーストラリアに羊のくるぶしでこれと同じゲームをやるらしいですよ。
　
　また占いにも使います。ただ私は詳しくわかりません。4個のシャガイをふりますが、冒頭の写真のように全部違ったら“DORWON BERKH"といって縁起がいいとします。お正月の朝、新しい年の運気をこれで占う家もあります。
　
　シャガイの話でもう一つ思い出しました。家畜のシャガイではなく、狼のシャガイは男の人に好運をもたらすといわれます。狼はモンゴル人が自分の祖先と信じる動物で、狩りは難しく、勇気と運の象徴となります。「運がほどほどの人には見られ、自分より運のいい人にだけ殺される」とも言われる“幻”の動物。それを狩ることができた男は何より自慢げにそのシャガイをキーホルダーなどにして身につけるのである。そして狼のシャガイは他人に譲ってもいけないし、いくら親しい間柄でももらうこともできないという。自分の手で殺すことができないけど、狼のシャガイがほしければ、“盗む”しかない。運とはそういうものだと。